著者
斎藤 文雄 宮崎 知子 松岡 芳隆
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.636-643, 1984

香料のpeppermint oilは約18種の組成を有するが, 主要成分はmenthol, menthoneである. carvone, limoneneを主成分とするspearmint oilと16種の共通組成を有する. Peppermint oilアレルギー性接触皮膚炎 (ACD) はpeppemnt oilまたはmentholを数%に配合された湿布剤 (トクホン, サロンパスなど) によって惹起されたが, peppermint oilとmentholをそれぞれ約8-16%の高濃度に配合された中国製軟膏 (万金油-Tiger balm, 清涼油など) によっては高頻度の発生をみる. 中国製軟膏ACD群9/15例 (60%), 華陀膏ACD群0/4例, 日本製軟膏ACD群 (ムヒ, メンターム, メンソレターム) 1/4例, 湿布剤ACD群8/16例 (50%) の計18例にpeppemint oil接触アレルギーがみられた. そのうちの10例は主成分がmentholである. Peppemint oilアレルギー6例, peppemint oilとspearmint oilアレルギー4例の計10例に24種の組成でパッチテストを行ない, menthol以外の抗原を検索した. その結果はmentholのみ陽性1例, menthyl acetateのみ陽性1例, pulegoneのみ陽性2例, menthol, menthofuran陽性1例, menthol piperitone陽性1例, menthol, menthofuran, piperitone陽性1例, menthofuran, piperitone陽性1例, pulegone, dihydrocarvyl acetate陽性1例である. Pulegone, dihydrocarvyl acetate陽性例は交差反応と推定されるが, 多くの症例は多価過敏性である. Peppemint oilの主抗原はmentholであるが, 微量に含有されるpiperitone, pulegone, menthofuran, menthyl acetateも抗原となることを証明した. Pepperminot oil, menthol, pulegoneを用いて動物感作実験を実施したが, 感作は不成功に終った. Peppermint oil, metholを高濃度に配合した軟膏や湿布剤の使用は, これらの香料に対する接触アレルギーを誘発する可能性を強調したい.
著者
船井 龍彦 青木 敏之
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1218-1222, 1984 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

54才男性. 27才より毎日飲酒, 53才のとき肝硬変を指摘される. 53才頃より顔面, 頸部に自覚症状を欠く色素沈着が出現し次第にその色調が濃くなってきた. 皮膚脆弱性や水疱形成はなかった. 色素沈着以外に強皮症様皮疹, Pseudo-xanthoma様の淡黄色丘疹も認められた. 尿に波長400nmの光線を直接照射したところ鮮明な紅色を発し, さらに尿中ウロポルフィリンの著明な増加, モノクロメーターで410nmを中心とした紅斑産生時間の短縮を認め, 晩発性皮膚ポルフィリン症と診断した.

1 0 0 0 OA ペラグラの4例

著者
葭矢 信弘 庄司 昭伸 北島 淳一 格谷 敦子 濱田 稔夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.702-708, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

48歳, 61歳, 47歳の男性および38歳の女性の4例のペラグラについて報告した。いずれも極端な偏食家で, うち2例がアルコール中毒患者である。顔面, 頸部, 四肢の露出部等にペラグラ疹が出現した。Dermatitis, diarrheaおよびdementiaの3D症状すべてを備えたもの2例, 残る2例のうち1例は消化器症状のみ伴い, 1例は皮膚病変のみみられた。血液ニコチン酸はすべて低下又は正常下限を示した。男性の3例はスラム街の住民であり, 現在でも特殊な社会環境下では散発的にみられる疾患ではないかと思われる。各症例の特徴を比較し, ペラグラの最近の傾向について文献的に考察を加えた。

1 0 0 0 OA 爪甲剥離症

著者
東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.369-378, 1972 (Released:2010-08-25)
参考文献数
50
著者
鈴木 加余子 松永 佳世子 上田 宏
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.130-135, 1999 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

アトピー性皮膚炎 (AD) 患者皮膚への洗濯用合成洗剤の刺激性を検討するために, AD患者10例を対象に, 主な界面活性剤成分であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS) の衣類残留濃度を測定した。その結果をふまえて, 別のAD患者20例にLASをパッチテストした結果, LAS1000ppmにわずかな紅斑を認めたのは1例であり, 洗濯施行後の衣類に残留している濃度でのLASのAD患者皮膚への刺激性は低いと推測した。一方, 最初の残留濃度測定試験で1300ppmであった患者がすすぎ方法を変更したところ, その濃度が53ppmに低下したことから, 洗濯施行時のすすぎ方法は洗剤の残留濃度を低くする点において重要と考えた。
著者
佐々木 雅英
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.442-444, 1978

