著者
宇谷 厚志 新屋 明美 大野 佐代子 段野 貴一郎 市島 国雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.657-660, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

90歳, 女性。メシル酸カモスタット内服が原因と思われる緊満性水疫を伴う多型滲出性紅斑型薬疹および白血球減少, 赤血球減少を起こした症例を報告した。内服薬剤中止とステロイド内服で軽快治癒した。病理組織像は, 表皮壊死と表皮下水疱が認められた。
著者
周 光平 森田 秀樹 浅野 翔一 長 等 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.219-226, 1986

組織学的に mononuclear infiltrative 型の多発性の granuloma annulare の皮疹を, 電顕とmonoclonal抗体法とによって検索した。この結果, 病巣内の類上皮細胞には分泌穎粒とphagoaomeは認められず, ミトコンドリアの増数が証明された。Leu 3a 陽性リンパ球とLeu 2a 陽性リンパ球は病巣の辺縁部に存在し, 前者が後者に比し数的優位を占めていた。免疫グロブリンの沈着は全ったく認められず, 僅かにC<SUB>3</SUB>が病巣内血管に一致して証明されたにすぎなかった。<BR>以上の検索成績と文献的事実とに基づき, granuloma annulare の組織発生について言及すると共に, 免疫病理学的見地からの類推を記述した。
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。
著者
久保 容二郎 野中 薫雄 吉田 彦太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.209-212, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

アロエによる刺激性接触皮膚炎の1例を報告した。本症例と健常者10名にキダチアロエの針状結晶をそのまま含むアロエ・ジュースと針状結晶を除去したジュース濾過液のパッチテストを施行した。本症例と健常者6名は針状結晶を含むアロエ・ジュースに陽性が認められた。しかし, 針状結晶を除いた検体に対して明らかな陽性を示した者は皆無であった。その結果より, アロエの外用は針状結晶による刺激性接触皮膚炎をきたす可能性があることが示唆された。上記パッチテストの陽性反応は浮腫と丘疹または小水疱で表現され, アレルギー反応を思わせる所見であった。すなわち, 針状結晶は偽陽性反応の原因となることも示唆された。
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 麻生 五月 渡辺 加代子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.405-412, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

ビタミンEとビタミンCの合剤であるユベラC顆粒 (エーザイK.K.) の色素沈着に対する治療効果を評価するとともに, 不定愁訴に対する改善効果をも検討した。対象は肝斑53例, 炎症後色素沈着36例の計89例で, 年令21才から59才にわたる女性のみである。ユベラC3gを分三毎食後6カ月間服用, 他の薬剤は内服外用とも一切行なわなかった。ユベラCを6カ月間完全に服用したのは肝斑26例 (49.1%), 炎症後色素沈着15例 (41.7%) で, 色素沈着の軽減については, 肝斑群で有効19.2%, やや有効23.0%, 炎症後色素沈着群では有効40.0%, やや有効6.7%であった。不定愁訴改善については, 肝斑群で有効56.5%, やや有効13.0%, 炎症後色素沈着群で有効42.9%, やや有効21.4%であった。患者評価では, 肝斑群で有効53.8%, やや有効30.8%, 炎症後色素沈着群で有効53.3%, やや有効40.0%と有効率がさらに高くなっていた。なお, 副作用は全例に認めなかった。
著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
池上 隆彦 東 禹彦 山本 哲雄 中野 和子 中尾 正敏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.141-146, 1973

昭和46年から47年にMicrosporum canisによる小水疱斑状白癬の3例とケルスス禿瘡の2例を経験した。この菌による小水疱斑状白癬の皮疹の特徴は小指頭大の小型の皮疹が多発し, それらが中心性治癒傾向に乏しいことであるが, 3例のうち1例はその大きさが鶏卵大に及んだ。ケルスス禿瘡は2例とも数個の浅在性頭部白癬を併発した。<BR>同菌による本邦白癬例280余例を数えるが, 関西地方では自験例を含めて最近数年間に19例に達している。自験5例の感染源はペルシャ猫のほか雑犬, 雑猫であったが, 高価な動物ばかりでなく, 雑犬, 雑猫, にも同症が拡っていることは, 今後, 関西地方での症例の増加を強く示唆するものと言える。
著者
吉川 邦彦 山田 徹太郎 藤本 圭一 川内 勉 奥村 睦子 橋本 公二 岩佐 真人 羽白 誠 貝原 弘章 川津 智是 太田 純子 畑清 一郎 井上 千津子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.195-202, 1993

