著者
斎藤 貴光 柴田 弘 熊谷 貞俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.471, pp.17-22, 1996-01-19
被引用文献数
1

本報告では.原子力プラントのモデル化としてペトリネットを用いた離散事象モデリング法を紹介する.達続変数システムを離散事象システムとしてモデル化する方法は,これまでに数多く提案されているが,定性推論において挙動予測の不完全性(あいまい性や,にせの挙動生成)という問題がある.それを解決するために,これまでは特殊な制約を付け加えるなどの方法がなされてきた.ここで紹介する方法は,一般的な定性推論に特殊な制約を含んだアルゴリズムをペトリネットで表現して定性推論を行なうという方式である.この方式によって正しい挙動ができることを示す.
著者
柴田 弘紀 小川 智久
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

沖縄本島、小宝島、西表島産個体の全ゲノムアセンブリを取得し(先進ゲノム支援による)、金属プロテアーゼなどの毒液タンパク質遺伝子族で、集団間でクラスター構造が異なることを見出した。また14島計150個体のmtDNA配列を取得し集団遺伝学的解析を行い、ハブの集団構造には地理的要因が強く影響することを示した。また、9島47個体の毒腺のRNAseqで、集団間で有意に発現量の異なる遺伝子を同定したが毒液タンパク質遺伝子はほぼ含まれていなかった。一方毒液の2D解析では、集団間で発現パターンの明確な違いが観察された。そのため毒液タンパク質発現の集団間の差異は、翻訳/修飾レベルで生じている可能性が示唆された。
著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.43-64, 2020-03-23

本稿は安倍政権によって進められている「働き方改革」の下で変わりつつある日本の「雇用されない働き方」の一形態である「フリーランス的な働き方」の実態を明らかにしようとするものである。まず「働き方改革」の狙いと内容を素描し、そこで追求されている「多様で柔軟な働き方」の一つとしての「フリーランス的な働き方」をしている者の量的把握を試みたいくつかの試算を紹介した。その数は少ないもので230万人、多いもの470万人となっていた。「フリーランスの就業実態」以降で、いくつかの実態調査を基に、その類型、属性、業務内容、就業実態、収入の現実および「フリーランス」の意識(満足感、問題点、課題認識等)を明らかにした。「フリーランス的働き」をしている者は、属性、業務内容、就業時間、収入も多様でまさに千差万別であった。ただ、契約期間の短さ、就業時間の短さが特徴的に浮かび上がってきた。また働き方への満足度が強いにもかかわらず、仕事と収入が安定しないこと、「自営業主」扱いであるため、雇用者に保障されている様々な保険が適用されないことへの不満が強いことが明らかになった。最後に、現代の「フリーランス的働き方」の典型と思われるギグワーカー(gig worker)の分析も行った。それはまさに究極の不安定就労であることを指摘した。
著者
柴田 弘紀 千々岩 崇仁 服部 正策 熊澤 慶伯
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内産ハブ3種(ハブ、トカラハブ、サキシマハブ)の遺伝的集団構造を詳細に検討するため、12の島から計44検体を収集し、ミトゲノム配列の決定を行った。最尤系統樹を構築したところ、ハブは沖縄クレードと現在のトカラハブを含む奄美クレードの間で大きく遺伝的に分化していた。また、トカラハブを独立種とする従来の考え方は、ミトゲノムデータからは支持されなかった。また奄美クレードと沖縄クレードの分岐年代は、600万年以上前と推定され、奄美群島と沖縄諸島の地理的な分断(150万年前)よりも古かった。さらに、沖縄クレードに比べて、奄美クレード内では遺伝的多様性が高く、島嶼集団ごとの遺伝的分化が顕著であった。
著者
星合 隆成 小柳 恵一 ビルゲ スクバタール 久保田 稔 柴田 弘 酒井 隆道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.411-424, 2001-03-01
被引用文献数
46

