著者
山谷 睦雄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.370-375, 2006-04-28 (Released:2017-11-10)
参考文献数
22

気道ウイルス感染は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性憎悪を引き起こす.COPDは遺伝子多型性が発症に関与し,ライノウイルスは気道上皮細胞や炎症性細胞の炎症性物質合成やヒスタミン放出,好酸球活性化,肺炎球菌の気道上皮細胞接着促進などを引き起こす.喀痰調整薬などは,ライノウイルスの感染受容体の減少などを介して感染を抑制する.喀痰調整薬はCOPD患者の風邪の回数および急性憎悪の回数を減少させる.
著者
田中 弥生
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.433-437, 2017-04-01 (Released:2017-05-17)
参考文献数
9

ARDS (acute respiratory distress syndrome)で代表される急性呼吸不全や慢性呼吸不全増悪患者に対する管理において,栄養管理は重要な治療と認知されている.侵襲度の高い重症患者で,人工呼吸で換気とガス交換を維持し,疾患に対する根本的な治療を行い,患者が回復するまでの間,適切な栄養管理を施行することが重要である.組織の修復,免疫能力の安定,ガス交換の改善,炎症の軽減,感染自己防御などの維持・賦活も期待されている.回復に至るまでの間,栄養状態を安定させることが生死を左右させるといっても過言ではない.また,人工呼吸管理チームは医師,看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床工学技士,理学療法士,など多職種により構成されることが望ましい.
著者
脇 実花 秋田 馨 宮本 直 笹木 栄子 原口 友里恵 松井 弘稔 金子 ひろみ
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.305-308, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
8

当院では,2012年7月よりFisher & Paykel Healthcare社より発売されたOptiflow®(ネーザルハイフロー:以下NHFとする)を導入した.NHFには様々な使用効果があるが,新しい酸素供給デバイスのためエビデンスが少ない現状がある.2013年度途中までに当院でNHFを使用した患者25名の疾患内訳,NHF使用前の酸素デバイス,NHFの使用時期,NHF使用後の転帰,NHFの使用期間,NHF使用中に経口摂取や会話が可能だったかを分析した.その結果,NHFを使用することにより,人工呼吸器装着以外の治療の選択肢が広がり,高流量酸素投与下でも会話や食事ができる機会が増えたことを認めた.
著者
田中 孝美 源川 奈央子 守田 美奈子 長谷川 智子 淺川 久美子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.50-56, 2016

【目的】慢性呼吸器疾患看護認定看護師の活動の現状,職務満足度,支援状況の関連を明らかにすること.【研究方法】2014年8月に日本看護協会HPで氏名公表していた慢性呼吸器疾患看護認定看護師152名に,2014年8月~9月,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.【結果】回収率84.2%.専任が3.1%と少なく,活動時間が勤務時間の10%未満の者は約4割で,時間確保に苦慮していた.所属施設内および地域社会の活動状況への満足度は低く,満足群,非満足群で有意差が認められたのは[認定看護師としての活動時間][施設内ラウンド実施][薬剤師との連携][学会発表]の4項目であった.
著者
寺内 雅人
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.194-195, 1998

<p>消防救急隊の現状を多くの方に知ってもらうために発表するものである.<br>前半では,京都市消防局の昨年の救急統計(搬送人員および搬送種別の状況),救急警備体制(どのような救急車が配置されているか),救急救命士の活動状況および喘息患者の搬送状況を紹介する.<br>後半では,自宅から病院搬送まで,さらに病院搬送後の喘息重積状態が継続したというあまり例のない症例を通して,現在の救急隊の活動状況を紹介する.</p>
著者
宮本 顕二
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.129-134, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
5

