著者
杉山 一成 波多野 賢治 吉川 正俊 植村 俊亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.975-990, 2004-11-01
被引用文献数
10

Web検索エンジンは,WWW(World Wide Web)上の情報を検索するための有用な手段である.しかし,同じ検索語が異なるユーザによって入力されたとしても,だれが検索語を入力したかにかかわらず,同じ結果を提示するという問題点を抱えている.一般に,各ユーザは自分の検索語に対して,異なる検索要求をもつと考えられる.したがって,その異なる検索要求をもつユーザに検索結果を適応させるべきであると考えられる.そこで本論文では,ユーザに負担をかけることなく各ユーザの検索要求に応じて検索結果を適応させる手法を提案し,その有効性について確かめる.実験の結果,修正した協調フィルタリングに基づいてユーザプロファイルを構築することによって,ユーザの嗜好に適応するきめの細かい検索システムを実現することができた.
著者
大野 華子 楠村 幸貴 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.668-683, 2005-03-01
被引用文献数
3

ネットオークションには落札者が記述した出品者に対する評価コメントがあり, ユーザはこれを参考にしてどの出品者から商品を購入するかを選択する.しかし, これらの評価コメントは大量に存在する上に儀礼的な文を多く含むため, ユーザが複数の出品者を比較するのは大変な作業である.本研究ではこの問題に対し, ネットオークション上の社会的関係を用いて, 出品者評価コメントを要約する手法(Social Summarization法)を提案する.本手法では, 出品者の本質を表すのに適当ではない儀礼的な文を削除するために, 出品者に対して評価コメントを記述した落札者一人ずつに注目し, その落札者が他の出品者に対して記述した評価コメントと, 対象の出品者に対して記述した評価コメントを比較する.提案する手法と落札者に注目しないで要約する一般的な手法で, 要約した文にどれだけ違いがあるかを, 実際のネットオークションの評価コメントに適用することで検証する.
著者
岡野 浩三 北道 淳司 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.354-363, 1993-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
4

本論文では代数的手法による順序機械型プログラムの階層的設計法について提案する.我々の階層的設計法では要求仕様から実現プログラムまで同一の詳細化法に基づいて段階的に順次詳細化していく.各レベルでは,そのレベルでの関数,処理の性質等の要求記述が行われ,そのレベルで閉じた記述になっている.我々は,プログラム設計技法の共通問題として提供された在庫管理問題に対し本手法を適用し,他の文献では見られなかった入出力関係のみを指定した要求記述から,5段階にわたって逐次詳細化し,プログラムを開発した.本論文では記述の概略と共に,要求記述や詳細化の際に一般的に生じる問題点,解決法を述べ,また,他の方法論との比較も行っている.「拡張射影」と呼ばれる単純な枠組で最上位の満たすべき入出力関係を記述できること,記述は完全に階層的であること,各レベルの要求記述はいわゆるオーバスペックにならないように必要なことのみ記述していること,各レベルの要求記述に抜けがないよう記述スタイルを工夫していること,正しさの形式的な証明が可能であったこと,実現プログラムの実行時間はCプログラムのそれのたかだか2倍程度であること,等の結果より,本設計法および処理系の有効性が確かめられた.
著者
磯田 定宏
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J83-D1, no.9, pp.946-959, 2000-09-25

