著者
佐藤 史明
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.155-162, 2011-04-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
16
被引用文献数
2
著者
貫名 真澄 河原 英紀
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.256-260, 2003-05-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
8

発話時には,唇の開口面積が変動すると共に唇や鼻孔以外からも音が放射される。しかし,音声を収録する場合にそれらがどのような影響を与えているかについては,ほとんど報告されていない。本報告では,発話された音声を測定用の信号としてクロススペクトル法を用いて頭部周辺での伝達特性を測定した。また,音声を音源として用いた場合のクロススペクトル法の測定精度について,ダミーヘッドとM系列信号を用いた測定により検証すると共に,実測されたデータの信頼幅を併せて求めた。男女各2名が5母音を発話している状態で測定した結果は,同一測定位置での母音間の伝達特性に,信頼幅を大きく超える系統的な差異が存在していることを示した。
著者
河井 恒 広瀬 啓吉 藤崎 博也
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.433-442, 1994-06-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
19

規則による日本語の音声合成において、高品質の韻律的特徴を生成しうる規則を作成した。この規則は、アクセント型、統語構造、文の焦点などの言語情報から韻律的特徴を表現する記号を生成する。韻律記号は、3種類の休止記号、4種類のフレーズ記号、及び6種類のアクセント記号からなり、音声の基本周波数パターンを生成するために用いられる。統語構造は、文境界、節境界、ICRLB境界などの統語境界によって表され、主として休止記号とフレーズ記号の生成に用いられる。一方、文の焦点は、韻律語の強調/抑圧として表され、アクセント記号の生成に用いられる。規則によって生成された韻律的特徴の正当性を評価するため、規則作成に用いたものとは別の文章を対象として、規則によって生成された韻律上の単位と職業アナウサが発声した自然音声の韻律上の単位との対応関係を調べた。その結果、両者は70〜90%の高い割合で一致しており、合成音声の自然性とあいまって本規則の有効性が示された。
著者
山内 勝也 高田 正幸 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.192-202, 2003-04-01
被引用文献数
12

分かり易く覚え易いサイン音をデザインするための基礎的知見を得るために,既存のサイン音を用いて,機能イメージに関するカテゴリ判断実験と擬音語表現を用いた自由記述表現実験を行った。機能イメージに関しては,主成分分析により「警報-操作」「報知」「呼出」「警告告知」「終了」の五つのイメージに集約した後,擬音語表現と音響的特徴との対応関係な検討した。その結果,警報感を伴う音は「ピピピピ」等に擬音語表現される繰り返しを伴う音あるいは「ブー」と表現される継続時間が長く倍音の豐富な音,操作のフィードバックに適するのは「ピッ」で表現される短い音,報知に適するのは立ち上りが緩やかで拗音を伴って表現される音,呼出感の強い音は「ビリリリ」等で表現される変化速度の速い周期的変動音,警告告知のイメージを伴う音は「ブー」など有声子音を用いた基本周波数が低く周波数成分が豐富な音,終了のイメージを伴う音は「ピー-ピー」等のように長音を伴った繰り返しで表現される音か,長い減衰時間を持ち「チーン」などと長音と撥音を伴う表現がされる音である等の傾向を得ることができた。
著者
坂野 誠一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.1-7, 1944-07-20

サウンド用フイルムの周波數性能を究明する一方法として、著者は作圖せる純正弦波形の縮寫音溝を用ひ、理研B型ミクロフオトメーターを使用して居るが、その際に遭遇する電位計の指示の遲れ、スリットの大さに因る誤差を、實驗的に之を明らかにした。その結果、サウンド用35粍フイルムの面積型波形記録能力を測定する際のスリット像幅は5/1000粍程度を要求し、再生に於けるスリット像幅は、25/1000粍以下でないと忠實な音再生が望めないことを知つた。
著者
坂本 修一 鈴木 陽一 天野 成昭 小澤 賢司 近藤 公久 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.842-849, 1998-12-01
被引用文献数
62

