著者
千葉 立也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.257-269, 1981-02-28
著者
柳井 雅也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.291-305, 1988-12-28
被引用文献数
1
著者
宮澤 仁
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.44-57, 1996-03-31

本稿は, 長崎県五島列島の岐宿町を事例にして, 離島における消費者購買行動の考察を目的とした. 岐宿町における購買行動調査から, 低次財ほど岐宿町内で購入され, 高次財になるにつれ福江市内へ購買先が移る傾向がみられた. また, 離島という地理的な位置を反映した特徴として, 時間的・経済的制約をともなう島外都市での購買が高級品に関して顕著にみられた. さらに, 衣服類の購買に通信販売を利用する世帯が多かった. このような岐宿町における購買行動を規定している要因を数量化II類によって検討した結果, 購買機会の分布と女性の就業する産業が強く影響していることが明らかになった. 前者は, 福江島内の高次財の購買機会の少なさが影響していた. また後者に関しては, 女性の就業と他の生活活動との関係が認められ, 職業特有の就業時間や従業地, 自宅や従業地と購買先の位置関係などが購買行動に影響を与えている. 近年, 岐宿町内では高次財の購買が困難になっており, 福江市への依存傾向が強まっている. さらに, 島内での購買では十分な充足感が満たされない, または購買が不可能な財については, 購買を島外に依存せねばならない. その際には, 離島の「隔絶性」が大きな制約となっている. 通信販売の利用は, 購買のための時間不足と購買機会の減少に対処するための現実的な購買選択肢となっている.
著者
成田 孝三
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.308-329, 1995-12
被引用文献数
5

グローバルな経済システムの中枢として機能している現在の世界都市の盛衰は, 多国籍企業の立地戦略と国際的に移動する人々の性格によって規定される. 後者は少数のエリートと多数の移民労働者よりなるが, 本稿が問題とするのは受け入れ国におけるエスニックマイノリティとしての移民労働者である. 80年代に急増した東京の移民労働者(ニューカマー)は, 非合法就労者, 底辺労働者, 被搾取者, 被差別者, 社会問題の発生源等々と極めてネガティブに評価されてきた. しかし移民労働者は都市に活力をもたらす可能性を保有しており, その発現を妨げてきたのは彼らを受け入れる方式である, というのが筆者の基本的な視点である. 例えば65年の移民法修正後にアメリカで増加したいわゆるニューカマー, とりわけアジア系の移民労働者の多くは, 強固な家族的紐帯, 高い教育水準, 多様な民族的組織, 旺盛な労働意欲等によって社会的上昇を遂げ, 大都市インナーシティの再活性化に寄与してきた. 彼らがそのようにポジティブな存在であり得るのは, 就労の権利を得た家族として定住しているからである. わが国でもそれに対応するものとしてオールドカマーたる在日韓国・朝鮮人が存在する. このような視点の有効性を示すために, 「在日」の大集積地であり, 典型的なインナーシティである大阪市生野区と東京都荒川区を主要な対象地域として, 「在日」の就業構造, 事業活動, 街づくり, 住宅改善の実態を検討した. その結果, 民族差別のきつい日本社会の中で彼らは大きなハンディを背負いながらも, たくましいエネルギーを発揮して, 自らの生活とコミュニティの向上に努め, インナーシティの活力保持に貢献していることが明らかになった. 就業機会を極めて狭く限定し, できるだけ単身者を短期間受け入れようとしているわが国の対ニューカマー政策は, 彼らにとってマイナスであるといわねばならない.
著者
中澤 高志 荒井 良雄
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.162-174, 2004-06-30
被引用文献数
1

本稿では,地方圏における情報サービス企業の起業について,創業者個人の移動経歴に焦点を当てて分析し,創業者の移動経歴によって,起業にかかわる事象やその後の経営のあり方が異なっていることを示した.地方圏で誕生した情報サービス企業の多くは,その道県の出身者が創業したものであり,出身地以外で企業を経営している他地域出身の創業者は,全体の2割程度にとどまる.一方Uターンの創業者のほとんどが東京大都市圏で他社に勤務した経験を持ち,地元定着の創業者についても,出身地外の高等教育機関に進学した者が多いなど,創業者の移動経歴の空間は広範囲にわたる.最大の顧客の立地場所を創業者の移動類型別にみると,地元定着創業者の企業では,もっぱら周辺の企業と取引している場合がほとんどであるのに対し,Uターンや他地域出身の創業者の企業では,ともに最大の顧客を東京大都市圏内に有する企業が約3割に上る.また,他地域出身の創業者の企業では創業資金が相対的に多く,自宅以外にオフィスを構える例が多いほか,創業者の右腕となる社員がいる割合も高い.これに対してUターンでは,十分な創業資金が得られないまま自宅で創業に至る例が多く,創業者の右腕となる社員を欠く企業も多い.創業者の移動経歴ごとにみられるこうした違いは,他地域出身者の企業において売上高の伸び率の高い企業が多いこと,Uターン者の企業では売上高の少ない事例が目立つといった経営状態に反映している可能性がある.
著者
平 篤志
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.196-214, 2001-09-30
被引用文献数
1