オブジェクト指向により実世界を直感的かつ自然にモデル化できるとの理解に基づき,実世界モデル化,すなわち実世界を「あるがままにモデル化」しクラス図として表す方法が広く行われている.このあるがままにモデル化する実世界モデル化方式,すなわち「真性」実世界モデル化方式は,ソフトウェアの開発は特に想定せず単に実世界をクラス図として表現する場合,あるいはシミュレーションソフトウェアを開発する場合には問題なく適用できる.しかし,実世界の業務を自動化するソフトウェア(業務支援ソフトウェア)を開発する場合には,自動化する前の実世界(もとの実世界)をモデル化して「自動化しようとする業務が処理対象とする事物に関する情報」のモデルを作るという「擬似」実世界モデル化方式を適用しなければならない.以上述べたように実世界モデル化には真性及び擬似実世界モデル化という二つの形態があり,これらは対象とする問題の性質に応じて使い分けなければならない.ところがこれまでこの点は明確に意識されることはなかった.実際,多くのオブジェクト指向方法論及び技法に関する文献では,対象とする問題の種別を特に考慮することなく実世界をあるがままにモデル化するよう説いている.これらの文献では本来擬似実世界モデル化を用いるべきときに,真性モデル化と擬似モデル化の混合といえる「ナイーブな実世界モデル化」を用いている.このため,これらの文献を信じるナイーブな設計者たちは業務支援ソフトウェアを開発するクラス図を作成する場合に,システムのアクタとシステム内のクラスとを混同して不可思議なモデルを作る,余計なクラスをクラス図に取り込む,あるいは余計な操作をクラスに与えるなどの深刻なモデル化誤りを引き起こしている.
著者
轡田 康 広瀬 貞樹 蜷川 繁 木村 春彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-1, 情報・システム 1-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.909-918, 2000-09-25
参考文献数
14
被引用文献数
2

雪の結晶が成長していく様子をシミュレーションする研究は既に行われているが, ラプラス方程式の数値計算によるもの〔1〕〜〔6〕やDLA(Diffusion-Limited Aggregation)法によるもの〔7〕, 〔8〕がほとんどである.Packard〔9〕は, 六角格子上の2次元セルオートマトンを定義し, それを用いて雪の結晶の類似パターンの生成を試みた.これまでの数値解析によるものに比べて非常に単純なモデルではあるが, 角板と呼ばれている結晶の類似パターンの生成に成功した.しかしPackardのモデルでは, 例えば六角形の角から樹枝状に成長していく樹枝状六花や広幅六花, 扇状六花と呼ばれている複雑な形をした結晶の類似パターンの生成には成功しなかった.本論文ではPackardのモデルを拡張し, Packardのモデルではできなかった樹枝状六花, 広幅六花, 扇状六花等の類似パターンの生成を試みる.
著者
飯村 伊智郎 松留 貴文 中西 達哉 中山 茂
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J88-D1, no.4, pp.900-905, 2005-04-01

ランダム選択機構を有する AS rank( AS rankRS)の各アリであるマルチエージェントに対して,非一様な個性を導入し,フェロモン情報に対する追従性に優劣をもたせたACOとして AS indi を提案する.51都市配置のeil51. tspを用いた実験に対してのみ調べたものであるが,この AS indi は,従来の AS rankRS で期待できなかった最短な平均巡回路長と最多な最適解発見回数を同一のパラメータ値(エージェント数)で満足させ得ることが明らかになった.
著者
上田 祐彰 大内 大輔 高橋 健一 宮原 哲浩
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J86-D1, no.9, pp.691-701, 2003-09-01

大学を対象とした時間割作成問題への遺伝的アルゴリズム(GA)の適用について考察する.本論文で対象とする問題は,授業の時間割表への配置と各授業で使用する教室の割当ての双方を扱い,実施可能かつ教員の要望を充足した時間割表の導出が目的である.実施可能な時間割表を効率的に探索する手法として,授業の時間割表への配置を扱う遺伝子操作と教室の割当てに関する遺伝子操作を分割して実施する手法(分割GA)が提案されているが,様々な規模,複雑さをもった問題に対して分割GAが有効であるか否かは検証されていない.本論文では,分割GA,単純GAを応用した手法(SGA),授業の時間割表への配置を決定した後に教室の割当てを行う手法(逐次GA),教室の割当てを行う代わりに授業配置に対して適切な教室の割当てが行えるか否かを検査する手法(SGA2),焼なまし法を応用した手法(SA),及びタブサーチを応用した手法(TS)の6手法を実装し,比較実験を行った.時間割作成問題生成プログラムによって生成された問題と現実の時間割作成問題とを用いた実験の結果,ほとんどの問題に対してSGA2が良好な結果を導出できることが示された.また,授業の開講率が高い問題に対しては分割GA,問題の規模が大きく複雑性の高くない問題に対しては逐次GA,規模が小さく制約条件の多い問題に対してはSAが適していることも示された.
著者
石渕 久生 中理 達生 中島 智晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J83-D1, no.10, pp.1097-1108, 2000-10-25

