著者
富樫 耕介 Kosuke Togashi
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.143-157, 2021-02-15

シベリア抑留は、日ロ関係に横たわる重要な歴史問題だが、研究は長年進まず、近年活性化の兆しを見せているものの、抑留者の高齢化や死去で抑留経験の聴取は喫緊の課題になっている。本稿は、筆者の祖父・本山新一へのインタビュー聴取に基づいてシベリア抑留の「記憶」を「記録」する試みである。本稿では、1945年9月から4年間の抑留を記録対象とし、既存研究や資料に基づく事実の検証、あるいは抑留全体の議論と個人の経験を接合する作業に注力した。
著者
笠間 浩幸 Hiroyuki Kasama
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.115-129, 2018-08-10

「砂場」は、子どもの成長と発達に影響を与える重要な遊具である。だが、現代日本ではその評価が低く、特に公園における砂場の設置率は5割を切っている。また保育・教育の分野においても必ずしも良好な環境とはいえないところが多い。本研究では、このような砂場問題の根本的な原因のひとつとして「砂」の不適切性を指摘し、「適切な砂」の基準仮説を示すとともに、その検証を試みて砂場環境改善の方向性と意義を論じた。
著者
金田 重郎 Shigeo Kaneda
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.21-45, 2012-03-15

要求分析では,母語を用いて仕様を記述する.Object 指向分析は要求分析の代表的な手法の一つであるが,ここでも,クラス名等には母語が使われる.本稿では,英語圏で生まれたObject 指向を利用するとき,日本語と英語の違いを考慮するべきことを問題提起する.具体的には,認知言語学の立場から,クラス図の構造は英語の5 つの基本文型そのものであることを示す.例えば,クラスとは可算名詞,メソッドは動作動詞,関連は状態動詞,Has-s 関係は第4 文型(S+V+O+O),Is-a 関係は第5 文型(S+V+O+C),である.これによって,GOFのデザインパタンの理解も容易になる.一方,日本語と英語の構造は大きく異なっている.日本語仕様からクラス図を描くことは,日英翻訳に等しいことを明らかにしている.更に,本論文では,日本語クラス図における「関連名」について,考察を加えている.そして,手島によって提案された概念データモデリングと関係モデルとの関係を論じている.
著者
加納 千佳
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.231-234, 2009-07

研究活動報告(Research and Activity Report)2008年10月23日から10月27日にわたりイタリアのピエモンテ州トリノ市で「テッラ・マードレ(Terra Madre)2008」が開催された。「テッラ・マードレ」とは食のコミュニティの世界大会であり、国際スローフード協会とイタリアの農林水産省、外務省の経済推進局、ピエモンテ州とトリノ市の協力により開催されている。もともと、世界規模の生産者会議という名の下で行われていたこのイベントは、世界中の生産者はもちろんのこと、料理人、研究者、若者、ボランティアスタッフ等が集まり、交流を深める場として機能している。農業と食に関わる生物多様性を保護するために最も有効であるとして、この国際的な情報・意見交換が行われている。また、今年は「若者」と「音楽」という新しいカテゴリーが加わった。「若者」のカテゴリーが加わったのには、若者が食の運動を展開していこうとする「ユース・フード・ムーブメント(Youth Food Movement、以下、YFM)」という新たなネットワークが作られた事が背景にある。本稿では、このYFMに焦点を当て、「テッラ・マードレ2008」について報告する。
著者
奥野 耕平 Kohei Okuno
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-31, 2020-08-01

今日の文化財保護政策は、保存から積極的な観光活用へと転換している。しかし、これまで観光との観点からの文化財保護の意義に関する検討は不十分であった。本研究では、文化政策学的視座から柳田國男と宮本常一の民俗学的知見・思想を援用し、かつ批判的に継承することでその意義の再考を行った。文化観光を通じた文化財保護の意義とは、文化財の真正性と心意性を共に継承し続け、地域住民や後世の人々がより豊かに暮らせるまちにすることにある。
著者
西村 仁志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.201-204, 2008-12

研究活動報告(Research and Activity Reports)同志社大学大学院総合政策科学研究科では、イタリアで発祥した「スローフード運動」関係者・関係機関との交流を2006年より行ってきた。これは本研究科のソーシャル・イノベーション研究コース(以後、SI研究コース)開設にあたり、「いのちと農と食」の問題を重要かつ優先すべき社会的課題としてとらえ、その解決のための取り組みの思想的バックボーンとしてスローフードの理念に大いに共感したことによる。2007年6月には本研究科と「食科学大学(Università degli Studi di Scienze Gastronomiche:以後UNISGと表記)」が学術交流協定を締結し、そしてUNISGの海外研修旅行(Stage)の訪問先に日本・京都が選ばれ、本研究科が2007年6月、2008年6月の2回、研修プログラムを提供した。本稿ではその経緯と成果について報告する。
著者
橋本 誠志 Satoshi Hashimoto
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
pp.11-18, 2016-02

