著者
高木 明
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.460-468, 2002-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
5

中等度感音難聴者を対象に純音聴力, 最高語音明瞭度, 時間分解能, 周波数選択性を測定し, 特に語音明瞭度との関連を検討した。純音聴力域値と語音明瞭度とは必ずしも相関しないことを示すとともに, 時間分解能が語音聴取と関連があることを示した。また, 人工内耳装用者についても直接の電気刺激による時間分解能を計測し, 子音の聴取と時間分解能の関連を示した。そして時間分解能は残存聴神経の数に依存すると考案した。最後に補聴器の開発を考える際, 純音聴力図からのみ検討するのは蝸牛のダイナミックな機能が考慮されないため, 一定の効果を得ることが難しいことに言及した。
著者
藤田 禎規 岸 良示 中沢 潔 高木 明彦 長田 圭三 龍 祥之助 宮津 修 渡邉 義之 西尾 智 松田 央郎 石川 由香子 三宅 良彦 中村 雅 望月 孝俊
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.737-743, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は52歳, 女性.心室細動 (Vf) による心肺停止状態となり, 植込み型除細動器 (ICD) 植込み術を施行した.以後Vf発作は認めなかったが, 発作性心房細動 (Paf) によるICDの不適切作動を頻回に認めた.Pafは多剤無効でアミオダロンを使用したが, 甲状腺機能亢進症を生じたため継続不能となった.アミオダロン中止により, 再びPafによるICDの不適切作動を認めた.このため薬物コントロールは困難と考え, カテーテルアブレーションによる房室プロツク作成術および心房リードの追加を行いDDIRペーシングとした.その後はICDの不適切作動は認めなかったが, 7カ月後に失神発作を生じた.ICD記録では, 頻拍イベントは認めなかったが, 入院後の心電図モニターで失神前兆と一致して心停止を認めた.心房波は75bpmの自己調律で, ICDの心内心電図記録から, 心房波のオーバーセンシングによる心室ペーシング抑制と考えられた.
著者
丹羽 俊朗 本田 真司 白川 清治 今村 靖 大崎 定行 高木 明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.93-103, 2006 (Released:2006-08-31)
参考文献数
144
被引用文献数
2 2

選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルボキサミンの薬物相互作用に関するin vitro阻害試験および臨床試験の報告を総説としてまとめた.まず,各cytochrome P450(CYP)の代表的な基質であることが知られている薬物に対するin vitro阻害試験および臨床試験結果を整理した.In vitro阻害試験において,フルボキサミンはCYP2A6,CYP2C9,CYP2D6,CYP2E1およびCYP3A4に比べCYP1A2およびCYP2C19を強く阻害し,臨床試験での阻害効果はCYP1A2>CYP2C19>CYP3A4>CYP2C9>CYP2D6(阻害無し)の順である.次に,国内にてフルボキサミンと併用される約80種の薬物(特に血糖降下薬および高血圧治療薬)とフルボキサミンとの薬物相互作用のin vitro阻害試験および臨床試験の報告を調査したが,いずれも一部の薬物で検討されているのみであった.そこで,それぞれの薬物の代謝に関与する薬物代謝酵素および尿中未変化体排泄率を調査したが,主にフルボキサミンにより阻害されるCYP(特にCYP1A2およびCYP2C19)で代謝される薬物ではフルボキサミンとの併用の際には注意を要し,代謝を受けにくく尿中未変化体排泄率が高い薬物ではフルボキサミンによる薬物相互作用を受けにくいことが推察される.したがって,フルボキサミンとの併用治療を行う際には,併用薬の薬物動態を考慮し,CYP阻害による薬物相互作用を起こしにくい併用薬を選択する必要があると考えられる.
著者
高木 明
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.18-23, 2022 (Released:2022-07-31)
参考文献数
6

我が国の新生児聴覚スクリーニング,精密聴力検査機関,療育・介入の現状,課題について延べ,今後の方策に言及した。新スクに関しては結果の全数の可及的即時把握が肝要となるのでそれらを集約,coordinateするセンターが必要であり,今後は新スクの受検率,精度向上のためには産科との協働は欠かせない。里帰り出産などの結果把握のためには新スクは国による義務化が望ましく,また,産科,精密聴力検査機関からデータはon line入力(電子化)されるべきである。精密聴力検査機関の質の均てん化を図り,3ヶ月以内の診断ができるような体制を整える必要がある。人工内耳術後の療育・介入については現状では特別聴覚支援学校が担うことが多いが,音声言語獲得をめざす療育として十分とは言えず,専門家の養成が待たれる。
著者
丹羽 俊朗 白神 歳文 高木 明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.125, no.10, pp.795-805, 2005-10-01 (Released:2005-10-01)
参考文献数
81
被引用文献数
22 25