本研究は, ソウル大都市圏における日本系企業の立地展開の特徴を立地パターンと企業属性から明らかにし, 立地戦略を説明することを目的とする.韓国に対する日本からの直接投資は, 1960年代後半以降増加したが, 日本系企業の過半数は円高が進行した1985年以降に設立された.1999年現在, 韓国の日本系企業の大部分はソウル大都市圏に立地し, そのうち72%はソウル市内に存在する.ソウル市内では, ハンガン南岸域, 特にカンナム, ソチョ区が立地の中心地域となりつつある.業種別では, 製造業はソウル市内と郊外地域の双方に展開しているのに対して, 1990年代に入って企業数が急増したサービス業はそのほとんどがソウル市内に立地している.主要な立地要因は, 当該都市圏における取引先企業の存在と販路拡大である.取引先企業は, 製造業, サービス業ともその過半数が現地韓国企業で占められ, 取引の現地化はかなりの程度進行している.一方で, 最高責任者の現地化は, 韓国政府による規制緩和政策を受けた設立形態の変化, すなわち日本側100%出資形態の増加に影響されて進んでいない.従業員数は1990年代後半に入って, 製造業において減少, サービス業において増加傾向にある.従業員の大部分は現地採用の韓国人である.事務所の運営に関しては, 日本側100%出資企業と比較して, 合弁企業では日本統括本社の域外支配は弱く, 企業としての自立性が高い.総体的に, ソウル大都市圏の日本企業は, 現地企業の立地変化に敏感に反応しながら選択的に現地化戦略を導入している.
著者
日野 正輝 柳井 雅也 末吉 健治 石川 錬治郎
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, 2001-03-31

2000年の地域大会として11月25〜26日に上記シンポジウムを開催した.25日の午後はNEC秋田の液晶工場を見学し,26日の午前中には秋田市千秋公園内にある秋田県生涯学習センター分館・ジョイナスにおいてパネルディスカッションを行った.はじめに大内秀明北東支部長からの挨拶があり,山川充夫準備委員長より趣旨説明が行われ,引き続き日野正輝氏の基調報告と3名のパネル報告の後,討論が行われた.討論の後,矢田俊文会長よりシンポジウムの感想と御礼の挨拶がなされた.なお,巡検への参加者は32名,パネルディスカッションへの参加者は54名であった.パネルディスカッションの座長は冨樫幸一(岐阜大学)が務めた.以下には各報告の要旨,討論と巡検の記録を掲げる.
著者
塚本 僚平
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.291-309, 2013-09-30

近年,消費の多様化や本物志向の進展が指摘されるなか,産地ブランドや地域ブランドへの注目が高まっている.一部の地場産業でも,産地の維持・発展の方策として,産地ブランドの構築が図られている.本稿では,2000年代以降,産地ブランドの構築に積極的に取り組んできた愛媛県の今治タオル産地をとりあげ,ブランドの構築が市場における優位性の獲得に繋がるか否か,ブランドの存在が産地維持要因の一つとなり得るかどうかについて検討した.今治タオル産地におけるブランド構築事業は,従来の問屋依存的で,有名ブランド品のOEM生産を軸とした企業体制からの脱却を意図したものであったが,産地の認知度の高まりを見る限り,当該事業は一定の成果を上げたといえる.また,問屋への依存度の低下や流通経路の拡大・多様化,リピーターの獲得といった現象も生じた.なお,今治産地では1980年代から海外生産や国内での一貫生産化,分業関係の見直し,外国人技能実習制度の利用といった生産面における戦略も展開された.それにより,分業構造に大幅な変化が生じていたが,これらの戦略は,製品の高品質化やコスト低減といった点でブランド構築事業との関連性を有していた.ただし,一部の企業では企業戦略と産地ブランドの特性が相容れないケースもあり,産地ブランドが全ての企業にとっての立地継続要因にはなり得ていないことも明らかになった.
著者
久木元 美琴 小泉 諒
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.328-343, 2013-09-30