2015年9月3日に成立した個人情報保護法改正では,① 個人情報保護委員会の新設に伴う権限の一元化,②個人情報の第三者提供に関するトレーサビリティの確保,③不正な利益を図る目的での個人情報データベース等提供罪の新設,④国境を越えた適用に関する規定の整備等が盛り込まれた.次に問題となるのは日々,インターネット上でなされている膨大な量のデータ流通を確保しながら攻撃が発生した際のダメージを如何にコントロールするかという点である.本研究ではインターネット上で流通するパーソナルデータへの攻撃発生やデータ流出インシデントが発生した際に消費者/企業が受けるダメージのミクロレベルにおけるコントロールを行う上でデータの流通速度と手続のスピードに圧倒的差異があることに鑑み,手続実施中の情報の二次流通による被害を軽減するために紛争解決制度が果たすべき役割と機関設置例を検討する.20周年記念特集号
著者
増田 聡 Satoru Masuda
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.69-85, 2021-02-15

仙台で1999年に設立した(特非)まちづくり政策フォーラムは現在、コアメンバーの移動や転出、東日本大震災後の非営利セクターの変容などを経て、活動の停滞期にある。このような動きを踏まえて、NPO法制定後の法人動向を把握した上で、まちづくりNPOの特徴に関する先行研究の知見をまず整理する。次に、代表者の世代交代やミッションの継承等について、中小企業型の事業承継モデルの適用性を検討し、非営利性・公益性を有するNPO法人の事業承継の分析枠組みを提示する。
著者
Sterling Adam N.
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.167-182, 2014-03

研究ノート・資料(Note)2012年11月に政治資金収支報告書への虚偽記載をめぐって民主党元代表の小沢一郎の無罪が確定した。このことは、政治とカネの実態を象徴するものであり、利益誘導政治を抜本的に改善すべく1994年に成立した政治改革が未だに効果を発揮しておらず、政治資金に対する規制がザル法であることを改めて明らかにした。本論文では、政治資金をめぐって日本の抱える問題を如何に解決するか、その示唆を得んがために、まず政治資金規正法の諸規制を概観する。そして、政治資金パーティーによる企業献金の抜け道や個人寄附の遅れといった問題に焦点を当て、寄附制限と公開規定が腐敗防止策として機能していないことを明らかにする。筆者は、日本の文化や日本独自の問題を考慮した上で、1998年にエアーズによって提唱されたDonation Booth制度に基づいた新たな規制のあり方が必要であると考える。
著者
本多 幸子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.61-73, 2006-12
被引用文献数
1

この論文の主たる目的は、いわゆる熟年期--本論では、「第3ステージ」と呼ぶ--にさしかかった女性の自己実現をもたらす有力な契機ないし活動として、「社会起業」(social enterprise)の可能性(potentialities)を論じることである。 私自身、第3ステージを迎えているが、第2ステージの中途から、約10年にわたって主婦や高齢者層の「デジタル・ディバイドの解消」をミッションとし、そのミッションを出版や講座等の事業によって遂行していく団体を立ち上げ、現在はNPO(特定非営利活動法人)として運営している。その理事長を務めてきた経験からも、第3ステージにおける女性の自己実現の手段としての社会起業に一種の自信と期待を持っている。その自信と期待が独りよがりのものではなく、ある程度の普遍性を持つものであることを、事例調査の結果を踏まえつつ、論証しようとしたのが本論である。
著者
武蔵 勝宏
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-13, 2013-09

