著者
栗田 隆治 蓮沼 宏
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.539-544, 1959-09-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
4

The growth of low refractive index layer (L. I. layer) on the surface of optical grass in SiO2-water or alkali solution is studied in detail. The amount of glass dissolved is measured by multiple beam interferometry. The thickness (d) and the refractive index (n) of the layer are measured by polarimetric method. In the cases of SK 16 and SSK 5, thick growth of L. I. layer is observed in SiO2-water solution. SF 3 and BK 7 are hardly affected by the presence of SiO2 in neutral solution. But in con-centrated SiO2-alkali solution the growth of L. I. layer is observed on the surface of BK 7 as well as SF 3. BK 7 is a durable glass against acids and alkalis. The largest thickness of the L. I. layer observed is about 600 A. A definite value of the refractive index of the surface layer on BK 7 is not obtained. In this case, the growth of L. I. layer is expressed by the fall of the refractive index of the layer together with the thickness.
著者
村山 英晶 影山 和郎 成瀬 央 島田 明佳
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.883-886, 2002-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6

構造の状態を正確に把握することができれば,構造物の安全性を保証することが可能になる.さまざまな環境下で使用される実構造物のひずみや振動をモニタリングするためには,正確な測定ができるだけではなく,耐久性にも優れたセンサーが必要となる.酎久性に優れる光ファイバーセンサーは,近年,発展が著しく,既存のセンサーにはない優れた特駐を兼ね備えている.本稿では,世界的なヨットレースに出場した笈さ25mの競技用ヨットに光ファイバーを張り巡らせ,船体のひずみを測定した結果を示す.これにより,船体が設計どおりの剛性をもつことが確認され,また経時的な剛性の変化を評価することが可能となった.
著者
山口 真史
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1311-1314, 1998-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
12

Ge基板上のGaAs太陽電池は,火星探査ロボットをはじめ各種人工衛星に用いられている.最近では,Ge基板上のlnGaPIGaAs2接合構造太陽電池を搭載した衛星も打ち上げられるなど,宇宙用化合物太陽電池の進展は著しい.本稿では,Ge基板上の太陽電池の特徴と物理,火星探査ロボットに用いられた太陽電池の概要とおもな知見,宇宙用太陽電池の将来展望について述べる.
著者
後藤 太一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.172-175, 2021-03-05 (Released:2021-03-05)
参考文献数
21

磁気モーメントの歳差運動が位相差をもって磁性体中を伝わる高周波信号は,スピン波と呼ばれる.このスピン波を使って新しい情報処理デバイスを作ろうという研究が盛んになっている.半導体ベースの電子回路では電荷移動を使って情報を伝えるが,スピン波の場合は,電荷移動ではなくスピンの位相により情報を伝える.このことから,スピン波デバイスは,次世代の低消費電力デバイスになると期待されている.本稿では,磁性絶縁体中で生じるスピン波の位相干渉を用いた基本的な論理デバイスの実証実験およびデバイス小型化に関する研究を紹介する.
著者
河村 正彌
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.349-352, 1939-08-01 (Released:2009-02-09)
参考文献数
2
著者
久我 隆弘
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1285-1291, 2000-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
21

量子論によれば,あらゆる物質は粒子としての性質と波動としての性質をあわせもつ.この二面性は光についてはニュートンの時代から,電子や中性子にっいては20世紀初頭から議論されてきた.事情は原子についても同様であり,実験条件さえ整えば波動性を確認できる.その一つの要素に,近年,著しい発展を遂げたレーザー冷却技術がある.すなわち,気体原子のような物質についても十分に冷却することで,その波動姓が顕著に現れる現象;を実験的に実現できるようになった.特に, 1995年に実現された気体原子のボーズ・アインシュタイン凝縮は,物質波がコヒーレントに重なり合ったものであり,光の世界でいうレーザーそのものである.本稿では,その原子波レーザーの臨単な紹介と,応用について議論したい.
著者
安井 伸太郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.673-677, 2023-11-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
23