本研究は,東京都心湾岸再開発地の事例として江東区豊洲地区を取り上げ,ホワイトカラー共働き子育て世帯の保育選択の実態を,保育所利用者へのアンケート調査と聞き取り調査から明らかにしたものである.本調査対象の子育て世帯は,夫婦共に正規職ホワイトカラーが多く,職住近接を実現している一方で,就業時間や送迎行動については世帯内の性別役割分業が維持されている.また,通勤利便性や保育所入所可能性を含む保育環境を期待して入居した世帯があるものの,認可保育所の不足から回答世帯の過半数が待機期間を経験している.都心周辺部の豊富な民間保育サービスの供給を背景として待機期間における民間保育の利用率が高く,民間保育サービスの利用と早期復職によって認可保育所の入所可能性を高めようとする等の実態が明らかとなった.
著者
大場 茂明
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.126-138, 1994-05-31

世紀転換期のドイツにおいては, 労働者階級の住宅問題(小住宅問題)が社会政策の焦点となった. 本稿では, 急激な工業化の結果, 住宅問題が深刻化したルール地域の工業都市エッセンを事例に, 様々な主体による非営利的住宅供給と自治体の住宅政策の展開について, 当時の都市計画, 都市内部構造の分化という空間的側面から考察を行った. 当該地域においては, クルップ社による社宅の大量供給がみられるものの, 他の非営利的住宅供給主体(住宅協同組合, 公益的建設会社, 市営住宅)による供給量はわずかであった. しかも, 同市の間接的住宅政策は, 土地政策, 都市計画と連関しつつ実施され, 後の住宅事情の改善や郊外における良好な市街地形成に貢献した点では評価さるべきものであるが, それは中間層に対する助成策が主体であり, 小住宅問題の改善においては限界があった.
著者
辻 悟一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.370-371, 2002-12-31
著者
徳丸 義也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.229-244, 2013-06-30

製造業大企業の複数事業所立地においては,最終消費財生産企業を対象とした,立地と空間的分業についての研究が蓄積されている.本研究は,独立系の電子部品サプライヤー企業の複数事業所立地を事例として,空間的分業論や支店立地研究,立地調整の視点から考察した.その結果,国内外の生産拠点においては,顧客企業への近接立地とともに,電子部品の製品セグメント別の分業が,複数の顧客企業に対応する市場圏分割の戦略としてみられた.専門化した領域での工場内のフレキシブルな生産システム採用がされている.電子部品企業の支店立地には,機動的で分散型の傾向がみられる.海外販社・営業所に配置された開発・設計,改良設計機能においては,顧客企業との近接性や接触の利益のための立地指向が明らかになった.また,アジアの支店に配置された機能においては,情報要因と物流の両面からの立地指向が示された.そして,海外生産拠点での立地調整では,新設や現在地での製品転換を通じて,工場間や現地協力企業との立地集中がみられた.これらは,製品セグメント別の領域を事業ドメインとし,それを軸として,規模の経済とともに個別の製品のライフサイクルや需要変動に対応するフレキシブルな生産システムという,一般には相反する機能としての立地調整が明らかになった.
著者
和田 崇
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-36, 2014-03-30

大阪・日本橋は,1980年代後半から家電小売店数が減少する一方で,漫画やアニメ,ゲームなどオタク向け専門店が多数立地し,東京・秋葉原に次ぐオタクの街となった.20〜30歳代男性を中心とする関西圏のオタクは,自宅で密かに楽しんでいた漫画やアニメ,ゲームなどの趣味について,インターネット上で情報を収集したり,同人と交流したりしながら,オタク向け専門店が集積し,イベントが開催される日本橋に出かけている.彼らは日本橋を現実空間におけるホーム/居場所と認識し,そこで自己を表出し,趣味を他者と共有している.こうした状況を踏まえ,日本橋ではオタクを集客対象としたまちづくりが,2000年代半ばから商業者を中心に行われるようになった.その取組みは,既存の権力サイドにあたる商店街振興組合のキーパーソンが,オタクの街・日本橋の磁力に惹きつけられて集まった若者を巻き込み,彼らの意欲とアイデア,行動を引き出し,後押しするかたちで展開された.自らもオタクであり,オタクの感性と興味に応じた企画を立案できる若者の存在が,オタクの街・日本橋のプロモーションに重要な役割を果たした.
著者
和田 崇
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-36, 2014

