著者
中野 和典 千木良 純貴 中村 和徳 矢野 篤男 西村 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_87-III_92, 2012
被引用文献数
2

畜舎排水を処理するフルスケールの多段鉛直流式人工湿地について運転開始から2年間の水質モニタリングを行い,汚水処理施設としての性能を評価した.運転開始1年目の人工湿地の水質浄化性能は水温に依存する季節特性を有していたが,2年目には水温の低い冬季の浄化性能が有意に向上し,年間を通した浄化性能の安定性が向上した.これは,人工湿地の水質浄化性能が運用開始から1年間は発展途上にあり、運用から1年を経て気候条件に適応した頑健性を発揮するようになることを示唆するものである.2年目の年間汚濁負荷量と年間平均除去率により求めた各水質項目の浄化性能原単位は、BODでは26.2g/m<sup>2</sup>・d、SSでは21.0g/m<sup>2</sup>・d、TKNでは1.60g-N/m<sup>2</sup>・d、TNでは1.55g-N/m<sup>2</sup>・d、TPでは0.36g-P/m<sup>2</sup>・dであった.
著者
通事 善則 久城 圭 住田 哲章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_727-III_732, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

亜熱帯性気候に属し固有の自然が残る西表島には,東アジアをはじめとした周辺諸国からゴミが漂着する.本研究ではペットボトルを指標とし,西表島に到達するゴミの漂着実態を海流,海岸の方位角,ペットボトル生産地の判読及び風向により検討した.その結果,ゴミの漂着が西表島の北岸では風向に強く依存し,南岸では風向及び海流の影響を受けていることを明らかにした.本研究で得られた知見は,西表島だけでなく他の地域でも効率的な漂着ゴミ対策の実施に資することができると考えられる.
著者
大西 史豊 依田 伸治 養父 志乃夫 浅田 空斗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.II_259-II_264, 2013

日本人は古くからアカマツ林を燃料山として活用し,多くの恵みを得てきたが,昭30年代の燃料革命以降,里山の管理放棄,マツノザイセンチュウ被害等により,アカマツ林は衰退,消滅した.マツ枯れ後,散状二伐天然下種更新により復元されたアカマツ林の特性を明らかにし,その有用性を明らかにする事を目的とし,アカマツ材積,下層植生に関する調査を行った.結果,調査地におけるアカマツの材積は明治初期発芽の材積に比べ大きい値を示した,16年生アカマツ林においてha当たり約12m<sup>3</sup>の材積が確認された.下層植生は46種見られ,明るい二次林を好む樹木も多く見られた.また,5年生アカマツ林,16年生アカマツ林内の下層植生の成長量は同程度であった.
著者
越川 義功 高山 晴夫 竹内 康秀 真崎 達也 大城戸 博文 藤井 暁彦 林 健二 渡邉 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_73-II_81, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30

ダム建設工事では,工事区域での樹木伐採や剥土に伴い,昆虫類の生息場が短期間で広範囲に減少する.施工者による自然環境保全の取り組みのひとつとして,伐採材を活用した木柵(エコスタック)設置により,昆虫類の代替生息場の確保を実施した.設置からわずか1カ月後の調査において,木材に依存するカミキリムシ類、オサムシ類等をはじめとした56種の昆虫類がエコスタックで確認された.その後も季節による変動はあるものの,多くの昆虫類がエコスタックを利用しており,伐採材を利用したエコスタック設置は昆虫類の代替生息場の提供として有効に機能することが確認できた.
著者
大塚 佳臣 荒巻 俊也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.III_365-III_372, 2014
被引用文献数
2

