著者
和田 崇
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.69-87, 2010-06-30
被引用文献数
1

本研究は,ウェブログ・ポータルの例として広島ブログをとりあげ,利用者間の地理的近接性に着目して,そこで形成される社会的ネットワークの構造を明らかにするとともに,そのネットワークが地域の経済活動や市民活動に及ぼす影響について検討した.その結果,広島ブログに投稿されるコメントは,リアルスペースにおける作者と読者の居住地とは無関係に,お互いのつながりを確認することを目的としたり,興味や関心にもとづいて投稿されるものと,作者と読者の居住地間の地理的近接性に応じて投稿されるものがあることがわかった.また,コメントや友達リストを通じて,利用者が集中する広島市をハブとする地域間ネットワークとともに,キーパーソンが居住する市町での地域内ネットワーク,居住地に関わりなく情報を交換する情報縁ネットワークが形成される.パーソナル・レベルでは,広島県内で相互作用を活発に展開し,ローカルなネットワークを形成する作者と,広島県外に居住する読者や居住地を非公開としている読者との情報交換を主眼とし,ノンローカルなネットワークを形成する作者がみられた.このうち,ローカルなネットワークを形成する作者の一部は,経済活動や市民活動の実効化に向け,広島ブログを情報の発信および収集,社会関係資本形成の場として活用している.
著者
青木 隆浩
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.83-99, 1997-05-31
被引用文献数
1

本稿では, 埼玉県の酒造家を系譜の出身地別にまとめ, その経営方法の違いとそれに伴う盛衰の状況について比較考察した. その結果, 近江商人, 越後出身者, 地元出身者の家組織には大きな違いがあり, この組織力の差が, 明治以降のそれぞれの盛衰に関わっていることがわかった. 埼玉県に出店した近江商人は酒造家の約9割が日野屋と十一屋で占められている. 日野屋が本家中心の同族団を, 十一屋が同郷での人間関係によるグループを形成しており, 最も強い組織力をもち, 戦後まで安定経営を続けてきた. 越後出身者は, 分家別家を数多く独立させたが, 明治期に同族団が崩壊し, 1軒あたりの生産量が増えるにつれグループ内での競争が激化し, 多くの転廃業をだした. 中には, 大石屋のように商圏が重ならないように離れて立地したことにより安定した市場を確保し, 戦後まで繁栄した例もみられた. これらに対し, 地元埼玉出身者は分家別家, 親類の酒造家が少なく, 単独経営で家組織が脆弱だったため, 戦前までに多くが転廃業をすることとなった. また, 販売網と市場にも系譜の出身地別に大きな違いがあった. 近江商人は主要街道沿いでかつ江戸出荷に便利な河川沿いに支店網を築いた. しかし, 19世紀中頃から江戸市場における地廻り酒のシェアが低下すると, 近江商人は地方市場へ販売先を切り替えていった. これにより, 従来から地元販売を主としてきた地元出身の酒造家は競争に破れ, 衰退していった.
著者
箸本 健二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.337-351, 2000-12-31
被引用文献数
2

本稿では, 主に情報通信技術の進展とその広汎な普及にともなう社会経済的な影響を, 主に産業空間の変容という視点から整理し, 今後の産業活動における変化の方向性を展望する.経済地理学では, 情報技術(IT)と産業の空間構造との関連をとらえた研究が1960年代後半から進められ, 対面接触の代替, 情報交換における時間距離の短縮効果, 通信コストの削減効果, そして通信回線を産業基盤として評価する研究が主に行われた.さらに, コンピュータのネットワーク化が進んだ1980年代以降は, 企業間提携の進行, 情報財産業の立地特性, テレワークやサテライトオフィスなど労働市場への影響などが新たな研究テーマとされる一方, 企業や都市構造など既存組織の再編成を情報通信技術と関連づけた研究も進んでいる.今日, 情報通信技術を産業モードの変化を加速させる因子として評価する視点が定着しているが, とりわけ重要な要素となるのがインターネット環境の浸透である.インターネット環境の浸透は, コミュニケーションコストの大幅な削減だけでなく, コミュニケーションそのものの急激な拡大をもたらしており, その社会経済的な影響力ははかり知れない.それゆえ経済地理学においても, 今日的な情報通信技術をブラックボックス化せず, 経済の各局面で果たしている役割と産業の空間構造との関係を冷静に検証し, そのモデル化を進める必要がある.
著者
中澤 高志 荒井 良雄
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.218-229, 2003-06-30
被引用文献数
2

