著者
杉本 雅則 楠 房子 稲垣 成哲 高時 邦宜 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1152-1163, 2002-12-01
被引用文献数
8

筆者らはこれまで,RFID技術を用いたセンシングボードを用い,物理世界と仮想世界とを融合することによるface-to-faceでのグループ学習支援システムを構築してきた.このシステムを用いた実践から,コンピュータの使用が苦手な学習者でも容易に学習に参加できる,教科書等を通して得た知識を物理世界で試せる,などの点で有効であることを示せた.しかし,発言の場においてリーダーへの依存が強くなる点や,より本物性の高い設定での学習支援ができないか,などの点も指摘されていた.そこで,本論文で提案するシステムでは,学習者のグループが互いにface-to-faceで話し合えないよう,複数のセンシングボードを別の場所に配置した.そして,各ボード上での操作が互いに影響を及ぼし合うよう,それらをネットワークでつないだ.グループ内の学習者はボードを囲みながらface-to-faceで問題を解決するとともに,別のグループの学習者とは,チャットシステムを介して交渉を行う.小学校の授業の中で,都市設計と環境問題の学習を学習者に行ってもらい,提案システムの有効性を検証した.
著者
渡辺 哲也 渡辺 文治 藤沼 輝好 大杉 成喜 澤田 真弓 鎌田 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.891-899, 2005-04-01
被引用文献数
15

重度視覚障害者のコンピュータ利用を支援するスクリーンリーダには「詳細読み」という読み方が装備されている.これは, コンピュータで取り扱う文字を音声で一意に特定させるため, 各文字にそれぞれ異なる説明的な表現を割り当てたもので, 特に同音の漢字の区別に必須である.この詳細読みの一部にもとの漢字を想起しづらいものがあるという問題が提起されてきた.そこで, まず既存のスクリーンリーダ4種類から教育漢字1006字の詳細読みをテキストに書き起こし, その構成と語彙の観点から, もとの漢字の想起を困難にする要因を考察した.次に, スクリーンリーダを児童が利用した場合の問題を探るため, 詳細読みを聞いて想起した漢字を書き起こさせる実験を小学校で行った.その結果, 8割以上の詳細読みは50%以上の正答率を得た.他方で50%未満の正答率となった詳細読みを, 同じ漢字で正答率の高かった読みと比較・検討したところ, 児童の語彙範ちゅうにない説明語の使用が最も大きな要因であることが分かった.誤答の要因として次に多かったのは, 同音異字のある説明語の使用であった.
著者
古宮 誠一 澤部 直太 櫨山 淳雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.544-557, 1996-09-25
被引用文献数
19

大規模なソフトウェアの開発は,労働力を結集するためにプロジェクトを組んで行われるのが一般的である.しかも,どのようなライフサイクルモデルを採用しようとも,ソフトウェア開発プロジェクトには開発計画というものが必ず存在する.これは動員した労働力を有効に機能させるためである.従って,プロジェクトを成功へと導くためには,この計画をもとに管理目標を設定し,その達成度をフォローするという方法が効果的である.しかし,これはそれほど容易なことではない.なぜなら,ソフトウェア開発においては,作業量の見積もりやプロジェクトのリスクの予測が困難だからであり,このため,ソフトウェア開発計画の立案やソフトウェア開発における各作業の実質的な進ちょく把握が困難だからである.このため,プロジェクト管理者の負荷を軽減すると共に,高度なプロジェクト管理ができるように,ソフトウェア開発プロジェクトのプロジェクト管理を強力に支援するシステムを開発することが必要不可欠である.本論文では,プロジェクト管理のためのソフトウェアプロセスのメタモデルを提案すると共に,このメタモデルをベースにしたソフトウェアプロジエクト管理システムの枠組みが「ソフトウェア開発計画の立案」の支援に有効であることを,システムの実行例を用いて示している.
著者
高橋 大志 寺野 隆雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.618-628, 2003-08-01
被引用文献数
10

本研究は,リスクマネジメントが市場全体にもたらす影響をエージェントベースアプローチにより分析したものである.はじめに金融工学の分野において報告されているリスクマネジメント手法の有効性を確認した後,過度のリスク管理が実施される場合や周りの投資家動向を考慮する投資家が多数存在する場合などの特殊な条件下においてはリスクマネジメントが市場価格を適切な水準から乖(かい)離させる可能性のあることを確認した.
著者
下川 俊彦 吉田 紀彦 牛島 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.1396-1403, 2001-09-01
参考文献数
12
被引用文献数
15