日本は世界の最長寿国です.しかし,私たちの周りを見ると,やれ胃瘻だ,中心静脈栄養だ,人工呼吸器だと,結局苦しみの中で亡くなっている患者が少なくありません.その理由は,延命至上主義の結果,高齢で終末期の患者に対しても,最後まで治療を続けるからです.一方,私たちが訪れた欧米豪では,高齢で食べられなくなったら,胃瘻や中心静脈栄養などの人工栄養は一切行わず,食べるだけ,飲むだけで自然に死を迎えさせています.無理に食べさせず,延命措置もしないため,いわゆる寝たきり老人はいません.誤嚥性肺炎も問題になりません.患者だけでなく,自分も含めて,どのような最期を迎えたいかを,今こそ,真剣に考える時です.
著者
浦上 勇也 山地 康文 篠永 浩 河田 由紀子 久家 哲也 山本 和幸 飯原 なおみ
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.117-124, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
19

【背景】保険薬局において喘息患者に対する吸入指導を医師と連携して行うことは難しい.【目的】吸入指導連絡票を用いた,医療機関と連携した保険薬局における吸入実技指導が,臨床効果に与える影響を検討した.【方法】医療機関から吸入指導連絡票が発行された喘息患者に対し,薬剤師が吸入実技指導を実施した.吸入アドヒアランス,理解度・吸入手技,臨床効果指標(ACT,%PEF)を指標とし,指導1,2,3回目に測定して,その変化を全患者および年齢層別に解析した.【結果】解析対象31名において,全ての指標値は1回目に比べ2,3回目で有意に改善した.年齢層別では,60歳未満群では一部改善しない指標値があったが60歳以上群では全ての指標値が有意に改善した.【考察】吸入指導連絡票を用いた保険薬局における吸入実技指導は,医師と薬剤師の双方向の情報連携を可能とし,喘息コントロールを維持する上で有効である.
著者
塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-10, 2017-09-01 (Released:2017-11-10)
参考文献数
48
被引用文献数
1

呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性呼吸器疾患患者の機能を回復,維持させ,患者の日常生活を継続的に支援していく医療介入システムである.COPDを始めとした慢性呼吸器疾患患者においては,身体活動性の低下により生じたフレイルその予後を大きく規定している.このことから,慢性呼吸器疾患患者の身体活動性の正確な評価とその向上は非常に重要な課題である.COPD,間質性肺炎,肺結核後遺症,肺がん,肺高血圧症など呼吸不全を惹起する慢性呼吸器疾患がすべて呼吸リハビリの対象となる.呼吸リハビリにおいては,多専門職の学際的医療チームにより多次元的医療サービスが提供され,呼吸理学療法,運動療法,呼吸筋トレーニング(IMT),栄養療法,患者教育などの種目を中心にして展開される.栄養療法では抗炎症効果を有する栄養補助食品が臨床で用いられており,低強度運動療法と併用することでその効果が増加する.IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,新しい呼吸筋トレーニング機器が普及してきている.教育では,アクションプランの実施,セルフマネージメント,患者自身の行動変容が重要な課題である.呼吸リハビリの実施により,COPDにおいては呼吸困難の軽減,運動耐容能の改善,身体活動性の向上,健康関連QOL・ADLの改善が得られることから,その実践と普及が大いに期待される.
著者
井上 登太
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.238-244, 2011-12-28 (Released:2016-07-05)
参考文献数
18

高齢化に伴い老人性肺炎,誤嚥性肺炎の増加は非常に大きな問題とされている.嚥下食の問題として,一般的に使用されている増粘剤やゼリーの特徴の理解が必要であり,病態の問題として,誤嚥性肺炎の4病態それぞれ発生原因・治療方法が異なることを覚えておく必要がある.さらに,リスク管理として,多くの全身的要因により影響され慢性的経過をとることが多いことを忘れず,全身状態・評価環境と摂食環境を併せた総合的な判定が重要である.これらを踏まえ,多職種の協力とチーム内の認識統一,本人・家族の希望,社会的状況,残存機能を踏まえた指導内容の決定,予防,早期治療のため地域啓発,医療・介護職の知識・技術の啓発を含む包括的呼吸嚥下リハビリテーションが進められている.
著者
多田 菊代 村山 明彦
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.349-353, 2019-11-30 (Released:2020-01-28)
参考文献数
10

