著者
沼田 宗純 近藤 伸也 井上 雅志 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.755-763, 2011

本研究では, 広域的災害に対し, 地域防災計画の記述の統一化が広域的応援を円滑かつ効果的に実施に繋がるのではないかとの立場に立ち, 自治体間での地域防災計画の記述の違いについて考察し, 実効性の高い広域連携体制のあり方の方向性を示そうとするものである.そのために, 1995年兵庫県南部地震と2004年新潟県中越地震における支援の実態について既往の研究を参考に, 広域的支援の有り方を検討する際のフレームワークを整理し, 広域的支援における災害対応業務について考察し, 自治体間の地域防災計画を比較することで, その記述の違いについて考察している.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
井上 雅志 福岡 淳也 大西 修平 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.283-288, 2018

<p>地域防災計画の多くは,記載事項が膨大なため,有事の際,職員が災害対応に必要な情報を即座に探し出すことが困難であり,過去の災害においても有効に活用されていないことが多い.本研究では,地域防災計画の記述を可視化すべく,「災害対応フロー図」を作成し災害対応業務を体系的に整理すると共に,熊本県の地域防災計画を標準化した.加えて,これを効率的に運用するために,業務実施上の参考情報をまとめた詳細シートデータベースを構築した.また,作成された災害対応業務フロー図について,部署間の連携関係をネットワークの形で可視化することで,業務における担当部署と,部署間の関係を一目で確認できることを示した.</p>
著者
山出 吉伸 加藤 千幸 山田 和豊 大西 順也 今野 彰
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.43-48, 2018-01-01 (Released:2018-01-30)
参考文献数
18

乱流の高精度予測および自動メッシュ作成を特長とする格子ボルツマン法(Lattice Boltzmann Method,LBM)ベースの流体解析システムFrontFlowX(FFX)を開発している.FFX のプロトタイプに対し,計算精度,計算性能およびメッシュ作成機能に関するベンチマークテストを実施した.計算精度に関しては,Cavity 流れおよび一様等方性乱流に関するベンチマークテストを実施した.計算性能に関しては京のほぼフルノードを用いた2.2 兆グリッド規模のメッシュを用いたweak-scale ベンチマークテストを実施した.最後に,複雑形状に対するメッシュ作成ソフトの性能を評価するためイルカモデルまわり流れを500 億グリッド規模のメッシュデータで解析した.
著者
坂井 康一 和田 健太郎 小野 晋太郎 貝塚 勉 杉町 敏之 平沢 隆之 大口 敬 須田 義大 中野 公彦 大石 岳史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.57-62, 2018-03-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
3

高速道路ネットワークの整備が進む中,道路を賢く使うには,ITS 技術を活用した運用施策の実施が求められている.一方で,実施例のない施策の場合,ドライビングシミュレータ等の仮想実験環境を用いて,施策の効果・安全性等の事前評価を行う必要がある.本研究では,高速道路ネットワーク機能を最大限利用するための運用施策の事前評価のため,道路運用施策,評価すべき項目,仮想実験環境に必要な機能・性能,要素技術・理論モデルについて検討を行った.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.473-479, 2013

本研究では,2011年台風12号豪雨水害で被災した十津川村を事例として,地方自治体のインタビュー調査から地域での情報伝達の現状と課題を明らかにした.そして被災者を支援する活動を行った十津川村出身者によるツイッターアカウントを対象として,情報発信経路と情報種別の観点からツイッターデータを分析し,情報発信の主体ごとの拡散性の高い情報種別の特定や,時間推移ごとの災害情報の拡散性について定量化するとともに,他の通信手段と比較したソーシャルメディアの効果的利用方法の可能性を検討した.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.545-552, 2012

災害時の行政機関のソーシャルメディアによる情報発信について,その重要性が調査等で明らかにされているが,その効果的な運用方法や運用の課題が明らかにされていない.そこで本研究では,東日本大震災もしくは紀伊半島水害時にソーシャルメディア上で情報伝播の要として活躍した4つの組織・個人のアカウント運用者に対してヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア運用の特徴や課題を整理した.そして災害時の行政機関アカウントの運用指針の提案,そして課題に対して調査から明らかになった知見を踏まえた解決策の提案を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
佐瀬 巧 北城 圭一 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.325-328, 2013-05-01 (Released:2013-09-06)
参考文献数
8

脳波におけるフラクタル解析がどのような特徴を捉えるのかは,いまだ明らかではない.本研究では,脳波をフラクタルの視点から詳細に解析することにより,フラクタル構造の特徴をより詳しく理解することを目的とする.脳波を各周波数帯域に分解し,どの要素がフラクタル構造の基軸となっているのかを解析した結果,ガンマ波がフラクタル構造の根幹をなす主要な情報であることが示された.更に,この結果により,ガンマ波だけでフラクタル構造を再現できる時間帯とそうではない時間帯とに選り分けることが可能になったので,他の帯域がガンマ波に混ざったりガンマ波から分離したりする脳波モデルを提案することが可能となる.
著者
川口 健一 石川 浩一郎 谷口 与史也 荻 芳郎 大場 康史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.653-659, 2015-11-01 (Released:2015-11-30)
参考文献数
5

死者6000 人以上を出した1995 年の兵庫県南部地震では,大規模施設において非構造部材の重大な被害が発生した.筆者等は,これらの被害が早朝の地震ではなく昼間に発生した場合の大きな危険性を指摘し,また,避難所としての機能が損なわれる点等を指摘し続けてきた.それらの活動の一環として,震災直後の調査を行った35 の大規模施設を対象として震災14 年目に再び実地調査を行い,改修,復旧,利用状況を調査した.本報告では,この調査の概要と,3 つの調査対象施設を例として示し,それぞれの調査結果について報告する.
著者
沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.401-405, 2013