インターネット上の多くのサービス提供者は, サービスの混雑を避けるために複数のサーバを用いてサービスを提供している.このような環境で, クライアントがどのサーバを選ぶかという問題が生じてきている.そこで, 最適なサーバを自動的に選択するサーバ選択機構が必要となった.本論文では, まずサーバ選択機構への要求事項をまとめ, それらを満たす新たなサーバ選択機構を提案する.本機構はDNS(Domain Name System)を基盤とすることで幅広い適用性をもちつつ, 多様なサーバ選択ポリシーを組込み可能としたものである.これらのサーバ選択ポリシーは, ラウンドトリップタイムなどのネットワーク状態を用いた判断を行うことも可能である.動的に選択ポリシーの切換を可能とすることで, 様々な状況に対応可能となる.我々は, プロトタイプシステムを用いて, 広域に分散配置したサーバ群を対象に評価実験を行い, 本サーバ選択機構の有効性を示した.
著者
加藤 直樹 田中 宏 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.203-212, 2001-02-01
参考文献数
9
被引用文献数
7

本論文は, 手書きメッセージの読み書き, 送受信, 重ね書き, 筆記者・筆記時刻確認, 筆記再生などの機能を有する手書き電子メール環境について述べる. 我々は, 初心者にも自然な手書きをUIに採用し, 簡単に表現豊かなメッセージをインターネット上で送受信できるシステムを実現した.本システムは手書きメッセージが送受信できる点で, 近年急成長している携帯型情報通信端末に先行するものである.更に, 手書きの筆跡や図形, コード文字を表現できるように提案したフォーマットHandsDrawに従い, 手書きのメッセージを読み書き, 送受信する機能はもちろん, 受信メールへの上書き, 筆記者・筆記時刻確認機能, そして, 筆記再生機能を提供する.対話技法としては, ペン入力の良さを生かした囲み選択と, ペン入力の弱点を解決したボタンインタフェースを採用した.本システムを実際に使用してもらった上でアンケート調査を行い, また, 2年半にわたるインターネットでの公開や研究室内での使用によって多くの意見を収集した.その結果, 提供するすべてに機能に対して総じて肯定的な意見が得られた.その一方で, 手書きの文字をそのまま送りたくないとの意見も得られ, 文字認識機能の必要性が示された.
著者
谷口 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.193-201, 2002-02-01
参考文献数
7
被引用文献数
2

計算機のソフトウェアは,その走行環境から大きく二つに分類できる.カーネルモードで走行するOSカーネル内のカーネルのプログラムと,ユーザモードで走行するOSカーネル外のプロセスのプログラムである.この二つのプログラムは,連携して処理を行うために,効率的な連携が必要である.従来のOSにおいて,両者の連携機構としては,システムコール(system-call)や上位呼出し(up-call)が用いられている.しかし,この二つの方法は,走行モードの変更とコンテクストの切換を伴うため,処理オーバヘッドが大きい欠点をもつ.本論文では,新しいOSカーネル内外連携機構として要求・データの表示(DRD:Display Request and Data)機構を提案している.DRD機構は,走行モードの変更やコンテクストの切換を伴わないため,処理オーバヘッドが少ないOSカーネル内外連携機構である.また,DRD機構を実現する際の課題を示し,対処法を述べている.実装評価により,DRD機構の処理命令数は1要求当り59命令と少なく,システムコールに比べ約0.71μ秒だけ処理時間が短いことを示している.
著者
川原 洋人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.573-587, 1995-07-25
被引用文献数
2

コンピュータネットワークのルーティング方式の研究においては適応型ルーティングに比べ,固定ルーティング方式の研究は少ないが,実際のネットワークではその方法の簡易性から,固定ルーティングを用いているものが少なくない.固定ルーティングは,ノードやリンクの障害により,ルートが不通となったとき,他のルートに切り換える方法に問題がある.すなわち,多くの場合,固定ルーティングにおいては,パケットを送出するリンク(出方路と呼ぶ)が障害であることを検出したノードが,あらかじめ定められた優先順に従って,予備の出方路に切り換えることにより,ルートの切換えを行うが,ピンポン現象や,ループ現象などの誤ルーティングを起こすことがあり,完全ではない.本論文では,この問題を解決するために,ノード同士が情報を交換し,そのような現象の起こらないルート切換えを実現する分散アルゴリズムを与える.次に,障害が回復したときに,元のルートへ復元するアルゴリズムを与える.最後に,それらのアルゴリズムに基づく一連の操作が,複数同時に進行しても,誤ルーティングが起こらないことの証明を与える.
著者
白戸 仁博 佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.619-626, 2000-06-25
被引用文献数
15