論説(Article)2007年7月の参議院選挙の結果、当時の政府与党は参議院での多数を失い、ねじれ国会のもとで、野党が強く反対するテロ特措法の延長問題に直面していた。米国を中心とする国際社会が「テロとの闘い」への日本の協力継続を強く求める中で、政府与党は、支援対象を海上補給活動に限定し、有効期限を1年間とする補給支援特措法案を提出するに至った。その背景には、テロ特措法のもとで海上自衛隊が実施していた給油がイラク戦争に転用されたとの疑惑が争点化し、集団的自衛権の行使による憲法違反との野党各党からの批判をかわす狙いがあった。また、参議院での派遣承認が得られるめどが立たないことから、法案からは国会承認規定も削除された。これに対し、野党各党は、参議院での逆転を利用して、衆議院段階から国政調査権の発動による給油疑惑の解明を強く求め、政府側からは補給活動の内容についての具体的な情報開示が小出しながらも相当程度に行われた。その結果、国会での法案修正には至らなかったものの、政府側の答弁を通じて間接給油先の使用目的の確認の徹底など、法執行段階で合法性を担保する運用を政府に確約させることにつながった。ねじれ国会という政治状況は、本来、与野党が合意形成を図る契機となるものである。政権交代を経て、与野党が安全保障政策に関する政権担当の経験を経た現在、日米同盟や国際平和協力などの安全保障政策をめぐって与野党が国益実現の観点から合意点を探しだす努力をすべきである。そのうえで、制服組の行き過ぎや大臣・内局による文民統制の不備があった場合には、党派を超えて国会が監視機能を発揮することが民主的統制の観点から求められているといえよう。
著者
緒方 あゆみ Ayumi Ogata
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.151-161, 2004-02

わが国の精神保健福祉施策は、1995年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、「精神保健福祉法」と略称する)以降、自治体レベルで積極的に展開されてきたが、長年の精神障害(者)への偏見や差別等から、他の障害者施策に比べると遅れているのが現状である。特に、精神障害者の社会復帰支援(自立生活支援および就労支援)に関する施策の遅れは深刻であり、地域住民への啓発活動をさらに推進するとともに、地域生活支援センター、授産施設、グループホーム等の社会復帰関連施設の整備が急務である。問題は、精神障害者が地域の中で安心して社会生活を営めるようになるためには、地域精神科医療と地域精神保健福祉に関する支援や施策をどのように実施し発展させるかにある。そこで本稿では、障害者福祉に関する施策の歴史が長く、精神医療においても先進国であるイギリスの取り組みを検討したい。イギリスの精神障害者施策は、病院での入院中心のケアからコミュニティケアへと移行したが、その経緯と現状については批判もあるものの、世界的にも高く評価されており、わが国の精神保健福祉施策を検討するにあたって、イギリスの動向を知ることは必要であると考える。また、イギリスの現行法である「精神保健法」(The Mental Health Act 1983)は、強制入院手続に関する規定等に関してわが国の精神保健福祉法と類似しており、また、2003年7月に国会で可決・成立したばかりの「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下、「心神喪失者等医療観察法」と略称する)は、主としてイギリスの制度を参考にして提案されたものである。本稿では、イギリスの精神保健法の概要の紹介に加え、同法を含む法律からみた精神医療史、医療制度等を中心に検討する。研究ノート
著者
北川 雄也 Yuya Kitagawa
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.143-155, 2020-03-01

本論文では、日本の府省において導入が進められているEBPMの特徴を整理したうえで、障害者政策においてもEBPMを適用可能であるか否かを検討した。その結果、日本の府省におけるEBPMは統計データの整備に重点が置かれており、障害者政策の分野では雇用分野で統計データ整備が進められている点が明らかとなった。しかし、対象者の個別性の要素に配慮した多量の情報を集める必要があり、統計データの整備はいまだ不十分である点を示した。
著者
内藤 正和 Masakazu Naito
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.121-136, 2019-08-01

現在、地方自治体におけるスポーツ施設整備政策をめぐっては賛否両論があり、その課題は、まちづくりに関する合意を形成する対話の場が欠落していることにある。まちづくりと整合性を持つスポーツ施設の整備には、住民との議論における情報提供を目的とした専門家による予備調査、目的に応じた参画や調査を可能とする複数組織による役割分担、多様な調査手法による多様なアクターからの意見集約が重要なポイントとなるのである。
著者
川浦 昭彦
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-4, 2008-07

ハーディンは「共有地の悲劇」という言葉により、共有地(ローカル・コモンズ)の資源枯渇は避けることが困難であることを主張した。しかし、現実には多くの共同体において共有地を維持するための伝統的管理手法が継承されており、random allocationもその一つの方法である。random allocationとは共有地・共有資源を一定の規模に分割した上で、くじ引き等のランダム・プロセスによりそれぞれの区画を共同体構成員に配分し、一定期間の後に配分を繰り返す仕組みである。本論文では2時点モデルにより、random allocationによる管理が共有地の資源保護をもたらす条件を明らかにする。論説(Articles)
著者
水島 洋平 Yohei Mizushima
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.115-126, 2009-07-25