本稿では,東京都区部における調査との比較を踏まえつつ,九州におけるインターネット関連産業の実態を,特に労働力に焦点を当てて分析した.東京都区部と九州のインターネット関連企業および従業員の属性を比較した結果,企業の設立時期や企業規模,従業員の年齢構成などに若干の差異があるが,大枠では共通性が認められた.続いて九州のインターネット関連企業従業員の属性や経歴,年収水準などを分析した.地元定着者のうち転職を行った者では,学卒直後にインターネット関連産業あるいは情報サービス産業とは無関係の職に就いていた者が過半数を占める.これに対して還流移動者では,還流移動前に情報関連産業のシステムエンジニアやプログラマーの職に就いていた者が多い.学歴も地元定着者に比べて還流移動者の方が高い傾向にある.年齢と年収の関係を見ると,地元定着者では加齢とともに年収が上昇する傾向が見られるが,還流移動者ではこの傾向が不明瞭である.
著者
仁平 尊明
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.395-418, 2000-12-31
被引用文献数
1

本研究は, 現在の農業情報ネットワークの分布を示した上で, 比較的早くから農業情報コンピュータネットワークが作られた茨城県を対象として, 農業情報ネットワークの発展過程と運営上の課題を明らかにした.農業情報ネットワークのメディアには様々なものがあるが, 役場などの公的機関による運営が多いオフトーク通信と農村型CATVは, 中部以西の西日本に多く分布し, 生活関連情報を主に提供する.それに対して, 農協によるFAX通信や個人運営の多い農業情報BBS(パソコン通信)は, 北海道, 関東, 九州地方に多く分布し, 生産と出荷に関する情報の提供・交換に使用される.農業情報のメディアの中でも, パソコンを使用したコンピュータネットワークは, インターネットの拡大を背景に, 情報提供の空間範囲や会員数が変動している.茨城県のコンピュータネットワークの事例では, インターネット化によって, 県ネットワークから県と市町村ネットワークを組み合わせたものへの移行と, 市町村ネットワークから全国ネットワークへの移行みられた.前者は, IDと暗証番号を使用したクローズドなネットワークを維持しながらも, 農家への情報提供方法を改善することによって生産・出荷の効率化が図られた.後者は, WWWのオープンなネットワークを活用することで, 農家からの情報発信の場を拡大した.このような農業情報コンピュータネットワークの情報提供スケールの変化に注目した分析から, 運営組織と利用農家に対するいくつかの課題を提示した.
著者
新名 阿津子
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.99-120, 2009-06-30

本稿は山梨県における経営コンサルティングサービスの供給者特性を,「中小企業向け公的経営指導・支援機関」と小規模ビジネスサービス業の連携から明らかにした.当該サービスは中小企業政策によって制度化され,無料で供給されてきた背景がある.その制度的実践を担う商工会議所や産業支援機構などの「公的経営指導・支援機関」は,交通の利便性が確保された地点に立地し,地域経済に精通した人材が山梨県内に立地する中小企業を対象に,経営相談から問題解決まで一連のサービスを供給しており,主導的役割を果たしてきた.また,コストの面かちみても,サービス料金が発生しないため,「需要者の総負担コスト」が低い形態であった.一方,その補完的役割を担う小規模ビジネスサービス業は,経営コンサルタント業に特化した事業所だけでなく,税理士業や司法書士業などを営む事業所も含まれる.これらの事業所を経営する専門家は山梨県出身の中高年男性で構成され,自宅にオフィスを開設し,キャリア形成時に得た知識,資格,人脈を用いて,中小企業のみならず「公的経営指導・支援機関」や地方自治体ともサービス取引を行っていた.そして,この「公的経営指導・支援機関」を中心としたサービス需給関係は,地域経済との関係が深く,マクロスケールでの山梨県,ミクロスケールでの国中地域,郡内地域という経済圏を中心に形成され,維持されてきたものであり,地域内で完結していた.
著者
伊藤 佳世
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.354-376, 2003-09-30

