- 著者
-
堀江 稔
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.6, pp.459-464, 2003-06-15 (Released:2013-05-24)
- 参考文献数
- 16
ブルガダ(Burugada)症候群は,1992年,Brugada兄弟により報告された8例の右側前胸部誘導(V1-V3)の特異的なST上昇と右脚ブロックを示す特発性心室細動の臨床像から,広く知られるようになった.その後の多くの臨床研究から,発症は男性が多いこと,約20%に失神や突然死などの家族歴を有すること,NaチャネルブロッカーによりST上昇のパターンや程度が変化すること,対症療法ではあるが植え込み型除細動器が奏功すること(逆に言うと多くの薬物療法が悲観的である)などが,明らかとされてきた.さて,1998年になって,Naチャネルのαサブユニットをコードする遺伝子(SCN5A)の塩基レベルの変化(変異)がブルガダ患者に発見され,その変異チャネル蛋白の機能解析から,本症候群が,いわゆるイオンチャネル病である可能性を報告された.このNature誌での発表のあと,多くの施設で,本症疾患のSCN5A遺伝子検索が精力的に行われ,現在,20個以上の変異が発見されている.しかしながら,この検出率はPrioriらの報告でも,20%にみたない.本研究会では,まず本症候群の臨床像を紹介し,その一部に認めるSCN5A変異における機能解析との関連を検討する.