自律神経調整剤グランダキシン<SUP>&reg;</SUP> (Tofisopam) の皮膚疾患に対する有効性, 安全性および有用性について検討した。対象症例数は53例であった。有用以上と判定された症例は皮膚騒痒症14例中5例36%, 限局性皮膚騒痒症7例中5例71%, 慢性蕁麻疹16例中5例31%, 多汗症11例中5例45%, 異汗性湿疹5例中2例40%であった。以上より, ゲランダキシンはこれらの皮膚疾患に対して有用性があり, 試みる価値のある薬剤と考えた。
著者
上出 康二 塩谷 昭子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.511-517, 1999 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

平成10年7月25日和歌山市園部地区の夏祭り会場で出されたカレーに砒素が混入された事件の被災者で急性期に皮疹が認められた3名について報告した。症例1: 31歳男性。第6病日に肝機能異常の出現と同時に両腋窩, 両股部, 下腹部に点状赤褐色丘疹が左右対称性に集籏して認められた。病理組織学的に血管周囲に稠密なリンパ球の浸潤があったが汗腺などの付属器には異常は認められなかった。症例2: 17歳男性。第6病日に肝機能異常の出現と同時に両大腿, 両肘窩に左右対称性に症例1と同様の皮疹が認められた。組織学的にも症例1と同様であった。症例3: 48歳男。第12病日より四肢末端の葉状落屑が認められた。砒素暴露3ヵ月後の23名の検診時の問診から, 急性期にみられた皮疹は紅色丘疹を示した症例が6名, 顔面浮腫3名, 水痘様皮疹が3名, 指趾尖の落屑3名, 紅皮症が1名であり, 経口亜砒酸推定摂取量との関連性はみられなかった。(皮膚, 41: 511-517, 1999)
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 奥野 富起子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.305-308, 1979

リール黒皮症40例, うち原因不明5例と肝斑およびその他の顔面色素沈着症34例の計74例を対象としてY-Gテストを施行した。原因の判明したリール黒皮症群は安定積極型が多く, また比較的心配症でも神経質でもないためかえって, 顔面が黒くなるまで放置した無神経さがあるといえる。対照群はむしろ性格的に問題が多かったが, これはわれわれの外来での印象とよく一致していた。例数は少ないが原因不明の黒皮症患者の性格がやや特異的であった。
著者
夏秋 優 山下 紀子 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.160-164, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

成人アトピー性皮膚炎患者において抗核抗体の検査を行ったところ, 36名中20名が陽性 (40倍以上) であり, そのうち80倍以上を示したのは6名であった. 血清IgE (RIST) 値との関連をみると, 抗核抗体陽性者は総IgE値が高い傾向にあったが, 皮膚炎の発症時期や, 気道アトピーの既往・合併の有無と抗核抗体との間には明らかな相関は認められなかった. また, 顔面における皮疹の程度と抗核抗体価との間にも関連性はみられなかった.アトピー性皮膚炎患者における抗核抗体の出現の意義については不明であるが, 橋本病を合併してきた患者を自験しており, 注意深く経過を観察する必要があるものと思われた.
著者
田中 隆義 水野 雅子 早川 律子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.351-355, 1980

尋常性乾癬の患者でODTに際しラップ皮膚炎を生じた症例を経験した. この患者に数種類のラップ, 添加剤のパッチテストを施行し原因を追求した. 結果はポリ塩化ビニリデンが原料であるサランラップ, クレラップ (++) であった. 添加剤では, 現在使われていると推測される5種類の添加剤をそのまま貼布したところ, ATBC (++), DBS (++) であった. さらに名古屋大学附属病院分院化粧品外来患者に同様のパッチテストを施行したところ, ラップ, 添加剤とも (++) 以上の陽性反応を示した者はなかった.
著者
請井 智香子 上田 宏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.588-592, 1982

