著者
石井 実
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.61-62, 1993

Last-instar larvae of the bamboo zygaenid, <I>Balataea huneralis</I> were collected in Kyoto city in early December, 1984 and reared under 16- and 12-hour photoperiodic conditions of 20&deg;C. Results of the experiments strongly suggested that this zygaenid passes the winer in diapausing prepupae in Kyoto city.
著者
田口 裕美 鈴木 啓史 黒田 克利
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.53-59, 2012 (Released:2012-09-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

イチゴ炭疽病に登録されている12種類の殺菌剤をイチゴ苗に散布した後菌接種し,その防除効果から有効な殺菌剤を選抜した。2010年,2011年のイチゴ苗接種試験の殺菌剤散布7日後菌接種で,マンゼブ,プロピネブ,キャプタンの防除効果が高かった。さらに,2010年はアゾキシストロビンと有機銅が,2011年はフルジオキソニルの防除効果が高かった。一方,殺菌剤散布10日後菌接種で効果の高い殺菌剤はフルジオキソニルのみであった。 圃場試験の結果,マンゼブ,プロピネブ,キャプタン,有機銅の7日間隔の防除体系が,最も効果が高く,さらに27日後の枯死株率も7日間隔が最も低かった。 以上の結果から,イチゴ炭疽病に対する防除体系は,マンゼブ,プロピネブ,キャプタンを中心に7日間隔でローテーションを組み,有機銅,フルジオキソニルを臨機防除とすることが有効と考えられた。
著者
井村 岳男 玉井 喜文 鳥居 名実子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.173-174, 2020-05-31 (Released:2020-09-01)
参考文献数
8

Nine insecticides were used as treatments against cucumber moth larvae on cucumber leaves. At three days after treatment, all insecticides were found to have high toxicity at commercial concentration, but flubenziamide, chrorantraniliprol, and acetamiprid were found to have low toxicity at 1/10 of commercial concentration. These results suggest that cucumber moths exhibit low susceptibility to two diamides.
著者
田中 寛 保田 淑郎 柴尾 学
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-9, 2015

関西国際空港において1994~97年に一期島(生息可能面積 143 ha),2007年に二期島(同 139 ha)でトノサマバッタが大発生し,群生相に特有の黒色とオレンジ色の2色の幼虫が認められた。調査は主にライントランゼクトおよびコドラート法により,管理はMEP 乳剤の散布により行った。1994~97年の推定生息個体数の最大値は1,338万個体で,天敵糸状菌<i>Entomophthora grylli </i>の発生とともに1997年に大発生が終息した。2007年の推定生息個体数の最大値は3,884万個体で,同じく<i>E. grylli </i>の発生とともに2007年7月に大発生が終息した。大発生の原因は,埋め立てにより出現した天敵不在の生物環境下に移入した成虫が数世代激しく増殖したことにあると考えられる。トノサマバッタの群生相集団は一期島,二期島とも島の北西部に偏在する傾向が認められ,この原因は6~9月の南ないし南西の風によるものと考えられる。関西国際空港においてトノサマバッタの生活史は主として年2化であり,卵だけでなく成虫,幼虫についても越冬が確認された。2007年の大発生時には効率的な調査および管理のための基本戦略を設定した。すなわち,①迅速な調査,②結果の地図化による全体把握,③高密度地点から低密度地点へと順に行う防除,④次回調査による防除効果の的確な評価(=①),⑤「①~③」の繰り返し,⑥天敵保護を目的とした低密度地点における薬剤散布の抑制,の6点とした。この戦略にしたがってMEP 乳剤により防除したところ,2007年6月9~11日に3,884万であった推定生息個体数は6月19日に14万に急減した。以上の結果,一期島,二期島におけるトノサマバッタの大発生は適切に管理され,航空機の運航に支障はなかった。
著者
奥谷 禎一 吉岡 英二
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-3, 1983
被引用文献数
1

ナメクジ類が硫酸銅を忌避するといわれていたが濃度などについて研究は行われていなかった. われわれはチャコウラナメクジが銅板及び硫酸銅を用い忌避効果をたしかめ, 銅板では巾20mm以上, 硫酸銅では10mM以上を必要とすることを明らかにした.
著者
杉本 琢真 吉田 晋弥 相野 公孝 大西 稔治 塩飽 邦子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.93-96, 2003-05-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11

Using the agar medium inoculation method, three isolates of Phytophthora sojae were tested for virulence on six cultivars. In about 10 days, they were classified into race A, B or H, respectively. That period was from 14 to 19 days earlier than the conventional flooding inoculation method. Our proposed new method is available for the pathogenic test of Phytophthora sojae.
著者
大谷 洋子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.71-76, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
13

