著者
吉田 博 戸川 聡 金西 計英
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.153-156, 2011
参考文献数
11

本研究では,学生の授業外学習の時間に注目して,学生が学習を行う要因について調査する.調査の対象は徳島大学で,2009年度後期に実施されたグラフ理論に関する工学部の専門科目である.対象となる授業を受講している学生に対し,毎回の授業終了後に1週間を振り返ってもらい,授業外学習の内容,時間,学習を行うきっかけになった出来事についての記述を依頼した.これらのデータを分析することで,授業の構造のうち,次の5つの要素について,学生が授業外学習を行う動機との関連性を見出すことができた,5つの要素は(1)授業内容のレベル,(2)課題,(3)教材・資料,(4)学生同士の関係構築,(5)学生が主体的に取り組む授業設計である.
著者
後藤田 中 松浦 健二 鍋島 豊晶 金西 計英 矢野 米雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.269-277, 2010
参考文献数
22
被引用文献数
1

近年の健康志向を反映し,日常的な運動の役割が増している.本研究では,その支援の一端として,ナワトビプロジェクトと称し,ナワトビ学習を対象としたSNS(Social Networking Service)を設計,構築した.具体的には,SNSに映像日記機能を組み込んだ上で,(1)映像から得られる特性に応じた記事推薦エージェントのメッセージ,(2)映像記事間のトラックバックによるスキルの関係グラフの2つの機能を実装した.本研究は,これらのスキル開発支援に対し,個別の映像記事閲覧の機会増加,異なるスキルの関連性を全体像として俯瞰する意識の向上につながることを示す.提案に対して実験を行った結果,アクティブユーザにおける閲覧割合の向上,また異なるスキルの関連性に対する意識に一定の効果が確認された.
著者
吉田 博 金西 計英
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.449-457, 2014

FDの義務化以降ミクロレベルでのFDとして,授業コンサルテーションを実施する高等教育機関が増加しつつある.それに伴い授業コンサルテーションの成果として,対象となる教員,または学生に与えた影響などの研究,さらにコンサルテーションを実施するコンサルタントのスキルに関する研究などがなされている.本論文は,授業コンサルテーションの新しい方法として,学生の変容に焦点を当て,授業担当教員とのインタラクションを実現する「学生討議型授業コンサルテーション,SDCC(Students' Discussion-based Class Consultation)」を試みた実践研究の報告である.SDCCは,コースの中間期に授業の改善点について,学生によるディスカッション,及び授業改善のためのアンケートを行い,これらのデータをもとにして授業改善を行う実践である.本実践研究では,SDCCが学生の授業参加に対する積極性,授業外学習に対する取り組みについて,ポジティブな影響を与えたことが明らかとなった.
著者
金西 計英 戸川 聡 大久保 正信 佐藤 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.606, pp.9-16, 1998-03-14

多くの大学に既にキャンパスネットワークが導入されている.それにつれ学内のインターネットの利用も増大している。インターネット利用の普及によって新しい問題が表面化することになった.WWWの利用でブラウザ上の表示が遅い, つまり、インターネットが混んでいる, と言うことである.そこで, 我々は, マルチホームによるインターネット接続の手法を提案する.本稿では, 本学における, マルチホームの設計について述べる.
著者
仁木 啓司 松浦 健二 後藤田 中 金西 計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.583, pp.139-144, 2007-03-02
被引用文献数
2

近年,パワーポイントによるスライド教材を利用した講義が多くなってきている.しかし,スライド教材での授業を行う場合,授業中は教員から学習者への一方向的な授業になるケースも多い.また,パワーポインドを単にWebコンテンツとして学習者に対して,一方的に配布するだけでは,スライド教材の特徴を十分に生かし切れていないと思われる.そこで,本研究では授業中に用いたスライド教材を,学習者自身が自由にカスタマイズし,それを通じて学習内容だけでなく表現手法の向上も行える学習環境を提案する.
著者
金西計英 松浦 健二 大家 隆弘 三好 康夫 佐野 雅彦 大恵俊一郎 矢野 米雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.101, pp.1-6, 2005-10-14
参考文献数
7
被引用文献数
2

