著者
鳥羽 耕史
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.14-26, 2010-11-10

一九六〇年代の小松左京は、SFやルポルタージュや評論によって、「日本」を探究したが、その結論は意外にも古き良き故郷であり、開発を望むものではなかった。『日本沈没』も田中角栄『日本列島改造論』への批判として書かれ、沈没する日本は古代に遡行したものとなっていた。この小説は現在に至るまでマンガ、ラジオドラマ、映画、テレビドラマなど、様々なメディア向けに脚色され続けているが、その流れを追っていくと、サブカルチャーを介した日本回帰という「J回帰」の特徴が出ていることがわかる。
著者
大内 裕和 水溜 真由美 石原 俊 長 志珠絵 黒川 みどり 鳥羽 耕史
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1950年代が、戦前や戦時期との連続性を持ちながら、戦後の社会システムや大衆意識の形成にとって、決定的な意味を持っていたということを、当時の史資料から明らかにした。これらについて、多数の雑誌論文の執筆、学会発表、図書の刊行を行った。また、1950年代を再検討することによって、<現代>が戦後社会の転換点であることを、より明確にすることができた。これらについても、多数の雑誌論文の執筆、学会発表、図書の刊行を行った。
著者
鳥羽 耕史
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.14-26, 2010-11-10 (Released:2017-08-01)

一九六〇年代の小松左京は、SFやルポルタージュや評論によって、「日本」を探究したが、その結論は意外にも古き良き故郷であり、開発を望むものではなかった。『日本沈没』も田中角栄『日本列島改造論』への批判として書かれ、沈没する日本は古代に遡行したものとなっていた。この小説は現在に至るまでマンガ、ラジオドラマ、映画、テレビドラマなど、様々なメディア向けに脚色され続けているが、その流れを追っていくと、サブカルチャーを介した日本回帰という「J回帰」の特徴が出ていることがわかる。
著者
鷲谷 花 土居 安子 紙屋 牧子 岡田 秀則 吉原 ゆかり アン ニ 鳥羽 耕史
出版者
一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、スクリーンへの映写メディアである映画及び幻灯(スライド)を、近現代日本における社会運動組織が、どのように宣伝・教育・記録といった目的に活用してきたかを解明すべく、主に社会運動の一環として自主製作・上映された映画及び幻灯のフィルム・スライド・説明台本といった一次資料の調査に取り組んできた。本研究プロジェクトの3年間にわたる調査研究活動により、第二次世界大戦後を中心とする日本の社会運動と、映画及び幻灯の自主製作・上映活動の連携の実態や、そうした活動に関わった組織及び人物の動向の一端が明らかになった。また、複数の貴重な一次資料を発掘し、修復及び保存、公開を進めることができた。
著者
鳥羽 耕史 菅本 康之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

単著『1950年代「記録」の時代』を中心として、戦後期のサークル運動、記録の運動が連関しつつ、これまでにあまり顧みられなかったような文学や映画などの作品に結実していったことを明らかにできた。戦後文学、サークル運動、記録の運動のそれぞれについて、当時の関係者の証言をとり、中心的な雑誌の総目次などを整備しつつ、その果たした役割についての検証をすることができた。
著者
成田 龍一 岩崎 稔 長 志珠絵 佐藤 泉 鳥羽 耕史 水溜 真由美 上野 千鶴子 戸邉 秀明
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本科学研究費補助金にかかわる、本年度の研究成果は、これまで収集してきた「東京南部史料」の分析と、その歴史的な位置づけを集約した『現代思想』臨時増刊「戦後民衆精神史」にまとめられている。同誌は、2007年12月に刊行された。ここには、研究協力者(池上善彦、『現代思想』編集長)の多大の協力がある。研究代表者および、研究分担者、研究協力者による成果は、以下のとおりである。研究協力者の道場親信(東京外国語大学講師)「下丸子文化集団とその時代」「工作者・江島寛」、研究協力者・岩崎稔「詩と労働のあいだ」。「討議戦後民衆精神史」に、成田龍一(研究代表者)、鳥羽耕史(研究分担者)、道場が参加した。さらに、道場による「東京南部文化運動年表」が付された。そのほか、『現代思想』「戦後民衆精神史」には、浜賀知彦氏の所蔵にかかわる1950年代のサークル誌である、『油さし』『いぶき』『たんぽぽ詩集』などの分析が寄稿されている。これらは、池上、岩崎、道場が主宰する研究会での成果の反映である。『現代思想』「戦後民衆精神史」には、木戸昇氏による「東京南部」のサークル運動の概観も「資料」として付されており、『現代思想』「戦後民衆精神史」は、1950年代のサークル運動、さらには文化状況の研究を一挙に進めたものといいうる。また、他の研究者たちによる1950年代の文化運動、およびサークル運動の研究会やシンポジウムにも参加し、成田・岩崎・鳥羽はアメリカ合衆国コロンビア大学を会場とするMJHW(近代日本研究集会)で報告と討論をおこなった。さらに、鳥羽と池上は、1950年代に生活記録運動を展開し、サークル運動と深いかかわりをもった鶴見和子をめぐる研究集会(京都文教大学)に参加した。韓国やドイツにおける研究者との交流を、持続的に行ってもいる。