著者
田邊 将一 浅井 光輝 宮川 欣也 一色 正晴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_329-I_338, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
18

東日本大震災から数年が経過した今,今後危惧される巨大津波に備えて橋梁の津波対策が積極的に議論されている.実寸大での橋梁流失実験が現実的に困難であるため,数値シミュレーションによる橋梁の流失被害予測が期待されている.本研究では,流体解析分野だけでなく破壊を考慮した固体解析分野での利用も注目されている粒子法を解析手法として採用し,これまで粒子法の中で提案されてきた流体剛体連成解析の定式化を整理した後,主に用いられている2つの定式化(速度ベースと外力ベース)による差異を検証することにした.この際,外力ベースの定式化においては近年開発された高精度な境界処理法を採用した改良法を提案している.最後に,簡単な橋梁流失問題を通して両定式化による結果を比較検討した.
著者
車谷 麻緒 寺田 賢二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_129-I_138, 2012 (Released:2014-01-31)
参考文献数
16

This paper focuses on approximation properties for strong/weak discontinuities in the PU-based finite element methods. The extended finite element method (X-FEM), which is one of the PU-based FEM, enables us to approximate the discontinuous deformation due to crack/interface with the enrichment functions. In contrast, the finite cover method (FCM), which is also one of the PU-based FEM, is capable of representing discontinuous behavior by defining the multiple sets of finite covers (elements) instead of using the enrichment functions. We examine the properties and the effects of these different PU-based approximations for strong/weak discontinuities in this paper. Section 2 shows two types of approximations of strong/weak discontinuities in the PU-based FEM by taking X-FEM and FCM for instance, and explains the equivalence of them. Several numerical examples are presented to examine the analysis accuracy and effi ciency for structures involving a line crack, a branched crack and a material interface in Section 3.
著者
兵頭 順一 一井 康二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.12-20, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
12

土木構造物の非線形地震応答解析の品質と信頼性を保証する枠組みは他分野ほど示されていない.数値解析の品質保証には,検証と妥当性確認がある.検証は非線形の問題では難しく,解析の品質保証の観点からは,主として,妥当性確認が多く行われてきた.本研究では,多重せん断機構モデルを導入した解析コードを用いて,杭の支持力モデルを対象に堀らの提唱する数値創成解の考え方を用いた検証の事例を紹介する.まず,杭の押込み試験の数値解析を行った.その際,杭頭への載荷を強制変位と強制荷重による載荷の2通りを実施し,検証が困難な事例と可能な事例を示した.次に,杭の繰返し載荷の数値解析に対して検討を実施し,強制変位と強制荷重による載荷が一致することを示し,杭の支持力モデルに関して解析コードの検証の検討を実施することができた.

1 0 0 0 OA 宇宙進化論

著者
谷口 義明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_3-I_12, 2011 (Released:2012-04-06)
参考文献数
3

We present a review on the formation and evolution of the universe based on recent observations and theoretical considerations. In particular, we summarize the observational properties and theoretical perspectives on both the dark matter and dark energy that occupy 95 percent of the mass density in the universe.
著者
溝口 敦子 土屋 幸宏 森 勇輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_549-I_556, 2016 (Released:2017-01-29)
参考文献数
10

山地河道の階段状河床形状,Step-poolの定義は研究者によって異なり,形成過程等を踏まえた整理が必要と考える.通常のStep-poolは大礫がStepを形成し形状を決めるものであり,長谷川らは横断方向に列をなして礫が集積し落差が少ないTransverse ribsをStep-poolとは区別し定義している.著者らは状況によっては礫の集合体が瀬淵構造またはStep-poolになると考え,まずTransverse ribesに近い状況での礫の集合体形成過程の検討,砂の流出後の表層状態の確認を行う.特に,山地河道における礫の集積形成過程を明確にするため,実験で反砂堆と礫の集合体の形成について調べた.まず,礫の集合体形成には遡上反砂堆がかかわる実験例ともに,進行方向で礫の集積の仕方が異なることを示した.そのうえで,砂礫の比率を変えた河床を用いて遡上反砂堆の形成実験を土砂供給をしながら行うことにした.実験では特に各粒径の流送形態がどのように変化するなどを詳細に調べ,混合率によって砂が流出した後の礫の集合体の形成状況が異なることなどを明らかにした.
著者
井上 卓也 長谷川 和義 渡部 靖憲 船木 淳悟
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_739-I_746, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