本研究では,繰返し囚人のジレンマ(IPD:Iterated Prisoner's Dilemma)ゲームを行うプレーヤが格子世界内に存在するような空間型IPDゲームにおける隣接プレーヤ間での信頼関係の表現方法を提案する.各プレーヤは隣接するプレーヤとのみIPDゲームを行い,遺伝的アルゴリズムにより戦略進化を行う.各プレーヤの適応度関数は,そのプレーヤの利得と対戦相手の利得との加重和により定義される.対戦相手の利得に関する重みは対戦相手から協調行動が得られた場合に増加し,裏切られた場合に減少する.正の重みは対戦相手への思いやりを表し,負の重みは敵対心を表す.通常のIPDゲームでは,対戦相手の利得に関する重みはゼロである.本研究では,空間型IPDゲームにおける戦略進化に重みの更新メカニズムを組み込むことにより,隣接プレーヤとの信頼関係の動的な変動を定量的に表現することを試みる.
著者
市瀬 龍太郎 シャピロ ダニエル ラングリー パット
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.730-740, 2004-06-01

本論文では,エージェントが他のエージェントの行動を観察することによって,行動制御プログラムを学習する問題について取り扱う.特に,他のエージェントの観察から行動を説明し,そのエージェントの行動を再現できるような,階層的でリアクティブなプログラムをどのように学習するかについて述べる.本論文で観察する行動とは,複数のエージェント間で共有されている複数の選択肢をもつ行動である.本論文で提案する学習手法は,三つの段階を経てプログラムを構成する.最初に,順序性のないプロダクション規則を学習する.次に,それらの規則を分類階層として結合する.最後に,この分類階層を階層的でリアクティブなプログラムに変換する.この手法を使うと,結果として簡潔で分かりやすいプログラムを学習できる.
著者
松本 雅行 森 欣司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.14-22, 2003-01-01
参考文献数
17
被引用文献数
5

高密度運転線区の列車制御システムにおいては,高輸送力,高安全性,高信頼性が求められる.従来は,固定した区間ごとに列車の存在を検知し,そこに列車を進入させるかどうかの判断により,各列車の速度を地上の集中制御装置で求め,それを各列車の自動列車制御装置 (ATC) に指示していた.このため,高密度輸送は難しかった.本論文は,各列車が,自らの位置検知を行い,地上からは停止する位置のみを列車に伝送し,それに基づく列車速度の決定と制御を自律的に行う自律分散型 ATC システム (D-ATC) を提案した.更に,システム全体の運行を妨げず,D-ATC をもつ列車の段階的投入と,既存の ATC をもつ列車とを共存させながらのオンライン稼動中のテストを保証するアシュアランス技術を提案した.段階的投入に対する二つの方式として,車上統合/車上分離技術を示し,これらをアシュアランス性の面から評価した.この結果をもとに,JR 東日本の山手・京浜東北線用の列車制御システムで実用化した.
著者
都木 徹 服部 有希子 小宮 恵 今井 篤 岸 憲史 伊藤 崇之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.478-487, 2005-02-01
被引用文献数
2