本論文では, 意味情報に基づいて, イベントを目的地まで配送することが可能な意味情報ネットワーク(SION : Semantic Information-Oriented Network)を提案する.SIONを用いることにより, ブローカを介することなく, 情報提供者が, 提供するに相応しいユーザに対してのみ, 自身の情報を直接提案することが可能になる.また, 不特定多数のエンティティのなかから, 対象となるエンティティをスケーラブルかつリアルタイムに探索・発見することが可能になる.更に本論文では, SIONを実現するための要素技術であるイベントルーチング方式, ウェデレーション方式等について示す.また, SIONの効果を明らかにするとともに, SIONのキラーサービスであるコミュニティサービスについて説明する.
著者
北川 隆吉 北島 滋 岩城 完之 帯刀 治 板倉 達文 柴田 弘捷
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、グロバリゼーション、イノベーション、インフォメーション・システム、コミュニティ・ストラクチャーの4方面から、我が国の社会変動を調査検討し、事態の展開の根本に存在する社会的ダイナミズムをあきらかにすることを目的とした。調査は、以下の二つの対象地域-東京圏と東海圏-を設定し進められた。〈東京圏〉(1) 東京都臨海副都心と周辺区(2) 千葉県・茨城県南「開発」地区(3) 埼玉県(県央)人口急増地域(4) 八王子を中心とする広域開発地域(5) 神奈川県央・新型工業都市の形成地域〈東海圏〉(1) 名古屋市と中部新国際空港地区(2) 豊橋市を中心とする「開発地区」(3) 岐阜県中濃人口急増地区(4) 浜松市を中心とする広域開発地域(5) 大垣市の新型工業都市への転換以上10地域を選んで、それぞれのうち二つを((1)-(1),(2)-(2)といった形)一対の対象地域として選定し、第1年度は東京圏、第2年度は東海圏を、そして最終年次の今年度は両者の追跡、補充調査をおこなった。その結果、本研究による知見は以下のとおりである。(1) 当初意図していた〈東京圏〉と〈東海圏〉の比較は、不可能との結論に達し、あらためて〈東京一極集中〉のもつ意味の重要さがあきらかにされた。(2) 比較が不可能なことは人口量、都市規模の違いだけでなく、産業・工業構造の根本的差異への着目を必要とさせ、いずれの地域にあって変動の直中にあり、本研究では、まさに変動過程の実態があきらかにされている。(3) こうしたことから、21世紀-おそらく2010年まで-に新しい変動が生まれつつあり、その中で都市・都市間連関、地域社会そのものの存立が問われようとしている。この点で、東京圏との対比でいえば、「東海」の分解・分極化の方向を見せ始めている。(4) なお、本研究では、上述の変動と、地域内における諸集団や個々人へのインパクト、また政治、行政、経済の諸機構・内部構造・リーダーシップ、イデオロギーといったものの変動との結びつきについては必ずしも十分でない。この点は今後の研究課題としたい。
著者
柴田 弘文 SAXONHOUSE G DENOON David INTLIGATOR M DRYSDALE Pet 韓 昇洙 PANAGARIYA A MCGUIRE Mart 井堀 利宏 猪木 武徳 福島 隆司 高木 信二 舛添 要一 八田 達夫 安場 保吉 佐藤 英夫 PANAGARIYA Arvind CHEW Soo Hong HON Sue Soo
出版者
大阪大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

