著者
細田 暁 岸 利治
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.3-6, 2007-11-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

2007年4月にオランダで自己治癒材料に関する第1回国際会議が開催された。また, JCIには自己修復に関する研究委員会が2007年に発足し, RILEMでもSelf Healing Concreteの技術委員会が活動を始めている。これらの状況を踏まえ, 国内外のひび割れ自己治癒コンクリートの研究動向を紹介する。自己治癒・自己修復という言葉の定義に関して論じ, 国際会議で得た有用な情報, 国内外の委員会活動の状況, いくつかの最新の研究事例を説明する。
著者
三橋 博三
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.9-15, 2007-02-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 7

2006年2月に日本建築学会から発刊された「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針 (案) 』について, その特徴と概要を紹介した。従来からある収縮ひび割れ対策の仕様設計の手法に, 近年の研究成果を加えて人幅に改定するとともに, 新たに性能設計の手法を取り入れた背景とその内容を説明した。また, 収縮ひずみならびにクリープひずみの予測に関する建築学会式が紹介されている。
著者
佐藤 敏之 今川 憲英 猪田 大介 高木 俊輔
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.297-302, 2016 (Released:2017-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

白色ポルトランドセメントからなるコンクリートを構造体として使用した,3次元曲面のRC構造物の設計・施工に関する記録である。外・内装とも化粧打放し仕上げとなるため,コンクリートの材料・調合の面から,無収縮挙動に近いものを目標にひび割れ低減対策を実施した。厚肉床壁構造および3種類のコンクリート強度を採用することで,開放的な建築空間,東西断面のワイングラス形状を実現している。困難な杉板浮造りの曲面打ち放しコンクリートを実現するため,3Dモデルでの杉板・Pコン割付の検討,色見本・実大モックアップの作成等の事前準備を経て,型枠・配筋・打込み等で細心の検討を行いながら作り込みを行った。
著者
上野 敦 十河 茂幸
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.967-974, 2013 (Released:2014-12-01)
参考文献数
3

近年,骨材が多様化しており,物性の範囲も広くなっている。このため,既往の測定試験法ではその適用が困難となる場合がある。コンクリートの配(調)合設計上重要な意味を持つ,細骨材の密度および吸水率試験もその1つである。コンクリート基本技術調査委員会では,細骨材品質WGを設置し,細骨材に対する密度および吸水率試験法の整理を行い,それらの測定原理に基づいて,各種の細骨材にこれらの試験方法の適用が困難となる細骨材物性を検討してきた。本報告は,この活動の一環として実施した実験結果をまとめ,広範囲の物性を有する細骨材の密度および吸水率を,異なる測定原理の試験方法で測定した場合の結果の変動について検討したものである。
著者
石倉 武 最首 貞典 助清 満昭 友澤 史紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.16-23, 1999
被引用文献数
2

コンクリート廃材からの再利用はこれまで主に路盤材, 埋戻し材に用いられてきたが, 今後適用先を拡大するためには再生材料の高品質化が必要である。このような観点から原子力発電所の解体時に大量に発生するコンクリート廃材から, 高品質の再生骨材を製造する技術開発を実施してきた。機械すりもみ法および加熱すりもみ法による再生骨材製造技術に関する (1) 再生骨材, (2) 再生骨材を用いた再生コンクリート, (3) 実大壁モデルについて小規模装置で試験した結果, 普通骨材に匹敵する品質の再生骨材の回収に成功した。
著者
大即 信明 鎌田 敏郎 今本 啓一 長田 光司
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.638-643, 2014

日本コンクリート工学会では,コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針-2013-を同指針-2009-の小改訂版として刊行した。この指針は,ひび割れに関心のあるすべての方が,ひび割れ発見から,調査,原因推定,評価,判定,補修・補強を体系化して行える指針である。本稿では同指針の内容を解説する。
著者
前川 明弘 畑中 重光 三島 直生 湯浅 幸久
出版者
コンクリート工学
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.24-32, 2008

ポーラスコンクリートはその内部に連続空隙を有し, 植生ブロック, 透水性舗装など様々な分野での利用価値が高く, 新たな用途開発が積極的に行われている材料である。しかしながら, これまでのポーラスコンクリートに関する研究では, 使用する粗骨材粒子径が2.5~20mm程度の範囲であり, 得られる空隙径にも限界があった。そこで著者らは, ポーラスコンクリートの適用範囲を大幅に拡大させることを目的として, 骨材粒径を小粒径から大粒径 (骨材粒径範囲 : 0.6~400mm) まで変化させたポーラスコンクリートの製造方法や各種特性について検討した。本稿では, 粒径400mm程度のコンクリートがらを使用した大粒径ポーラスコンクリ。トの製造と, 魚礁ブロックとしての適用性について紹介する。
著者
舟川 勲 牛島 栄 宮川 豊章 山本 泰彦
出版者
コンクリート工学
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.3-11, 2005
被引用文献数
1

本稿は, 2005年4月に発刊された土木学会コンクリートライブラリー119「表面保護工法設計施工指針 (案)」について, その概要を取りまとめ, 紹介するものである。すなわち, 指針 (案) では, 有機系被覆工法, 無機系被覆工法, 表面含浸工法, 断面修復工法の4種類の工法を包括した表面保護工法の適用の基本的な考え方を規定し, 「表面保護工法工種別マニュアル編」では, それぞれの工種別の設計・施工方法および維持管理方法を記述している。ここでは, 指針 (案) の概要について紹介するとともに, 各工法の適用事例について併せて紹介する。
著者
阿部 公博 藤田 秀徳 武村 浩志
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.194-199, 2012 (Released:2013-02-01)

熊川橋は,常磐自動車道の延伸工事のうち,福島県双葉郡大熊町に位置する熊川を横過する PC 3 径間連続波形鋼板ウェブ箱桁橋である。本橋梁の品質および耐久性をより向上させるため,設計段階から温度応力解析によるひび割れ対策や FEM 解析による上げ越し計算などの種々の検討を行うとともに,施工においてもひび割れ対策や PC 鋼材の防錆対策など,様々な点に対して配慮した。本稿はこれらの内容に対して報告するものである。
著者
藤原 喜啓 上岡 政夫 宝示戸 恒夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.31-40, 1994-05-01 (Released:2013-04-26)

中筋川ダムではコンクリート打設工法に拡張レヤー工法を採用しており, その面状打設の特徴を反映させ, ダム堤体下流面をステップ形状にすることとなり, このステップを含めたダム全体め景観設計を行った。ステップ形状を踏まえたうえで全体コンセプトの十分な検討を行い, ステップのデザインを活かすかたちでダム全体のデザインにいくつかの試みを行っている。ここでは, 下流面ステップ形状の検討経緯, 全体コンセプトの考え方, 細部デザインの試みとその施工について述べる。
著者
谷川 恭雄 森 博嗣
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.4-16, 1987-05-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
44
被引用文献数
2

コンクリート施工のロボット化を初めとする新工法の開発や, 流動化コンクリート, 繊維補強コンクリート, 水中コンクリートなどの各種コンクリートの開発にともない, フレッシュコンクリートの流動性をより科学的な視点に基づいて評価することの必要性が高まってきている。本稿では, 現在フレッシュコンクリートのコンシステンシー判定法として広く利用されているスランプ試験について, レオロジー的な観点からの見直しを行うことを目的として, スランプ試験のメカニズム, スランプ試験によって測定される値の物理的意味, フレッシュコンクリートの流動シミュレーション方法, スランプ試験を拡張してレオロジー定数を推定する方法などに関する研究の現状を紹介する。