近年, コンピュータを用いて語学教育を支援するCALL (Computer Assisted Language Learning)システムの開発が盛んに行われている.本論文では, CALLシステムの一つとして, NHK教育テレビの語学番組「中国語会話」で利用することを目的に開発された声調学習ツール"声調弐号"及び"声調参号"を取り上げ, そのシステムの利用効果について述べる.これらのCALLシステムは, 模範音声と学習者音声の両者のピッチ軌跡を画面に比較表示するとともに, 学習者音声の韻律を模範音声の韻律に矯正した変換音声を聴取することができ, 視覚的にも聴覚的にも韻律に関する発音習得を支援することを目的としている.視聴者からは, 従来の模範音声と学習者音声を聞き比べるだけの場合より分かりやすいと好評であった.本システムで用いている視覚的・聴覚的学習支援の効果を明らかにするため, 番組とは独立に日本人に対して行った韻律に関する発音習得実験では, 特に学習者自身の音声とその韻律を矯正した音声を聞き比べる効果が高いことが示された.
著者
上田 祐彰 大内 大輔 高橋 健一 宮原 哲浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.691-701, 2003-09-01
被引用文献数
4

大学を対象とした時間割作成問題への遺伝的アルゴリズム(GA)の適用について考察する.本論文で対象とする問題は,授業の時間割表への配置と各授業で使用する教室の割当ての双方を扱い,実施可能かつ教員の要望を充足した時間割表の導出が目的である.実施可能な時間割表を効率的に探索する手法として,授業の時間割表への配置を扱う遺伝子操作と教室の割当てに関する遺伝子操作を分割して実施する手法(分割GA)が提案されているが,様々な規模,複雑さをもった問題に対して分割GAが有効であるか否かは検証されていない.本論文では,分割GA,単純GAを応用した手法(SGA),授業の時間割表への配置を決定した後に教室の割当てを行う手法(逐次GA),教室の割当てを行う代わりに授業配置に対して適切な教室の割当てが行えるか否かを検査する手法(SGA2),焼なまし法を応用した手法(SA),及びタブサーチを応用した手法(TS)の6手法を実装し,比較実験を行った.時間割作成問題生成プログラムによって生成された問題と現実の時間割作成問題とを用いた実験の結果,ほとんどの問題に対してSGA2が良好な結果を導出できることが示された.また,授業の開講率が高い問題に対しては分割GA,問題の規模が大きく複雑性の高くない問題に対しては逐次GA,規模が小さく制約条件の多い問題に対してはSAが適していることも示された.
著者
川村 恭也 松原 隆 古賀 義亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.1141-1148, 1998-10-25

本論文では, 内部の誤り検出および誤りを訂正するフラッシュ型A-D変換器の構成法に関し, 従来提案されている方法についてまとめた結果を紹介し, 誤りの補正・訂正を行うと共に誤りの検出結果を単一誤りと多重誤りに区別して外部に表示するA-D変換器の構成法を提案する.従来の方法では, 回路内部の誤りの処理についての詳細情報が外部に表示されないため, A-D変換器がどの程度誤りの処理を行っているか判定できないという問題がある.提案する構成法では, A-D変換における単一誤り, 多重誤りの情報を外部に表示することができるので, A-D変換器の状態および出力データの信ぴょう性を判定することができる.
著者
湯淺 太一 貴島 寿郎 小西 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.200-209, 1995-02-25
被引用文献数
10

NCXは,超並列計算実用化のための重要な計算モデルの一つであるデータ並列に基づくプログラミングのために設計された拡張C言語である.C言語からの移行が容易であること,効率の良い処理系が低コストで実現できこと,統一のとれた言語であること,などを目指して設計された.フルセットのC言語を実行する能力をもつ仮想プロセッサ群を基本とし,プロセッサ間通信などのデータ並列計算機能を,ベースとなるC言語の設計方針にできるだけ従って設計されている.さまざまなアーキテクチャ上で使用されることを前提としており,実際にいくつかの異なるアーキテクチャをターゲットとした処理系の開発が現在進められている.本論文では,NCXの主要な拡張機能を,プログラム例と共に概説し,仮想プロセッサという単純明解な概念を基本としながら,データ並列計算に十分な機能をNCXが提供できることを示した.
著者
坂本 博和 永本 太一 柴田 裕一郎 小栗 清
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.155-162, 2005-02-01
被引用文献数
2 1