本稿の目的は、ケア役割が男性にとってどのような意味を持つのかという問題意識の下、ケア役割を通して成人期男性がどのような発達を遂げるのかに焦点を当て、生涯発達の視点から考察することにある。近年、わが国においても、ワーク・ライフ・バランスの推進が喫緊の課題となっている。少子高齢化や産業構造の変化により、性別役割分業型家族が後退し、核家族が増加している。それに伴い、育児や介護の問題も変容している。かつて、育児や介護などのケア役割は、主に女性が担ってきたが、男性もケア役割を担う必要性、さらには、ケアに積極的に関わりたいという男性のニーズがあるなど、実態面や意識面での変化が見られる。本稿では、まず、ケア役割を通した成人期男性の発達の問題にアプローチする際に、生涯発達の視点を持つことの重要性を指摘した。次に、ケア役割と成人期男性の発達との関連性について明らかにするために、ケアの概念を概観し、成人期男性の発達にとってのケア役割の重要性について指摘した。最後に、ケア役割を通した成人期男性の発達を考えるうえで有用と思われるHavighurst、Erikson、Levinsonの発達理論の整理と理論から得られた知見を提示した。
著者
松木 宏美
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.195-200, 2009-12

研究活動報告(Research and Activity Report)古来、イタリアは食文化の中心地の一つであり、近年においてはスローフード運動の発祥の地としても知られる。筆者は2008年10月「テッラ・マードレ」参加のため、イタリア北部の古都トリノを訪れた。その際、それぞれの社会の進化において共通の問題が帯のように横たわっているのではないかと考えた。併せて、スローフード運動の発祥はなぜイタリアだったのか、イタリアと日本との差異の要因は何なのかという疑問を持つようになった。その後、中央大学法学部の工藤裕子教授(政治学)の地域・公共マネジメント・プログラムの海外現地調査の一環である『イタリア・アグリツーリズモ・ワークショップ』に参加し、中部イタリアの農家民宿に宿泊しながら、地域の農家や自治体関係者の話を聴くことができた。ここでは、この体験をもとに、人間やその共同体にとっての「食べること」の意味、生活の質、よりよい生活に向けての活動の要点、よりよい生活の実践に際しての日本との差異等について、調査し考察した結果を報告する。
著者
小野 千佐子
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.149-162, 2009-12

本稿は、布製で洗って繰り返し使用できる月経処置用品である布ナプキンを通じて、月経が社会の中でどの様に考えられ、受け止められるかという月経観がいかに変容するかについて論じた研究ノートである。月経をめぐる問題の根底には、月経痛などの身体的症状によるもののほか、月経に対して隠したい、あるいは厄介で、なければいいのにと思うようなネガティブな価値観がある。そのような価値観の背景には、社会通念や国家の政策等があり、また月経処置の方法にも左右される。つまり、月経をめぐる問題は個人的問題ではなく、社会全体の問題として取り組んでいく必要がある。とりわけ、月経観は月経をめぐる問題を検討していく際に重要なことである。そこで、月経と社会のかかわりについて歴史をひもときながら整理をし、加えて、今日一般的に使用されている月経処置用品が普及した背景について述べた。そして、その月経処置用品が内包する問題点を明らかにし、新たな選択肢としての布ナプキンの可能性について、先行研究と筆者がおこなっている社会実験のひとつを事例として報告した。さらに、使用する月経処置用品の違いによって変化する事象について考察を加えた。研究ノート(Note)
著者
山崎 幹根 Mikine Yamazaki
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.173-184, 2021-02-15

本稿は、公共政策の同化/分化が生じる要因を考察する中で、政府間関係がどのように作用しているのか否かを明らかにすることを目的としている。日英比較の観点から受動喫煙防止政策を対象とした研究から、政策課題設定に関して、サブ・ナショナルな政府という位置を活かし、政策課題を論じる場を移動させ、受動喫煙防止を公衆衛生として問題のフレーミングを見直し、政策転換を図った過程が共通して明らかにされた。一方、政策環境、政策の窓の観点から見れば、制度、ネットワーク形成、問題、政策、政治の3つの流れの有り様の違いが、異なる政策内容を導き出している。
著者
風間 規男 Norio Kazama
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.41-55, 2021-02-15

本稿は、2011年の福島第一原子力発電所事故後に起こった日本の原子力政策における制度構造の変化を扱っている。日本においては、原子力政策のガバナンス・ネットワーク、いわゆる「原子力ムラ」がしだいに政治的な権力を獲得していたが、福島原発事故以後にそのガバナンススタイルの変更を余儀なくされた。原子力ムラの構造変化は、日本の原子力政策に根本的な方向転換をもたらしている。