パーソナル・コンストラクト理論に基づき,水辺経験の履歴が都市河川に対する意識に与える影響について,アソシエーション分析を用いて確率論的に評価を行った.その結果,日常生活で河川と関わりの深い経験をすることで,80%以上の確率で普段目にする河川(近隣河川)に対して人より肯定的な意識を持つようになる一方で,幼少時代に学校から水辺で遊ぶことを制限され,かつ現在の近隣河川がきたないと感じる経験を経ると,65%以上の確率で近隣河川に対して人より否定的な意識をもつことが明らかになった.近隣河川への肯定的な意識を高める上では,水辺に親しむこと経験を増やすこと,否定的な意識を持たせないようにするためには,学校や保護者が子供の水辺遊びを制限せず見守る姿勢を持つことが必要である.
著者
佐野 慈 増田 周平 李 玉友 西村 修 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_565-III_573, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究では,下水処理場における温室効果ガス排出特性を評価し,排出量低減対策を考察した.処理方式の異なる3箇所の下水処理場について季節毎に温室効果ガス排出量の実測調査を行い,各処理場における温室効果ガス排出係数を算定した.その結果,各処理場において電力消費に伴う温室効果ガス,汚泥焼却に伴うN2O及び下水処理過程におけるCH4が主要な排出源であった.また,処理方式や季節により現地におけるCH4,N2Oの排出特性は異なり,下水処理過程におけるCH4排出係数に水温との相関が見られるのに対し,下水処理過程におけるN2O排出は硝化・脱窒の有無や水温との相関,放流水による間接排出など複雑な要因が関わり,区分化の必要性が示唆された.さらに,調査結果を基に下水処理場における効率的な温室効果ガス低減対策について考察を行った.
著者
西岡 和久 松井 康人 木村 寛之 佐治 英郎 米田 稔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_67-I_72, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9

本研究では,肺胞上皮に沈着したナノ粒子がどれだけ上皮内に取り込まれるのかについて,ヒトII型肺胞上皮細胞(A549)と修飾基の異なる3種類(カルボキシ修飾,アミノ修飾,修飾基なし)の蛍光ナノ粒子を用いて,「表面修飾」,及び「表面電位」に着目し,共焦点レーザー走査型顕微鏡によるイメージング,およびフローサイトメーターによる粒子を取り込んだ細胞数の定量を行った.その結果,表面電位と細胞への取り込み量の依存性に関しては明らかにできなかったものの,曝露時間が長い程取り込み量は増加し,特にカルボキシ修飾粒子で顕著であった.
著者
神谷 大介 赤松 良久 宮良 工
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_13-I_18, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
12

沖縄県は亜熱帯海洋性気候に属し,特に小規模な島嶼では元々水資源に乏しかった.1972年の本土復帰以降,種々の水資源開発により水供給可能量は増加してきたが,人口および観光客の増加により,需要量は増加しており,給水制限の可能性を高めている.本研究では沖縄県の離島地域における渇水を地域社会の問題として捉え,水道事業の課題を整理し,水に関わる問題を地域社会との関係で構造化した.さらに,座間味島を対象に,観光客増加と住民の節水のみによる給水制限の回避というシナリオ分析を行った.この結果,さらなる節水は非常に困難であることが示唆された.さらに,キャリングキャパシティの考え方を援用して,水資源からみた島の観光客受け入れ容量について提示した.
著者
神谷 大介 赤松 良久 宮良 工
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_13-I_18, 2013

沖縄県は亜熱帯海洋性気候に属し,特に小規模な島嶼では元々水資源に乏しかった.1972年の本土復帰以降,種々の水資源開発により水供給可能量は増加してきたが,人口および観光客の増加により,需要量は増加しており,給水制限の可能性を高めている.本研究では沖縄県の離島地域における渇水を地域社会の問題として捉え,水道事業の課題を整理し,水に関わる問題を地域社会との関係で構造化した.さらに,座間味島を対象に,観光客増加と住民の節水のみによる給水制限の回避というシナリオ分析を行った.この結果,さらなる節水は非常に困難であることが示唆された.さらに,キャリングキャパシティの考え方を援用して,水資源からみた島の観光客受け入れ容量について提示した.
著者
西山 悠介 中谷 隼 栗栖 聖 荒巻 俊也 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_1-II_10, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
25
被引用文献数
3