病弱児童生徒などの学習機会や学習情報の提供, 学校間連携による多様な選択科目の導入や単位の取得の支援, 生涯教育への利用など, 様々な分野での遠隔教育の必要性は非常に高く, これまでに様々な遠隔教育システムが提案, 実用化されている.しかし, これら既存の遠隔教育システムには, 設備や運用面などで様々な問題点が指摘されている.本論文では, 遠隔学習の新たな可能性の一つとして遠隔教育にバーチャルリアリティ技術を用いたバーチャルスクールの提案を行う.また, これまでに開発したバーチャルスクールのプロトタイプをもとにバーチャルスクールによる遠隔教育の可能性を考察する.更に, プロトタイプシステムを用いて行った, 実験授業について報告する.
著者
若原 俊彦 薗 都雄 中辻 裕一 清水 隆雄 松本 充司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.626-634, 2002-07-01

本論文は,60GHz帯のミリ波無線伝送システムを用いて,キャンパスネットワークを構成するため,早稲田キャンパス内の各ビルにおけるケーブル配線方式の検討結果を報告するものである.この60GHzの周波数帯は2000年の8月に郵政省から省令改正により日本では初めて無免許で使用を認可されたものであり,これを用いて100Mbit/s高速キャンパスネットワークを構築する際のビル屋上及び屋内配線方式として2芯光ファイバを用いる場合と多芯光ファイバケーブルを用いる場合のコスト比較を行い,多芯ケーブルを用いる方が経済的であり,また工事の作業性なども容易であることが明らかとなった.
著者
古市 昌一 尾崎 敦夫 松川 仁 岩瀬 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.1610-1622, 2001-12-01
被引用文献数
4

本論文では, 異機種分散シュミュレーッション統合アーキテクチャーHLAをベースとした, 並列分散シュミュレーションシステム構築実行モデルPDS/HLAを提案する.PDL/HLAモデルは, プログラマは実行する計算機のアーキテクチャーを意識することなく, シュミュレーションの対象とする実行主体の振舞いを定義することによりプログラミングを行う.並列分散計算機環境へのマッピングは, 実行主体の生成や消滅及びイベントの発生を定義するファイルの中で, PDS/HLAで定める負荷分散プログラマを指定することにより静的に行う.標準仕様HLAをベースとしているため, 既存のHLA準拠シュミュレータを組み合わせた効率の良いシステム開発を行うことができるともに, 対象とする問題規模が増加した際には, プログラムを変更することなく, 実行計算機の台数を増やすことにより対処できることが特徴である.本論文では, 提案するPDS/HLAモデルの有効性を示すため, 本モデルをベースとした開発実行支援環境MARINEを実装し, 教育・訓練用のウォーゲームシュミュレーションシステムに適用して性能評価を行い, プログラムの記述性の高さと, 分散計算機環境上での並列処理の効果について議論している.
著者
八木 哲也 亀田 成司 飯塚 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.104-113, 1998-02-25
被引用文献数
32

網膜は, 生体の実時間画像情報処理に欠くことのできない, 優れた視覚知能センサである.網膜の超並列画像処理機能を, アナログCMOS集積回路(ビジョンチップ)として実現した.チップは1次元ラプラシアン-ガウシアン型の受容野を備え, 網膜の順応機構に習いその幅が可変となっている.チップの光センサ部には, 電荷蓄積型のものを用い, 蓄積時間を変えることで光応答感度が制御できるようにした.チップには, 素子の特性のばらつきによるノイズを補償する回路が組み込まれており, 実験の結果自然照明下での実用に十分な出力精度が得られることが確認できた.本チップは, 信号と雑音の空間周波数帯域に応じて効率的に画像を抽出する場合に, 前処理プロセッサとして応用できる.
著者
伊藤 和幸 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.527-535, 2005-02-01
被引用文献数
18

本研究では, 重度肢体不自由者向けに視線を利用した意思伝達システム(視線入力式文字入力装置・環境制御装置)を安価に提供できるようなシステムを開発する.視線の検出には, 画像処理ボードを利用した高精度・高機能なものが市販されているが, それらを使用するとコストダウンが困難であり実用に結び付かないという欠点があるため, 本研究ではビデオキャプチャした画像をソフトウェア的に処理することで視線検出を行い, システムにかかるコストの削減を図った.近年のパソコン性能の向上により, ノートパソコンの使用も可能でありシステムのコンパクト化も実現できた.
著者
小室 孝 鈴木 伸介 石井 抱 石川 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-1, 情報・システム 1-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.70-76, 1998-02
被引用文献数
57