重複障害を抱える高齢者の増加と共に,医療機器を使用するリハビリテーション実施患者数の著しい増加が予測される.しかし,リハビリテーション職(以下:リハビリ職とする)の医療機器製品の取り扱いに関する卒前・卒後教育は十分と言えない.そこで,リハビリ職が当事者である医療事故等の実態の把握を目的に,日本医療機能評価機構の医療事故データベースを用いて,リハビリ職が当事者の医療事故およびヒヤリ・ハット事例を抽出し,医療機器の種類や要因等の集計・分析を行った.医療事故の該当は全22,163件のうち261件が該当であり,内6件が医療機器関連であった.過去5年間のヒヤリ・ハット事例は74件で内57件は医療機器関連に起因していた.発生事象の詳細分析より医療機器製品の取り扱いや安全管理の知識の習得を目的に卒前教育と並行し,卒後教育(特に新人教育)内容検討の必要性,多職種連携での共同学習方法の検討や学習方法の開発の必要性も示された.
著者
山口 育子 内田 学 丸山 仁司
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.113-119, 2019-05-31 (Released:2019-06-28)
参考文献数
23

【目的】高齢者の呼吸筋力,呼吸機能をはじめとする身体機能の実態把握と,運動耐容能との関連因子について検討した.【方法】歩行が自立した地域在住高齢女性60名を対象とした.呼吸筋力はPImax,PEmax,呼吸機能はVC,FVC,FEV1.0,PEF,運動機能は握力,膝伸展筋力,歩行速度,CS-30,TUG,片脚立位,FR,6MWD,身体組成は筋量,筋率を測定した.対象者の握力と歩行速度の結果から運動機能低下群(低下群)と運動機能維持群(維持群)の2群に分け,2群間の比較と,群ごとの6MWDと膝伸展筋力,歩行速度,VC,PImax,PEmax,SMIとの関連性を重回帰分析にて分析した.【結果】筋量,筋力は年代別基準値と近似したが,呼吸筋力,呼吸機能と運動耐容能は予測値より低く,低下群は維持群より有意に低値であった.低下群では運動耐容能の関連因子として呼吸機能が選択された.【結論】握力や歩行速度が低下してきた高齢者の運動耐容能の維持には,呼吸機能,呼吸筋力の重要性が示唆された.
著者
森下 辰也 陶山 和晃 板木 雅俊 宮城 昭仁 阿南 裕樹 大曲 正樹 禹 炫在 田中 貴子 俵 祐一 神津 玲
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.317-322, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
19

【目的】後期高齢者の肺炎再発症による入院の割合,およびそれに関連する身体機能をはじめとする要因を明確にすることである.【方法】肺炎にて入院治療とともに,リハビリテーションを行った75歳以上の高齢者を対象に,対象者背景,肺炎重症度,認知機能,栄養状態,摂食嚥下関連機能,身体機能,呼吸機能を評価した.また,過去1年間の肺炎による入院既往の有無から再入院群と初回入院群に分類し,評価項目を比較検討するとともに,再入院に関連する要因を分析した.【結果】解析対象者は118例であり,再入院率は24.6%であった.再入院群,初回入院群間で性別,呼吸器疾患の併存,栄養状態(GNRI)に有意差を認め,呼吸器疾患の併存とGNRIが再入院の有意な要因として抽出された.【結語】後期高齢者における肺炎による1年間の再入院率は24.6%であり,呼吸器疾患の併存と低栄養状態が再入院に関連する要因であることが示された.
著者
陳 和夫 坪井 知正 大井 元晴
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-132, 1998

