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著者
岡 孝和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.265-269, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
9
著者
判田 正典
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.195-200, 2010-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12

超高齢化社会が近未来ではなく,すでに現実となった今日,高齢者医療の問題は切実である.介護疲れによる心身のストレスから介護者のうつ病の発症や高齢被介護者への虐待の増加などが社会的に大きな問題となっているように,心身医学的見地からも高齢者の心身医療の重要性は増大している.高齢者介護のメンタルケアの面から,介護キーパーソンの心身疲労度の把握を目的に,福岡県中部に位置する朝倉地区における介護支援利用者の介護キーパーソン35名(男性5名,女性30名,平均年齢71.4歳)に対し,利用者の日常生活自立度,介護キーパーソンの介護負担度,GDS(高齢者うつ尺度)などのアンケート調査を行った.高齢である介護キーパーソンの多くはうつ尺度が高く,心身疲労の状態にあった.今回の調査では高齢者介護において,介護キーパーソンを含めた介護家族への社会的メンタルサポートが重要であることが示唆された.
著者
岡部 健一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.225-228, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
3

本稿では一般内科医が行う吃音臨床を紹介する.筆者は自身が吃音者であり思春期以降,発語に対する不安と戦ってきた.自律訓練法や民間の吃音矯正所・連想療法・入院森田療法など思いつく限りの改善策を学生時代に試したが吃音自体を解消するものはなく,吃音の自助団体である全国言友会連絡協議会の活動の中で年月をかけて吃音では困らなくなった.内科医師として勤務しつつ2016年に念願の吃音相談外来を開設した.多くの吃音者と出会い「ありのままの自分を愛して,できないことは受け入れる」姿勢が大事だということを確信した.吃音には自分ではどうしようもない波とぶり返しがある.成人になってからではきわめて改善が困難であることから,小中学生以下ではいかに吃音を悪化させないようにするかに主眼を置くようになった.症状の程度にかかわらず社会的に困っていれば合理的配慮が受けられ,障害者手帳や年金受給も取得できる時代になってきたので,治すことばかりにとらわれず,吃音をもったままで生きていくことを勧めるようにしている.治さない,頑張らないことにシフトするとかえって吃音症状が改善することは多い.本稿を通じて吃音臨床に関心をもつ医師が増え,吃音患者がいつでもどこでも外来受診できる日が来ることを願っている.
著者
富田 吉敏 庭瀬 亜香 知場 奈津子 小林 仁美 若林 邦江 田村 奈穂 石川 俊男
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.635-643, 2011-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
13

心身症の治療は"心身相関の気づき"を促すことである.摂食障害患者の中には,感情,身体症状,食行動に過剰にとらわれる人たちがいて,おおむね治療への意欲に欠け,抵抗が強い.さらにその中で,発言内容が冗長・緩慢,被害的で疎通が悪く情動不安定などの特徴をもち,内省困難で,"心身相関の気づき"が得られにくい症例がある.心理社会的背景では,社会不適応,学業不良,保護者の無理解など生育環境に問題を呈する,などの特徴をもつ場合が少なくない.当科受診患者(外来および入院)の中で,上述の特徴をもち,同意が得られた症例でWechsler成人知能検査第3版(WAIS-III)を施行した.結果はFIQ55〜79と軽度〜境界域の知的能力に相当する症例が目立った.治療法では,薬物療法の併用,短期入院の繰り返し,家族参加などが有効と思われるが,認知変容は困難であった.
著者
網谷 東方 網谷 真理恵 浅川 明弘 乾 明夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1013-1022, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1

悪液質がもたらす栄養不良には, 食欲不振が大きく影響している. さらに, 炎症性サイトカインに誘発される全身の炎症反応による代謝異常のため, 骨格筋分解の亢進, インスリン抵抗性, 脂質分解の亢進などの同化障害と異化亢進された状態にある. この代謝障害が高度になり, 悪液質のステージが, “前悪液質 (precachexia)”, “悪液質 (cachexia)”, “不応性悪液質 (refractory cachexia)” と進行すると, 栄養補給を行っても有効に同化することができず, 栄養不良は不可逆的な状態になる. そのため, 悪液質のステージを評価し, 適切な栄養管理を行うことが重要となる.
著者
武田 大輔
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.22-29, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