急流河川では,三角状水面波列と呼ばれる恐竜の背のような巨大な水面波列が,洪水時に発生する場合がある.この水面波列は河床の局所洗掘を引き起こし,結果として護床・護岸の安定性に影響を与える可能性がある.この波は反砂堆上の水面波の一種と考えられているが,その発生条件や特性についてはまだ分かっていない部分が多い.そこで本研究では,水面波列の発生条件と横断方向のモード数を把握するための基礎的な実験を行った.実験結果,水面波列の発生条件はフルード数と無次元掃流力に依存し,モード数は川幅水深比に依存することが確認された.
著者
小林 卓哉 三原 康子 西脇 剛史 藤井 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_419-I_428, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
13

局所的な構造不安定の問題,たとえば薄肉構造の局所座屈に代表されるような問題では,部分的な変形が隣接する部分の変形を促し,それらの間でひずみエネルギの授受を伴いながら構造全体の不安定性が増大したり,あるいは解消する挙動が現れる.構造全体の挙動を一つのパラメータによって制御する手法,例えば弧長法によってこの種の問題を安定に解くことは難しく,慣性力あるいは粘性力の効果を導入し,ひずみエネルギの局所的な消散を適正に表現する必要がある.これまで適用例が多い動的陽解法は,その一つの便法である.本研究では最近の汎用FEMを使用し,人工的な粘性を与えることによって局所的な構造不安定に起因する解析の困難を克服した.圧縮を受ける完全円筒に近い弾性円筒シェルを手始めに,材料に起因する不安定現象を含め,全自動かつシームレスの解析によって深い後座屈の領域までをトレースすることが可能になったので報告する.
著者
横山 傑 松本 高志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_781-I_789, 2017 (Released:2018-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
4

近年,インフラ構造物の老朽化が進み,またそうした構造物が増えてきている.特に,コンクリート構造物におけるひび割れは,劣化損傷要因を間接的に表すと共に,耐久性の観点から弱点となる存在であるため,その長さ,幅,範囲などを点検において取得することが重要であるとされている.そこで本研究では,Deep learningを用いて,コンクリート表面の写真から,ひび割れ,エフロレッセンス,チョークの文字の有無と位置を「自動的」に検出する検出器を開発した.さらに,使用機器によらず,インターネット環境にあれば不特定多数が利用できるように,Twitterの自動検出器アカウントにコンクリート表面の写真を添付しリプライすることで,サーバーから検出結果が返信されるWebシステムを構築した.
著者
三鍋 佑季 川尻 峻三 川口 貴之 中村 大 山下 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_497-I_507, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1

締固めた地盤材料の含水比の増加に伴う工学的性質の変化を土の微視的構造によって考察した例は多い.しかし,過去の研究での土の微視的構造は力学試験挙動を解釈するためのツール的な役割であり,物理的な意味合いを持つパラメーターによる定量的な考察には至っていない.そこで本研究では,含水比を変化させて作製した砂質土を対象に一連の力学試験を行い,得られた変形・強度特性の変化をX線CTスキャンから取得した土粒子間サクションと配位数によって評価した.その結果,不飽和・飽和供試体の変形・強度特性の変化は,それぞれサクションや配位数の変化と整合する傾向にあった.このことから,締固め時の含水比を変化させた地盤材料の変形・強度特性が最適含水比よりも乾燥側の含水比で最大となることには,配位数が関与していることを見出した.
著者
亀井 陸史 鮎貝 崇広 金川 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_499-I_508, 2019 (Released:2020-02-06)
参考文献数
34
被引用文献数
4

多数の球形微細気泡を含む水中において, 波長の長い平面圧力波の弱非線形伝播に粘性と熱伝導性が与える影響を理論的に調べる. 多重尺度法を用いて, 粘性と熱伝導性を考慮した気泡流の基礎方程式系から低周波数の長波の長距離伝播を記述する KdV–Burgers 方程式を導いた. 気泡流全体の粘性と熱伝導性を無視した先行研究(金川ら, 機論 B, 76, 1802, 2010) との対比から, 液相粘性と熱伝導性の影響は散逸性のみに現れ, 気泡内気体の熱力学的過程が非線形, 散逸, 分散の全性質に影響を与えることがわかった. さらに, KdV–Burgers 方程式を数値的に解き, 非線形性, 分散性の順に波形に対して性質が発現することがわかった. 本研究と先行研究の数値解を比較すると, 本研究の方が散逸性と分散性が強いことが波形からも確認できた.
著者
笠行 健介 兼清 泰明 石川 敏之 檀 寛成
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_23-I_31, 2018 (Released:2019-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