安全保障問題の近年の急変転は目をみはるものがある。当国際学術研究の第1年目は東西冷戦下で資本主義と社会主義の二大陣営の対立から生まれる安全保障上の緊張とそれを突き崩そうとする潜在的な両陣間の貿易拡大の欲求が共存するもとでの安全と貿易の関係を探るべくスタ-トした。ところが第2年目には、ベルリンの壁の崩壊と共に東西の対立が氷解し、自由貿易の可能性が拡大して、もはや安全保障に対する考慮は必要なく、この研究課題も過去のものになったかとさえ見えた。しかし、東西の対立の氷解が直ちに全ての対立の霧散に向かうものではなかった。民族間の局地的対立はかえって激化し、更に貿易でなく直接支配によって原油資源を確保しようとする試みは湾岸戦争を引き起こした。世界の政治の経済の根本問題が貿易と安全保障の問題と深く関わっていることを最近の歴史は如実に物語っている。本研究課題が世界経済の平和的発展の為の中心的課題であることが再度認識された。しかし貿易と安全保障の相互関係の分析に正面から取り組んだ研究は少ない。分析のパラダイムがまた確立されていないことにその理由がある。従って当研究では基礎的分析手法の開発を主目的の一つとした。先づ第一に柴田弘文とマックガイヤ-の共同研究は安全保障支出によって平和が維持される効果が確率変数で与えられるとして、安全保障支出がもたらす一国の厚生の拡大を国民所得の平時と有事を通じての「期待値」の増大として捉えて経済モデルを開発した。このモデルは例えば国内産業保護策と、安全保障支出は代替関係にあることを示唆することによって、貿易と安全保障の相互依存関係の理論的分析の基礎を提供することになった。柴田は更に備蓄手段の大幅な進歩から有事に当たっての生活水準の維持のためには全ての国内産業を常時維持することよりも安価な外国商品を輸入し、有事に備えて備蓄することの方が、効率的である点に注目して、安全保障費支出、国内産業保護、備蓄の三者の相互関係を明らかにする理論を構築した。更に柴田はパナガリヤと共同研究を行い、貿易と安全保障支出及びそれらが二敵対国の国民厚生に及ぼす効果を説明する理論を構成した。井堀は米国の防衛支出のもたらす日本へのスピルオ-バ-効果の日米経済に及ぼす影響についてのマクロ経済学的分析を行った。安場は東南アジア諸国の経済発展がアジア地域の安全保障に与える効果を研究した。佐藤は貿易と安全保障が日米の政治関係に及ぼす効果を国際政治学的に分析した。オ-ストラリヤのドライスデ-ルは近年の日本の経済力の著しい増加が太平洋地区にもたらす効果を分析した。八田はチュ-の協力を得て安全保障のシャド-プライズについての数学的理論を構築した。第2年目に基本理論の深化を主に行った。パナガリアは1990年9月に再び渡日して柴田と論文「Defense Expendtures.International Trade and Welfare」を完成した。更にチュ-ス-ホングは8月に来日し、柴田と共同研究を行い「Demand for Security」と題する共同論文の執筆を開始した。本研究の研究協力者である岡村誠は農業問題と安全保障の関係の分析を行って論文を執筆した。第3年目には理論の応用面への拡張に努力した。猪木は国の有限な人的資源を民需から軍需活動に移転することから起こる経済成長への負の効果と、軍関係機関での教育がもたらす人的資源の高度化から生まれる正の効果を比較する研究を行なった。井堀利宏は貿易関係にある二国間の安全保障支出を如何に調整するかの問題について理論的分析を行い論文を完成した。この三ヶ年に亘る日米豪の研究者による共同研究の結果、今まで国際経済学者によって無視され勝ちであった安全保障と貿易の相互維持関係を分析する基礎となる重要な手法を幾つか確立すると云う成果が得られたと考える。世界経済の安定的な発展のためには貿易と安全保障の相互関係についての深い理解が不可欠である。この共同研究課題で得られた知見を基礎として、更に高度な研究を続行することが望まれる。
著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.25-42, 2017-03-15

本稿はいくつかの調査データを用いて、日本の非正規雇用者のおかれている状況を、女性パートを中心に、明らかにしようとしたものである。日本の雇用状況は、非正規雇用者の増加と雇用形態の多様化(パート、派遣社員、契約社員、嘱託等)が進んでいる。2015年時点で、雇用者の1/3強の2,000万人、うち女性は1,350万人を超え、女性雇用者の半数強を占めるに至った。女性の非正規雇用者の多くはパートで主婦が多い。その主婦パートは、時給1000円程度で、1日数時間働いているものがほとんどである。年収にすると130万円以下が大半である。これには、税制(扶養家族控除規定)と年金・医療保険制度と大きく関係している。同時に、女性に大きく偏っている家事負担、家計補助程度の収入でよいとする意識、つまり家庭内地位と関係している。この低賃金と雇用の不安定性は、女性パートだけでなく他の非正規雇用者群も同様の状態に置かれている。また、やむを得ず・不本意に非正規雇用に就いている者も少なくない。彼ら/彼女らは、正規の雇用者に変わりたいと思っているが、なかなか正規の職には就けないのが現状である。いわば非正規の固定化(脱出できない)状況で「雇用身分社会」(森岡)となっている。労働世界に「格差と分断」が生じている。この背景には、人件費を節約したいとする企業の労務政策がある。
著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-40, 2021-03