既存の臨床心理学をスポーツ現場に適用するだけでなく, 心理臨床学の考えを中軸に置く実践者かつ研究者によって, アスリートの心理支援の実践と研究が継続されてきた. それは日本独自の特徴をもった臨床スポーツ心理学として誕生し, 領域横断的な研究および実践を目指す領域である. アスリートが体験している身体は, 心の深層にある内的課題と密接に関係している. 競技に関わる主訴をきっかけに始まる心理相談では, アスリートは自らのパフォーマンスや身体に関することを語る. その語りの変化は彼らのアスリートとして, あるいは全人的な成熟に関連することが示唆されている.
著者
岡田 尊司
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.379-383, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
8

In recent decades, an increasing number of new psychotic and psychosomatic disorders have affected patients and therapists. These include chronic depression, borderline personality disorder, eating disorders, various types of addictions, dissociative disorders, ADHD, chronic pain disorders, and other psychosomatic disorders. All share a common feature ; they are all reportedly associated with insecure attachment and can be called “attachment-related disorders.” Attachment is physiologically based on the oxytocin system, and its dysfunction causes persistent and serious problems. According to the common medical model, doctors diagnose disease based on symptoms and alleviate symptoms by curing the disease. However, this model often fails in attachment-related disorders. This is because (1) people treated as patients are not always true patients ; (2) symptoms are not always true problems and offer shelters ; and (3) as symptoms and diagnoses change depending on the situation and developmental stage, the long lists of categorical diagnoses only confuse treatment. However, when one sees what is happening from the viewpoint of attachment, a clear understanding is gained. The fundamental problem underlying variable symptoms is dysfunction of the oxytocin system owing to damaged attachment. Therefore, it may be appropriate not to treat symptoms but improve insecure attachment, such as by improving the relationship with parental figures. I named this hypothesis “attachment model” and the treatment approach based on this model “attachment approach.”I have worked at the Kyoto Medical Training Center for Juvenile Delinquents for 20 years. Most inmates suffered insecure attachment, and difficulties doubled or tripled with psychotic and somatic diseases, amphetamine addiction, family problems, and crimes. However, the common medical approach was almost ineffective. Nevertheless, some patients overcame these difficulties and retrieved themselves by restoring their relationships with their parental figures.The aim of the attachment approach is to support parents as a safe base for their children and heal the damaged relationships between them. Counseling, cognitive work, skill training, and medications are sometimes applied to parents. This approach often causes significant changes. It is desirable to continue support even after a good relationship has been restored.Another attachment approach was developed for those who could not expect parental cooperation but wished to overcome insecure attachment by themselves. Programs composed of psychoeducation, cognitive and mentalization training, mindfulness, daily tasks, and homework were offered. Through step-by-step cognitive and practical exercises, the participants learned to observe things apart from their own viewpoints. Among the 93 patients who participated in more than ten sessions, 94% showed some improvement. However, there have been a few cases of deterioration. Although the evidence level is limited, considering the difficulty of these problems, this result provides hope.
著者
菅原 彩子 小原 千郷 関口 敦 西園マーハ 文 鈴木 眞理
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.241-250, 2023 (Released:2023-05-01)
参考文献数
27

摂食障害患者の未受診や受診中断の理由や,受診していない患者の支援ニーズを把握することは喫緊の課題である.摂食障害患者の受診を促す要因の解明を目的にWeb調査を実施し,被援助志向性が受診行動に与える影響と,未受診者や受診中断者が病院受診の際に求める情報・支援を検討した.対象は患者264名(30.6±9.6歳),家族115名(49.5±10.8歳)であった.病型は神経性やせ症(AN)155名,神経性過食症(BN)98名,過食性障害(BED)45名,回復74名,不明7名であった.通院状況は未受診64名,受診中断143名,通院中169名,その他3名であった.患者の被援助志向性では通院状況や病型における有意差は認められなかった.未受診者では,近くの精神科・心療内科の情報へのニーズが高く,摂食障害の情報提供や専門治療へのニーズが低かった.以上より身近な医療機関の情報提供,スティグマの軽減のための啓蒙,医療体制構築の重要性が示唆された.
著者
丸岡 秀一郎 村上 正人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.130-135, 2013-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
28

アレルギー疾患の代表的疾患である気管支喘息は,さまざまな環境因子の影響を受けている.ハウスダストダニ抗原やゴキブリ抗原などに代表されるアレルゲンだけではなく,抗原性をもたない環境因子(細菌,オゾン,ディーゼル排気粒子,ウイルス感染,煙草など)も,その免疫賦活作用(アジュバント効果)により病態形成に関与していることが知られている.環境因子を介するエピジェネティクスは心理社会的ストレスも加味されてアレルギー性気道炎症を惹起して気管支喘息の発症に関与しているとされる.心身医学的側面については過去に多くの研究がなされてきたが,いまだその詳細なメカニズムについては不明な点が多い.本稿では,最新の文献をもとに環境ストレスと気管支喘息発症のメカニズムについて心身医学的側面から考察する.
著者
豊福 明
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1020-1025, 2014-11-01 (Released:2017-08-01)

