著者
古川 哲史
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.24-28, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
3
著者
清水 祥子 加藤 孝和 飯田 みゆき 芦原 貴司
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.14-25, 2022-03-04 (Released:2022-03-17)
参考文献数
16

症例は83歳男性,高血圧症,脂肪肝で通院.初診時は53歳.30年間にわたる心電図経過の中で,5種類のQRS波形を呈した間欠性完全右脚ブロック,間欠性軸右方シフトを呈した.71歳時には洞調律で完全右脚ブロック型,QRS軸は+15°〔C15〕であったが,74歳時には洞調律で完全右脚ブロック型のまま,QRS軸が+60°と右方にシフトした〔C60〕.76歳時に心房細動が初発したが,〔C60〕は不変であった.78歳時,先行RR間隔が1.01秒以上では間欠性ながら〔C15〕に戻った.79歳時には,先行RR間隔が0.98秒以上では間欠性に不完全右脚ブロック型を呈したが,QRS軸は+60°〔I60〕のまま不変であった.80歳時には,〔C60〕,〔C15〕,不完全右脚ブロック型でQRS軸+15°〔I15〕の3種類のQRS波形を認め,83歳時には〔I60〕に加え,さらに先行RR 間隔が0.44~0.48秒と極端に短い状況では,QRS幅0.08秒でQRS軸+70°の過常期伝導と考えられる正常QRS波形〔N70〕を認めた.このように,QRS波形が右脚ブロック型のままでQRS幅とQRS軸のそれぞれが異なる臨界先行RR間隔で変化する現象は,右脚の伝導障害のみでは説明困難であり,ヒス束内縦解離によるtriple pathwayを想定することにより,はじめて説明可能と考えられた.
著者
勝木 桂子 相原 直彦 伊達 裕 武村 珠子 住田 善之 和田 光代 鎌倉 史郎 下村 克朗
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.291-300, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

心室内伝導障害例での持続型心室頻拍 (SVT) の発生予知に時間解析法による加算平均心電図 (SAEOG) が有用であるかを検討した.SAECGを施行した心室内伝導障害例70例を, 12誘導心電図から右脚ブロック型を示す36例 (RBBB群) と左脚ブロック型を示す34例 (LBBB群) に分類し, SVTの既往の有無 [SVT (+) 群, SVT (-) 群] でSAEOG各指標を検討した.RBBB群ではTQRSD, LAS40, RMS40の3指標とも, LBBB群ではRMS40のみでSVT (+) 群とSVT (-) 群との間に有意差が認められた.SVT (+) 群を分離するための診断基準は, RBBB群ではTQRSD≧160mseo, LAS40≧40mseo, RMS40≦14μVとなり, 川頁に感度77%, 85%, 77%, 特異性78%, 70%, 74%で, LBBB群ではRMS40≦14μVとなり, 感度82%, 特異性87%で良好な診断精度であった.以上より, SAEOG各指標はLPの診断基準を新たに設定することにより, 心室内伝導障害例においてもSVTの予知が可能であると結論される.
著者
石川 利之
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.340-345, 2012 (Released:2015-07-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1

デバイス植込み症例において,腎不全は手術合併症,生命予後に大きな影響を及ぼす.腎不全があるとデバイス植込みに伴う血腫・感染のリスクが増大し,腎障害の程度が増すに従って危険性が高まる.特に,末期腎疾患では出血性合併症・感染が高率にみられる.植込み型除細動器症例において,腎疾患のある群は腎疾患のない群と比べ,心不全の有病率は高く心不全による入院回数は多く,生存率は低値である.近年,QRS幅の延長した重症心不全症例に対する心臓再同期療法(CRT)の有効性が示されているが,腎不全はCRTを施行した心不全患者の予後規定因子である.しかし,腎不全においてもCRTのレスポンダーの予後は非腎不全例と変わらず,CRT後に腎機能低下の進行が抑制された症例では左室のリバースリモデリングがもたらされ,予後改善効果が期待できる.デバイス植込み手術に際して,人工透析のシャントはデバイス植込み部位の決定時に問題となる.デバイス植込み症例に高率に合併する心房細動は脳梗塞の頻度を高めるが,ワルファリンの使用は脳卒中の頻度を著しく増加させるので,原則禁忌とされる.ワルファリン使用下のデバイス植込み手術は血腫・感染の危険因子となるが,手術時のヘパリン置換は,それ以上にリスクが高いとされ,むしろワルファリン投与継続下の手術がすすめられている.
著者
三﨑 拓郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2018-03-20 (Released:2018-12-28)
参考文献数
9
著者
小林 義典
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.192-194, 2015 (Released:2016-03-11)
参考文献数
8
著者
丸山 徹 入江 圭 森山 祥平 深田 光敬
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-117, 2017-07-06 (Released:2018-04-16)
参考文献数
19

