著者
上嶋 宏 三浦 孝夫 塩谷 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.137-144, 2004-02-01
被引用文献数
2

本論文では,同義語,多義語を用い,単語のもつ意味のあいまい性を考慮した文書分類を提案する.本論文での文書分類は,シソーラスと単語がもつ複数の意味の使用頻度を用いる.これらを考慮することにより単語のもつ意味のあいまい性を排除し,分類精度を向上させる.本論文ではワードネットを用いて実験を行い,82%を超える高い分類正解率を得たことを示す.
著者
森野 比佐夫 後藤 敏行 田村 直良
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J85-D1, no.5, pp.402-410, 2002-05-01

点字楽譜は一般には五線譜として2次元的に表記される音楽情報を,点字を用いて表現するものである.本研究では,点字楽譜から五線譜を生成するための機能実現の第1段階として,点字楽譜の自動解析手法について検討を行った.点字楽譜を言語として見る場合,音符や曲想記号他の楽譜上の音楽情報を単語とする文と見ることができる.点字楽譜を計算機で解析するにあたって,単語(終端記号)が区切り記号のない不定長であり,単語に多義性があること,複数の修飾状態が交差することなど言語的な煩雑さを含むという問題がある.本論文では,点字楽譜のもつ問題や特殊性について議論するとともに,点字楽譜を文脈自由文法に基づく人工言語としてとらえ,言語処理の枠組みを用いた解析手法を提案する.更に,実際の点字楽譜を用いた評価実験の結果について報告する.
著者
服部 正典 長 健太 大須賀 昭彦 一色 正男 本位田 真一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J86-D1, no.8, pp.543-552, 2003-08-01

ユビキタス環境において状況依存型のコンピューティング環境をすることを目的とした「ユビキタスパーソナライズエージェント」について述べる.本技術はユビキタス環境において収集が可能となる様々なユーザ関連データやイベント情報からユーザの状況を自動認識する「状況認識エージェント」とユビキタス環境に存在する各種デバイスとサーバシステム間でパーソナライズに関する処理の適切な分散を実現する「軽量知的モバイルエージェント」によって構成される.本論文では特にモバイルエージェント適用の効果に関して,実証実験を通した評価を実施することでその有効性の確認と考察を行う.
著者
砂山 渡 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.146-154, 2001-02-01
被引用文献数
12

近年, インターネットの普及に伴って文書の電子化が進んでいる.しかし, 我々がそれら文書のすべてに目を通すことは, 肉体的にも時間的にも困難である.それゆえ各文書の内容を端的に表する要約が, 必要な文書の取捨のために有効となる.そこで本論文では独自の方法によって重要文抽出を行う展望台システムを提案する.このシステムは, 文章の全体を見通した上で文章を特徴づけるキーワードを発見する.特徴キーワードは文章の主題と密接にかかわりのある単語として抽出されるため, 有効な重要文抽出に役立てられる.
著者
永見 健一 松嶋 聡 菊池 豊 中川 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.572-579, 2004-05-01
被引用文献数
4

インターネットやインターネット技術を用いた企業網が多数使われるようになり,ネットワークの信頼性の向上が望まれている.インターネットを提供するISP(Internet Service Provider),企業網等に使われるVPN事業者などは,ユーザヘの提供ネットワークの監視を行うことにより,機器や回線故障などを迅速に検出し,ネットワークの信頼性を向上させている.従来の典型的なネットワーク監視は,SNMPやICMPを用いて,ネットワーク監視端末から機器への到達性を見ている.しかし,ネットワーク内で転送されるユーザのパケットは,機器や回線の故障だけではなく,経路情報の誤りによっても目的地に到達できない.そこで,ネットワーク監視は,機器や回線故障だけではなく,経路情報も監視する必要がある.本論文では,単一組織が管理するAS内部の経路情報であるOSPFに着目し,経路情報監視システムを提案・実装した.この実装を複数のネットワークに接続し,そのネットワークの経路情報の安定度を測定し,経路情報の監視が重要であることが分かった.更に,典型的なネットワーク監視では観測されない経路情報の問題点を検出し,その問題点を解決することで,ネットワークの安定性を向上した例を述べる.
著者
小西 達裕 鈴木 浩之 伊東 幸宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.682-692, 2000-06-25
被引用文献数
8

本論文では, プログラミング演習における教師支援を目的として, プログラム理解技術の応用により学習者のプログラムを自動的に評価する手法を提案する.学習者プログラムの評価はプログラムの正誤だけではなく, 教師が演習問題を出題する際の教育目標を満たすか否かに基づいて行う必要がある.そのためにまず, 教育目標は演習問題の解答プログラムの標準アルゴリズムとして表現可能であることを示し, その具体的表現手法として拡張PADを提案する.拡張PADは処理順序の任意性やある機能の実装方法の任意性を陽に表現できるため, 教師が記述の詳細度を教育目標に応じて調整できるという特徴がある.次に学習者プログラムと拡張PAD形式で記述されたアルゴリズムの照合手法を提案する.最後に提案した手法に基づいて試作システムを構築し, 初等プログラミング演習のモデルコースを想定してシステムの実用性に関する評価実験を行った結果を報告する.
著者
星合 隆成 柴田 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1001-1012, 2000-09-25
被引用文献数
18