顎関節症という疾患概念は,顎関節部の疼痛,関節雑音,開口障害を伴う慢性疾患の臨床診断名として使用されてきた.口腔外科領域では外来患者の約10〜15%と比較的頻度が高い.頭痛・頸部痛や肩こり,耳鳴りなど多彩な周辺症状を伴う患者も多い.線維筋痛症や慢性疲労症候群などとの合併も多い.本症の原因はいまだ解明されたとはいえないが,従来重視されてきた咬合(歯の咬み合わせ)の関与は否定されてきている.にもかかわらず,咬合と顎関節症状や周辺症状とを関連づけ,歯科治療の泥沼に陥るケースはいまだに後を絶たない.顎関節症そのものより咬合関連の愁訴のほうが大きな問題になることがはるかに多い.羮に懲りて膾を吹くように,咬合は「最も歯科的な症状」であるにもかかわらず,当の歯科医師が過度に敬遠する風潮が蔓延している.従来型診断では神経症圏に包含されたであろうこれらの患者は,歯科と精神科の間で譲り合いが続いている.医療システムより,これらの患者を誰が責任をもって診療するかの問題であるように思われる.
著者
鈴木 裕也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.595-599, 1996-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

神経性食欲不振症や神経性過食症の経過中にてんかん様の痙攣発作が観察されているが, その発生機序は不明のままであった。今回, 過食嘔吐後にてんかん大発作を来した神経性過食症(DSM-III-R)の1女性例を呈示した。発作時の血糖値は46mg/dlであった。過食後のIRI値が血糖値に比し高く, 嘔吐後に反応性低血糖が起こり, カテコールアミンやグルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの反応はみられないことが原因と考えられた。低血糖発作のあと翌朝まで続く遷延性の頭痛が観察された。本例は神経性過食症にみられる痙攣と過食嘔吐後の反応性低血糖との因果関係を示した最初の報告例である。
著者
扇谷 昌宏 加藤 隆弘 細井 昌子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.390-393, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
17

脳細胞の一種であるミクログリアは,微小な環境変化に敏速に反応し,貪食やサイトカイン産生などを行うことで脳内免疫応答の中心として機能している.また,その機能不全や異常活性化がさまざまな病態に関与していることが示唆されている.慢性疼痛は,単なる痛みだけの疾患ではなく,人間(ヒト)に特有の多面的な疾患ともいえる.このヒト特有の疾患を研究するためには,当然ながらヒトの細胞を用いて実験する必要がある.しかし,そのハードルはきわめて高い.われわれは末梢血中の単球からミクログリア様細胞(induced microglia-like cells:iMG細胞)を作製する技術開発に成功した.iMG細胞は,単球にGM-CSFとIL-34の2種類のサイトカインを添加して2週間培養するだけで作製することが可能である.iPS細胞と異なり,遺伝子組み換えの操作を行わない化学誘導によって作製が可能なため,簡便で安全性が高く,一般臨床施設においても作製が容易である.われわれはこのiMG細胞を用いて那須・ハコラ病や双極性障害といった疾患におけるミクログリア異常を報告してきた.本稿では,われわれの開発したiMG細胞のトランスレーショナル研究ツールとしての有用性と可能性についてこれまでの結果を報告し,線維筋痛症を対象としたトランスレーショナル研究の実際を報告する.
著者
有村 達之 岡 孝和 松下 智子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.745-754, 2012-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
6

目的:失体感症を評価する質問紙である失体感症尺度を開発し,信頼性と妥当性の検討を行った.方法:415名の大学生を対象にして,失体感症尺度予備尺度およびToronto Alexithymia Scale-20(TAS-20)への記入を依頼した.結果:項目分析により「体感同定困難」「過剰適応」「体感に基づく健康管理の欠如」の3つの下位尺度,合計23項目からなる失体感尺度が開発された.失体感症尺度は,総得点および下位尺度のいずれにおいても,内的整合性が高く(α=0.70〜0.84),再検査信頼性も十分であった(r=0.71〜0.81).失体感症尺度の総得点と下位尺度は,そのほとんどがTAS-20と有意に相関していた.結論:失体感症尺度は失体感症を評価するためにはじめて標準化された質問紙である.大学生における信頼性は高く,ある程度の妥当性も示唆され,失体感症の研究や臨床応用に有望な心理テストであると考えられる.
著者
南 雅文
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.910-915, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
12