QRS波の終末部に記録されるJ波は,近年,特発性心室細動との関連が指摘されている.しかし,この波形が遅延脱分極波であるのか,早期再分極波であるのかについては,いまだ議論が多い.J波がアスリートに多く見られ,アスリートの心臓では乳頭筋の肥大や肉柱化,仮性腱索を認めやすいことから,J波とこれらの心内構造物との関連も指摘されている.乳頭筋や仮性腱索にはPurkinje線維が豊富で,心室筋への伝導が遅延して(PV delay),心室不整脈の基質となる場合がある.また,J波と心室遅延電位の関係性も指摘されており,これらはJ波が遅延脱分極成分であることを示唆する.一方,多くの基礎研究は,J波が早期再分極波であることを支持している.また,正常な貫壁性の心室興奮は,心内膜側から心外膜側へ向かうが,肉柱化した乳頭筋はこれを修飾して,反対側の心室壁が早期興奮症候群に近い興奮伝播を呈するようになる(ミニデルタ波).これは,早期興奮症候群でも認めやすいJ波は,早期に興奮を終了した部分から再分極も早期化して生じるためと考えられる.J波が脱分極成分であるか,再分極成分であるかを知るためには,これらの心内構造物の興奮伝播様式や心室全体の興奮との関連を明らかにすることが不可欠である.
著者
平井 真理
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.455-458, 2011 (Released:2015-06-10)
参考文献数
15
著者
藤木 明
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.373-386, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
19

房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)には典型的なslow-fast型以外に非典型とされる様々なタイプがあり,その多様性が指摘されている.房室伝導を構成するcompact nodeとposterior nodal extensionの性質が,不整脈の発生に関与する.周囲の心房筋とtransitional cellを介した接合は,anisotropyの強い心房筋の影響を受けやすい.心房筋との接合部は典型的なfast pathwayとslow pathway以外に,intermediate pathwayとよべる接合が両者の間に存在している.それらpathwayの組み合わせにより多様なAVNRT回路が成立するのであろう.それぞれの回路ごとにアブレーションに対する反応が異なるため,正確な診断が重要となる.また,心房筋との接合状態は房室伝導のconcealed conductionにも関与し,心房細動時の心室応答を規定する要因となる.社会の高齢化とともに,今後さらに多様なAVNRTに遭遇する機会が増えるものと考えられる.
著者
加藤 貴雄
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Suppl2, pp.5-19, 2008-03-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

QT延長症候群には, 遺伝的素因を有する先天性QT延長症候群と, 種々の外因によって生じる後天性 (二次性) QT延長症候群がある、先天性QT延長症候群は, 遺伝子異常に基づいて詳細に分類され, 病型によってQTの延び方やT波の形態に特徴があり, それぞれの異常遺伝子によるさまざまなチャネル電流の変化との関係が明らかにされつつある.一方, 最近薬剤による後天性 (二次性) QT延長症候群がきわめて重要視されるようになってきた.抗不整脈薬のみならず, 多くの非循環器薬でも高率にQT延長をきたし, 一部Torsades de pointes型多形性心室頻拍による突然死例も報告されている.新たな薬剤開発に際しても, QT延長リスクの詳細な検討が義務付けられるようになってきた, このような状況から, より詳細で客観的なQT時間計測法, QT延長評価法の開発が急務で, 臨床の現場においてもこれに対応したさまざまな工夫がなされている.
著者
鎌倉 令 山田 優子 岡村 英夫 野田 崇 相庭 武司 里見 和浩 須山 和弘 清水 渉 相原 直彦 上野 和行 鎌倉 史郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.150-157, 2011 (Released:2011-08-02)
参考文献数
11
被引用文献数
4 2

