著者
勝村 大 谷村 知洋 青木 香織 阿部 祥子 田口 博之 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.382-389, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

江戸時代の古地図や江戸時代に関する文献などの資料を基にして三次元コンピュータグラフィックス(3DCG)で江戸の町並みの復元を目指している.町並み復元における家屋のモデリング作業を効率化するために,家屋構造記述言語を開発した.家屋の主要な部品の規格が幅3尺,高さ6尺と定まっていたことに着目し,3尺を基本単位とした部品を書き連ねて家屋構造を言語で記述する.家屋構造記述言語に記述された個々の部品を乱数などで置き換えることにより,外観の異なる家屋を大量かつ効率的に自動生成できる.しかしながら,家屋構造記述言語を用いて屋根を葺く場合,家屋の周囲情報の構造を考慮して屋根の位置を詳細に設定しなければならない.そこで,家屋構造記述言語の周囲情報のみから屋根を自動的に葺く,kD-roofing法を提案した.これらの手法を用いて家屋を効率良く生成することができたので報告する.
著者
金森 由博 高橋 成雄 西田 友是
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.354-361, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

点集合による形状表現は,従来の多角形メッシュと異なり,点同士の接続情報を用いずに大規模な三次元形状データを扱うことができるため,CGの分野において非常に有望とされている表現方法の一つである.点集合で表現された形状を描画するためには,通常サーフェルと呼ばれる円盤が広く用いられているが,サンプリング密度が不十分な領域では穴が生じてしまう.これを解決するため,本稿ではサーフェルを用いて曲面を表現する際に穴が生じないよう,アップサンプリングを行う手法を提案する.穴を埋めるために,提案法は各サーフェルの周囲の隙間を検出し,サーフェルを追加して隙間を埋める.提案法はサーフェルの重なりとユーザが指定したサーフェルの半径を考慮することによって,追加するサーフェルの数を少なく抑える.実験により,提案法が多重解像度(level-of-detail)の制御や対話的なモデリングなどに広く応用できることを示す.
著者
森本 有紀 鶴野 玲治 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.348-356, 2014-07-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
21

本稿では,布の織り構造や糸・染料の要素に基づいて物理的に染色をシミュレーションする手法を提案する.本手法では横糸と縦糸の上下2層のセルを用いた布モデル内において,Fickの第2法則に基づき,染料の拡散を表現する.拡散係数は染色物理の理論に基づいて布繊維の多孔度や拡散経路の屈曲率などの染料や布のパラメータから算出し,布の織構造の違いや拡散の異方性などによる染色の特徴を表現する.染料の繊維への吸着には吸着等温式を考慮するモデルを提案する.また,簡単な染色技法を考慮するために,染料の拡散を防ぐ防染技法のシミュレーションを行う.結果画像からは本手法により染色独特の多くの特徴を表現できることがわかる.
著者
馬養 浩一 伊藤 浩 藤井 亮介 鈴木 光義 浅井 光太郎 村上 篤道
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.606-613, 2005
被引用文献数
1

動画像用電子透かし検出のための,新しい同期回復方法を提案する.従来の静止画を対象にした同期回復手法では,同期回復に要する計算量の問題などがあり,これらの手法をそのまま動画の同期回復に適用できない.そこで,本稿では動画像の時間方向の特徴を利用した同期回復によりこれらの問題を解決した.提案手法では,電子透かし信号を時間方向にスペクトラム拡散して動画像の各フレームに埋め込む.同期の回復では,まず,動画像を逆拡散してフレーム積分データを生成し,データの分散を利用して時間同期を回復する.このとき電子透かし信号がデータ上に幾何学パターンとして現れるので,次に幾何学パターンの規則性に基づいた効率的な相関計算により空間同期を回復する.違法コピー形態を想定した実験を行い,HD-SD ダウンコンバート後にアナログVTRコピーを実施した映像においても,同期回復後に電子透かしを正しく検出できることを確認した.
著者
福元 伸也 Rehman Anis Ur 森東 淳 大塚 作一 三部 靖夫 田中 宏征 武田 光平 野村 雄司
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.842-850, 2011-09-25
参考文献数
18

広告の意匠性と2次元デジタルコード(以下,コードと略す)を用いた情報伝達の容易性とを両立させることを目的として,コード撮影のために行う利用者の接近行動を距離センサにより検出することにより,コードを適応的に拡大表示する手法を提案する.まず,基礎実験として,実験1では,コードの拡大率とズーム時間の変化に対する利用者の印象変化を調査した.その結果,利用者が移動中の状態から一辺20cm程度の取得容易なコードサイズにズームアップした状態で停止する場合を想定すると,ズーム時間を1秒前後に設定すればよいことが明らかとなった.次に,実験2では,距離センサによるフィードバックを行ったプロトタイプを使用し,QRコード利用の未経験者4名を含む被験者14名による評価実験を行った.従来手法と提案手法との比較を行った結果,(1) 提案手法では平均情報取得時間が約1.8秒短縮される,(2) 提案手法では約1.5倍遠い位置での取得が可能となる,(3) 全被験者の86%(QRコード利用の経験者では100%)が提案手法を好む,という結果が得られ,本手法の有効性が確認された.
著者
阿山 みよし
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.362-367, 2006 (Released:2011-08-25)
参考文献数
13
著者
高木 佐恵子 松田 憲幸 曽我 真人 瀧 寛和 志磨 隆 吉本 富士市
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.386-396, 2003 (Released:2004-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3