ヒトを含む哺乳類は, 危険な場所や時間帯において, また, 疾患や傷害を患った際に, 自らの行動を抑制し周囲に対する警戒を高めることで身を守る生体防御システムとして, 抑うつや不安などの陰性情動生成機構を獲得・進化させてきたと考えられる. したがって, うつ病や不安障害, 心身症のメカニズムを理解するためには, 生体防御システムとしての陰性情動生成機構を明らかにしたうえで, 患者や病態モデル動物における神経機構の変化を解析することが必要である. 筆者らは, 分界条床核と呼ばれる脳部位に着目して研究を進め, CRFやノルアドレナリンによる分界条床核2型神経細胞活性化が, 3本のGABA神経を介して腹側被蓋野ドパミン神経を抑制することで痛みによる陰性情動を生成する可能性を示してきた. 分界条床核を起点とする神経回路が, 痛みによる陰性情動とうつ病などの精神疾患, さらには, 心身症に共通する神経基盤として重要である可能性が考えられる.
著者
細谷 律子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.773-781, 2004-10-01 (Released:2017-08-01)

'かゆみは掻破を引き起こす不快な感覚であり, かゆみの程度(自覚症状)は掻破を介して皮膚症状(他覚所見)に反映される. かゆみは掻破を引き起こし, 皮膚症状を悪化させる. しかし, 両者は必ずしも相関関係にはない. 慢性, 難治化したアトピー性皮膚炎の患者は掻破が習慣行動となっており, ストレスを強化因子として強迫的あるいは儀式的に行われていることが少なくない. 皮膚の状態に比してかゆみが強くないことも多い. 一方, 皮膚の状態に比して強いかゆみを訴えていることがある. かゆみに対する強迫観念が強い場合や, 皮膚炎の存在が, 現実の課題から逃避する理由になっている場合(疾病利得)などである. 自覚的な訴えと他覚的皮膚症状の解離現象は, 治療における心理的介入の必要性を示唆していることが多い. 森田療法的アブローチにより, 不全感の強いライフスタイルをあるがままのライフスタイルに変換することををめざす. ライフスタイルの変換はおのずと皮膚に執着した(とらわれた)感覚, 行動の解放を促し, 解離を減少させるとともに皮膚症状の改善につながる.
著者
塚野 佳世子 山﨑 千佳 津久井 要 佐貫 一成
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.167-175, 2022 (Released:2022-03-01)
参考文献数
17

長期間社会との関係をもたない「ひきこもり」は,現在大きな問題となっている.医療におけるその支援過程に関する報告はいくつかあるが,親と死別している症例で,生物心理社会的アプローチを統合的に論じた報告は,われわれの知る限りない.今回,35年間自宅にひきこもっていた49歳女性が,母親の死後,極度の低体重をきたし心療内科を受診し,入院治療の後,地域生活につながった症例を経験した.背景には自閉スペクトラム症が疑われた.安心感を促すために,簡潔に穏やかに話しかけ,メッセージを視覚化した.食事療法による身体的治療のみならず,生活技能の習得と喪の作業,そして地域での生活環境の調整が有用であった.ひきこもりへの支援は,身体的治療に加えて,心理社会的な支援が必要である.そして患者が安心できる環境を提供することがきわめて重要である.
著者
石崎 優子 大池 ひとみ 井原 ちひろ 石崎 達郎 浅野 孝子 内田 栄一 渡辺 東也 降矢 英成 葛西 浩史 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.323-329, 1995-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

We performed a psychological approach on an adult female with nocturia to facilitate her recognition of motherhood and found that her clinical symptoms improved. A 32-year-old female with nocturia has had problems, which are anxiety about separation from mother, discomfort of relationship between her husband and her and immaturity of motherhood. Treatment has included medication, counseling, transactional analysis, autogenic training and a psychological approach to facilitate her recognition of motherhood, and after 1 year her nocturia has gradually decreased. We have also noted that the improvement in her symptoms has been accompanied by a changed image of motherhood. We conclude that observating images of motherhood is a useful element for understanding the psychosomatic problems involved in these cases and evaluating the efficacy of treatment.