ベプリジルの至適投与量,ならびに安全かつ有効な血中濃度域を見いだすために,不整脈に対してベプリジルを投与した112例(男性80例,女性32例,年齢64.3±12.5歳)の血中濃度を測定した.測定には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用い,臨床的特徴,心電図指標などを対比し,不整脈抑制効果と副作用の発生状況を評価した.平均投与量は128±34 mg/日,平均血中濃度は751±462ng/mlであり,200mg投与群では有意に高い血中濃度(1,093±721ng/ml)を示した.平均観察期間899日で,心房頻脈性不整脈109例中14例が洞調律を維持し,57例で自覚症状が改善した.改善例の血中濃度は非改善例に比べ有意に高かった(866±541ng/ml vs. 622±329ng/ml, p=0.006).副作用としてQTc延長>0.48秒を10例に,徐脈を6例に認めたが,それらの濃度は副作用のない群に比して有意に高かった(QTc延長vs.副作用なし : 1,086±471ng/ml, p=0.005,徐脈vs.副作用なし : 1,056±522ng/ml, p=0.03).Torsade de pointesを呈した例はなかった.【結論】日本人のベプリジル至適投与量は150mg/日以下,症状を改善し,かつ副作用が出現しにくい血中濃度域は600~1,000 ng/mlと考えられた.
著者
待井 一男 佐藤 信 竹沢 将俊 刈米 重夫 大和田 憲司 室井 秀一 小野 和男 束原 康文 木島 幹博 宮崎 吉弘 粟野 直行 樋口 利行
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.306-316, 1982

学校検診の心電図検査で異常を指摘され, 当科を受診した46名中44名に心電図異常が認められた。内訳は洞性徐脈及び洞性不整脈10例, 冠状静脈洞調律2例, 心室性期外収縮5例, 心室調律2列, 1度房室ブロック8列, 2度房室ブロック4例, 右脚ブロック12例, WPW症候群5例, 左室肥大1例, 右室肥大1例, 心筋傷害1例, 右胸心1例であった。精査の結果明らかな基礎疾患がみつかったのは, 右室肥大が見られた先天性肺動脈弁狭窄症1例と心筋障害が疑われた心尖部肥大型心筋症の計2例で, その他には不完全右脚ブロックを指摘された漏斗胸1例, 家族性WPW症候群の1例, 他の奇型合併を伴わない右胸心1例がみつかった。残りの39例では, 明らかな基礎疾患の存在は認められなかった。<BR>44名中右脚ブロック10例, 心肥大2例, 右胸心1例を除く31例の心電図異常例にマスターダブル負荷試験を行ったところ, 負荷陽性は心尖部肥大型心筋症1例だけであった。マスターダブル負荷直後, 心室性期外収縮4例, 2度房室ブロック1例, WPW症候群4例を除く23例では, 不整脈が消失したりQRS波型の正常化が見られた。<BR>マスターブル負荷試験は, 不整脈を有する学童のスクリーニングテストとして簡便かつ有用な方法である。
著者
志賀 剛
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.365-375, 2011 (Released:2012-02-10)
参考文献数
52

心臓突然死は心不全患者の死因の1/3を占め,そのほとんどが心室頻拍・心室細動(VT/VF)を原因とする.これら心室不整脈は有効な心室収縮を破綻することで循環血液の駆出を妨げ,心静止や無脈性電気活動に至る.心不全治療を行ううえで,心室不整脈に対する対策が必要である.VFおよび血行動態が破綻する持続性VTには,電気的除細動が最も有効である.電気的除細動抵抗性のVT/VFに対しては,リドカインに比し,アミオダロンあるいはニフェカラントの有用性が示されている.一方,予防薬としてはβ遮断薬が心不全患者の生命予後を改善するのみならず,心臓突然死をも予防することが示されている.心不全を対象とした大規模臨床試験から明らかになった心臓突然死を減少させるβ遮断薬は,メトプロロール,ビソプロロールおよびカルベジロールである.一方,アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の心臓突然死予防効果については,一定の見解がない.抗不整脈薬では,アミオダロンが数々の大規模臨床試験から突然死予防薬として位置付けされている.しかし,その効果には限界があり,ハイリスク例に対する心臓突然死予防としては植込み型除細動器(ICD)が有効とされる.ただし,ICDには不整脈予防効果がないため,アミオダロンにはICDへの付加治療としての役割もある.心室不整脈の抑制,VT周期の延長,上室不整脈の予防,房室伝導の抑制からICDショック作動の抑制,抗頻拍ペーシング成功率の改善,頻回作動の抑制ならびに不適切作動の回避が考えられる.近年,アミオダロンの心外性副作用の欠点を補う新しいIII群抗不整脈薬が開発され,その臨床応用が待たれている.
著者
有田 眞
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.18-23, 2016 (Released:2016-03-25)
参考文献数
7