本稿では,福島県矢吹町の防災体制の再構築を目的に,その初めの取り組みとして,東日本大震災における課題を整理するものである.東日本大震災の災害対応の課題を踏まえ,以下が論点となった.(1)見直し範囲は,地域防災計画,災害対策初動マニュアル,避難所マニュアルとして各種マニュアルの一元化を行う.また,(2)見直しの視点は,震災発生時の初動体制の抜本的見直し,災害対策本部体制の抜本的見直し,必要物資の確保,必要資機材の確保(インフラ応急対応等),必要施設設備の確保(給水施設,情報伝達手段,停電時対応設備等),避難所の見直し(耐震化・充実化,設営数,基準,ルールづくり等)等である.
著者
中川 拓麻 奥 牧人 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.271-274, 2016-05-01 (Released:2016-05-30)
参考文献数
8

近年,力学系理論を用いて複雑システムの急激な転移の予兆を事前に検出する動的ネットワークマーカー(Dynamical Network Marker: DNM)の手法が発展しつつある.本研究では,複雑ネットワーク構造を持つ数理モデルを構築してその有効性の解析を行った.これに際して,転移の予兆として従来考えられていた性質の一部は,現実的には多くの場合成立しないことを指摘し,手法の修正を行った.数値解析の結果,システムの性質に応じてDNM を適切に選ぶことで,幅広いシステムにおいて転移の予兆検出が可能であることが示唆された.
著者
伊藤 哲朗 奥村 徹 沼田 宗純
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.319-326, 2018-07-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
1

2015 年に発生したパリ同時多発テロにおいては,劇場やカフェ,レストランでのテロリストの銃撃により,多くの死傷者を出す事態となったが,フランス政府及び医療機関の迅速的確な危機管理対応および医療体制により,死傷者とりわけ死者の発生を最小限に食い止めることができた.また,フランスで開催されたEURO2016 サッカー大会においても危惧されたテロの発生を封圧した.2020 東京オリンピックを控えテロの脅威が高まる我が国においても,事件発生時の危機管理体制及び医療体制を考えることは極めて重要であり,フランスの事例及び教訓に学ぶ.
著者
永田 基樹 藤原 直哉 西川 功 田中 剛平 鈴木 秀幸 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.295-299, 2013-05-01 (Released:2013-09-06)
参考文献数
16

東日本大震災以降,電力の安定供給は重要な課題として注目を集めている.安定性の理解のためには数理モデルの解析が必要であるが,詳細なモデルは数理的な解析が容易ではないため,現象の本質を抽出した簡潔なモデルが必要である.本研究では,東日本の送電網の接続関係を用いて,周波数同期のダイナミクスを位相モデルによって記述した.本モデルにおいて,安定供給のためには同期した定常状態の実現が必要であるが,そのための結合強度の閾値を求めた.また,周波数同期に寄与している送電線を特定し,同期への寄与の大きさについて考察した.
著者
田村 浩人 河野 崇 合原 一幸
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.183-185, 2018-05-01 (Released:2018-05-30)
参考文献数
11

近年,深層ニューラルネットワーク(deep neural network, DNN) が機械学習分野で関心の中心にあり,一方でカオスニューロンモデル及びカオスニューラルネットワーク(chaotic neural network, ChNN) が計算論的神経科学や非線形科学において注目を集めている.しかし,深層のChNN に関する研究は未だない.このギャップを埋めるべく,本稿ではReLU(rectifier linear unit) カオスニューロンモデルを提案する.これはReLU を活性化関数として用いるDNN を,ChNN に拡張する際に必要となる.さらに,ReLU の単純さにも関わらず,単一のReLU カオスニューロンでも動的に変化する出力を生成できることを示す.
著者
桑野 玲子 ヘワゲ インディケティヤ サマンティ レヌカ
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.539-543, 2013

地盤からの土砂流出に伴い形成される地盤内空洞の周辺には,密度が低下したゆるみ部分を伴う.このゆるみの度合(密度低下)やその範囲は土の種類によって異なる.また,均等な砂では空洞部分を周辺から埋めるように体積膨張する結果,周辺部に間隙が生成しゆるみが発達するのに対して,細粒分混じり砂では細粒分が粗粒の間をすり抜けて流出し,ゆるみが発達する. 本研究では,均等な砂に生成するパターンの蜂の巣状のゆるみについて,その力学特性を定量的に評価する目的で,豊浦砂供試体内に人工的にゆるみ生成させを三軸試験を実施した.またゆる詰め供試体の三軸圧縮過程のX線CT画像からゆるみの進展範囲を把握し,ゆるみ部分の剛性を評価した.
著者
植村 恒義
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.271-278, 1961-09

ドラム式と回転反射鏡式の長所を組み合わせた新しい方式による超高速度カメラを考案設計し,モデル的カメラとして毎秒12万駒の撮影速度,連続200駒の性能を有するMLD-1型超高速度カメラおよび毎秒24万駒のMLD-2型カメラを完成し,現在毎秒100万駒以上の撮影速度の本格的カメラを製作中である.またフィルム・ドラムを軸方向に動かすことにより,連続1,000駒以上の撮影可能の新型カメラを計画中である.また超高速度流しカメラとして,掃引速度毎秒5,000m以上のSP-1型カメラを完成した.