PCA (Plastic Cell Architecture)は動的再構成可能な非同期式論理回路アーキテクチャである.また, 我々は非同期ビットシリアル処理を前提とする新しいPCAアーキテクチャを検討しており, 情報の記憶・加工・移動をシフトレジスタとステートマシンで行うことにより, より効果的に回路を構成できると考えている.しかし非同期ビットシリアル処理回路の設計を信号伝搬を追尾しながら行うのは困難であるので, 本研究では, 非同期ビットシリアル処理回路の設計と, シミュレーションによる動作検証を効率良く行うためのペトリネットモデルをビットシリアルペトリネットとして定義し, これをGUIによる設計・検証ツールとして実装した.更に, 遅延情報なども含めた詳細な検証を行うために, ビットシリアルペトリネットをVerilog-HDLへ変換する機能を追加し, 非同期ビットシリアル処理回路の設計, 検証時間の大幅な短縮を実現した.
著者
山田 茂 有本 孝 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.19-23, 1993-01-25
被引用文献数
2

本論文では,ソフトウェアのテスト工程および運用段階におけるソフトウェアエラー発見事象は異なるものと仮定した上で,運用段階における運用労力および瞬間エラー発見率に基づいてソフトウェア信頼度成長モデルを記述し,ソフトウェアアベイラビリティを考察する.
著者
大西 正輝 泉 正夫 福永 邦雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1187-1195, 2000-11-25
被引用文献数
27

ネットワーク技術の発展は, 従来の講義形態からネットワークを介して距離的に離れた複数の講義室で同時に講義を行う遠隔講義形態へ移行する可能性を示唆している.遠隔講義では, 講義に使用する資料等はネットワークを介して配布する形になる.しかし, あらかじめ電子教材を作成するのは手間がかかることなどから, すぐに普及する傾向にはない.一方, 黒板を用いる講義はOHPやビデオが普及した現在でも講義内容を強く印象づけたり, 受講者が順次理解していく過程にマッチしている手法として根強い支持を得ており, 大学・予備校などでも広く行われている.本論文では板書主体の講義を撮影するときや, ネットワークで利用するための電子教材を作成するときに必要となる板書をブロック分割する手法を提案する.板書のブロックは小さな矩形の集合であると考え, 一定時間書き込みのない場合に板書文字領域を囲う小さな矩形を生成する.次に講義のレイアウトから生成したファジールールに従い, これらの矩形を統合・分割することでブロック分割を行う.また, 本手法の応用例として, 抽出したブロックを順につなぎ合わせてHTML形式のファイルを作成し, WWW配信するシステムを構築した.
著者
小山 聡 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1266-1274, 2001-08-01
被引用文献数
5

本論文では, モバイル環境におけるWeb情報の活用に適した新しいインタフェースとして, 情報ナビゲーションエージェントを提案する. これまでの情報検索システムは, 検索結果のユーザへの表示とそれに基づくクエリの変更を通して多くの情報をいかに絞り込んでいくかが中心的課題であり, デスクトップ環境での利用に適した方法であった. それに対して我々のエージェントは, 検索対象の属性の制約条件を用いて近似解を生成し, ユーザとの対話を通して情報を得ることにより, 漸近的により良い情報へとナビゲートしていくことができる. その際に, エージェントがキーワード間の連想ルールを用いて検索条件の解決と新たな検索条件の追加を行う手法を提案した. また, 連想ルールを不用意に用いるとナビゲーションの失敗を導くため, 統計的検定とグラフ構造の解析を用いた連想ルールの精錬を行うことを提案し, その有効性を確認した.