This article reviews the in vitro metabolic and the in vivo pharmacokinetic drug-drug interactions with antifungal drugs, including fluconazole, itraconazole, micafungin, miconazole, and voriconazole. In the in vitro interaction studies, the effects of antifungal drugs on specific activities of cytochrome P450s (CYPs), including CYP1A2, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1, and CYP3A4, in human liver microsomes are compared to predict the possibility of drug interactions in vivo. Fluconazole, micafungin, and voriconazole have lower inhibitory effects on CYP3A4 activities than itraconazole and miconazole, and IC50 and/or Ki values against CYP2C9 and CYP2C19 activities are the lowest for miconazole, followed by voriconazole and fluconazole. In in vivo pharmacokinetic studies, it is well known that itraconazole is a potent clinically important inhibitor of the clearance of CYP3A4 substrates, and fluconazole and voriconazole are reported to increase the blood or plasma concentrations of not only midazolam and cyclosporine (CYP3A4 substrates) but also of phenytoin (CYP2C9 substrate) and/or omeprazole (CYP2C19/CYP3A4 substrate). On the other hand, no inhibition of CYP activities except for CYP3A4 activity by micafungin is observed in vitro, and the blood concentrations of cyclosporine and tacrolimus are not affected by coadministration of micafungin in vivo, suggesting that micafungin would not cause clinically significant interactions with drugs that are metabolized by CYPs via the inhibition of metabolism. Miconazole is a potent inhibitor of all CYPs investigated in vitro, although there are few detailed studies on the clinical significance of this except for CYP2C9. Therefore the differential effects of these antifungal drugs on CYP activities must be considered in the choice of antifungal drugs in patients receiving other drugs.
著者
中沢 潔 岸 良示 戸兵 雄子 高木 明彦 長田 圭三 桜井 庸晴 新井 まり子 龍 祥之助 三宅 良彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.151-154, 2001

Brugada症候群は,SCN5A遺伝子異常の家族性突然死症候群である.Brugada症候群の家族の検査は必須と考えており,Brugada症候群の家族の心電図を中心に報告する.当科でBrugada症候群が疑われた患者のうち,12人の協力が得られたので,その家族30人との計42人を対象とした.心電図異常は3家族(3/12家族:25%)に,それぞれ1人ずつ(3/30人:10%)認められた.Brugada症候群のみならず,Lenegre症候群やQT延長症候群を疑う家族員があった.また,Ic群抗不整脈薬負荷を行うことにより,Brugada症候群発見の頻度はさらに増加する可能性があると考えられた.
著者
長田 圭三 三宅 良彦 中沢 潔 松田 央郎 藤田 禎規 西尾 智 龍 祥之助 高木 明彦 岸 良示 原田 智雄
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.17, 2006

症例は47歳,女性.2002年より動悸症状あり,心電図で心房拍動(AF)を認めたため当院紹介受診.頻回に発作繰り返すため,pilsicainide 150mg/3× 処方.投与開始後約1週で歩行中突然の胸部圧迫感を生じ,失神・転倒し頭部打撲.当院救急搬送となった.来院時心電図上洞調律,QT延長なし.経過観察となった.以後動悸・失神は認めなかったが,2005年4月末より動悸あり,5月受診時3:1~2:1の心房粗動(AFL)を認めた.失神,<BR>AFL精査加療のため心臓電気生理学検査施行.AFL持続,頻回刺激で停止しないためpilsicainideを投与. 粗動周期延長をきたし1:1AFLに移行,その後VTに移行し血圧低下したためDCを要した.VTはPESで再現性を持って誘発,burstで停止可能.VPS3連刺激でVF誘発された.<BR>Pilsicainide投与により2種類の致死性不整脈の顕性化を認めた失神症例を経験したので報告する.
著者
山本 悦生 高木 明 広野 喜信 八木 伸也 本庄 巖
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.355-361, 1986-03-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

A 25-year-old male produced a continuous high-pitched tone (6.1KHz, 37.2dB SPL) which was not audible to the patient. He had a sensorineural deafness over 1KHz with a dip of 45dB at 6KHz. The sound was considered to be due to a spontaneous oto-acoustic emission.
著者
小嶋 哲人 松下 正 高木 明 山本 晃士
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

先天性プロテインS(PS)欠損症・異常症の遺伝子解析において、未解析の新たな症例検体については従来のPCRダイレクトシーケンス法を用いた遺伝子変異の同定を行った結果、新規変異を含めてその原因と思われるPROS1遺伝子変異を同定した。その中でPROS1遺伝子の蛋白翻訳領域には変異は見つからなかったものの、翻訳開始点より168bp上流のプロモーター領域に同定したC→T (c.-168C>T)の点突然変異のルシフェラーゼ・レポーター解析の結果、変異型では転写活性が20%まで低下し、先天性PS欠損症の原因と思われた。先天性PS欠損症症例で従来の各エクソンのPCRダイレクトシーケンス法にてPROS1遺伝子に変異の見つからなかった症例において、PROS1遺伝子の15個の各エクソン部に偽遺伝子と区別するPCRプライマーを設定し、Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA) 法によってPROS1遺伝子欠失の同定解析を行ったところ、PROS1遺伝子の全欠失を示す症例を1例同定した。しかし、他の多くの症例では欠失を同定できず、遺伝子欠失の頻度はまれであると思われた。ヒトPSを産生するHepG2 細胞を用い、エストラディオール(E2)の添加による培養上清中のPS分泌量の変動についてELISA 解析を行ったところ、30%の発現低下を認めた。また、細胞内PS mRNAの変動についてReal Time PCRを用いて定量した結果、同様にE2 の添加によるmRNA発現低下を認めた。現在、PS遺伝子プロモータ領域をクローニングし、ルシフェラーゼ・レポーター解析による、HepG2細胞でのE2 によるPS遺伝子発現の制御動態解析を施行中である。