顔面色素増多症 (肝斑, リール黒皮症, 炎症後色素沈着症) に対しL-システィンおよびビタミンC合剤である。ハイチオールC錠を使用したところ次の如き臨床成績を得た。肝斑13例では改善率69.3%, リール黒皮症8例では改善率75.0%, そして炎症後色素沈着症3例では改善率66.7%であった。また長期投与 (最長6カ月) にも拘らず, 何らの副作用も認められなかった。
著者
関東 裕美 細野 久美子 伊藤 正俊 石原 勝 中村 晃忠 小嶋 茂雄 鹿庭 正昭
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.664-671, 1984

ゴム添加剤に接触アレルギーを認めた16才, 男子学生のズック靴皮膚炎とformaldehydeに接触アレルギーを認めた51才, 女子会社員の革靴皮膚炎についてそれぞれの臨床, パッチテスト成績, 原因製品の分析結果について報告し, 靴皮膚炎のアレルゲンについて若干の考察を加えた.
著者
速水 淳史 山脇 光夫 堀尾 武
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.175-178, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16

炎症性辺縁隆起性白斑は尋常性白斑の1症状または1亜型と一般的に考えられており, 発症機序に関してはいまだ定説はないが, 細胞性免疫の関与が強く示唆される。症例は61歳, 男性。前胸部に環状紅斑が出現し拡大傾向にあったため受診された。初診時, 左頚部に不整形脱色素斑とそれを取り囲むように境界不明瞭な浮腫性紅斑及びその近縁に白斑を伴わない淡い紅斑も認めたため, 炎症性辺縁隆起性白斑と診断した。ステロイド内服, 外用にて治療を行い, 治療開始後約3週間で白斑辺縁部の紅斑は消失し, 白斑の辺縁も不鮮明となってきた。このことより早期に炎症症状を消退させることが白斑の新生を抑える上で重要であると思われる。

1 0 0 0 OA 副乳の家族例

著者
沢辺 元和 古川 雅祥 濱田 稔夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.732-736, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
20

症例は35歳, 男性。出生時より, 右乳房下方と左乳房下方に, 1ヵ所ずつ類円形の淡褐色斑が存在しており, 初診時右乳房下方約3cmの所に20mm×10mmの, 左乳房下方約9cmの所に15mm×5mmの, 肉眼的に乳房に類似した類円形で境界鮮明な扁平な茶褐色の皮疹を認め, その中心部には黒褐色の乳頭様構造を, 周辺部には発毛を認めた。組織学的には, 表皮のpapillomatosisと基底層のメラニン顆粒の増加, また真皮中層に束状に散在する平滑筋組織と真皮下層にやや拡張した乳管を認めた。更にその母と次女にも同症を認めた。母は両側腋窩に1ヵ所ずつ, 次女では左乳房下方に1ヵ所存在し, それぞれ乳頭様構造を認め, いずれも臨床的に副乳と診断した。
著者
本間 真
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.361-362, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
1
著者
松岡 縁 中井 菜美 多田 正憲 西垣 敏紀 尾上 幸子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.58-62, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14

10歳, 男児。3歳よりてんかんがあり平成9年8月からゾニサミド (製品名エクセグラン®) を内服していたが, 発作の出現が続くため徐々に増量されていた。平成10年6月より全身の発汗減少を認め, 熱発も生じたため当院を受診した。初診時ゾニサミド600mg内服中で血中濃度は75. 3 (治療域10-30) μg/ mlであった。ゾニサミド大量投与による発汗減少と考え, 投与を中止したところ, 2日後から発汗を認めた。温熱性発汗を可逆的に抑制しており, その機序としてイオンチャンネルに対する薬理作用を考えた。抗コリン剤以外には同様の発汗障害をきたす薬剤はなく, 特異な副作用として注意を要する
著者
阪本 ゆり 浅井 睦代 杉原 和子 織田 知明 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-309, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

47歳男性で神経ベーチェット病と考えられた1例を報告した。既往に10年間口腔内アフタと陰部潰瘍を繰り返していた。発熱, 右眼の複視, 口腔内アフタ, 陰部潰瘍を主訴に当科に入院し, 精査を行なった。神経学的には右外転神経麻痺による複視, 髄液検査で細胞数の増加がみられた。脳MRl所見で橋部においてT1強調画像の低信号域, T2強調画像の高信号域, 造影剤の増強効果が認められ, 橋部の炎症所見が示唆された。プレドニン内服によって皮膚症状と神経症状は著明に改善し, またMRI所見も改善が認められた。重篤な後遺症も認めなかった。自験例では脳MRI所見が神経症状の早期診断と治療効果の判定に有用であった。