本論文は, 御用聞き型情報提案が可能な自律分散照合環境(Autonomous Decentralized Comparison Environment: ADCE)アーキテクチャを提案する.御用聞き型情報提案とは, コンテンツプロバイダが自身のコンテンツにふさわしいエンドユーザに対してのみ, 直接, コンテンツの提案を行うことが可能な提案方式のことをいう.一方, 自律分散照合環境は, 自律分散型の照合ネットワーク(コンテンツ紹介情報流通網)であり, エンドユーザとコンテンツプロバイダが, 互いの存在を知らない状況において, コンテンツ紹介情報を取得したり, 告知できるネットワーク環境を提供する.なお, 自律分散照合環境は, 御用聞き型情報提案ばかりでなく, 従来型の問合せ型情報提案にも有効である.また, 本論文では, 御用聞き型情報提案と自律分散照合環境の効果を定性的に示す.更に, 自律分散照合環境の性能評価モデルと性能解析式を示し, これにより, 自律分散照合環境が高いスケラビリティを有することを明らかにする.
著者
土肥 拓生 吉岡 信和 田原 康之 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1299-1311, 2005-09-01

近年, ネットワークの拡大に伴い情報の流通速度の高速化が進んでいる. それに伴いソフトウェアが扱うべきデータも大量・複雑になり, 環境の変化に対する変更も頻繁に生じるようになってきている. そのため, すべてを人間が把握した上で処理することは難しくなり, それを補うために自律性・協調性などの人間的な要素がソフトウェアにも求められるようになる. そして, マルチエージェントシステムはこのようなソフトウェアに対する解決策の一つとなる. マルチエージェントシステムにおいて重要な要素の一つは協調性, すなわち, インタラクションである. しかしながら, 既存の実装言語では表現力が不足しており, インタラクションの設計と実装の隔たりが大きい. そこで, 本論文では, インタラクションを実装するために必要な要素を検証するとともに, その理念に基づいて設計したインタラクション記述言語IOM/Tを提案する. IOM/Tを用いることにより, 設計をもとにインタラクションを開発することが容易になる.
著者
土本 康生 三川 荘子 大川 恵子 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.855-863, 2004-09-01

社会基盤として定着したインターネットは,広帯域化を進め,新しいアプリケーションが登場し,常に発展を続けている.このような状況においてディジタルデバイドが存在する地域がある.その地域に対して政府開発援助や民間資金により支援が行われているが,それらの援助は一時的なものであり,常に進化し続けるインターネットに対して,ディジタルデバイドを根本的に解決していない.そこで,ディジタルデバイドを解決する手法として情報通信基盤構築と人材育成を密接に連携させて行うブリッジインセンティブモデルを提案した.ブリッジインセンティブモデルは,(1)利用する技術に注目しディジタルデバイドが存在する環境を明確化し,(2)ディジタルデバイドが存在する環境間を先端インターネット技術を用いて相互接続し,(3)最先端のアプリケーションを利用できることをインセンティブとして情報通信基盤構築と人材育成を行う.また,ディジタルデバイドの解消に向けてブリッジインセンティブモデルに従ってSOIASIAプロジェクトを実施した.活動は,A)ディジタルデバイドが存在する日本と東南アジアの間で人工衛星回線を用いて情報通信基盤を構築し,それらを管理する人材の育成として,B)基礎知識獲得支援,C)実戦訓練プログラム,D)先端インターネット技術プログラムを実施した.その結果,上記,A)〜D)の活動を通じ,7か国11組織を相互接続する情報通信基盤が構築され,育成された29名のネットワーク管理者が現在に至るまで継続的にプロジェクト推進業務に活躍している.これらのことから,ブリッジインセンティブモデルが継続的に先端技術を用いることで継続的な発展を促し,解消したディジタルデバイドが新たに拡大しないことを実現し,ディジタルデバイド解消に大きく貢献できることを明らかにした.
著者
岩濱 数宏 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J88-D1, no.3, pp.642-656, 2005-03-01

インターネット上で流通する情報の中から,ユーザの好みに適合するものを推薦するサービスとして情報フィルタリングがある.近年は,テキストで記述された情報だけでなく音楽などのマルチメディアデータに対しても,その必要性が高まりつつある.情報フィルタリングの一方式として,ユーザの興味に関する情報を表すユーザプロファイルと対象情報(コンテンツ)の内容をモデル化したコンテンツモデルを比較する内容に基づくフィルタリングがある.音楽データを対象とした内容に基づくフィルタリングに関する既存の研究として,コンテンツモデルとユーザプロファイルの両方を音楽の特徴量のベクトルで表し,ベクトル間距離を用いて推薦する手法に関する研究や,それらの特徴量に任意の評価関数を用いるフレームワークに関する研究などが存在する.本研究はこれらの方法とは性質が異なるアルゴリズムである決定木を用いた内容に基づく音楽情報フィルタリングシステムを提案する.決定木は,ユーザによって重視する音楽の特徴が違っても,うまくそれを表現できると思われる.実際の音楽データとユーザを用いて実験を行い,他の手法に比較しての本システムの有効性を検証する.