1992年以降,自主的に環境マネジメントシステム(EMS)を構築する動きか先進国中心に見られる EMSに関する既存研究の多くは産業界におけるそれを対象にしている たか,経済の主体は,一般的には産業,家訓,政府の3者からなっている しかも,公共機関は環境政策を用いて他の2つの主体の環境負荷削減を働きかけることかてきる そこて本稿ては公共機関のEMSの取り組みに焦点を当てる すなわち,本稿の目的は,Accountability概念を用いて,公共機関のEMS構築について評価をすることによって,そのEMS構築かとれたけ公共機関の活動に伴う環境負荷を削減しているのか,政策としてEMSの活用か住民の家計,さらに消費行動にとのような影響を与えているのか分析することてある そのために,国内て最初に環境政策の実施ツールとしてEMSを構築し,地域全体にEMSのノウハウを用いた施策の展開を行なっている水俣市を事例として取り上け,そのEMSの構築を評価した 事例研究から得られた知見は,次の通りてある (1)Probity Accountability(合規性) 行政機関は完全な遵法性か求められているか,し尿に関する法規制か満たされておらず,Probity Accountabilityを充足しているとは言い難い たたし,EMS構築により未達成の理由か検証されており,この問題に対する継続的な改善か行なわれている (2)Progress Accountability(プロセス) Stakeholderに対する情報公開と,彼ら/彼女ら意見のフィードバックについて検証すると,水俣市は,意志決定前の段階からEMSの仕組みなとに関して説明会を開き,市民の意見をEMSの中に取り入れ,また,構築後も市民の意見をもとに簡易型EMSを実施しており, Progress Accountabilityを充足している (3)Performance Accountability(費用効果) 環境教育,EMSの構築,運用のコスト,環境負荷の乱視・測定環境保全対策組織の人件費,といった環境庁の環境会計かイとラインのEMSに関するコストを,水俣市に当てはめ分析した結果,直接的な費用と効果の計算値てはあるか,効果の方か費用を上回っていた したかって,水俣市はPerformance Accountabilityを充足している (4)Program Accountability(目的達成成果) 施策や事業の成果や目標達成度を検証し,さらにCO_2換算してEMS導入前後を比較すると,EMS導入によりCO_2か削減されている また,水俣市は環境基本計画ての実施ツールとしてISO 14001を位置付け,間接的目標も達成されている したかって,水俣市はProgram Accountabilityを充足している (5)Policy Accountability(政策選択) EMS認証を取得しなくても省エネ省資源の取り組みは可能てあるのて,研究課題として他の手法との比較の必要性について示した EMS認証による方法と他の省エネ,省資源の取り組みとの比較を十分に行なえなかった 今後の課題とする 間接影響についてはまた分析していないか,以上の分析を通して,全体として次のことか言える 水俣市のEMS構築ては合規性について問題を残しているものの,プロセス,費用便益,目標達成についての行政のアカウンタビリティを充足している したかって,政策におけるEMS活用は有効てあるとともに,他の地域の実践に対しても,そのモてルになりうると考えられる
著者
原田 敏治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.37-56, 1995-03-31

本稿では先進農業国のニュージーランドにおける灌漑事業の成立と停滞の条件について考察する. これまでニュージーランドの牧羊業や酪農業が, 高い生産性を維持してきた背景には, ヨーロッパ人の入植以来の牧草地や飼料作物の輪作の改良, 家畜の繁殖率の向上がある. しかし近年, 国際的な畜産品価格の低迷や, アメリカ合衆国やオーストラリアとの競合で, より高い生産性を要求されている. ニュージーランドの主要な灌漑地域は, 南島のカンタベリー平野にある. ここでは1935年にランギタタ川から分水路が引かれ, いくつかの灌漑事業が計画されたが, 第二次世界大戦で多くの事業は遅延し, 本格的な普及は戦後に持ち越された. 1957年に公共事業法が改正されて, 灌漑事業の採否に関する農民の投票が, それまでの面積比から1農家1票制に改められて, 灌漑をより必要とする小規模農家の意向が強く反映されるようになったことも, カンタベリー平野で灌漑事業が本格化する一因となった. 1980年代になって, 農業に対する公共投資が削減された結果, 新しい灌漑事業の着工は停止され, 受益地域の個人の農場内のボーダーストリップの拡大は, 補助金の全廃で困難になっている. そして, 灌漑会社の財政改善のための水利費の値上げで, 一部の灌漑農家が乾燥地農業に戻ることも懸念されている.
著者
稲垣 稜
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.23-43, 2002-06-30
被引用文献数
2