トマト青枯病菌に対する土壌還元消毒の新規資材として,糖含有珪藻土または糖蜜吸着資材を用いた場合の処理条件について検討した。両資材とも,土壌に対して重量比で 1%以上混和して土壌還元消毒処理すると,青枯病菌に対して対照の廃糖蜜 0.6%処理に優る効果が得られることが示唆された。また,20~50°Cの範囲では温度が高いほど還元が進んだ。和歌山県で7~8月に施設内で土壌消毒を実施すると,地下 30 cmでは 40°C以上を12日間維持できた。一方,地下 40 cmでは,みなべ町では処理開始13日後以降 40°C以上を維持したが,海南市では 40°Cに達することはなかった。これらのことから,地下 30 cmより浅い層では高地温による菌密度低減と還元による菌密度低減が併せて起こり,地下 30~40 cmより深い層では溶出した糖含有珪藻土および糖蜜吸着資材の成分による還元が起こって菌密度が低減することが期待される。
著者
Kandai Yoshida Shunsuke Asano Yuka Sumikawa
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.79-84, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
11

In 2017, chrysanthemum downy mildew, which has not been reported in Japan since 1980, severely affected chrysanthemum production in Nara Prefecture, Japan. We investigated the occurrence of the disease at the fields in Nara Prefecture and the control efficacy of thermotherapy and fungicides against it. In the field survey, over 95 % of plants were diseased in seven cultivars, while no plants with the symptoms were observed in the other six cultivars. This suggests that some chrysanthemum cultivars had resistance to downy mildew. Chrysanthemum cuttings were treated with thermotherapy (treatment with hot water and hot air). The disease prevalence in both treatments was significantly lower than that in the non-treated. Severely diseased plants were sprayed with three fungicides (azoxystrobin, manzeb, and tolfenpyrad). While azoxystrobin and manzeb reduced the disease severity compared with non-treated, its efficacy was not so high. We concluded that the use of resistant cultivars and the application of thermotherapy can effectively control chrysanthemum downy mildew.
著者
Shunsuke Asano Yoshihiko Hirayama Isao Takenaka Terufumi Naka
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.69-74, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
21

Spotted wilt disease caused by Tomato spotted wilt virus (TSWV) is one of the most important diseases affecting the production of bulbs and cut flowers of Dahlia variabilis in Japan. In Nara Prefecture, the main vector species of TSWV were thrips Frankliniella intonsa and Frankliniella occidentalis. The number of F. intonsa and F. occidentalis captured using blue sticky traps increased in late June and mid-May, and peaked in early July and late May to early June, respectively. TSWV viruliferous F. intonsa and F. occidentalis occurred throughout almost the entire production period in bulb production fields. TSWV might be transmitted by thrips, and the infection rates in dahlias reached up to 80% in a cut flower field. However, the use of insect proof nets greatly decreased the infection rates. In addition, the removal of dahlias with TSWV symptoms effectively decreased the rates of diseased plants. To prevent the spread of TSWV, it is important to prevent invasion of thrips using physical barriers. In addition, removal of the source of infection is an effective way to reduce the occurrence of disease.
著者
小澤 朗人 内山 徹 亀山 阿由子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.113-116, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
11

We estimated the density of shoot blight from Pestalotiopsis longiseta and rolled leaves produced by Adoxophyes honmai or Homona magnanima in tea fields using a direct counting method based on aerial photography from a multirotor-type drone. We used a DJI Phantom 4 to conduct aerial photography of shoot blight and rolled leaves. We then counted the densities of both the diseased and rolled leaves in-situ. We examined the aerial photographs on a LCD, and identified and counted the densities of both the diseased and rolled leaves. The relationship between the densities of shoot blight counted using the LCD and in-situ was R2 = 0.69 and 0.76, respectively. The accuracy of estimation using the LCD was about 80%. These results suggested that estimation of the density of shoot blight based on aerial photography was effective. For the rolled leaves, the accuracy of counting using an LCD increased to about 60% from <40%, after comparing to the first count.
著者
德丸 晋 桑原 大樹 久下 一彦
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.37-40, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
14

ピリフルキナゾン水和剤のネギアザミウマおよびネギえそ条斑病に対する防除効果について露地ネギ栽培ほ場において調べた。その結果,ピリフルキナゾン水和剤を3週連続で散布した区では,ネギアザミウマの成虫および幼虫の発生は無処理と比較して有意に少なく,被害度を無処理区の約2分の1に抑えた。ネギえそ条斑病の発病葉率は 0.7~2.4%の範囲で抑えられ,20株あたりの発病葉数は,無処理区の約5分の1から約3分の1に抑えられ,ともに有意な差が認められた。さらに,20株あたりのえそ条斑数は,無処理区の約3分の1に抑えられ,有意な差が認められた。
著者
川上 拓 鈴木 啓史 中嶋 香織 礒﨑 真英 黒田 克利
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.15-22, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