持続可能な社会の実現に向けた都市構造の再構築において住民の選好を反映していくために,住民選好を考慮した居住地選択行動の解析を行った.宇都宮都市圏に住む10年以内に移転を行った人を対象にアンケート調査を行い,選好の多様性及び特徴を分析した.まず,居住地属性26項目について移転時における重視尺度を尋ねる質問の回答結果に因子分析を使い,居住地属性選好因子を3因子抽出した.そしてこの因子得点にクラスタ分析をかけることで,同質な居住地選好を持つ6つのグループに類型化を行った.続いて各クラスタの移転傾向や,クラスタに属する人の特徴の分析を行った.さらにコンジョイント分析によって,代表的な7つの居住地属性について定量的な解析を行い,クラスタ間で特徴の比較を行った.
著者
藤原 健史 伊藤 依理
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_41-I_48, 2012

自国に生産業を持たない太平洋の島嶼国では、天然資源を生かした観光業に力を入れている。旅行客の消費を賄うために食料品や生活用品を海外から大量に輸入し、さらに島民のライフスタイルが消費型に変わったことで輸入量が増えた。島内で消費された製品は廃棄されて島内に処分され、現在では環境汚染や景観悪化の原因となっている。国土が狭い島嶼国では最終処分場の確保が困難なため、島が持続的に発展してゆくためには、廃棄物の発生を抑制し、海外との連携を視野に入れた循環型社会を構築することが必要である。そのために、島の経済発展やライフスタイルの変化を考慮しつつ、廃棄物の量や質を将来に亘って把握することが不可欠である。本研究では、米国グアム準州を対象に、産業連関表を作成して現在の経済状況を把握するとともに、島民の人口増加や将来の観光客数、観光客の消費の変化を考慮したシナリオを作成し、経済波及効果を考慮しながら将来の家庭ごみ排出量を推計する。
著者
竹村 紫苑 赤松 良久 鎌田 磨人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_105-I_110, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
16

パラオ諸島におけるマングローブの生育地としての干潟の形成と安定性に関わる流域特性を用いて潜在的生育地を推定し,広域的視点から生育地の脆弱度評価を行った.流域特性として土砂供給,土砂堆積,そして波の静寂性に関わる要因をGISを用いて算出した.そして一般化線形モデルを用いて流域内に生育可能なマングローブ生育地面積の推定を行った.その結果,流域山地部からの土砂供給量が多く,平野部の土砂堆積容量が十分で,かつ平野部の水理条件の良い河川が大きな内湾に流入する場所において潜在的生育地面積が大きかった.しかし,マングローブの潜在的生育地は限られた場所であり,パラオのマングローブ生育地のほとんどは脆弱な環境に立地することから,土地開発は慎重に検討する必要がある.
著者
長谷川 知子 松岡 譲
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_255-II_264, 2012
被引用文献数
3

農畜産業における排出削減対策は,世界排出量半減に向け,とりわけ第一次産業を国内産業の主産業とする途上国における排出緩和において重要な役割を果たすと考えられる.本論文では,農畜産業における温室効果ガスの排出削減評価モデルを開発し,国・地域レベルで農畜産業部門におけるGHG排出緩和のための具体案の検討への適用を提案する.低炭素社会の実現に向け,どのように排出緩和シナリオをデザインするのか,また,削減対策の導入計画をどのように描いたらよいのかについて論じる.さらに,この手法をマレーシアへ適用し,2030年において対策を導入した場合,どの対策により,いくらの費用で,どれだけの排出が削減可能かについて示す.
著者
西澤 常彦 稲員 とよの 小泉 明 渡辺 晴彦 荒井 康裕 森 正幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_143-II_150, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
11

