著者
小泉 武夫 角田 潔和 山本 多代子 鈴木 明治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.173-178, 1979-03-15 (Released:2011-11-29)
参考文献数
37
被引用文献数
3 3

β-フェニルエチルァルコールとβ-フェニルニチルアセテートはバラの香気に似たもので, 多くのアルコール性飲料の香気付与のために重要な化合物である。特にβ-フェニルエチルァルコールは種々のアルコール性飲料の中にかなりの量で存在している。例えば筆者らが分析した種々のアルコール性飲料中の存在量は次の様であった。清酒40~60ppm, ウイスキー10~15ppm, ビール15~20ppm, ブランデー5~6ppm, しょうちゅう30~40ppm。本報告ではこのβ-フェニルエチルアルコールとβ-フェニルエチルアセテートの酵母による生成について検討した。その結果は次のとうりである。1.フェニルアラニンからβ-フェニルエチルアルコールの生成量には, 供試酵母間に差異があり, 清酒酵母はビール酵母, ワイン酵母よりその生成は強い。2.清酒酵母の2, 3, 5-トリフェニルテトラゾリウムクロライド還元能とβ-フェニルエチルァルコールおよびβ-フェニルエチルアセテート生成能との関連は供試酵母間に大きな差異がある。その順位は赤色コロニータイプ>赤桃色コロ論一タイプ>桃色コロニータイプ>白桃色コロニータイプであった。3.β-フェニルェチルァルコールは, フエニルァラニンが酵母による脱炭酸, 脱アミノ反応にょって生じる。また我々の実験結果ではチロシンが酵母によって分解されるときも少量生じることを知った。
著者
鈴木 昌治 小泉 武夫 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.367-373, 1986-06-15 (Released:2011-11-29)
参考文献数
28
被引用文献数
1

吟醸香の生成機作, 特に発酵条件との関係については未だ不明な点も多く, 本稿でも, これから解明されるべき問題とされているところも多いが, 実験事実に勝るものはない。著者らは吟醸もろみの芳香生成の動的変化を適確かつ詳細に分析した。吟醸造りに与える示唆も非常に多い。関心ある読者の方々に一読をおすすめする。
著者
藤谷 健
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.104-107, 1967-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
17

今までバラバラに研究されていた酵母の無機成分組成とその要求性とを結びつけ, 特に必須成分であるリン, マグネシウム, カリウムをとりあげて解説。本稿で述べられている “基底含量” という考え方は, 酵母の無機成分組成と増殖との関連性を究明する際の一つの, 新しい見方として注目されよう。
著者
佐藤 仁一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.498-502, 1982

独創的発想により, 全世界に先駆けて粉末酒を発明された著者に, 粉末酒の酒税法上の位置付け, 製造方法, 性状, 生成機構から用途にいたるまで解説いただいた。<BR>酒類を含め, 食品全般にかける著者の情熱が紙面からひしひしと伝わってくる一編である。熟読をお推めしたい。
著者
海老根 英雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.102-108, 1985-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
73

味噌はしょう油とともにわが国を代表する発酵調味料である。原型は古く中国大陸から伝来し, 日本各地で数多くのバラエティーを生んできた。その製造工程では, 呈味成分生成のための麹由来の酵素による加水分解作用に加えて, 各種酵母及び細菌の混合培養状態での発酵による複雑な香味成分の醸成があり, 微生物の作用は極めて複雑である。ここでは味噌醸造に関係する微生物についての知見を解説していただいた。
著者
今安 聰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.578-582, 1970-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
1

容器革命の時代に入り, 今後はいろいろな型の容器が出まわるものと考えられる。これらの容器に必須に要求される栓, 一見簡単なものであるが, 新しいものを開発するには, いろいろな問題が生じる。本稿は従来のコルク製替栓にかえて新しくプラスチック製替栓を開発された開発の記録である。多くの諸者の参考となるであろう。
著者
武田 守一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.536-540, 1975-08-15 (Released:2011-11-04)

これからの醸造工場はその機能と共に外的美観も必要条件となリ, それが商品のイメージアップにつながるケースがよくみられる。ここに紹介する石岡酒造 (株) も丘陵地の自然および高低差をうまく利用して新工場を設立し, 軌道にのっている良い例である。熟読をおすすめしたい。

1 0 0 0 OA アイヌの酒 (4)

著者
加藤 百一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.734-738, 1968-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

アイヌと神, そして神々を喜ばす行事の中に酒が供えられる。この観点から著者はアイヌと酒とのつながりを論説する。
著者
上野 雄靖 小武山 温之 山田 正一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.128-126, 1960-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