耐性菌の発生動向を把握し,それに応じた効果的な防除を行うことを目的に,県内トマト栽培圃場において,2015年作~2017年作にかけて灰色かび病菌を採取した。得られた菌株の主要殺菌剤に対する感受性を培地検定法および生物検定法により評価し,耐性菌の発生動向を調査した。また,当該殺菌剤の散布と耐性菌発生との関係性について解析した。調査圃場のうち,ほぼ全ての圃場で耐性菌発生リスクの高いQoI剤,SDHI剤耐性菌を確認した。これら耐性菌については,当該殺菌剤の散布がある場合,散布がない場合と比較し発生が多い傾向にあった。一方,耐性リスク中程度の殺菌剤であるメパニピリム剤,リスク低~中程度の殺菌剤である,フルジオキソニル剤については,散布回数が多かったにもかかわらず,調査期間を通じて耐性菌が確認されなかった。これら主要殺菌耐性菌の発生動向は,FRACの定義する耐性菌発生リスクと概ね一致する結果であった。また,本調査において,耐性菌の発生が全体的に少なかった圃場では,TPN剤のような保護殺菌剤の使用およびローテーション散布が徹底されており,これら保護殺菌剤を含めた効果的な防除が重要であることが示唆された。以上より,感受性モニタリングは,FRACの耐性菌発生リスクに基づき,耐性菌対策の実践効果の検証のために,必要な殺菌剤や圃場に限って実施することが現実的であると考えられた。
著者
福島 正三 梶田 泰司
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-20, 1962-02-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
12

1. 本実験はモンシロチヨウの発育期間中における酸素消費量, 含有水分量および脂肪量の季節的変化をしる目的で行なわれた. 供試材料は実験室で飼育した第4令幼虫および発育中期のさなぎ, ならびに室内のものと発育程度のほぼひとしい野外より採集の幼虫およびさなぎである.2. 1959年における調査によると, 岐阜市近郊におけるモンシロチヨウ成虫は春から夏にかけて多発するが, 盛夏にはとばない. しかし秋にはふたたび出現するが, 個体数は春におけるよりも少ない.3. 室内外の幼虫の酸素消費量にははつきりした季節的変化はみられないが, 夏季にいくぶん低下の傾向を示す. 一方さなぎの消費量は材料のいかんにかかわらず夏に増加し, 秋から冬にかけて減少する. しかし1月以降の消費量は多くなつている.4. 野外採集幼虫の含有水分率は9月にかなり低下するほかは, 一般に幼虫, さなぎとも春秋において夏より低い. このうち, キヤベッ畑より採集のさなぎの水分率は9月以降翌年の3月までゆるやかに低下する.5. 材料のいかんにかかわらず幼虫およびさなぎの含有脂肪率は夏季において低率を示す. そして秋にむかつて高率となるが, 幼虫の脂肪率は晩秋にふたたび低下の傾向を示す. しかし越冬さなぎのそれは秋末より漸次高くなるが, 12月以降はあまり変化せず, 2月にいたつてやや低下する.6. 休眠発育の進んださなぎの酸素消費量は温度にあまり影響されないが, 休眠深度の浅いものではかなり影響をうけるようである.7. 羽化前の高湿はさなぎの発育を遅延させるようである.8. 温度以外に1日当たりの明時間の長短が含有脂肪量にかなり影響するようである.9. 寄生バエによるモンシロチヨウの被寄生さなぎと健全さなぎの含有脂肪量にはほとんど差がみとめられない. また寄生バエさなぎとモンシロチヨウの健全さなぎとの問においても同様なことがいえる.
著者
太田 泉 本多 健一郎
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.107-109, 2011 (Released:2011-09-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Sitobion akebiae is a promising alternative host aphid using a banker-plant system of Aphidius gifuensis. This study was conducted to evaluate the effect of host plant species and varieties on population growth of S. akebiae. Barley, wheat, oats and rye were tested in this study. The population increase of S. akebiae were lower on seedlings of the barley variety ‘Shunrai’ than other plants. But S. akebiae successfully increased on the matured plants with ears of ‘Shunrai’. These results suggest that young seedlings of the barley ‘Shunrai’ should be useless for host plants of S. akebiae.
著者
河野 勝行 飯田 博之
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.3-6, 2013 (Released:2013-09-01)
参考文献数
6

キャベツほ場におけるウヅキコモリグモの個体群密度調査において,落とし穴トラップ法と見取り法の間で,両者の傾向の違いを比較した。同時並行的に行われた落とし穴トラップ法による週あたりトラップ当たりに換算した捕獲個体数と見取り法によるキャベツの畦 5 mあたり2条あたりに換算した目撃個体数の間には相関が認められない場合が多かったが,それぞれの調査期間中の平均値と最大値の比率は 1:2 を超えなかった。したがって,そのほ場において環境保全型農業が行われているのかどうかを,ウヅキコモリグモの個体群密度がある一定レベル以上にあるかどうかで判断する場合,これらの換算法を用いることにより,栽培期間を通した平均値を両調査法の間で比較することがある程度可能であると判断された。
著者
神谷 克巳
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.139-141, 2015-05-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
11

The diamondback moth (Plutella xylostella) is a serious pest to many cruciferous vegetables. Several entomopathogenic fungi were collected from the larvae of P. xylostella from fields in Gifu prefecture, Japan. We obtained four isolates of the entomophthoralean fungus, Erynia blunckii, which was considered a major natural enemy to P. xylostella in Japanese radish fields in Takasu, Gifu. The character of the fungus as a biocontrol agent was investigated. These isolates showed over 20 times higher conidia production than Zoophthora radicans isolates obtained from Takasu. A dose mortality assay on the E. blunckii isolate T10A showed that the LC50 value for 4th instar larva was 3.73 conidia/mm2.