CFRP接着鋼部材を対象とした数値解析において発生する恐れのあるスキームの数値不安定化を,多倍長精度計算方式を適用することにより安定化させて高精度の解を得る手法を構築する.まずCFRP板が接着された鋼板に引張荷重が負荷されるという想定の下で,CFRP板に生ずる軸力とせん断力に対する静力学的基本微分方程式を導き,境界条件を伴う解を伝達マトリクス法により初期値問題の解から構成する枠組みを与える.次に,IEEE 754に基づく固定精度浮動小数点方式による数値解法ではスキームを高精度化しても数値不安定現象が発生し,定性的に異なる挙動の解しか得られないことを示す.最後に多倍長精度計算ライブラリGMPを用いた任意精度方式による数値解法を適用することにより,スキームが安定化して定性的に正しい解が得られることを明らかとした.さらに,(i) 同様のアプローチがCFRP板端部にテーパを設けた場合にも有効であること,(ii) 得られた解は有限要素解析の結果とよく一致すること,(iii) 有限要素解析では数値評価が困難なCFRP板端部付近の応力の挙動も算出し得ること,を明らかとした.
著者
山田 貴博 仲田 光秀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_319-I_326, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
14

局所的な力学挙動を含むはりの有限要素解析に対して,はり要素とソリッド要素を適切に接続することにより低コストで高精度な数値計算を実現する手法について考える.従来の多点拘束(MPC)法やペナルティ法による手法では,接続条件を変位のみで考慮していることから,ソリッド要素領域のはり要素が接続する境界近傍に不自然な変形状態が発生する.本研究では,このような問題点を改善する手法として,接続境界における応力ベクトルの連続性を考慮できるNitsche法の適用を提案する.提案する手法では,はり理論から計算できる応力分布をソリッド要素でモデル化された領域の接続境界における応力ベクトルとするものであり,ソリッド要素領域の接続境界近傍においてもはりとして自然な応力分布が再現される.
著者
吉田 郁政 大竹 雄 本城 勇介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1-13, 2015 (Released:2015-05-20)
参考文献数
42
被引用文献数
2 5

観測点の最適な位置および点数を決める問題について,情報の価値Value of Information(以下,VoI)と確率論的空間分布推定手法であるクリギングに基づく方法の提案を行った.不確定性の伴う情報からなんらかの意思決定を行う問題において,新たな観測情報が与えられれば判断の誤りのリスクは減少する.VoIを新たな観測情報の追加による判断の誤りのリスクの削減量と定義して,それを最大化するように追加観測点の位置を決め,さらにトータルコストの最小化により最適な観測点数を決める.トータルコストは観測コストとVoIの和として求める.実在の堤防に沿った液状化対策区間の選定の問題を対象に,既存ボーリングに対する追加ボーリングの位置およびその点数の最適化について,提案手法を用いた検討例を示した.
著者
当流谷 啓一 松島 亘志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_527-I_534, 2017 (Released:2018-01-31)
参考文献数
26

隕石衝突によるクレーター形成プロセスは,惑星表層の地形・地質進化に重要な役割を果たすため,その力学的メカニズムの詳細な解明が求められている.本研究では,NASAの月周回無人衛星(LRO)に搭載されたカメラ(LROC)の高解像度データを利用し,海と高地の比較的若い月面クレーター136個を対象として,その分析を行った.また,2次元SPH法を用いた数値解析を行い,様々なサイズのクレーターの形状特性や生成過程を調べて,観測との比較を行った.その結果,クレーターの直径に対する深さの比は,直径が10kmを超えると急激に減少すること,クレーター直径が20km以上では中央丘が現れること,などの特徴に対して,画像解析とSPH解析の結果が一致した.またクレーター中央丘は,隕石衝突直後に形成される掘削抗の斜面が内側に円弧滑りを生じることによって,より深い場所の岩石物質が表層に持ち上がる事によって形成されること,その円弧滑りメカニズムがクレーター直径深さ比の変化に影響を及ぼしている可能性があることが解析により示唆された.
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_763, 2016 (Released:2017-10-27)

