著者
上林 千恵子
出版者
法政大学経済学部学会
雑誌
経済志林 (ISSN:00229741)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.77-112, 2013-03

China has maintained a policy of exporting labor. It began, first, as political and economic aid projects to other developing countries, but later another project, called "labor cooperation", was added to the category of labor exports. Labor cooperation is a category for sending Chinese citizens abroad to work in areas such as construction, manufacturing and agriculture. The Japanese Technical Internship Program (TIP) receives Chinese workers through this channel of labor cooperation. In the first stage of the TIP's development in Japan, the TIP's institutional purpose of technology transfers was well-coordinated with China's labor cooperation program, since both carried the banner of Japan-China friendship and technology transfers, but as the Chinese government authorized private companies to export labor or set up overseas employment agencies as intermediaries, the system of sending workers abroad became more business-like and private companies faced tough competition. Although China's central and local governments promote the sending of workers abroad to enhance their living conditions, as well as to acquire foreign currency, tough competition in the labor export business to Japan may infringe the human rights of China's dispatch workers in Japan.
著者
上林 千恵子 山下 大厚
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

外国人技能実習制度は成立後ほぼ12年を経て、受け入れ人数を増加し、その性格も変化してきている。当初の緊急的な労働力不足への対応策から、3年間に亘って安定的に雇用を確保できる派遣労働力という見方を企業がとり始めてきた。3K労働だから外国人労働力に任せる、という側面も確かに残っているが、それと同時に、派遣・請負労働が広く普及し利用されるようになったことを踏まえ、派遣労働力の一つの形態としてこの研修生・実習生をみなす企業も出てくるようになった。しかし他方、技能実習制度の創設経緯に生じた問題はいずれも残されている。技術移転の問題をどう解決していくかは未解決である。技術移転を建前でなく実質化していくのか、あるいは韓国のように,研修制度を雇用許可制度の中に解消して、単純労働者受け入れ制度に一元化するのか。またローテーション方式の問題は、技能実習制度の限らず、外国人受け入れ制度すべてに関係する大きな問題である。パスポートの取り上げ禁止、雇用主による強制貯蓄の禁止、研修手当て・賃金からの管理費の控除禁止など技能実習制度の運営主体である国際研修協力機構(JITCO)は様々な指導を受け入れ団体と受け入れ企業に行っている。あるいは失踪者が多く出た受け入れ団体には、将来の受入れを認めないという罰則もある。研修生・実習生への失踪防止が足止め策として、彼らの労働者としての権利を侵害する恐れがある反面、失踪者の増加は不法就労者の増加へと確実につながり、二律背反の問題となっている。以上、技能実習制度を検討すると、これが十全に機能した場合でも制度としての矛盾を抱えていることが分かる。今後、外国人労働者を合法的に受け入れる制度としてこの技能実習制度が活用されるとするならば、技術移転の問題、ローテーション方式(失踪予防)の問題、受け入れ先企業の変更の問題、などについてより明確な合意形成が必要とされよう。
著者
舩橋 晴俊 壽福 眞美 徳安 彰 佐藤 成基 岡野内 正 津田 正太郎 宮島 喬 吉村 真子 上林 千恵子 石坂 悦男 藤田 真文 奥 武則 須藤 春夫 金井 明人 池田 寛二 田中 充 堀川 三郎 島本 美保子 樋口 明彦 荒井 容子 平塚 眞樹 三井 さよ 鈴木 智之 田嶋 淳子 増田 正人 小林 直毅 土橋 臣吾 宇野 斉 鈴木 宗徳 長谷部 俊治 原田 悦子 羽場 久美子 田中 義久 湯浅 陽一 伊藤 守 上村 泰裕 丹羽 美之 宮本 みち子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、グローバル化問題、環境問題、移民・マイノリティ問題、若者問題、メディア公共圏、ユビキタス社会、ケア問題といった具体的な社会問題領域についての実証的研究を通して、社会制御システム論、公共圏論および規範理論に関する理論的研究を発展させた。公共圏の豊富化が現代社会における制御能力向上の鍵であり、それを担う主体形成が重要である。また、社会制御には合理性のみならず道理性の原則が必要である。