著者等は発ぽう飲料の研究を始め, その第一段階として速醸ビールとでも称す可き製造方法を確立した。この方法によれば,(1) 従来の醸造法に比べ小規模な設備で, しかも一週間と云う短期日で製造出来る。(2) 製品のアルコール分はその製造工程で自由に調節出来る。

1 0 0 0 OA 新精米読本 (1)

著者
諏訪 為治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.781-784, 1984-11-15 (Released:2011-11-04)

清酒製造のコストダウンには精米の巧拙が大きく影響する。自動化大型精米機の開発や共同精米の普及など白米の入手は容易になって来たが, その基礎となる技術について再認識する必要があろう。優れた技術を持つ著者の論文はその良い案内人である。

1 0 0 0 OA 甘酒の研究

著者
出田 正一 森 孝三 出管 健司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.69-65, 1943-05-15 (Released:2011-12-12)

1.市販の壜詰並に店先賣甘酒を試驗した。單に米, 米麹丈を原料とせず, 蔗糖や水飴を混入したもの, 食鹽添加量過多のもの等のある事を認めた。2.甘酒製造に於て納豆菌等の侵害を受ける條件を探索した。其の結果はなるべく蒸米, 飯米を混入せず, 麹丈で製造する事。糖化時間も55°8時間越えぬ方が安全である事を知つた。3.内地米使用のものは外米に比し常にボーメ及び糖分の出が良い。4.外米は二度蒸し (蒸米麹共) して使用するが良い。5.普通品 (固煉に非ず) の汲水は15~20水程度が便利である。6.汲水に食鹽や鹽化石灰を添加しても特に製品の濃度を増し甘味が加はるとは考へられないが, 味は單調な甘味から旨味に移る事を認め得られた。但し食鹽添加量は15水の仕込で汲水に對し0.1~02%の間に止めて置きたく之以上は下品且不調和の鹹味を加へる。鹽化石灰の添加は石灰分附與の目的には叶ふが, 多少藥品臭味を與へる嫌がある。
著者
大内 弘造 佐藤 和幸 宮島 紀芳 荒木 敏明 秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.843-847, 1981

<I>i</I>BuOH及びiAmOHの高生産株を得る目的で, 清酒酵母協会701号に紫外線照射を行って突然変異を誘発し, NV及びNL含有培地で集殖することによって, NV, NL耐性株を分離した。<BR>代表的耐性株NLV90-6は親-株と同じ発酵力を持ち, NV, NL各20mM含有培地でも非含有培地における親株の増殖速度と同じ増殖能を示した。<BR>親株の<I>i</I>BuOH及び<I>i</I>AmOH生合成能はNV, NLの添加によって減少したが, 耐性株には減少しないものがあった。ただし, それらも<I>i</I>BuOH, <I>i</I>ArnOHの高生産株ではなかった。<BR>清酒もろみの発酵では親株より<I>i</I>BuOHは幾分多く, また<I>i</I>AmOHは幾分少なく生成し, A/B比には明らかな差が生じた。<BR>製成酒の官能評価では親株と同等であったが, 親株にくらべてアミノ酸度が多いことが特徴であった。<BR>清酒もろみ, 麦芽汁及びブドウ果汁の発酵中のアミノ酸消長からみて, アルギニン等の例外を除きアミノ酸の取り込みが親株よりも遅いことが推察された。<BR>NV及びNLの消費量を調べた結果, 親株の半分以下であった。また, <SUP>14</SUP>C-ラベルを使用し, バリン, ロイシン及びリジンの取り込み速度を調べた結果, 親株の1/2以下であった。<BR>以上の結果, 得られた耐性株は窒素源の膜透過性異常変異株と結論された。<BR>最後に麦芽の提供と麦芽汁の調製に御協力いただいたニッカウヰスキー株式会社辻謙二氏に感謝する。
著者
吉沢 淑 百瀬 洋夫 蓮尾 徹夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.557-560, 1981-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

昭和54年産および55年産米8品種16点の澱粉のアミロース含量は15.1~22.4%であった。品種別にみるとマツマエのアミロース含量が最も高く, ホウネンワセ, トドロキワセのアミロース含量が低かった。たかね錦, 山田錦など醸造用品種のアミロース含量は, マツマエを除く一般米より高い傾向がみられた。これ等の澱粉の消化性は, 酵素作用初期にはアミロース含量の低い澱粉で高くなる傾向がみられた。