単語了解度試験用の単語リストの構築にあたって, 日常会話の聴き取りも含めた音声聴取能力をより正確に評価することを目指すには, 単語の難易度を統制することが望ましい。また, 補聴器適合の評価などの臨床応用を考えたときには, 限定された単語数で, 音韻バランスがよく取れた単語リストを作成することが実用上重要である。本論文では, 難易度の指標として親密度を用いてこれを統制し, また語頭の音韻バランスだけではなく, 語中の音韻バランスも考慮した単語了解度試験用単語リストの作成手法を提案する。また, 実際にこの方法を用いて, 親密度を4段階にパラメータ化して統制した単語リストの構築を行った。この単語リストは, 1枚50単語からなり, 各親密度段階について各20枚, 計80枚のリストから構成されている。更に, リストの妥当性を確認するための聴取実験を行った結果, 単語了解度が親密度を変えることによって系統的に変化することが示された。
著者
武田 昌一 杤谷 綾香 橋澤 保輝 加藤 修一 大山 玄
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.629-638, 2004-11-01
被引用文献数
4

4名の声優が発声した銀行端末(ATM)案内文音声を対象として,感情を合めた場合と含めない場合の韻律的特徴の差異を解析した。更に分散分析により,話者・文依存性の有無を調べた。分散分析の結果から,韻律的特徴は全体的に話者や文に依存する傾向が大きいことが示された。反面,共通の特徴として(1)「喜び」は主として声を高くすることで,(2)「悲しみ」と「感謝」は主として基本周波数パターンを平坦化することで,表現していることを示す結果を得た。更に,話者自身が最も好ましいと考えた感情で発声した場合,共通のATM案内文音声の特徴は,早口で声を高くすることであることが分かった。
著者
森本 政之 藤森 久嘉 前川 純一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.449-457, 1990-06-01
被引用文献数
26

音像の空間的な拡がりに、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」の二つの性質があり、区別して知覚できることを示すため、初期部(直接音と初期反射音)の両耳間相関度と残響部の両耳間相関度を独立に変化させた音場を使用し2種類の聴感実験を行った。まず、空間的印象に関する非類似度実験を行い多次元尺度法により布置を求めた。次に個々の性質について一対比較法による評価実験を行い心理的尺度値を求めた。二つの実験結果を基に重回帰分析を行った結果、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」の違いについて理解していれば、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」を区別して知覚できることを明らかにした。
著者
江原 宏幸 押切 正浩 山梨 智史 森井 利幸 佐藤 薫 吉田 幸司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.196-207, 2008-04-01
参考文献数
28

変換予測符号化に基づく32kbit/sのスケーラブル符号化方式を開発した。本方式では,広帯域(0.05〜7kHz)の入力信号の線形予測分析・符号化を行い,変形離散余弦変換を用いて予測残差信号の符号化を行う。高品質な電話帯域(0.3〜3.4kHz)の音声符号化方式に1,2kbit/sの帯域拡張と4kbit/s刻みの変換符号化を組み合わせた。電話帯域の音声符号化は6.8kbit/sの符号励振線形予測符号化で行い,G.729 Annex E(11.8kbit/s)相当の品質を達成した。更に,8kbit/sでG.722,2(8.85kbit/s)相当の広帯域品質を達成し,音楽信号に対してはG.729.1を上回ることを確認した。
著者
小畠 時彦 井戸川 徹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.679-689, 1995-09-01
被引用文献数
2

クラリネットの発音機構を記述するSchumacherの方程式[Acoustica 48,71-85(1981)]の解を計算した。リード変位とリード開口を通過する空気の体積流量に関する微分方程式は台形法を用いた差分方程式で近似した。楽器気柱の反射関数は簡単な負のGauss関数とし、その最小値は往復時間が0.5、1.0、3.4msのところに現れると想定した。3通りの特性インピーダンスの値(2.31、5.00、7.50×10^6kg/m^4s)に対して、吹鳴圧力を0からリード振動が励起される上限の値まで変化させ計算した結果、幾つかの例が得られた。カオス振動解は、上記の往復時間に対して、特性インピーダンスが高く、吹鳴圧力が低い領域で得られた。また、吹鳴圧力を階段状に次第に上昇下降させるとき振動状態の遷移にはヒステリシスが見られた。すなわち、吹鳴圧力以外のパラメータを固定した状態で、吹鳴圧力を上昇下降させるとき、その上昇過程と下降過程において吹鳴圧力が同じ値であっても得られる振動状態が異なる場合があった。