本論文では汎用のプロセッシングエレメント(PE)を用いた新しいビジョンチップアーキテクチャを提案する.本アーキテクチャはロボットビジョンなどのさまざまな応用にも対応可能な十分な汎用性を保ちつつ, 多数のPEを1チップ上に集積するために非常にシンプルな構造をもっている.また, 視覚フイードバックに必要とされる1msのオーダでさまざまな視覚処理を行うことが可能であることをシュミレーションによって示した.更に, このアーキテクチャに基づいた試作チップをFPGAを用いて製作し, 動作を確認した.また, フォトディテクタ(PD)を含むフルカスタム回路の設計を行った.
著者
伊藤 暁 井上 克司 王 躍 岡崎 世雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.452-457, 2003-07-01
被引用文献数
3

N人がジャンケンをして全員を順位づけるために必要なジャンケン総数の期待値は[○!-]((3/2)^N)であり,また最終的に1位の人だけを決めればよい場合に必要なジャンケン回数の期待値も[○!-]((3/2)^N)であることを示す.一方,各自が2種類の手しか出せないジャンケンでは,上述の期待値がそれぞれ[○!-](N),O(logN)となることを示す.
著者
大川 正人 室田 真男 中山 実 清水 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.651-657, 2000-06-25
被引用文献数
17

インターネットに提供した学習教材は, 学習者にとって有効である.しかし, 学習者がどのような学習履歴をとったかについては, 学習教材提供側ではわからない.そこで, 本論文では, インターネットでアクセスしてきた学習者の学習履歴を収集し, 学習者がたどったとおりに提示画面を時系列的に再現するシステムを開発した.そして, このシステムを, アニメーション表示, 数値計算シミュレーションなどの機能を有する学習教材に適用し, その動作を確認した.本研究で開発したシステムを用いることで, 多数の遠隔サイトにいる学習者の学習行動を再現できる.そのため, Web教材の改善を図ることなどに応用することが可能である.
著者
木村 真也 鹿股 昭雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.1241-1248, 1998-12-20
被引用文献数
1

コンピュータの内部構造と実際の動作を教育するための教材を開発した.開発した教材はTTL及びPLD(programmable logic device)中心に構成したボード型コンピュータである.特徴としては次の3点がある.(1)コンピュータの内部を逐次, 詳細に観測することができる.(2)学習者が独自の命令セットを設計し, 容易に実装することができる.(3)命令の実行制御方式を3種類用意しており, 選択してコンピュータシステムを構成することができる.本システムはコンピュータ教育のみならず, 大規模なディジタルシステム設計技術の教育への導入部の教材としても利用できる.本システムを実際の教育に利用したところ, 学習者がコンピュータの内部構造の理解と興味をいっそう増加するといったアンケート結果を得た.
著者
服部 正典 長 健太 大須賀 昭彦 一色 正男 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.543-552, 2003-08-01
被引用文献数
5

ユビキタス環境において状況依存型のコンピューティング環境をすることを目的とした「ユビキタスパーソナライズエージェント」について述べる.本技術はユビキタス環境において収集が可能となる様々なユーザ関連データやイベント情報からユーザの状況を自動認識する「状況認識エージェント」とユビキタス環境に存在する各種デバイスとサーバシステム間でパーソナライズに関する処理の適切な分散を実現する「軽量知的モバイルエージェント」によって構成される.本論文では特にモバイルエージェント適用の効果に関して,実証実験を通した評価を実施することでその有効性の確認と考察を行う.
著者
仲野 巧 ウタマ アンディ 板橋 光義 塩見 彰睦 今井 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.679-686, 1995-08-25
被引用文献数
10

本論文では,VLSI化によるリアルタイムOSの高性能化の手法を提案する.本手法では,リアルタイムOSの基本機能をハードウェアで実現し,周辺チップとして汎用マイクロプロセッサに接続することによって,システムコールの処理およびスケジューリングの高速化を実現する.この手法の有効性を確認するために,制御用リアルタイムOSであるμITRONの機能の一部をVLSIとして設計した.この設計を0.8μmCMOSプロセスを用いて論理合成した結果,現在の半導体技術を用いても容易にVLSI化できることが知られた.また,シミュレーションの結果,実現されたシステムコールのハードウェア処理が200ns以内で終了し,スケジューリングも600ns以内で完了することが知られた.本手法を用いて実現されたOSチップを適用することによって,非常に高性能なリアルタイムシステムを容易に実現できる.