現在,高等教育機関において,学内の様々な情報を有効利用するため,分散されたデータベースを共有し,利用者の属性に適応的に振る舞う,WEBベースのシステムが導入されている.現状のさまざまな大学ポータルシステムを俯瞰しながら,大学ポータルシステムの定義をおこない,徳島大学で我々が導入した大学ポータルの概要とその運用について報告する.Presently, in order to promote on-campus computerization, the introduction of the university information portal has been advanced in higher education institutes. There are many university information portals. In this paper we propose a model for the university information portal. In this paper, the information portal of Tokushima University is taken as a case example and the problems of its development and operation are examined. The practice use is shown following the explanation of the method for sharing the contents. It is shown that our portal is within the range of practical use though the accomplishment of the usage is still small in number.
著者
戸川 聡 金西計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.42, pp.61-66, 2006-05-12
被引用文献数
4

Peer-to-Peer(P2P)型通信によるファイル共有が問題となっている.著作権法で保護された著作物をファイル化し共有することも当然ながら,ファイル共有コミュニティへの機密情報流出が社会問題化している.これらの状況から,大学や企業のキャンパスネットワークではP2Pファイル共有を禁止している.しかし現実にはP2Pファイル共有が行われている場合がある.これを制限する場合,既存のフィルタリング技術では実現が困難であり,結果として管理者はトラフィックを常時監視し,P2Pファイル共有通信の存在を認識しなければならない.本稿では,ネットワーク管理者が行うP2Pファイル共有通信の検出作業を支援するシステムを構築した.そして,実際にP2Pファイル共有プログラムが発するトラフィックを含む全体のトラフィックを可視化し,有効性を検証した.ln this research, we have proposed the assistance system for peer-to-peer traffic detection. Recently, an illegal file has been exchanged with peer-to-peer file exchange software. These files are extracted from music CD and DVD. Most files do not obtain the copyright person`s approval and are open to the public. Neither enterprise nor the Campus Network user of the university must acquire these files from the problem in morality. However, the illegal file is actually acquired via Campus Network. The network administrator should observe the users`peer-to-peer commumcation. In this paper, first of all,We explain a problem of peer-to-peer file sharing system. Next,we explain the assistance system for peer-to-peer file sharing traffic detection. Finally, we conclude it.
著者
光原 弘幸 森山 利幸 山田 佳幹 金西 計英 矢野 米雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.191-200, 2010
被引用文献数
4

本研究では,ノートテイキング支援として,AR(Augmented Reality)技術を用いてノートとデジタル教材を融合するPaper-Top Interface(PTI)を設計・開発する.PTIは,ノートの各ページに貼付したビジュアルマーカをビデオ映像から検出・認識し,対応するデジタル教材をプロジェクタでノートに投影する.これにより,学習者は授業中に教材内容を書き写さなくてよくなり,学習内容をアノテーションとしてノートに書き留めることが促進される.比較実験から,PTIがノートテイキングの負担を軽減し,学習者に受け入れられることが示唆された.
著者
嵯峨山 和美 久米 健司 金西 計英 松浦 健二 三好 康夫 松本 純子 矢野 米雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.53-56, 2008
参考文献数
8
被引用文献数
4

近年,SNSは大学生間の新しいコミュニケーションの形として紹介されている.我々は,大学生活を支える新たな学生支援のツールとして2007年1月23日から徳島大学工学部を中心に「キャンパスSNS」の運用を開始した.本研究では,本SNSのログデータを抽出し,参加者の属性を明確に分類したうえで,大学版SNSの特性と学生の動向とを解析した.日記関連の機能に焦点を当てたところ,学生は不特定多数のユーザの最新日記を確認するより特定のユーザの日記を読む割合が高く,仲間同士の閉じたコミュニケーションで終始しまいがちであることが示唆された.明確な目標を掲げて運営側が構造化した形を提示することの必要性が推測された.
著者
後藤田 中 松浦 健二 大塚 真二 鍋島 豊晶 金西 計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.1144-1153, 2010-07-01

近年,予防的な健康への取組みが重視され,人の日常的な運動の役割は増している.本研究では,そうした運動の代表といえるジョギングに注目する.個人での日常的な実世界トレーニングに対して,オンラインのコミュニティ空間での集団訓練環境を提案する.本システムは,GPSを用いて個々のトレーニング活動ログを蓄積し,同じコースを非同期に共有するジョガー間での競争的なシミュレーション機能を提供する.具体的には,複数のジョガーをアバタとして表現し,それらのペース変化を地図上の移動アニメーションを用いて視覚化する.また,移動アニメーションを見た際の気づきを地図上にアノテーションとして蓄積できる機能を提供する.これにより,ジョガーのパフォーマンス向上を促進させる目的をもつ.これらの提案機能をもつジョギング支援システムを構築し,実験を行った.実験の結果から,オンラインコミュニティ空間での競争的な訓練環境が,実世界におけるトレーニングにおけるタイム短縮につながった.特にアノテーションの登録箇所を中心に局所的なペース改善の効果も確認された.
著者
金西 計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.227-240, 1996-02-25
被引用文献数
10 3