絵画は,心を豊かにするための重要な研究テーマの一つである.これまで,絵画に関する多くの研究では,実際の画材を再現するような機能を提供するばかりで,ユーザが描いた絵を評価し,アドバイスを与えるようなものはなかった.そこで,我々は,初心者のための基礎的な鉛筆デッサンの学習支援システムを提案する.提案システムは,モチーフに関するデータとユーザが鉛筆で画用紙に描いたデッサンの画像を入力とし,ユーザへのアドバイスを出力とする.提案システムでは,次の四つの機能により,処理が行われる:モチーフの特徴解析,デッサンの特徴解析,誤りの同定,アドバイスの生成と提示.提案システムの有効性を確かめるため,扱う対象を基礎的なモチーフに対する主要なアドバイスに限定したプロトタイプシステムを開発し,実験を行った.その結果,提案システムの有効性が確かめられた.
著者
河村 尚登
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.222-239, 2014-03-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
34
被引用文献数
1
著者
羽石 秀昭
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.748-754, 2008-09-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
4
著者
林 伸治 長谷川 修
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.726-737, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
12

顔検出はコンピュータビジョンで最も研究が盛んな分野の一つであり,近年,大きな進歩を遂げている.しかし,低解像度画像からの顔検出については,ほとんど研究されていない.本稿では,顔検出における標準的な検出器と評価画像である AdaBoostベースの顔検出器およびMIT+CMU評価画像を用い,24×24ピクセルの顔に対し88%であった顔検出率が,6×6ピクセルの顔に対しては39%まで低下することを示す.これに対し,「肩まで含む顔画像の使用」「画像の拡大」「特徴の周波数制限」「二つの検出器の統合」から構成される提案手法を示し,6×6ピクセルの顔に対して,71%の検出率が得られたことを示す.なお,上記検出率は,いずれも評価画像112枚に対して誤検出数100における値である.
著者
福本 麻子 塚田 浩二 蔡 東生 安村 通晃
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.311-318, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
17

本研究は19世紀西洋絵画を中心に,情報エントロピーとZipfの法則を用いて統計的解析を行っている.その結果,各流派に特徴がみられた.特に印象派絵画は複雑性が高く,同時に規則性をもつ(Zipfの法則に従う)傾向がみられた.
著者
米村 俊一 Chen Li Jen 大谷 淳 徳永 幸生 嶌田 聡
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-450, 2010-07-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

本稿では,互いに遠隔地にいる人同士のインフォーマルコミュニケーションを支援することを目的として,テキストベースのCMC (Computer Mediated Communication)における「おしゃべり」を,黒丸画像によって 触発する“●”メディアを提案する.“●”メディアでは,創造的活動の認知プロセスに関する研究であるジェネプロワモデルに基づいて,話題の発想および話題の転換を触発する基本機能をデザインした.また,“●”メディアのコンセプトに基づくプロトタイプシステムを構築しコミュニケーション実験を行った結果,背景画像として提示した黒丸は,CMC上でのテキストによるおしゃべりの中で被験者の話題作りに関する発想を触発する と共に,触発される話題は話者相互の状況や心境までも含めた知識の共有につながるものも多く,ユーザ同志の相互理解を深める上で効果的なメディアであることが明らかとなった.
著者
岩崎 慶 柳田 哲一 土橋 宜典 西田 友是
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 = Imaging & Visual Computing The Journal of the Institute of Image Electronics Engineers of Japan (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.515-522, 2004-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
2

コンピュータグラフィクスによる景観表示において,空は欠かせない要素のひとつである.空の色をより写実的に表現したい場合,天空光の輝度計算を多重散乱まで考慮して行う必要があるが,この多重散乱の計算は非常に複雑であり,膨大な計算コストがかかってしまう.そこで本稿では,この複雑な計算を効率よく行うために,大気を仮想的な層(サンプリングシェル)に分割し,それらの層上での微粒子による散乱光の輝度分布を散乱マップと呼ぶテクスチャとして扱うことで,グラフィクスハードウェアを効果的に使用した手法を提案する.さらに,視点高度や太陽高度が変化した場合でも高速かつ少ない記憶量で画像を生成するため,特異値分解を用いた計算およびレンダリングの手法を提案する.