著者
岩本 誠一 木村 寛 藤田 敏治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.359-363, 2014-07-01

映画「ダ・ヴィンチ・コード」ではフィボナッチ数が暗号として用いられている.この報告では,一対の主問題と双対問題を導入して,その最適解を交互に編むとこの暗号が得られることを示す.映画では8つの数字からなる暗証番号が中心的な役割を果たしている.本論文ではこの暗証番号が双対最適化理論の格好の教材でもあることを数学的に示す.主問題と双対問題の最適解の間に美しい関係-フィボナッチ相補双対性-が成り立つことを示している.
著者
三原 勇太郎 鈴木 稔 木村 寛子 赤須 玄 濵田 伸哉 篠崎 広嗣
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1801-1806, 2015 (Released:2016-01-30)
参考文献数
30

症例は51歳,男性.全身に広範な刺青を有する患者.直腸癌に対し低位前方切除を施行中,突然の血圧低下,頻脈,顔面紅潮をきたした.アナフィラキシーショックを疑い,手術を中止した.Epinephrine投与などによりバイタル安定し改善を得た.術後検査でラテックスに対する特異的IgE抗体陽性であり,ラテックスアレルギーを考え,ラテックスフリー環境下で再手術を行い,問題なく手術を終了しえた.ラテックスは術中アナフィラキシーの原因の一つであり,文献報告が散見される.一般に,頻回に手術や医療処置を受ける患者に加え,医療従事者や製造業などゴム手袋着用頻度の多い群でリスクが高いとされるが,本症例はラテックスアレルギーのハイリスク群には該当せず,刺青の長期に渡る作成過程でラテックスに感作した可能性を考えた.
著者
有吉 範高 布谷 憲一 高橋 由紀 宮本 昌美 醍醐 聡 梅津 有理 横井 毅 木村 寛三 Philippe BEAUNE 鎌滝 哲也
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.57-61, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
28

CYP2A6 has been characterized as a coumarin 7-hydroxylase in humans. A large interindividual difference in the activity of coumarin 7-hydroxylation suggested an existence of genetic polymorphism of this enzyme. In fact, CYP2A6*2 variant allele which has T→A substitution, leading to amino acid change from Leu160 to His160, has been found in Caucasian population as the most frequent mutation in poor metabolizers (PM) of coumarin. Although several drugs used clinically or under development such as fadrozole, losigamone and methoxyflurane are recognized at present to be good substrates of CYP2A6, no specific substrate of this CYP isoform has been known until we found a drug, SM-12502. In the phase I trial, 3 out of 28 Japanese subjects were classified as PM of the drug. In vitro studies demonstrated that CYP2A6 played a major role on the metabolism of the drug. Genomic analysis revealed that the PM phenotype was caused by the presence of a novel CYP2A6 gene variant which lacks the entire region of open reading frame encoding the enzyme in the PM. Thus, we designated the variant as “deletion-type” allele. We examined the frequency of individuals carrying homozygous deletion by a genotyping method established in our laboratory. Thus, the frequency was estimated to be 3-4% in Japanese. We found another CYP2A6 gene variant whose 60 bp in the 3'-untranslated region was substituted by the corresponding region of the CYP2A7 pseudogene. This variant was designated as “conversion-type” allele. We found that the allele frequency of the conversiontype was comparable to that of wild-type, CYP2A6*1 allele in Japanese. We also compared the frequency of the CYP2A6*2 allele as well as the deletion and the conversion alleles between Japanese and Caucasian. Consequently, a marked interracial difference in the frequency of the genetic variants of the CYP2A6 gene was observed. These results give an interesting insight into racial difference in response to drugs and evolution of the CYP2A gene subfamily in humans.
著者
鯵坂 秀之 坂東 悦郎 安居 利晃 藤田 秀人 加治 正英 木村 寛伸 前田 基一 薮下 和久 小西 孝司
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.189-193, 2002-02-01
参考文献数
11
被引用文献数
3

1995年4月〜2000年9月の虫垂炎手術390例中, 虫垂切除術(以下虫切)の既往のある4例(1.0%)を経験した.内訳は(1)53歳男性(44歳時虫切), (2)42歳女性(8歳時虫切), (3)52歳女性(22歳時虫切), (4)58歳男性(40歳時虫切)である.全例右下腹部痛で発症し, 初診時保存的加療で経過観察されていた.手術適応決定には全例CTが用いられ, 術前診断は症例(2)の遺残虫垂炎以外回盲部膿瘍であった.発症から手術までは症例(1)から順に1か月, 3日, 10日, 17日で, 全例回盲部切除術が施行された.切除標本の病理検索にて虫垂切除術の遺残虫垂炎と診断された.虫垂切除術の既往のある急性腹症に遭遇した場合遺残虫垂炎も鑑別診断にあげるべきであるが, その確定診断は炎症が虫垂に限局している時点では困難である.初回虫垂切除術で遺残虫垂をなくし遺残虫垂炎を予防することが重要であると考える.
著者
高木 正則 河合 直樹 大信田 侑里 鈴木 雅実 木村 寛明
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.70-82, 2018-02-20

