著者
西岡 和恵 久本 和夫 山田 健一 麻上 千鳥
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.758-761, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

難治性の慢性蕁麻疹および皮膚掻痒症に対し, H1受容体拮抗剤としてヒドロキシジンを, H2受容体拮抗剤としてファモチジンとを用いその併用効果を検討した。その結果, 慢性蕁麻疹の7例中6例, 皮膚掻痒症の4例中2例において, ヒドロキシジン単独投与にくらベファモチジンを併用した方が有用と認められ, 今後試みられるべき優れた治療法と思われた。
著者
手塚 正 方 甘棠 山村 達郎 正木 仁 左近 健一 鈴木 一成
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.153-156, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

我々がすでに開発した簡易経表皮水分蒸散計Noevir-Evaを用いて種々の皮膚疾患の経表皮水分蒸散量 (TEWL) を15-18℃ で測定した。老人性乾皮症ではTEWL値は対照老人の2.4倍, 乾癬及びアトピー性皮膚炎皮疹部のTEWL値はそれぞれ正常対照の12.9倍, 11倍を示した。また, 乾癬無疹部のTEWL値は正常対照のそれよりむしろ低値であったが, 対照的にアトピー性皮膚炎無疹部皮膚のTEWL値は正常対照の1.5倍を示した。ケロイド皮膚ではTEWL値は正常人の約4倍を示した。
著者
欠田 良児
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.190-199, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
29

疣贅状表皮発育異常症 (EV) 患者12例についてウイルス学的検索を行い, 臨床像と合わせて検討した。これらの患者では, 両親の血族結婚や家族内発生の率が高く, EV発症に遺伝的素因が関与していることを示唆している。また細胞性免疫の異常が高頻度に見られたので, 遺伝的欠陥は細胞性免疫に関係していることが推測される。皮疹は大きくわけて紅斑, 扁平疣贅様, 癒風様の3つであった。紅斑は比較的若い患者 (平均年令24才) だけに見られたのに対し癒風様皮疹がみられた患者の平均年令は41才であった。これらの皮疹からhuman papillomavirus (HPV) 5, 12, 14, 17, 20, 21, 38型を分離した。このうちHPV14および38型はEV患者からはじめて分離したHPVである。外国でよく分離されるHPV8型は認められず, HPV5型の検出率も低率であった。6例 (50%) が皮膚癌を併発しており, これら6例の患者の良性皮疹はすべて癜風様であり, そこからHPV5, 17, または20のうち少なくとも1種類を分離した。HPV17および20型については癌組織中に存在することも証明した。このことは, これらのHPVは癌化と密接に関係していることを示唆している。
著者
水越 直子 佐藤 健二
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.1166-1171, 1985

大阪大学医学部附属病院皮膚科外来初診患者台帳と外来カルテをもとに, ステロイド皮膚炎とステロイド座瘡について昭和55年から59年まで経時的に調べた。両疾患の合計患者数は順に30, 26, 31, 30, 45人であり, 近年両疾患が減少しているとは言えず, 逆に, 昭和59年ではその前4年間の約1.5倍であった。原因薬剤として, 最近新たに発売された外用剤による発症の比率が増加傾向にあった。これらのことは副腎皮質ステロイドホルモン含有外用剤による副作用を減少させる対策を立てる必要のあることを示唆しており我々は一つの提案を行った。対照として調べた尋常性座瘡の有病年令は50才代に及んでいた。
著者
佐藤 健二 田口 博康 吉川 邦彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.172-176, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

色素性乾皮症 (XP) 患者が外出する場合厳密な紫外線遮断が必要である。これまでその目的の為に試作した服は, 紫外線遮断は充分であるが少し暑いと言う欠点があった。最近セラミックス練り込みポリマーを使用したポリエステル繊維 (パコニア®) が発売された。その中の製品番号62011は, 可視域については最大0.26%, 紫外域については最大0.36%の低い透過率を有していた。可視光線に対する62011の反射率は高くまた軽いため, あまり暑さを感じさせない着心地の良い服地であることが30余名のXP患者の試着により分かった。本服地は、色素性乾皮症患者だけでなく他の光線過敏症患者も利用し得る夏用服地であることがわかった。
著者
磯ノ上 正明 硲野 哲 東 禹彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.530-534, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

