著者
松本 哲哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3516-3521, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10

肺炎の起炎菌の診断は従来から培養が標準的な方法であったが,より迅速に結果を得る方法として尿中抗原検出が利用されている.現在,肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検出が実用化されており,いずれも重症肺炎の原因となり得ることから,早期の鑑別が重要である.市販のキットは採取しやすい尿を検体とし,操作も簡便で,外来やベッドサイドでの検査が可能であるが,その特徴を把握して適確に診断に使用することが望まれる.
著者
三沢 大介 大島 慶太 渡邊 真 浅井 幹一 井野 晶夫 上田 真努香
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.1393-1395, 2005-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

2年3カ月間に経験した横紋筋融解症11例について検討した. 7例が冬期に発症し, 65歳以上の高齢者が7例を占めた.症状は意識障害,食欲低下など非定型的なものが多く,筋痛,筋力低下を訴える例は少なかった.原因および誘因は長時間の体動不能による筋圧迫5例, A型インフルエンザ1例,感染性腸炎1例,熱中症1例,悪性症候群1例,テオフィリン製剤の多量内服1例などが推測された.合併症として腎不全,血管障害,肺炎が多く見られた.当内科入院患者における横紋筋融解症(以下RM)の臨床的特徴について検討した.
著者
宮崎 美津代 増田 健二郎 佐藤 幸一 藤野 修 長田 淳一 岡 耕一 川井 尚臣 三ツ井 貴夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.624-626, 1995-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

症例は55歳,男性.中腰で天井の内装を1日中続けた後,腰部から大腿部に強い筋痛が出現した.尿は暗褐色に着色し,血清CK活性値が46000IU/l,血清Mb値が32000ng/mlと高値を示したため,着色尿は横紋筋融解によるミオグロビン尿と考えられた.腎障害はなく,発症後1週間で改善した.本例の筋障害は長時間の同一肢位保持による筋の等尺性負荷によると考えられ,静的な運動負荷でも横紋筋融解をきたす強い筋障害をおこすことがある.
著者
吉井 由美 松村 弥生 朴 将源 上辻 由里 安田 考志 川瀬 義夫 松本 雅則 藤村 吉博 魚嶋 伸彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.147-149, 2013-01-10
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は36歳,女性.リツキシマブ投与にて寛解に至った標準療法抵抗性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例を経験した.血漿交換開始後に抗ADAMTS13抗体およびLDの再上昇を認めた時点で難治性と判断し,リツキシマブを投与した.その結果,第30病日に血漿交換を離脱でき,約18カ月にわたり寛解を維持している.標準療法抵抗性TTPにおいて血漿交換開始後の抗ADAMTS13抗体価およびLDの上昇が難治性の判断に有用であると考えられた.<br>

1 0 0 0 OA 演者略歴一覧

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.Suppl, pp.133a-144a, 2016-02-20 (Released:2017-02-20)
著者
相馬 一亥
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.840-845, 1992-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

気管支喘息の重積発作の死亡率は0~38%と決して低いものではない.臨床症状,理学所見から重症度を的確に判断し,検査として動脈血ガス分析は不可欠である.重積発作の症例は集中治療室,あるいはそれに準じる管理ができる体制が必要である.治療の目標は喘息死の予防,患者の臨床症状を改善し,可及的速やかに肺機能を改善し,そして改善された状態を維持して,再燃を防止することである.そのための的確な気管支拡張薬投与と,人工呼吸管理を中心に述べた.
著者
金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1695-1700, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
20

1 0 0 0 OA 一般演題 要旨

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.Suppl, pp.149a-272a, 2018-02-20 (Released:2019-02-20)
著者
守 一雄 鈴木 糺 井上 幸愛 箙 光 玉田 得三郎 築山 久一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1504-1510, 1967-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
9

脳卒中をはじめとして,中枢神経系障害の際消化管出血のみられることはしばしばあり,すでに19世紀前半、Rokitanskyらによりこのことはみとめられ,その後臨床的に,実験的に多くの報告があり,その原因についても諸説がある.一つには間脳・下垂体系を中心とする中枢神経刺激による消化管(とくに上部消化管)の潰瘍発生が出血の原因であり,また最近では卒中発作後の線溶系の変動,血中のplasmin活性の上昇に原因をもとめ,他方では卒中発作後一時的ではあるが,血液凝固能の亢進により消化管壁血管の血栓形成などの乏血による潰瘍発生が,その原因に考えられている.われわれは最近,当内科に入院加療した消化管出血を伴なつた脳出血5例(うちクモ膜下出血合併2例)を経験したので,文献考察をあわせここに報告する.
著者
長谷 弘記
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.850-856, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

