著者
赤塚 若久 大口 敬 大島 大輔 洪 性俊 花房 比佐友
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.211-214, 2014

電気自動車(EV)の普及率上昇には様々な課題が存在する.EVはエネルギー問題や環境問題解決に大きな役割を果たすと考えられているが,その実用に当たっては克服すべき課題として,EVの航続距離の短さに起因する,頻繁な充電行動の必要性が挙げられる.また,長い充電時間も大きな課題である.本研究は交通シミュレーションによりEVの充電行動を分析することを目的とする.交通シミュレーションにおいてEVの電池残量を考慮するため,既存のOD交通量より推定したトリップチェインに対応できるように交通シミュレーションモデルを改良する.さらに,東京都の環状8号線内側を対象地域とし,ケーススタディを行う.
著者
平岡 敏洋 霜野 慧亮 須田 義大 小野 晋太郎 内村 孝彦 梅田 学
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.93-99, 2021

<p>自動運転はシェアリングサービスとの相性が良いとされてきたが,新型コロナウイルス感染症の流行を経験した社会では,利用者の心理的な抵抗が増えることが予想される.また,感染症対策として,密閉・密集・密接を避けるように行動変容することが求められた結果,人の移動量は減少し, BtoC の物流は大幅に増加した.本発表では,このようなポスト感染症時代において,自動運転技術が必要かつ有効であると思われる場面について検討するだけでなく,今後どのような新しい技術が期待されるのかなどの自動運転技術の将来展望について論じる.</p>
著者
岡島 弘明 合原 一幸
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.265-269, 2016-05-01 (Released:2016-05-30)
参考文献数
10

様々な数式によって自然現象は表される.中でも偏微分方程式は,複雑な現象を記述することで知られている.未知な現象を解明するためには,このような数学を用いた数理モデルによる解析が重要である.前立腺がんは未知な部分が多く,様々な治療が提案されているが,万人に有効な療法はまだ確立されていない.本稿では,前立腺がんについての数理的な手法を用いた研究のうち,特に偏微分方程式を用いた数理モデルについて紹介する.
著者
森田 敦郎 小森 大輔 川崎 昭如
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.491-496, 2013-07-01 (Released:2013-12-24)
参考文献数
13

本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
著者
竹内 知哉
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.157-164, 2018

<p>本研究解説では,非平滑凸最適化問題に対する proximal method of multiplier の基礎理論を考察する.この方法は,近接項およびFortin により導入された拡張ラグランジュ関数の和を目的関数とする部分問題の族を解くことで,最 適化問題の解に収束する近似列を生成する.生成した近似解の列が,( 通常の意味での) ラグランジュ関数の鞍点に収束することを示す.続いて部分問題に対する非平滑ニュートン法について考察する.Nonsmooth analysis の理論を用いて,ニュートン法が解の一つに大域的に収束することを示す.</p>
著者
松森 唯益
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.169-172, 2019-03-01 (Released:2019-03-30)
参考文献数
21

力学系の急激な変化の予兆を捉える指標はearly-warning signals(EWS)と呼ばれる.EWS は力学系の分岐理論に基づいて理論的に導かれる.本解説では,EWS と力学系の分岐の関係を通じてEWS の概念を紹介する.また,多変量の力学系で利用される共分散に基づくEWS の理論的背景について説明する.最後に,EWS 研究の展望について述べる.
著者
石川 栄耀
出版者
誠文堂新光社
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.10, pp.22-25, 1950-10

application/pdf
著者
金 池潤 金 栽滸 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.829-835, 2019

<p>本研究は,韓国史上最大の被害規模を記録した浦項地震における応急仮設住宅の供給について振り返り,日本と韓国での事例を比較して,今後の改善の方向性を模索することを目的としている.浦項地震における応急仮設住宅の特徴は,被災者の所有地で設置する自己敷地仮設住宅・仮設店舗併用住宅・一戸当たり屋外空間の一定規模が確保できる団地型仮設住宅・団地内管理事務所の設置などがある.日本と韓国における応急仮設住宅の事例を供給思想・供給類型・提供までの期間,建設コストなどの観点から比較分析を行った.</p>
著者
何 永森 森西 洋平 小林 敏雄
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.p39-42, 1988-01

特集 乱流の数値シミュレーション(NST) その4
著者
井原 毅 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.367-370, 2010-07-01 (Released:2010-11-25)
参考文献数
3

近年,大きな地震により列車の脱線,高架橋の損壊,軌道変状,盛土の崩壊などの被害が報告されている.幸い鉄道利用者に被害は出ていないが,ダイヤが混み合う時間帯に大地震が発生した場合,鉄道利用者に甚大な被害が出る可能性がある.本研究では,通勤ラッシュ時に走行する列車に衝撃が加わった状況を想定し,楕円形個別要素法による群衆行動解析モデルを用いて満員電車内の乗客の挙動を追跡し,人体に作用する力を考察した.解析の結果,車両が傾くことで乗客に大きな被害が出る可能性があることが示された.また,つり革を増設することで車両の傾きが20度の場合には乗客に作用する力を軽減できることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
呉 元錫 大岡 龍三 李 時桓
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.47-49, 2021-01-01 (Released:2021-02-13)
参考文献数
8

人の咳,くしゃみ,会話等の行為により空気中に噴出される飛沫や飛沫核には,ウイルスが含まれており呼吸器感染症の主な感染原因となる.空気感染の直接的な感染経路を明確にすることは難しいが,数値解析を用いると飛沫や飛沫核の飛散特性を解析することで空気感染の予測や感染リスクを把握することができる.本研究では,数値解析的手法に基づいて飛沫・飛沫核の飛散特性を解析し,室内における空気感染のリスクを低減させるための換気効果を検討した.
著者
沢井 善三郎 横田 和丸 川瀬 太郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.382-391, 1963-09

客車の暖房裝置を車内の温度に応じて自動的に開閉し,常に快適な車室温度を維持する自動制御裝置.カスケード制御方式を採用し,主ループ(マスタ)の検出端は車室温度を,副ループ(サブマスタ)の検出端は熱源付近の温度を検出する.回路はシリコン・トランジスタ6石と最小限の部品で構成し,車両に既設の電源を使う.車内積載を考えて小型軽量,しかも堅牢で安価なことを目標にした.問題は熱源付近の温度の脈動を最小にとどめ,同時に外気温度の変動に対する室温のオフセットを少なくすることで,これはマスタ,サブマスタの感温抵抗によって調節できる.実験箱と車両による実験から,この抵抗比を決定した.
著者
岡村 健太郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.315-317, 2017-11-01 (Released:2017-11-30)
参考文献数
5

災害復興は,それが発生した社会に強く規定される現象である.それゆえ,古今東西の災害復興を通時的・共時的に比較分析することで,その災害が発生した社会や時代の特性をあぶり出すことが可能であると考える.そこで本稿では,現在筆者が進める「災害復興史」の構築に向けた研究の進捗状況を報告する.具体的には,筆者がこれまで進めてきた昭和三陸津波後の復興を中心とした三陸沿岸地域における津波災害後の復興に関する研究を題材とし,日本における「近代復興」の特質を紹介するとともに,そこから日本および世界の災害復興史構築に向けた構想を素描する.