COVID-19パンデミックは世界的に経済活動の縮小・不況と言うコロナ禍が生じさせた。その中で日本の就業世界では、企業の倒産、閉鎖・解散、事業所の閉鎖・縮小が生じ、それに伴って解雇・希望退職募集企業が増加し、休業者の急増、離職者の増加・就業者の減少、失業者・失業率の増加・上昇が見られた。休業者は非正規女性、特にパート、アルバイトに集中し、離職者は若年非正規、男性正規、女性非正規に多く、増加した離職者総計で見ると圧倒的に女性非正規が占めていた(97%)が、女性正規は増加していた。なお、休業者で法定休業手当(60%以上)以下の者やまったく払われなかった者も多くいた。また、就業形態では、「テレワーク」(在宅勤務)の導入、適用者(テレワーカー)も急増した。しかし、6月以降には導入中止、適用労働者割合、テレワーク日数も縮小しつつある。また、テレワーク導入目的、企業側、テレワーカーから見たテレワークの課題、問題点を明らかにした。
著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.7, pp.25-42, 2017-03

本稿はいくつかの調査データを用いて、日本の非正規雇用者のおかれている状況を、女性パートを中心に、明らかにしようとしたものである。日本の雇用状況は、非正規雇用者の増加と雇用形態の多様化(パート、派遣社員、契約社員、嘱託等)が進んでいる。2015年時点で、雇用者の1/3強の2,000万人、うち女性は1,350万人を超え、女性雇用者の半数強を占めるに至った。女性の非正規雇用者の多くはパートで主婦が多い。その主婦パートは、時給1000円程度で、1日数時間働いているものがほとんどである。年収にすると130万円以下が大半である。これには、税制(扶養家族控除規定)と年金・医療保険制度と大きく関係している。同時に、女性に大きく偏っている家事負担、家計補助程度の収入でよいとする意識、つまり家庭内地位と関係している。この低賃金と雇用の不安定性は、女性パートだけでなく他の非正規雇用者群も同様の状態に置かれている。また、やむを得ず・不本意に非正規雇用に就いている者も少なくない。彼ら/彼女らは、正規の雇用者に変わりたいと思っているが、なかなか正規の職には就けないのが現状である。いわば非正規の固定化(脱出できない)状況で「雇用身分社会」(森岡)となっている。労働世界に「格差と分断」が生じている。この背景には、人件費を節約したいとする企業の労務政策がある。
著者
柴田 弘
出版者
兵術同好会
雑誌
波涛
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.1-11, 2016-07
著者
星合 隆成 柴田 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1001-1012, 2000-09-25
被引用文献数
18

本論文は, 御用聞き型情報提案が可能な自律分散照合環境(Autonomous Decentralized Comparison Environment: ADCE)アーキテクチャを提案する.御用聞き型情報提案とは, コンテンツプロバイダが自身のコンテンツにふさわしいエンドユーザに対してのみ, 直接, コンテンツの提案を行うことが可能な提案方式のことをいう.一方, 自律分散照合環境は, 自律分散型の照合ネットワーク(コンテンツ紹介情報流通網)であり, エンドユーザとコンテンツプロバイダが, 互いの存在を知らない状況において, コンテンツ紹介情報を取得したり, 告知できるネットワーク環境を提供する.なお, 自律分散照合環境は, 御用聞き型情報提案ばかりでなく, 従来型の問合せ型情報提案にも有効である.また, 本論文では, 御用聞き型情報提案と自律分散照合環境の効果を定性的に示す.更に, 自律分散照合環境の性能評価モデルと性能解析式を示し, これにより, 自律分散照合環境が高いスケラビリティを有することを明らかにする.