大阪・日本橋は,1980年代後半から家電小売店数が減少する一方で,漫画やアニメ,ゲームなどオタク向け専門店が多数立地し,東京・秋葉原に次ぐオタクの街となった.20〜30歳代男性を中心とする関西圏のオタクは,自宅で密かに楽しんでいた漫画やアニメ,ゲームなどの趣味について,インターネット上で情報を収集したり,同人と交流したりしながら,オタク向け専門店が集積し,イベントが開催される日本橋に出かけている.彼らは日本橋を現実空間におけるホーム/居場所と認識し,そこで自己を表出し,趣味を他者と共有している.こうした状況を踏まえ,日本橋ではオタクを集客対象としたまちづくりが,2000年代半ばから商業者を中心に行われるようになった.その取組みは,既存の権力サイドにあたる商店街振興組合のキーパーソンが,オタクの街・日本橋の磁力に惹きつけられて集まった若者を巻き込み,彼らの意欲とアイデア,行動を引き出し,後押しするかたちで展開された.自らもオタクであり,オタクの感性と興味に応じた企画を立案できる若者の存在が,オタクの街・日本橋のプロモーションに重要な役割を果たした.
著者
矢田 俊文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.112-129, 2014-06-30

本稿は,特定地域総合開発,一次から五次の全国総合開発計画,計6つの計画すべての策定に参画した下河辺淳前国土庁事務次官の『戦後国土計画への証言』を分析することにより,各全総策定の構図を解明しつつ,戦後の国土計画の大局的な流れを把握する.構図では,世界と日本の経済・社会情勢と日本のマクロ経済・社会政策(動因1),深く関与した首相等の権力中枢(動因2),国土に関する思潮(動因3)を動因とし,責任官庁および審議会を主体として位置づけ,さらに,策定の重点分野について,国土構造の構築(照準1),地域の活性化(照準2),国土管理(照準3)を照準として描く.照準の3つの分野は,経済地理学の主要研究分野でもある.特定地域開発と一全総では,緊急課題への対応から復興や成長政策が照準となり,国土構造に照準が当てられなかった.官僚機構が整備され,下河辺氏のリーダーシップが確立する二全総では,交通・通信ネットワークの整備を軸にした「100年の計」と豪語する国土構造の構築を提起し.その後はその補強・修正に重点を置いた.つまり,三全総は,構想の弱点であった地方の活性化や国土の管理などの分野に照準を当て,四全総は東京一極集中の是正,五全総は日本の北東,南西,日本海沿岸地域など周辺地域に国土軸や地域連携軸を整備し,太平洋ベルト一軸一極集中の是正に照準を置くとともに,「21世紀のグランドデザイン」と銘打ち,二全総から半世紀後の国土の姿を描いてみせた.
著者
加藤 幸治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.225-241, 2005-09-30

本稿では,企業グループの企業戦略や組織再編の中で,子会社とりわけ情報サービス子会社を中心とするサービス関連子会社がどのように配置・展開され,どのように再編されているのか,IT企業グループであるA社グループの展開とその日本法人・日本A社における子会社・関連会社の展開を跡付けることを通して検討していく.日本の情報サービス産業においては,大企業の影響力がもともと強く,近年におけるグローバル競争の本格化,金融グローバル化(なかでも日本における国際会計基準の導入)によって,大企業グループの動向が情報サービス産業に与える影響がより一層強まっている.グループ全体の利益が優先される中,子会社の生産性や市場での優劣に関係なく,全社的視点から位置付けや方針が決定されているからである.その中で情報サービス産業の子会社・関連会社の立地・配置やその展開は,情報サービス企業の論理によって決まるというよりも,むしろそれを一部として内包する企業グループを取り巻く競争環境・競争条件,それに対応するグループの戦略・行動に大きく左右されている.地域的視点からみれば,企業(子会社)とその立地地域との関係はこれまで以上に希薄なものとなり,「企業の論理」が貫徹される傾向が近年ますます強まっている.こうした「グローバル化」を共通の起動因とした企業グループの行動は日本企業に広くみられており,企業論的視点が産業・企業と地域との関係を捉える上で,より重要性を増している.