著者
小宮 享 牧 正人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.346-351, 2006-06-01

運動会などでおなじみの棒倒しの試合では,対戦前にどちらのチームとも,まず全競技者を攻撃・防御担当に配分し,次に各担当ごとに作戦計画を立てると思う.例えば攻撃・防御とも,より細分して綿密な役割分担を決定したり,タイミングや攻撃方向を設定したりするかもしれません.本稿では,このような作戦が練られ統制のとれた棒倒しの対戦での双方のチームの消耗の様子をランチェスターモデルにより記述することを試みた.次に設定した棒倒しモデルにおいて,予め決められた試合時間をいくつかの時間帯に分け,各時間帯での最適な攻撃要員の配分や心理状況により攻撃配分が変化する様子を観察した.
著者
松本 伸哉
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.683-688, 2012-12-01

米国において,ビッグデータ解析の事例を紹介する.本事例は,オンラインゲームの会社において,ユーザーとの通信をすべて蓄積し,解析を実施した事例である.オンラインゲームにおいては,初心者にとって入り込みやすいゲームであるとともに,熟練したプレイヤーにとっても飽きさせない要素が必要である.また,プレイヤー間でのフェアな競争が必要であり,アンフェアな行為が可能でないかの確認ために,解析を実施した.
著者
松本 健 西郷 彰
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.68-73, 2013-02-01

平成23年度データ解析コンペテイション「課題設定部門」は,ゴルフ用品の販売データが提供され,初期購入時点で将来において重要な顧客になるかどうかの判別をしたいという課題が課せられた.予測精度を決める要素として,どのモデルを採用するかが重要な要素になっているが,モデル以外の要素として,変数の加工や予測手順なども重要な要素である.われわれは,限られた時間のなかでこれらのバランスを考えながら分析を行った.以下で,どのような分析戦略のもと,予測を行ったかについて紹介する.
著者
山上 伸 樫尾 博 北澤 英理子 高橋 一喜
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.155-160, 2007-03-01

東京ガスのORチームは,社運を賭けて取り組んだ三大プロジェクトの遂行のために1971年に設立された.設立当初は華々しい成果を上げたものの,次第に課題が小粒になり,計算屋と化していった.梃入れにと1991年には研究部門へ移り,長期的な視点での研究に力を入れた.研究所での5年間の充電期間を経た後,企画部門に異動し,現在は経営に直結する課題の解決に携わっている.一方,2000年代に入ってから,ORを実践する組織が新たに二つできた.営業や製造供給の現場からのORニーズに応えるチームと,市場リスクを管理するチームである.三つのORチームはそれぞれに活躍している.
著者
森平 爽一郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.707-712, 2005-10-01

年金の目的は長期にわたる年金保険料の支払いに対し, 退職後の長期の年金受給が確保されるかどうかである.年金が長期かつ不確実な予測に依存し, システムが複雑であることが, 問題を複雑にしてきた.事実, これまで年金の歴史は破綻の歴史であった.年金のリスク, つまりその破綻に関して, ポートフォリオとデリバティブズ理論に代表されるファイナンス理論と最適化やシミュレーション手法に代表されるオペレーションズ・リサーチのさまざまな考え方, 理論と手法が如何に貢献しうるか概観することにする.
著者
中川 純一 橋本 久 中島 大明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.455-461, 2013-08-01

十数年前頃より,テキストマイニング技術が出現し,コンタクトセンターに蓄積される顧客の声(Voice of Customer)を商品開発やサービス改善に活用する動きが活発化した.実際VOCを活用するためにはコンタクトセンター部署が顧客満足向上をミッションとする組織(例えばCS推進部署)と情報を共有しながら,試行錯誤を繰り返して活用するケースが多い.しかし,コンタクトセンターに蓄積されるVOCは,企業が提供する商品やサービスに対して,モノを言う顧客の声(ボーカルマイノリティ)であって,一般的にはモノを言わない顧客(サイレントマジョリティ)のボリュームが圧倒的に多いという事実がある.最近では,そのモノを言わない顧客(サイレントマジョリティ)がFacebookやTwitterなどSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で繋がり,そのつぶやきが顧客同士で伝播するため,企業は無視できない状況に陥っている.本稿では,企業を取り巻く声(VOC,SNS,バーチャルエージェントの対話ログ)を活用している事例を紹介しつつ,今後の顧客戦略について展望を述べたい.
著者
岩本 誠一 木村 寛 藤田 敏治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.359-363, 2014-07-01