マムシの生食により発症した顎口虫症の1例を報告した。患者は39歳, 男性で生食2週後発熱, 腹痛ついで蕁麻疹様紅斑が腹部に出現した。臨床検査上, 著明な好酸球増多を認めオクタロニー法にて患者血清中に顎口虫抗体が証明された。切除標本で虫体を確認した。顎口虫抗原による皮内反応では遅延型陽性反応を示した。
著者
児島 孝行
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.967-970, 1983 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

33才女性のフルオシノニドクリームによる接触皮膚炎の1例を報告した。原因物質は基剤成分中のステアリルアルコールと考えられたが, 夾雑物の関与もなお否定しきれなかった。フルオシノニド外用剤の接触皮膚炎について, 若干の文献的考察を行った。
著者
藤浪 得二 相模 成一郎 外山 孟生 阪口 啓一 山本 三郎 山崎 果 畑中 茂 山本 義彦 秋本 祐三
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3-4, pp.193-204, 1962 (Released:2010-08-25)

The skin irritating effect of various compounds was examined and the following results were obtained.1) Alcohols and esters are, in general, non-irritating effect. Acids, lactones and phenolshave a slight irritating effect. Aldehydes are strongly irritating and halogen compounds have also a strong irritating action.2) The greater the degree of unsaturation, the stronger is the irritating effect. Double bond compounds, especially, have a strong irritating action.3) Ketones are slightly irritating but those which are readily enolized have a strong irritating action.4) The irritability of aromatic aldehydes differs according to the type and position of the substituting radical.5) Water soluble but fat insoluble and water insoluble compounds are non-irritating. Skin irritants have the property of being both water and fat soluble in a certain ratio.
著者
長野 拓三 渡辺 加代子 須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.544-547, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

手の湿疹様病変を主訴として来院した患者3人に, 生のエビの接触により蕁麻疹反応が生じることを確認した。その3人の内, 2人は生のエビの甲殻に接触することにより蕁麻疹反応が生じたが, 残りの1人は生のエビのすり身に反応を示した。鳥居製アレルゲン・エッキス・エビの皮内テストでは陰性であったが, 生のエビの抽出液による皮内テストでは陽性反応を示し, 1例のみにRAST法で生のエビの甲殻に対するレアギンが存在することを確認した。
著者
高橋 邦明
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-23, 1997 (Released:2010-08-25)
参考文献数
126

皮膚疾患に対する漢方治療法の総論として, 著者が山本巌博士より直接ご指導賜り, 日常診療において実践している実証主義的な体系を紹介した。これに先立って, 漢方医学理論の全般的な理解が必要なため, 漢方医学の中でとりわけ理論体系が確立されている中医学を取り上げて, 基礎理論と弁証論治の概略を述べることにした。漢方医学では, 西洋医学が分析的に疾患を解明しようとするのに対して, 全体の均衡を基本として考える特徴がある。皮膚疾患においても, 皮疹という局所所見を全身所見の背景の中で捉えることが重要であり, 西洋医学とうまく組み合わせることによって, さらに治療の幅を広げることができるものと期待される。
著者
北 史男 金田 宣 渡辺 靖
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.548-562, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21

Trichosaccaride配合の育毛剤 (PF) の評価において, 男性型脱毛症の患者15例および正常者5例の洗髪時の抜け毛数, 並びに, 太さを経時的に1年間測定し, 抜け毛の動態を観察した。その結果, 抜け毛の数については, 両者とも9月に増加しており, 季節変動が多少存在することが確認された。また, 抜け毛の太さについては, 正常者の方が明らかに被験者よりも太い抜毛の比率が高く, 0.01mm単位の太さで見た場合, そのピークにずれが認められた。さらに, 正常者と被験者の抜け毛の各々の太さの比率を比較したところ, 被験者では0.04~0.05mmの太さ比率が10.0~14.6%であるのに対し, 正常者では5.3~9.5%と5%前後少なく, この0.04~0.05mmの太さの抜け毛の変化 (減少を観察することが, 育毛剤の臨床評価の一つの指標となることを明らかにした。
著者
岩佐 真人 松村 雅示 東 禺彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.738-748, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
36