著者の依頼に基づき下記論文は撤回されました. 記 中村圭太、菊本統:水- NAPL-空気3 相系の特性曲線モデル,土木学会論文集A2(応用力学),vol.70, No.2, pp.I_831-I_840, 2014. 以上
著者
平尾 賢生 鈴木 啓悟 木村 定雄 北 隆之介 森山 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_739-I_746, 2017 (Released:2018-01-31)
参考文献数
9

近年,道路橋のRC床版の劣化が問題となっている.そこで,本研究ではRC床版内の水平ひび割れに焦点を当て,道路橋におけるRC床版を模擬した試験体を対象に超音波探傷を行い,水平ひび割れ位置の検出手法を提案した.本手法はアスファルト表面から低周波の超音波を入射して計測した波形の内,水平ひび割れおよびそれに形状を準ずる面状境界から得る反射波形データに基づき,複素型実信号マザーウェーブレット(CRMW)を作成する.作成したCRMWを用いて連続ウェーブレット変換処理(CWT)を行うことで反射波を信号処理し,水平ひび割れ位置情報を分析する.本手法を適用した結果,波形の極大値は水平ひび割れの位置と一致しており,良好な検出性能を有することが明らかとなった.
著者
井上 一哉 松山 紗希 田中 勉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_51-I_62, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
24

本研究では,地下水揚水に伴う揚水井の集水域を後方粒子追跡法により効率的に推定する方法を提案した.また,面積と周長の推定に加えて,移流時間の等しい集水域同士をアンサンブル推定する方法を考案した.不均質透水場を対象に,サイトデータを基に不均質度の等しい100通りの透水係数分布を地球統計学的に発生させ,集水域を推定した.その結果,透水係数の不均質度と揚水量の増加は集水域分布の推定確率を低下させる方向に作用する結果を得た.また,ランダムウォーク粒子追跡法を用いて,移流時間の異なる集水域ごとに,集水域から揚水井に至る汚染物質の流入確率をアンサンブル推定した.その結果,低い揚水量ほど揚水井への物質流入確率は低下し,遅延係数の空間分布を化学的不均質性として考慮すると,流入確率はさらに低下する結果を得た.
著者
井上 一哉 上田 祥央 田中 勉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_121-I_132, 2016 (Released:2017-01-29)
参考文献数
38

本研究では,水溶性物質の地下水揚水可能範囲を集粒域と定義し,集粒域の確率空間分布を時系列推定する方法について示した.領域内に不規則配置した粒子群の移流分散挙動をランダムウォーク粒子追跡法により解析し,揚水井への粒子流入の有無とトラベルタイムを記憶した.地球統計学的に生成した100種類の不均質透水場に対するすべての粒子の輸送情報を任意幅の格子内にてアンサンブルすることで既定の経過時刻に対する集粒域の確率空間分布として求め,境界条件や揚水量,揚水井の数を変えた条件に対応した集粒域の時系列分布を提示した.また,集粒域分布の不確実性評価としてエントロピーを導入し,集粒域規模の拡大に呼応した不確実性の増加を定量化した.さらに,分散現象の効果により集粒域の面積は集水域より大きくなることを示した.
著者
瀬戸内 秀規
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_399-I_410, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
16

一次元単調圧縮下正規圧密砂の粒子破砕を考慮した応力-ひずみ構成則を砂粒子の骨格構造の振る舞いに立脚して開発した.「骨格構造弾塑性成分の対数間隙ひずみ勾配Δεes/Δσ(領域I)と粒子破砕骨格構造崩壊成分の対数間隙ひずみ勾配Δεc/Δσ(領域II)は,それぞれ圧縮応力σに対してべき乗則に従う」という現象論的に見出した仮定に基づいて応力-ひずみ構成則を誘導した.さらに,粒子破砕骨格構造崩壊に伴う砂の骨格構造低位化効果を記述するひずみの発展則(領域III)を粒子破砕骨格構造崩壊ひずみεcを内部変数に組み込んで提唱するとともに,実測との照合によりその適用性を実証した.広範のひずみ領域を記述できる本構成則は,既往の数値モデルの表現能力向上に資するものと考えられる.