映画「ダ・ヴィンチ・コード」ではフィボナッチ数が暗号として用いられている.この報告では,一対の主問題と双対問題を導入して,その最適解を交互に編むとこの暗号が得られることを示す.映画では8つの数字からなる暗証番号が中心的な役割を果たしている.本論文ではこの暗証番号が双対最適化理論の格好の教材でもあることを数学的に示す.主問題と双対問題の最適解の間に美しい関係-フィボナッチ相補双対性-が成り立つことを示している.
著者
星川 太輔
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.37-39, 2006-01-01

スポーツの現場でもIT化が進み, データの収集・加工・配信の形態が変わりつつあります. そこで今月から"スポーツデータ"と銘打ち, 連載企画として紹介していきます. 第1回目は, データスタジアム(株)でプロ野球のデータ配信を手がけておられる星川太輔氏に最新のデータ分析の取組み方について記していただきました.
著者
安藤 和敏 伊藤 公人 甲斐 充彦 前田 恭伸 関谷 和之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.315-321, 2012-06-01

静岡大学工学部システム工学科で開講している授業科目「プログラムコンテスト」において,敢闘賞の決定を最短距離DEAによって行った.プログラムコンテストはグループで協調して自発的に学習に取り組むProblem Based Learningの1つであり,コンテスト形式は各グループが互いに競争して研鑽する仕掛けの1つである.競争の前提として,グループの能力が均一であることが望まれるが,グループ編成の実務上では実現困難である.どのグループも質の高いグループ活動を最後まで持続しコンテストに意欲的に参加することを期待し,2011年度から「敢闘賞」を新設した.新設の経緯と「敢闘賞」決定に用いたDEA,そしてその評価結果を報告する.
著者
杉浦 宣彦
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.6-13, 2010-01-01

近年のわが国における電子マネーや企業ポイントの発展は目を見張るものがあるが,これらの利用にあたって,現在,どのような法規制が存在して発行体を規制しているのか,また,どのような利用者保護があるのだろうか?また,近年の発展に対応するために,2009年6月に資金決済法が成立したが,この法により電子マネーや企業ポイントをめぐる法規制はどのように変わるのだろうか?さらに,海外の電子マネー・企業ポイント規制はどのようになっており,わが国とはどのような違いがあるのか?本稿では,これらポイントを明らかにしつつ,今後の発展のために検討すべき課題を明らかにする.
著者
木下 栄蔵
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.352-356, 2006-06-01

本稿では,2004年アテネオリンピックの柔道女子選手の強さの推定にAHPを適用した事例を紹介する.また,実際のスポーツの結果推定や分析にもAHPが有効な手法であることを示す.
著者
恐神 貴行 大塚 誠
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.221-226, 2015-04-01

人が選択肢集合の中から最も魅力的な選択肢を選ぶときに,各選択肢の魅力は他の選択肢に何があるかに強く影響を受ける.特に,魅力効果,妥協効果,類似効果は,人の選択に影響を与える代表的な効果として知られている.ところが,標準的な選択モデルである多項ロジットモデルは,これらの効果を表現することはできず,人の選択を予測する目的において,その予測精度が問題になることがある.これらの効果を定量的にデータから学習するために,制限ボルツマンマシンを用いた選択モデル(RBM選択モデル)が最近提案された.本稿では,このRBM選択モデルをわかりやすく解説する.
著者
稲葉 言史
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.318-323, 2014-06-01

本稿では,2013年の7月から12月までの期間に高大連携プロジェクトに参加した茨城県立日立北高等学校の高校生7名で構成される日立北A班と,ティーチング・アシスタントである大学院生2名と学部生1名による取り組みを紹介する.
著者
久保 幹雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.589-594, 2014-10-01

本稿では,実際問題であらわれる難しい最適化問題を短時間で解くための方法論について論じる.最適化プロジェクトを路頭に迷わせないためには,次々とクライアントから要求される付加条件や変更条件を柔軟に取り扱えること,修正が短時間で完了すること,可視化やデータ解析が容易であることが必要である.ここでは,単なる哲学ではなく,Python言語による具体的な実装例を用いてコツを伝授する.