2 0 0 0 OA QT短縮症候群

著者
清水 渉 小山 卓 山田 優子 岡村 英夫 野田 崇 里見 和浩 須山 和弘 相原 直彦 鎌倉 史郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.392-396, 2009 (Released:2010-05-21)
参考文献数
11

QT短縮症候群(SQTS)は,器質的心疾患をもたないにもかかわらずQT時間が修正QT(QTc)時間で300~320msec未満と短く,心室細動(VF)から突然死を発症する症候群である.当院で有症候性のSQTS症例を4例経験した.全例男性で,3例でVFが確認され,1例では失神発作を認めた.12誘導心電図上,安静時QTc時間は平均327msecと短縮しており,全例で後壁および/または下壁誘導でスラー型またはノッチ型のJ波(早期再分極)を認めた.加算平均心電図では全例で遅延電位は認めず,電気生理学的検査を施行した2例では,いずれも右室の有効不応期は短縮していたが,VFは誘発されなかった.薬物負荷試験では,クラスIII群のニフェカラントとクラスIa群のジソピラミドの静注,およびキニジンの内服でQTc時間の延長を認めた.先天性QT延長症候群の原因遺伝子(LQT1,2,3,5,6,7)上に変異は認めなかった.全例で植込み型除細動器(ICD)が植込まれ,1例で3ヵ月後にVFの再発を認めた.
著者
林 秀樹 内貴 乃生 宮本 証 川口 民郎 杉本 喜久 伊藤 誠 Joel Q. Xue 村上 義孝 堀江 稔
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.368-376, 2015 (Released:2015-07-27)
参考文献数
10

近年,早期再分極が致死性不整脈発生の新たな心電図所見として注目されている.しかし,早期再分極のすべてが致死性不整脈の原因になっているわけではなく,良性と悪性が存在する.両者の鑑別は極めて重要である.われわれは,病院を受診した症例から構成された心電図データベースを用いて,様々なコホートにおいて早期再分極と致死性不整脈の関係を調べた.早期再分極は,思春期に頻度が高いことが認められ,Brugada症候群・QT短縮症候群・デバイス植込みの症例において,早期再分極と致死性不整脈発生の関係が認められた.今後,早期再分極と治療効果の関連を検討する必要があると考えられた.
著者
秋山 俊雄
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.425-441, 2011 (Released:2012-02-10)
参考文献数
37
被引用文献数
5 2 8
著者
小田倉 弘典
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.127-133, 2011 (Released:2011-08-02)
参考文献数
20

心房細動(AF)診療においては,患者の意向や感情を重視した意思決定が重要である.傾聴と支援を主眼とするAF外来が,意思決定において有用であったので報告する.対象は過去6年間の当院初診AF患者212例である.AF外来実施前の103例(非実施群)と後の109例(実施群)を比較した.AF外来は,患者の解釈モデルを聞き取るチェックシートと,ベネフィット,リスクを記載した補助的説明文書を用い,医師と看護師により約60分の予約制で実施した.両群間でAFの種類,年齢,死亡率,脳梗塞,大出血の発症率に有意差はなかった.小出血(非実施群14%,実施群5%),ワルファリン拒否(非実施群11.3%,実施群5.2%),カテーテルアブレーション拒否(非実施群70%,実施群30%)は非実施群が有意に多かった(p<0.05).レートコントロールへの移行(非実施群33%,実施群62%)は実施群で有意に多く,3ヵ月後のAF特異的QOL評価法3は実施群(51±8点)が非実施群(43±8点)より良好であった(p<0.05).患者の不安や疑問に対し傾聴し支援することが,意思決定に有用と考えられる.