本研究では,国勢調査・就業構造基本調査,及び愛知県春日井市に位置する高蔵寺ニュータウンにて実施したアンケート調査を利用し,大都市圏郊外に居住する若年者の人口学的特質,就業形態の多様化,及び通勤行動を関連づけることにより,1990年代以降の大都市圏郊外の雇用成長の性格を検討した,1990年代以降に労働市場への新規参入期を迎えた若年者は,親世代による郊外への居住地移動を反映して主に郊外に居住しており,彼らが就業年齢に達した1990年代には,郊外に居住する大量の若年者が労働市場へ参入することになった.時しもその時期はバブル経済が崩壊し,コスト削減のために企業が非正規労働力の積極的活用を進めた時期であった.アンケート調査によると,親と同居する場合,及び同居する兄弟姉妹に在学者がいない場合に非正規労働者,無業者になることが多いことが示された.郊外出身者の増加にともなう親と同居する若年者の増加,ならびに出生率の低下にともなう兄弟姉妹数の減少といった1990年代以降にみられる動向は,若年の非正規労働力化を進展させる条件になっているものとみられる.若年の非正規労働者の多くは郊外の自宅近隣で販売職・サービス職に就いている.郊外では,販売職・サービス職がバブル経済期よりもバブル経済崩壊後に就業者増加数を拡大させたが,これは郊外に居住する若年者の非正規労働力化による部分が大きく,性別にみると,新規学卒市場において不利な立場にある女性が果たした役割は大きい.1990年代以降の郊外における販売職・サービス職の雇用増加とは,郊外における若年人口規模の拡大傾向と,バブル経済崩壊にともなう非正規労働力化の進展が相まって生じてきたものと判断できる.
著者
小野寺 淳
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.383-406, 1991-12-31
被引用文献数
2

中国の農村工業は, 経済改革が進行するにつれて「郷鎮企業」として急速に発展を遂げ, これまでの都市・農村間の社会経済的格差を解消することが期待されている. 本稿では, 都市・農村関係を変化させてゆく媒体としての農村工業に注目して, 南京郊外の江寧県を例に, 農村工業の立地展開と存立基盤について考察を行った. その結果, 以下のことが明らかになった. 南京郊外の農村工業は農村経済の中で農業に代わり中心的な部門となった. その立地の変化を見ると, 比較的遍在していたものが南京ヘアクセスの良い地域に集積しつつある. さらに業種別にみると, 地元の資源あるいは農業と関連するよりも, 機械, 繊維, 化学など都市企業との連関を求める業種の比重が高まり, 総じて南京との関係を指向する傾向が見られる. このような農村工業の存立基盤として, 第一に都市企業との連合経営関係の形成があげられる. 都市企業の協力によって資金, 技術, 管理方法あるいは市揚との連係を獲得し, 時には下請関係を結ぶことによって生産の拡大, 経営の安定化を図っているが, その一方で農村(郷・鎮)所属の企業として独立性を保とうとする対応も見られる. 第二に戸籍上農民である工業労働者(「農民工」)の存在がある. 都市への移動が制限され, 農業との兼業状態にあり, 食糧・福利厚生面でコストのかからない「農民工」によって農村内部労働市場が形成され, これが農村工業の存立基盤になっている. 第三に郷・鎮政府の関与がある. 農村工業の上納利潤に依存し雇用創出・所得向上に期待する郷・鎮政府は, 工場長責任制の導入, 流動性に乏しい生産要素の確保など農村工業の活性化・発展に積極的である. その努力は, 郷・鎮経済全体にとっての利益を強く意識している.
著者
伊藤 喜栄 田口 芳明 矢田 俊文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.451-458, 2000-12-31

1999年4月24日午後, 関西大学100周年記念会館にて, 経済地理学会関西支部特別例会が開催された.以下には, 小杉 毅氏による問題提起, 伊藤, 田口, 矢田の3氏の報告要旨, 石原照敏, 辻 悟一, 森川 滋, 川島哲郎の4氏からのコメントを中心に討論の概要を掲げる.なお, コーディネーターは, 小森星児氏(神戸山手大学長)が, 司会は加藤恵正(神戸商科大学)が務めた.
著者
伊東 維年 肥塚 浩 柳井 雅也
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.71-75, 2001-12-31