散瞳剤を点眼毎に, 軽度の結膜炎, 眼囲の腫脹, 紅斑, 掻痒感が出現する患者を経験し, パッチテストを実施した。その結果, 塩酸フェニレフリンによるアレルギー性接触皮膚炎であることが判明した。光線過敏はみられなかった。交作感作物質の検索は, 7種の構造類似物質のパッチテストを実施したが, 陽性反応はみられなかった。<BR>本症例において重要な事項は, 塩酸フェニクフリンの代わりに, エピネフリン, アトロピン, サイクロペントレートが安全に使用できることである。
著者
細井 洋子 岡田 正博 濱田 稔夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.692-696, 1985

42歳, 女性。合板会社で研磨作業に従事して2週後より, 顔面, 頸部, 前腕に蚤痒を伴う多型紅斑様皮疹を生じ, 漸次, 躯幹, 下肢にも拡大し, 水疱形成も認められた。コルチコイド内服にて皮疹消退後, 標準アレルゲンの職業シリーズおよび接触した木材によるパッチテストを施行し, パープルローズのみに強陽性を示した。パープルローズはボリビアより輸入され, ローズウッドの代用品として使用されており, Machaerium属木材と考えられた。従って, この症例は, パープルローズによるアレルギー性接触皮膚炎と診断され, 感作源はR-3, 4-dimethoxydarbergioneとそのquinolと推測された。
著者
中村 正 佐藤 広隆 芋川 玄爾 宮地 良樹
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.264-269, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

アトピックドライスキンに対するスキンケア剤使用の有用性を検討するために, 洗浄剤, クリーム及び入浴剤を用いて使用試験を行った. その結果, 角質層セラミド量の増加による皮膚バリア機能の回復が認められた. また, 試験前後の肌状態を観察した結果, ほとんどの症例において乾燥の改善が見られるなど多くの被験者で肌状態の改善が認められ, 高い有用性を示すことがわかった. また, 本試験品に起因する副作用は認められなかった.以上より, 本スキンケア剤は, 日常のスキンケアにおいてアトピックドライスキンの皮膚機能を回復し, 症状の緩和及び悪化防止に有用であることが明らかとなった.
著者
山中 正義 石川 治 高橋 昭彦 佐藤 広隆 芋川 玄爾
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4-5, pp.278-285, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15

1998年10月から2000年3月にかけて群馬大学医学部附属病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者17例に対して, 「キュレル (R) 薬用クリーム」の臨床試験を実施した。本試験剤はセラミド類似の合成脂質とユーカリエキスを配合したことを特徴とするスキンケアクリーム (医薬部外品) である。6週間の使用試験において, 17例全例において有用性を認めた。また試験剤使用部位の角層内水分量, 経皮水分蒸散量を測定したところ, 試験前と6週間使用後の平均値の差がそれぞれ13.23μS, -7.61g/m2/hr改善されており, 対照剤として用いた20%尿素軟膏との比較でも有意に改善されていた。これらの結果から, 試験剤である「キュレル (R) 薬用クリーム」は皮膚保湿性と皮膚バリア能の改善に優れ, アトピー性皮膚炎患者の無疹部に対するスキンケア剤として有用であると考えた。
著者
加藤 順子 須貝 哲郎 庄司 昭伸 中西 健史 桑野 敦子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.115-124, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2

1982から91年までの当科におけるラノリンパッチテストの結果をまとめた。平均陽性率は単純ラノリンが0.6%, 還元ラノリンが1.7%, ウールアルコールが2.0%で, 1974から1976年と比較して前2者が減少していた。ウールアルコールの陽性者は, 20から50歳台に分布し, 男性に多いか男女同じだった。還元ラノリンとウールアルコールは過半数が単独陽性だった。ラノリン皮膚炎の原因物質は22.4%が医薬外用剤で大多数は不明である。基礎疾患にアトピー性皮膚炎26.8%と下腿潰瘍9.4%がある。ラノリン陽性者のうち80.5%が多感作例でそのうち41.6%が香料アレルゲンに陽性であった。アセチル化ラノリンとイソプロピルラノリンの陽性は11.3%と7.9%で, 刺激反応も考えられた。
著者
西村 誠 石原 勝 伊藤 正俊 細野 久美子 関東 裕美
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.844-849, 1985

6年間に5例のベルロック皮膚炎を経験した。原因製品はいずれもフランス製で香水1, オーデコロン2, オードトワレ2例であった。経過を観察しえた3例の場合, 色素斑は約半年後には消退した。製品の光毒反応を患者あるいは毛ルモットで立証した。製品中の光毒物質を高速液体クロマトグラフィーで定量した。