1 0 0 0 研究史

著者
金子 弘
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.5-8, 2016
著者
池田 証壽 李 媛 申 雄哲 賈 智 斎木 正直
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.68-75, 2016 (Released:2017-03-03)
参考文献数
12

『篆隷万象名義』、『新撰字鏡』、『類聚名義抄』(図書寮本・観智院本)は、いずれも、平安時代、僧侶によって編纂された部首分類体の字書(本稿では「漢字字書」と呼ぶ)である。それらのデータベース構築は、各掲出字の一字ごとの画像データベースを作成し、元となった中国側の漢字字書や韻書の電子テキストを利用・作成し、それらの連携(リレーションシップ)をとって行う方法が正確かつ効率的である。本稿では、まず、入力できない文字の処理、次に翻字本文の作成・原本画像利用に関する所蔵者の許諾について言及した上で、典拠関連資料との照合と本文解読の効率化の方法を論じる。あわせて、このデータベース構築・利用によって、新たな研究課題が見出せることを示す。
著者
荻野 千砂子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.14-30, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
16

南琉球石垣市宮良方言のujoohuNは共通語の「差し上げる」に相当する。しかし共通語と異なり一人称寄り視点や人称制約がなく,敬語上のⅠ人称がない。補語を高く位置づける謙譲語の機能を持つが,上位者主語の場合,主語を軽度に高める「主語恭敬機能」も持ち,「上位者主語=上位者補語」で使用できる。また「授与方向優先の機能」を持ち,補語が話し手より下位者でも「主語<補語」で使用できる。一人称の位置は序列の中で固定されるため「下位者主語,上位者補語」で一人称(複数)補語が許容される時がある。また尊敬語ooruN(なさる)を下接した二方面敬語ujooh-ooruN(謙譲語+尊敬語)が上位者主語で用いられ,「主語≦補語」「主語>補語」で使用可能だが「主語>補語」では主語を補語より高く位置づける。「上位者主語,下位者補語」で一人称(複数)補語が許容される時がある。上位者へ優先的に敬語を用いる「上位者優先のルール」があるためである。
著者
諸星 美智直
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.173-159, 2008-01-01 (Released:2017-07-28)

函館市中央図書館蔵「蠣崎文書」は、松前藩家老将監流蠣崎氏の別家蠣崎伴茂(松涛)に始まる藩士の家に伝わった文書群で、『万古寄抜萃』(万延元年)、無題狂歌写本(『狂歌百人一首闇夜礫』の写本)、『鶏肋録』、『松涛自娯集』など方言音韻の特徴が強く認められる文書が多い。このうち、『万古哥抜萃』・無題狂歌写本には母音のエをイと表記する例が多いが語頭の混同例はまれで、現在の浜ことばとは異なる傾向が指摘できる。母音のイ段をウ段に表記する例が「し」を「す」とする例を中心に見られ、力行・タ行を濁音表記する例も語頭以外で多用されている。文書中には和漢洋に亙る古典籍から実用書に至る様々な文献からの抜書がなされており、『鶏肋録』所収の『徒然草』抄写本の本文にもイとエとの混同、力行・タ行に濁点を付した例が多く拾える。このような音韻表記は、意図的というよりは書写者たる松前藩士の学問が方言音韻の環境の中でなされたことによる無意識的な書記行為に起因する可能性がある。
著者
かりまた しげひさ
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.69-82, 2011-10-01 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

琉球方言にひろくみられる助辞=duをふくむ文は、=duに呼応して連体形と同音形式の述語が文末にあらわれることから、おおくの研究者が=duを古代日本語のゾとおなじ係助辞とよび、琉球方言に係り結びがあると主張してきた。琉球方言には=duとおなじ文法的な特徴をもつ=ga、=nu、=kuse:がある。内間(1985)は那覇方言の=gaを、仲宗根(1983)は今帰仁方言の=kuse:と=gaを、平澤(1985)は宮古方言の=nu、=gaを係助辞とみなした。本稿は那覇方言、今帰仁方言、宮古方言、八重山方言の=du、=ga、=kuse:、=nuをふくむ文の通達的なタイプと文末述語を検討し、当該助辞が特定の活用形と必ずしも呼応していないこと、当該助辞の機能が焦点化であることをのべる。
著者
中里 理子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.33-40, 2016-07-01 (Released:2017-03-03)
著者
大島 中正
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.41-48, 2016-07-01 (Released:2017-03-03)
著者
金 愛蘭
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.33-40, 2018-08-01 (Released:2019-01-01)
著者
日高 水穂
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.77-92, 2005-07-01 (Released:2017-07-28)

東北方言に広く用いられる文法形式のうち,移動の方向・着点を表す格助詞サ,目的語を表示する格助詞コト・トコ類,退去時制を表すテアッタ・タッタ形を取り上げ,その文法化の方向性と地理的分布の関係を考察した。これらの形式の文法化による変化の方向性を見ると,共通に,東北地方の日本海側の方言では,文法形式の機能を大幅に変質させる文法化が生じているのに対し,東北地方の太平洋側の方言では,本来の意味用法を維持する範囲での文法化が生じている。こうした文法化の方向性に見られる地域差を,言語地図による伝統方言の分布調査,若年層を対象とした多人数調査,方言による語りを文字化した昔話資料の用例調査などによって検証した。
著者
伊豆山 敦子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.155-170, 2005-07-01 (Released:2017-07-28)

文字資料がなくても、方言比較研究により、文法化の過程を知ることができる。文字資料がある日本語上代との比較により、日本語の文法化事例を加えることができる。琉球語の語彙項目^*i-(自動詞する)の文法化過程をたどる。八重山・石垣市宮良(みやら)方言の動詞語形変化の型は、日本語と異なる。5段活用対応型が、更に、1段活用対応型の活用語尾-i-(r-)と同じ形態素を持ち、同じ活用型を持つ。八重山・与那国方言の「する」を意味する自動詞i-(r-)と比較することにより、嘗て、語彙項目だった^*i-(r-)の文法化であることが推定される。その際、日本語連用形相当の形が最も基本的な形であること、その機能的意味が、話し手認識の関与しない、事象生起であることが注目される。
著者
彦坂 佳宣
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.110-124, 2010-10-01 (Released:2017-07-28)

『方言文法全国地図』第38図「寒いけれども〜」を逆接確定条件の代表とし、言語地理学的、文献方言学的解釈を試みた。新古の点は、日本の外輪に(1)バッテ(ン)類と(2)ドモ類、中輪に(3)ガ類、中央に(4)ケレド(モ)類の分布から、(4)(3)(2)の新古順とした。(1)は、分布様態と、古く仮定条件でその後の確定化の経緯から(2)に遅れて局地的な発生と考えた。接続法では、もと已然形承接の(1)(2)が終止形承接となったが、この類は「旧・已然形+バ」の主要仮定条件類の周辺分布域とほぼ一致し、この承接法が仮定用法化した時期に承接法を変えたと考えた。伝播面では、古い(1)(2)(3)は近畿中央から全国に、新しい(4)は上方で盛行し江戸に伝播した2極放射で、圧迫されたガは東西ごとの周辺分布となり、中国地方では理由ケーニと同音衝突もあって残存したと見た。近世方言文献からは、今日への途上、ないしほぼ現況に近い模様が出来ていたと推測した。