リチウムイオン2次電池は我々の生活に欠かせないエネルギーストレージであるが,より安全に使用するという観点から全固体化が進められている.現在使用している有機溶媒を用いた液系リチウムイオン2次電池は製造プロセスを含めて最適化が進んでいるためにコストパフォーマンスに優れる.全固体化するにあたり液系に変わって使用するためにはさまざまなメリットが絶対的に必要となり,本稿では今までの電池作製とは全く異なる視点から開発した,厳重な露点管理が不要な大気ハンドリングできる全固体電池を提案したい.
著者
小寺 哲夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.713-722, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
120

多様かつ複雑で大規模な実問題を高速に解きうる誤り耐性型汎用(はんよう)量子コンピュータの開発が期待されている.その実現に向けては量子ビットの高忠実度と高集積度の両立が必要である.さまざまな物理系でその研究開発が進められており,半導体量子ビットも有力な候補の1つとなっている.本稿では,半導体量子ビットについて,基礎知識を概説した後,高忠実度化に関わる研究開発と,高集積化に向けたさまざまな取り組みや周辺技術の研究開発について,その世界的な動向を紹介する.
著者
折原 良平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.488-494, 2021-08-05 (Released:2021-08-05)
参考文献数
21

ディープラーニングをはじめとする人工知能技術の新たな適用先として芸術の創作が注目されており,絵画,音楽,文学などの分野で研究例がある.研究成果である計算機の「作品」の中には,オークションハウスにて高額で取り引きされたり,著名な美術館に展示されるような作品もあらわれている.こうした流れの中の1つの方向性として,すでにこの世に亡い芸術家の作風を機械学習し,その芸術家をほうふつとさせる作品の生成を試みるものがある.話題になったプロジェクトとしては,レンブラントや美空ひばりの例がある.現代日本を代表する芸術であるマンガにおいても,先ごろ手塚治虫の「新作」を生成しようとするプロジェクト「TEZUKA2020」が実施され,話題を呼んだ.本稿では,TEZUKA2020の概要と技術的背景を解説するとともに,人工知能技術を用いた発想支援の実践としての文脈からプロジェクトを評価する.
著者
栗田 一成
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.628-633, 2015-07-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
35

シリコンウェーハのゲッタリング技術は,半導体デバイスプロセスにおける重金属汚染,歩留まり改善のための技術として発展してきた.近年,携帯電話,タブレットなどのユビキタスデバイスへの高感度撮像デバイスの実装が進展している.これらの撮像デバイス特性は,デバイス工程での重金属汚染の影響を強く受けるため重金属の特性およびゲッタリング技術に関する検討が必要である.このため,撮像デバイスにおけるゲッタリング技術の最新トレンドについて概説し,筆者らが取り組んでいるクラスタイオン照射による近接ゲッタリング技術について紹介する.
著者
酒井 朗 碓井 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.774-779, 1999-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3

マスク材を表面に部分的に形成して成長を行う選択横方向成長方法により,転位密度の少ない高品質窒化ガリウムが得られた.成長手法として八イドライド気相成長を用いたが,成長初期の段階で安定なファセット構造が出現し,成長モードが変化することに対応して,転位がその伝播方向を変えることが断面透過電子顕微鏡観察で見い出された.窒化ガリウム中の転位構造とその挙動を詳細に観察し・選択横方向成長による転位削減機構を探る.
著者
清水 富士夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.182-185, 2002-02-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
15

物質波は急しゅんなポテンシャル変化に出合うと,インピーダンス不整合のために反射を起こす.中性原子が液体ヘリウム表面で受けるファンデルワールス引力による反射は十数年前より研究され,量子反射と呼ばれてきたが,最近,固体表面からの反射も観測された.この豊子反射は,通常の固体表面では微弱な現象であるが,表面近くの実効的な密度を減らすことで,実用的な反射型原子光学素子として使えるような高い反射率が得られることを示す.