Stevens-Johnson症候群 (SJS) は, 多型浸出性紅斑の重症水疱形成型を総称し口腔粘膜, 外陰部, 眼粘膜を同時に侵す。SJSの原因として, 薬剤性と非薬剤性の2つに大きく分けられる。薬剤性の原因としては, 抗生物質, 抗精神薬をはじめいろいろな薬剤の報告が多く認められ, また, 非薬剤性の原因としては, ウイルス, 細菌, 真菌, 食物, 膠原病, 接触アレルギーなどが認められている。今回我々は, 感冒様症状に次いで眼症状もしくは, 口腔粘膜症状で初発し, 次いで皮膚に多型紅斑を生じた7症例を経験した。7症例中6例に被疑薬剤による内服試験を施行したが, 全て陰性だった。大多数の症例で, 寒冷凝集反応 (CHA) の上昇を認め, さらにMycoplasma抗体価の上昇も認められ, 肺炎マイコプラズマによるSJSと診断された。治療として, ステロイドの全身投与と, 主にマクロライド系の抗生物質を用いて全例治癒した。自験例7例の供覧とともに, SJSの発生機序につき文献的考察を加えた。
著者
大西 陽子 赤枝 民世 西嶋 摂子 朝田 康夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.261-266, 1986 (Released:2010-08-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

44才, 男子。ビスフェノールA型エポキシ樹脂と変性ポリアミド硬化剤に同時に感作された職業性接触皮膚炎の1例を報告した。貼布試験48時間後判定1%, 0.1%, 0.01% ビスフェノールA型エポキシ樹脂に陽性反応を認めた。さらに72時間後より1%, 0.1% 変性ポリアミドにも陽性反応が出現した。職場での配置転換により皮疹の再発はみていない。
著者
北村 弥 飯岡 昭子 森田 美智子 坂本 邦樹 桐山 保夫 伊藤 和男
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.726-731, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11

加齢とともに発生頻度が増加する老人性血管腫について統計的観察をおこない, 次の結論を得た。1. Ruby spotの最少発症年令は9歳であり, 加齢とともにその発症頻度は増加した。2. Venous lakeは30歳代より発生しはじめ, 加齢とともにその発症頻度は増加した。Venous lakeを有した54人中53人が下口唇に発症していた。本症と消化管性潰瘍や肝疾患との関連は明らかではなかった。3. Angiokeratoma scroti Fordyceは30歳代以上の者の16.8%に認められた。
著者
橋本 隆
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.10-24, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
78

近年, 多くの生化学的・分子生物学的研究から, 現在知られているほとんどの自己免疫性水疱症の抗原物質がデスモソームないしヘミデスモソームに局在していることが明らかとなった。他方, 最近, 次々と, 特徴的な臨床症状・免疫学的所見を示す新しい自己免疫性水疱症の病型が提唱さてきており, これらの疾患の診断にもその抗原物質の同定が必須になっている。Paraneoplastic pemphigus, intercellu lar IgA vesiculopustular dermatosis, 抗エピリグリン瘢痕性類天疱瘡など, 最近明らかとなった新しい自己免疫性水疱症を紹介し, それぞれの疾患の位置付けおよび想定される病因について解説したい。
著者
西井 貴美子 須貝 哲郎 赤井 育子 田水 智子 吉田 慶子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.143-147, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

33歳, 女性。約3週間前に化粧品を変更し, 2日目頃から顔面に療痒性皮疹を認めたため来院した。初診時, 顔面に一部落屑を伴う療痒性紅斑を認めた。パッチテストで使用していたフェイスパウダーとパフに陽性, 成分パッチテストでオクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム, ムクロジエキスに陽性であった。ムクロジは果皮, 花に薬用部分のある植物である。近年, 無添加, 植物成分配合というキャッチフレーズの製品を多く見かけるが, 漢方薬, 食品に含まれている植物も多く注意が必要である。
著者
笹井 収 大越 賢一郎 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.460-463, 2000

敏感肌用化粧品として開発されたスキンケア製品3種について, その安全性を確認するために, 乾皮症患者, 接触皮膚炎の既往をもつ者, アトピ-性皮膚炎患者, 光線過敏症患者の計67例を対象としたパッチテストを施行した。<BR>試験試料は, 美白美容液 (ノブホワイトニングエッセンスN), 保湿美容液 (ノブモイスチュアコンセントレイトN), 保湿パック (ノブモイスチュアパックN) の計3製品で, すべてasisにて, また対照として白色ワセリンおよび蒸留水を用いた。本邦基準に基づいて判定し, 須貝らの方法によって皮膚刺激指数を算出した結果, それぞれ, 8.2, 8.2, 3.7, 0.7, 2.2という値であり, 化粧品として本試験試料の安全性が確認された。