著者
鈴木 宗徳
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.93-115, 1998-07-31

論文タイプ||論説
著者
鈴木 宗徳
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.43-60, 2016-05-30 (Released:2021-12-29)
参考文献数
22

『危険社会』が出版されて三〇年が経ったいまもなお、ベックが論じた個人化は、雇用と貧困における「自己責任」の問題を分析するツールとして利用する価値をもつ。たとえば、イギリス・ブレア政権がワークフェア政策を導入する際、ブレーンであったアンソニー・ギデンズは〝福祉依存〟の予防が必要であると主張していたが、こうした言説はいま、保守政権による過酷なサンクション政策を正当化し、多くの犠牲者を生み出している。ベックはむしろ、失業において個人的な責任が強調され、それが心理的な方法で解決されるようになることを批判していたのである。福祉受給者が福祉に依存し怠けているという非難については、ワークフェア政策がはじめに導入されたアメリカで、ナンシー・フレイザーが依存を心理学的問題に縮減するものであるとして批判している。これらの問題は、現在、ポストフォーディズム時代における自己啓発やフレキシビリティの必要性を説く言説が注目されるようになって、別のかたちで論じられるようになっている。なかでも、中産層の没落への不安と「同調」反応について論ずるコーネリア・コペチュは、ベックに依拠しながらも彼とは逆に「階級社会への回帰」を主張しているが、むしろベックの個人化論が労働者階級はいまだ個人化されつづけていると指摘したことにこそ、意義があると言える。
著者
鈴木 宗徳 折原 浩
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、マックス・ヴェーバー研究における全ての二次文献を、その年代・主題・言語を問わず網羅的に収集し、整理することにある。1905年から1964年までの邦文文献の収集にあたっては、東洋大学非常勤講師・三笘利幸氏による協力が、また、欧語文献の収集にあたっては、テュービンゲン大学教授・コンスタンツ・ザイファート教授による協力があった。研究代表者である鈴木宗徳は1964年以降の邦文文献の収集にあたり、研究分担者である折原浩は目録全体の編纂について監修を行なった。二年の研究期間のうちに、公表に値する網羅性と正確性を備えた目録として完成したのは、1905年から1964年までの邦文文献の目録のみである。われわれは本研究を継続し、最終的には目録全体をデータベースとして出版したい。研究の過程で明らかとなったもっと重要な成果は、黎明期における日本のヴェーバー研究の重要文献が数多く発見されたことである。ドイツにおいても日本のヴェーバー研究に関心が向けられている現在、本研究がもつ意義は小さくない。また近年のヴェーバー研究については、専門分化の傾向にもかかわらず、公刊された文献全体の数は依然増加していることが明らかとなった。
著者
舩橋 晴俊 寺田 良一 中筋 直哉 堀川 三郎 三井 さよ 長谷部 俊治 大門 信也 石坂 悦男 平塚 眞樹 小林 直毅 津田 正太郎 平林 祐子 金井 明人 仁平 典宏 土橋 臣吾 宮島 喬 壽福 眞美 池田 寛二 藤田 真文 鈴木 宗徳 羽場 久美子 茅野 恒秀 湯浅 陽一 須藤 春夫 佐藤 成基
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-05-31

本年度は, 年度途中で廃止になったが, それでも, 下記の研究実績を上げることができた。【公共圏とメディアの公共性班】法政大学サスティナビリティ研究所内の「環境報道アーカイブス」に蓄積した東日本大震災及び福島原発関連の映像に付されたメタデータの分析を行った。分析から, 震災・原発関連番組の論点の変化や報道対象地域の偏りなどを見出した。【エネルギー政策班】『原子力総合年表一福島原発震災に至る道』を2014年7月に公刊した(すいれん舎刊)。また, 青森県下北半島における核燃料サイクル事業の動向を把握するため, 『東奥日報』を基に詳細年表を作成し, 地域社会の長期的な構造変動を追跡可能な情報基盤を整えた。エネルギー戦略シフトに関し, 各地の市民団体の調査および支援を実施した。【年表班】英文環境総合年表(A General World Environmental Chronology)を刊行した。英文による包括的な年表は世界初の試みであり, 環境問題に関する国際的なデータベース構築の第一歩を記した。また, その年表の成果をもとに, 7月に国際シンポを開催し, 各国の研究者との交流を図った。【基礎理論班】2013年12月に開催した国際シンポと講演会を基に, 論文集『持続可能な社会に向かって―ドイツと日本のエネルギー転換(仮題)』(法政大学出版局, 2015年)の編集作業を継続している。並行して, 『ドイツ・エネルギー政策の形成過程1980~2014―資料集』(新評論, 2015年)の本文編集作業はほぼ終了し, 現在は巻頭論文を執筆中である。【食・農と包括的コミュニティ形成班】学内の「食・農」に関する社会的活動拠点でもある「スローワールドカフェ」の活動に関与しながら, 個別に研究を進めてきた。研究成果は, 社会学部授業科目「社会を変えるための実践論」と「多摩地域形成論」に一定程度反映させてきている。
著者
舩橋 晴俊 壽福 眞美 徳安 彰 佐藤 成基 岡野内 正 津田 正太郎 宮島 喬 吉村 真子 上林 千恵子 石坂 悦男 藤田 真文 奥 武則 須藤 春夫 金井 明人 池田 寛二 田中 充 堀川 三郎 島本 美保子 樋口 明彦 荒井 容子 平塚 眞樹 三井 さよ 鈴木 智之 田嶋 淳子 増田 正人 小林 直毅 土橋 臣吾 宇野 斉 鈴木 宗徳 長谷部 俊治 原田 悦子 羽場 久美子 田中 義久 湯浅 陽一 伊藤 守 上村 泰裕 丹羽 美之 宮本 みち子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、グローバル化問題、環境問題、移民・マイノリティ問題、若者問題、メディア公共圏、ユビキタス社会、ケア問題といった具体的な社会問題領域についての実証的研究を通して、社会制御システム論、公共圏論および規範理論に関する理論的研究を発展させた。公共圏の豊富化が現代社会における制御能力向上の鍵であり、それを担う主体形成が重要である。また、社会制御には合理性のみならず道理性の原則が必要である。