管路更新計画における更新順序の決定では,管路単体の物理評価だけでなく管路ネットワーク構造における上下流関係を定量的に評価することが重要である.すなわち,ある管路上で発生した断水事故の影響は,まず,直近の仕切弁を閉じて作られる断水領域として生じ,次いでその影響が管路のネットワーク上の発生箇所によって異なる形で波及するといえる.そこで本研究では,管路ネットワーク上の仕切弁で閉じられる個々の断水領域を需要者ユニットと定義することにより,管路事故時における水供給への影響度を需要者ユニット間の相互関連構造から評価する方法を提案した.さらに,ケーススタディで,提案したネットワーク構造に基づく影響度評価を行うとともに管網解析の結果との整合性を確認することで本提案の有効性を示した.
著者
林 優里 Janice . J. SIMSON 五味 馨 松岡 譲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_213-II_224, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究では特定の機能に特化し製造業がほとんどない小規模都市において低炭素社会を実現するための対策費用を含む定量的な計画策定手法を開発し,これをマレーシアのプトラジャヤに適用した.基準年2007年,目標年2025年として社会経済指標,エネルギー需要量,CO2排出量の推計を行った.目標年対策導入ケースについては,交通対策重点,再生可能エネルギー利用促進,建物対策重点の3通りを想定した.その結果,対策の導入によりいずれの対策ケースでも「経済活動あたりCO2排出量を2025年までに2007年比で45%削減」という目標が達成可能であるという推計結果が得られ,対策費用は高い順に再生可能エネルギー利用促進,建物対策重点,交通対策重点となると推計された.C-ExSSにより,低炭素計画の方針および対策について,費用をふまえ地域に適した現実的な検討が可能になると考えられる.
著者
楊 翠芬 玄地 裕 匂坂 正幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_517-II_526, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
24

本稿では耕作放棄地の活用によるバイオ燃料生産の可能性について検討した.また,耕作放棄地率が高い福島県をモデル地域とし,多収量米およびスイートソルガムを栽培して,バイオエタノールの生産・利用の最適化モデルを構築し,GHG排出量の少ないバイオエタノール生産・利用システムを検討した.結果としては,日本では農地への復元可能な耕作放棄地にて資源作物を栽培して約54万kLのエタノールが生産できる.また,福島県における水田・畑地への耕作放棄地にて多収量米およびスイートソルガムを栽培して年間約3.5万kLのエタノールが生産できる.バイオエタノールの使用により約3.2万t-CO2eq削減できる.また,多収量米よりスイートソルガムからエタノール生産のGHG排出削減効果が高かった.
著者
荒井 康裕 小泉 明 堀川 博哉 稲員 とよの Bambang BAKRI
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.III_337-III_344, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

我が国の水道施設は, 人々の活動を支える社会基盤として欠かすことのできない存在である. しかし, 資源やエネルギーの大量投資に伴って環境負荷を与えている一面もある. さらに, 高度経済成長期に集中的に建設された施設の老朽化が進行し, 現在では大更新期といった難局面も迎えている. ライフラインとしての水道管路を今後も維持して行くためには, 可能な限り環境負荷の小さいシステムへ移行することが重要な検討課題の1つに挙げられる. 本論文では, 管路施設とポンプ施設から構成される水道管路システムに着目し, LCA(Life Cycle Assessment)の観点から, 建設, 運転, 維持管理, 更新の各々のプロセスにおけるCO2排出量の算定を行った. 車両輸送と管路輸送の比較により, 後者(管路)による水輸送の優位性を示した. さらに, 人口密度の大小, 管路配置形状の違い, 管路口径の大小がCO2排出量にどのような影響を及はすか多面的に明らかにした.
著者
青木 えり 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_165-II_176, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
40

地方自治体規模で市民の環境配慮行動が重視されているが,行動変容に有効な要因,要因間の関係等まだ明らかになっていない部分も多い.そこで,社会的な要因と個人的な要因の両面から現状を明らかにするため,環境配慮行動に影響を与えうる社会経済的指標を市町村レベルの統計値から調査・整理すると同時に,全国47都道府県を対象に,市民の環境配慮行動実施状況や意識,個人属性を調査する大規模アンケートを実施した.市民の環境配慮行動としては44の日常行動と13の機器導入を対象とし,各行動の実施度の違いや,促進・阻害要因の差異を分析した結果,行動により異なる要因が影響を及ぼすが,全体として個人属性や心理的な要因の方が社会的な要因より大きな影響を及ぼす環境配慮行動が多くみられた.また地方自治体の環境施策では,レジ袋や可燃ごみ有料化が関連行動に正の影響を与えていた.