コレステロール塞栓症を原因とする慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は増加傾向にある.その原因は血管内インターベンション治療の増加にある.動脈硬化性プラークは腹部大動脈を中心とする大動脈に好発するため,カテーテルなどが大動脈壁を擦過する際にプラークの破裂を誘発する.手技操作直後に発症する急性腎障害(acute kidney injury:AKI)以外,手技操作から数カ月~数年にわたって虚血性腎障害が進行するCKDの病態をとる頻度が増加傾向にある.
著者
橋本 尚子 近藤 文雄 徳永 尚登 岸田 雅之 大塚 文男 大石 徹也 山崎 康司 橋本 洋夫 吉永 泰彦 槇野 博史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.320-322, 2001-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

症例は63歳,男性.約20年前に副甲状腺機能低下症と診断されたが以後十分な加療は受けていなかった.約3年前より歩行時のふらつき,すくみ足,手足のしびれ感などの神経症状が出現したため当科へ入院となった.血液検査にて低カルシウム血症と高リン血症を認め,頭部CT検査にて大脳基底核,小脳歯状核に石灰化を認めた.著明な頭蓋内石灰化にもかかわらず活性型ビタミンD3の投与により血中カルシウム濃度が正常化するに従い,多彩な神経症状は改善した.
著者
鈴木 圭輔 宮本 雅之 平田 幸一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1885-1895, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
23
被引用文献数
4 5

高齢者では加齢に伴う変化として,若年者と比べて睡眠相が前進する.睡眠構築では深睡眠が減少し,浅い睡眠となり,その結果中途覚醒,早朝覚醒は増加する.また高齢者では様々な原因で不眠を起こす場合があり,生活の質を低下させる要因となる.そのため,まず治療可能な身体疾患や薬物の関与,原発性睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群,レストレスレッグス症候群,レム睡眠行動異常症)の合併の評価を行うことが重要である.
著者
四ノ宮 成祥
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.3103-3113, 2012-11-10

バイオテロは決して頻度の高い事象ではないが,一旦起きると社会への衝撃は計り知れない.我々は,過去にオウム真理教のバイオテロ未遂事件やアメリカ炭疽菌郵送事件のような事例を経験したことを忘れずに,適切な対策を講ずる必要がある.また,過去に生物兵器として開発された生物剤がテロに用いられることのないよう注視するだけでなく,今後は遺伝子組換え技術を利用した新たなタイプの生物剤を用いたテロが起きないよう防止することも大切である.<br>

1 0 0 0 OA 1.TNF阻害薬

著者
天野 宏一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.2966-2971, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

RAの病態(炎症性病変形成,骨破壊)にTNFは重要な役割を演じている.現在TNF阻害薬として,インフリキシマブ,エタネルセプト,アダリムマブ,ゴリムマブおよびセルトリズマブの5剤が開発され,いずれも大規模試験でRAに対する臨床効果と骨破壊抑制効果のエビデンスが確立されている.さらにこれら薬剤中止後も寛解を維持できる可能性が指摘されており,RAの治癒に向けた最有力治療戦略として期待される.
著者
水野 泰孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2741-2747, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
11

感染症制御に向けた成人のワクチンとして,肺炎球菌ワクチン,麻疹・風疹ワクチン,破傷風トキソイドなどのほか,輸入感染症の予防としてトラベラーズワクチンが挙げられる.成人ではワクチン接種をする機会が得られにくいため,定期接種に組み入れるなど法的な整備も必要である.
著者
宮崎 泰司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3346-3353, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
11

MDSは造血幹細胞を由来とする造血器腫瘍であり,無効造血と白血病化を特徴とする.診断はなお形態学的な判断に依っている.約半数に染色体異常があることから遺伝子異常が疾患の本体と考えられていたが最近になって多数の遺伝子異常が同定されるようになった.今後の分子レベルでの病態解明が期待されている.MDSに対しては一般的な化学療法によっては治癒を得ることが困難であったが,最近になって新たな治療薬であるレナリドミド,アザシチジンが本邦でも使用できるようになった.特にアザシチジンは高リスク例に対して予後を延長しうることが示された初めての薬剤である.MDSに対しては症例毎の予後を的確に予測し,支持療法から同種造血幹細胞移植まで含めて総合的な治療戦略が必要である.