<p>慢性肺疾患の急性増悪における非侵襲的呼吸管理としては,酸素療法(低流量法,高流量法)と,諸種病態に対する薬物療法が主であったが,近年,鼻マスク,またはフルフェイスマスクを使用した非挿管下補助呼吸(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)が普及しつつある.また,睡眠呼吸障害として,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の頻度が高いので,特に肥満例においてはOSAS合併を考慮すべきである.</p>
著者
後藤 幸 加藤 聡之 橋本 理恵 榊原 隆志 足立 守
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.236-241, 2008-12-29 (Released:2016-12-28)
参考文献数
8

吸入薬を使用中の呼吸器疾患症例では吸入再指導が重要である.今回,吸入継続中にどういう点ができなくなるのかを検討した.その結果,(1)吸入器の一連の操作を確認し,できていない点のみを是正する,(2)「吸入前の深呼気」,「吸入後の息止め」を再徹底する,(3)薬剤の効果と病態を再教育する,が再指導時の重要ポイントと考えられた.多忙な日常業務のなかではこれらに重点を置けば有効な再指導につながると思われる.
著者
大原 秀一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.323-325, 2006-04-28 (Released:2017-11-10)
参考文献数
8

近年,胃食道逆流症は消化器領域のみならず,さまざまな領域の病態と関連することが明らかとされつつあり,睡眠障害との関連もその一つである.これまで海外を中心に胃食道逆流症と睡眠障害の関連についてさまざまな方面からの検討が行われてきており,両者の関連を支持する報告も多い.その機序を含めいまだ不明な点も多く,両者の関連を明らかとするためには今後さらなる検討が必要である.
著者
河合 伸
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.209-212, 2008-12-29 (Released:2016-12-28)
参考文献数
6

高齢者肺炎の特徴は,慢性的な基礎疾患を有すことが多く,潜在的臓器機能低下が肺炎の難治化および重症化の重要な因子である.また,これら高齢者肺炎で重要な位置を占めているのが誤嚥性肺炎であり,その病因には神経疾患,寝たきり状態など多くの病態が関与している.誤嚥性肺炎の発生には,嫌気性菌を含む複数の菌によることが多く,病態が複雑であることが多いため,抗菌療法においてはこれら高齢者の病態を十分に考慮したうえで適正な抗菌療法を行わなければならない.
著者
松尾 善美 山本 洋史 米田 稔彦 三木 明徳
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.300-306, 2003-12-20 (Released:2018-04-10)
参考文献数
25

腹式呼吸(横隔膜呼吸)により,1回換気量の増加,呼吸数・酸素換気当量・死腔換気率の減少,さらにPaO2 上昇やPaCO2 減少が報告されている.呼吸補助筋の収縮抑制と胸腹部運動の同期性を伴った意識下での呼吸コントロールが成功したときに,腹式呼吸は,換気効率を改善し,呼吸困難感を緩和する可能性がある.しかし,安定期COPD患者では,必ずしも完全な腹式呼吸パターン習得がその目標にはならない.
著者
千木良 佑介 高井 智子 馬場 美早紀 土橋 邦生
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.313-318, 2014-12-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
21

COPD患者の多次元的重症度評価は生命予後の観点から重要であるといわれている.しかし,呼吸リハビリテーションのBODE indexの重症度別の効果は明らかでない.対象はADLの自立している外来呼吸リハが可能なCOPD患者37名.週に1回,3ヵ月間の介入を行った.介入前後で呼吸機能検査,下肢筋力検査,6分間歩行試験,QOL評価を行った.BODE indexの重症度別にⅠ群(軽症),Ⅱ群(中等症),Ⅲ群(重症),Ⅳ群(最重症)と群分けし,効果を検討した.Ⅱ,Ⅲ群は介入前後で呼吸機能,運動機能の有意な改善が認められた.群間での改善率の比較では,呼吸機能でⅡ,Ⅲ群はⅠ群と比較し有意に高く,運動耐容能ではⅢ群はⅠ,Ⅳ群と比較し有意に高い結果であり,Ⅲ群で最も改善率が良好であった.呼吸リハビリテーション効果はBODE indexの重症度により改善に差があることが確認された.