我々は, 説明のもつ学習効果, 第三者に説明することにより説明の当事者が多くのことに気づく現象に着目し, 学習者が自分自身の問題解決について述べる自己説明の働きを利用した教育システムを開発した. 我々が開発した教育システムは, 計算機上で学習者が他の学習者に説明を行う擬似環境を与える. 学習者は自己説明環境の下で, 説明を繰り返し行う. 自己説明の繰返しは, 内省を活性化することになり学習効果が上がる. システムは,学習者の説明を評価し, 学習者にアドバイスを与える. 学習者の説明は, アドバイスを受けることにより, 変化する. 我々は, この変化を説明の洗練と呼び,システムによる学習者の説明の洗練方法について示す. 最後に, 自己説明について行った実験について述べ, 我々の提案したモデルについて考察する.
著者
戸川 聡 金西 計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.30, pp.99-104, 2007-05-03
被引用文献数
1

Peer-to-Peer(P2P)型ファイル共有コミュニティへの情報漏洩が社会問題になっている.Winnyなどのファイル共有ソフトウエアに感染する暴露ウイルスにより,コンピュータ内部のファイルがファイル共有ネットワークへ漏洩する.これらの状況から大学や企業のキャンパスネットワークでは,P2Pファイル共有ソフトウエアの利用を禁止している.しかし現実にはP2Pファイル共有が行われている場合がある.これを制限する場合,既存のフィルタリング技術では実現が困難であり,結果として管理者はトラフィックを常時監視し,P2Pファイル共有通信の存在を認識しなければならない.本稿では,ネットワーク管理者が行うP2Pファイル共有通信の検出作業を,トラフィックマイニングと可視化により支援するシステムを構築した.そして,実際にP2Pファイル共有プログラムが発するトラフィックを含む全体のトラフィックを可視化し,有効性を検証した.
著者
戸川 聡 金西計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.38, pp.99-104, 2007-05-11
被引用文献数
3

Peer-to-Peer(P2P)型ファイル共有コミュニティへの情報漏洩が社会問題になっている.Winnyなどのファイル共有ソフトウエアに感染する暴露ウイルスにより,コンピュータ内部のファイルがファイル共有ネットワークへ漏洩する.これらの状況から大学や企業のキャンパスネットワークでは,P2Pファイル共有ソフトウエアの利用を禁止している.しかし現実にはP2Pファイル共有が行われている場合がある.これを制限する場合,既存のフィルタリング技術では実現が困難であり,結果として管理者はトラフィックを常時監視し,P2Pファイル共有通信の存在を認識しなければならない.本稿では,ネットワーク管理者が行うP2Pファイル共有通信の検出作業を,トラフィックマイニングと可視化により支援するシステムを構築した.そして,実際にP2Pファイル共有プログラムが発するトラフィックを含む全体のトラフィックを可視化し,有効性を検証した.In this research, we have proposed the assistance system for peer-to-peer traffic detection. Recently, an illegal file has been exchanged with peer-to-peer file exchange software. These files are extracted from music CD and DVD. Most files do not obtain the copyright person's approval and are open to the public. Neither enterprise nor the Campus Network user of the university must acquire these files from the problem in morality. However, the illegal file is actually acquired via Campus Network. The network administrator should observe the users' peer-to-peer communication. In this paper, first of all, We explain a problem of peer-to-peer file sharing system. Next, we explain the assistance system for peer-to-peer file sharing traffic detection using traffic mining and visualization. Finally, we conclude it.
著者
金西 計英 松浦 健二 光原 弘幸 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.146, pp.33-38, 2008-07-12
被引用文献数
1

日本の大学ではレポート形式の課題が出されることが多い.これまで我々は,「共同レポート作成課題」に注目し,支援するシステムを開発してきた.しかし,開発したシステムを実際の授業で用いたところ,グループによっては全く議論が行われない,一人でレポートを作ってしまうなどの問題点が浮き彫りになった.レポート作成能力を向上するため,学習者の相互評価が有効なことが,これまでの研究で指摘されている.そこで,本研究では,WEBベースのレポート作成システムに,学習者がレポートを相互評価する機能を実装した.そして,このシステムを試用し,相互評価が,レポート作成の学習に有効な手法であることを検証した.