協調学習では,複数のグループが同時並行で学習を進めるため,教員が各グループの学習の進捗を把握するのは困難である.そのため,教員は各グループで行われた話し合いの内容や,学習課題の達成に対する各学習者の貢献度を把握することは難しい.本研究では,協調学習における各学生の学習課題の成果に対する貢献度の可視化を目的とし,協調学習時の発話に含まれる特性語の出現頻度に基づいた貢献度推定手法を提案した.実際の授業で記録した協調学習時の音声データから本提案手法により推定した貢献度と,協調学習の様子を撮影した映像を教員が閲覧して評価した貢献度の相関係数を分析し,本手法で推定された貢献度の妥当性を検証した.その結果,本提案手法で推定された貢献度は,教員が評価した貢献度の約半数と一致しており,中程度の相関があることが確認された.また,本提案手法は音声認識の精度が低くても,貢献度の推定精度が低くならないことが示され,学生1人1人の発話を正確に記録・認識することが困難な協調学習の場面で有効に活用できることが期待できる.
著者
西岡 和久 松井 康人 木村 寛之 佐治 英郎 米田 稔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_67-I_72, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9

本研究では,肺胞上皮に沈着したナノ粒子がどれだけ上皮内に取り込まれるのかについて,ヒトII型肺胞上皮細胞(A549)と修飾基の異なる3種類(カルボキシ修飾,アミノ修飾,修飾基なし)の蛍光ナノ粒子を用いて,「表面修飾」,及び「表面電位」に着目し,共焦点レーザー走査型顕微鏡によるイメージング,およびフローサイトメーターによる粒子を取り込んだ細胞数の定量を行った.その結果,表面電位と細胞への取り込み量の依存性に関しては明らかにできなかったものの,曝露時間が長い程取り込み量は増加し,特にカルボキシ修飾粒子で顕著であった.
著者
木村 寛子
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A83-A94, 2011

本稿の目的は、予測を外す表現や非常識な発想をおかしみと共に受け入れる方法を明らかにすることである。そこで、予測とのずれ、常識とのずれを含むユーモアエッセイを分析資料とし、資料から読み取ることのできるずれを確認したうえで、理解主体がずれの他に読み取っているものや感じとっていることを、周囲の表現を見ながら明らかにするという手順で分析を行った。分析の結果、ずれを生み出す表現主体の着眼点や、本題とは無関係な理屈、常識的ではない発想の中にある日常性などを、理解主体はずれの他に読み取っていること、そこからさらに表現主体の心理や現状を想像できるようになることが明らかになった。表現主体の発想を理解し、心情を想像することは、理解主体が表現主体に共感したり期待を抱いたりすることにもつながるだろう。このような過程を通して理解主体の中に生まれる共感や期待が、ずれをおかしみと共に受け入れるために重要だと考えられる。
著者
藤崎 源二郎 木村 寛 北川 義久 藤平 秀行 落合 昭二 木村 茂
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

有限次代数体kのガロア拡大K/kのガロア群がp進整数環(p:素数)I_pのカロ法群に同型であるとき,K/kをI_p-拡大という.I_p-拡大K/kに対して中間体の列k=k,⊆k_1⊆…⊆k_n⊆…⊆K,k_n/kはp^u次巡回拡大,が唯一つ定まる.k_nのイデアル類群のp-シロ一群の位数をp^<en>とすれば,十分大きなすべてのnに対してe_n=λ_n+μp^n+vとなる整数の定数λ(≧0),μ(≧0),Vが定まる(岩澤類数公式).λ,μをI_p-拡大K/kの岩澤不変量という.有限次代数体kに1のpべき乗根すべてを添加した体k_∞はkのI_p-拡大体となる.k∞/kをkの円分I_p-拡大とよぶ.岩澤不変量λ,μの研究は代数的整数論における中心的課題の一つであり,とくに円分I_p-拡大のλ,μの研究は重要かつ興味あるものである.本研究ではとくに円分I_p-拡大のλについて考察した。すなわち,研究代表者藤崎はkが有理数体のあるガロア拡大(ガロア群が(2,2)型アーベル群,四元数群,二面体群など1のとき,kの円分I_p-拡大のλについてある結果(kの部分体のλとの関係)を得た.また,特別なpについて計算例を集めた。研究分担者木村茂はネバンリンナ理論の発展についての総合報告を執筆発表した。研究分担者木村寛は授業資料として計算機から電算機に至るまでの発達を文献対比により整理した.また,中学校の課題学習で扱う教材を事例毎に考察した.
著者
岩本 誠一 木村 寛
出版者
九州大学経済学会
雑誌
経済学研究 (ISSN:0022975X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.1-19, 2009-12

映画「ダ・ヴィンチ・コード」では8つの数字からなる暗証番号【ダ・ヴィンチ・コード】が中心的な役割を果たしていた。本論文ではこの暗証番号のもう一つの片割れを双対最適化理論の枠組みの中で紹介する。主要な成果は3つである。(1)主問題と双対問題の最適解の間に美しい関係―交互フィボナッチ相補双対性―が成り立つことを示している。(2)最適化の一階条件として新たに交互フィボナッチ条件を導出して、この条件に基づく分割法によって簡単に最適解を求めることができることを示している。すなわち、交互フィボナッチ分割法を提案している。(3)さらに、直接的な方法によって主問題から双対問題を導いている。