かつてない厳しい環境に置かれ, 再生の道を探っている日本の半導体企業, そしてその中で従前とは違った展開をみせる生産拠点について, その実態認識と理論的整理を意図して「半導体企業の経営・立地戦略の転換と半導体生産拠点の変容」というテーマで, ラウンドテーブルを企画した.以下には肥塚, 柳井, 伊東の3名の報告要旨, 討論の概要を掲げる.オーガナイザーは伊東が務めた.
著者
加藤 恵正 豊田 尚吾 山本 麗子 野間 敏克
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.76-84, 2001-12-31

経済地理学会大会(2001年5月26日)に「台頭するコミュニティ経済と地域通貨の可能性」と題するラウンドテーブルを企画, 開催した.以下では, ラウンドテーブルの主旨, 豊田, 山本, 野間の報告要旨, 討論の概要を紹介する.なお, オーガナイザーは加藤が務めた.
著者
藤原 宏志 藤田 佳久 梶田 真 戸島 信一 鈴木 康夫 城倉 恒雄 根岸 裕孝
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.244-249, 2003-06-30

2002年の地域大会として10月5日〜7日にかけて上記シンポジウムを開催した.10月5日の午後に宮崎市シーガイアワールドコンベンションセンターにて講演とパネルディスカッションを開催し,6〜7日に現地視察を宮崎県南郷村・諸塚村・椎葉村・五ヶ瀬町・熊本県蘇陽町等にて実施した.はじめに,藤原宏志氏(宮崎大学長)による特別講演「焼畑文化とむらづくり」,続いて藤田佳久氏(愛知大学)による基調講演「山村政策の展開と山村の再生を巡って」が行われた.これを踏まえて4名のパネル報告と藤田氏も加わった5名による討論を行った.座長は岡橋秀典氏(広島大学),宮町良広氏(大分大学)が務めた.討論の後,矢田俊文会長による全体総括が行われた.なお,現地視察の参加者は24名,パネルディスカッションヘの参加者は70名であった.
著者
鄭 京淑 具 正膜 ベロフ アンドレイ 山崎 朗 櫛谷 圭司 中井 徳太郎
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.90-97, 2002-03-31

2001年の大会として11月24〜25日に上記のシンポジウムを開催した.24日の午後には「北陸の地場産業と港湾整備」と題して,石川県箔商工業協同組合,河北潟干拓地,金沢港,銭屋五兵衛記念館を見学し,25日は金沢市の石川県女性センターでシンポジウムを行った.はじめに金沢大学日本海域研究所の石田 啓委員長からの挨拶があり,中藤康俊大会実行委員長より趣旨説明が行われ,引き続き6名のパネル報告の後,各報告に対する4名のコメントと討論が行われた.なお,巡検の参加者は45名,シンポジウムの参加者は130名であった.シンポジウムの座長は中藤康俊(岡山大学)と柳井雅也(富山大学)が務めた.以下に各報告の要旨,討論と巡検の記録を掲げる.
著者
浅妻 裕
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.289-309, 2004-12-30

川崎臨海部では, 1970年代後半以降, 国の産業分散政策や公害問題の激化等をきっかけとして事業所の移転が進んだうえ, 産業構造の転換が重なって, 鉄鋼業等の製造業が空洞化に長期的に直面し, 生き残りのための産業再編が進んでいる.本稿では素材型産業の産業再編やそれに伴う土地利用転換の現状を明らかにする.縮小再編傾向の強かった鉄鋼業は, 1990年代後半から, 大都市圏への隣接性を生かして, 廃棄物処理・リサイクルに関連した事業への積極的な取り組みを行っている.石油化学は, 従来から施設・設備の老朽化, 土地の狭隘生が強調されていたが, 石油化学業界の再編が, 汎用樹脂部門のみにとどまっていることなどが影響して, 土地遊休化を引き起こすような急激な再編はみられない.その一方で石油精製は, 1990年代後半からの激しい業界再編の影響で, 川崎臨海部でも事業所の集約化が進み, また遊休地も多く発生するなど, 再編が急速に進んでいる.また, これらの産業再編が進むことで, 土地利用転換が促され, 物流関連の事業所や都市的土地利用への転換が目立っている.川崎臨海部は, 長期的に公害被害に直面してきたが, これを歴史的チャンスととらえ, 環境負荷の削減を可能とする産業構造への転換や計画的な土地利用転換が求められている.