著者
田村 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.112-116, 2004 (Released:2006-10-06)
参考文献数
12

キーボードは書字下手な人々の悩みを解消した.そしてケータイは,移動中でも,ベットの中でも時や場所を選ばずに使える入力法を約束している.機械に合わせて人を訓練するのでなく,人に合わせた入力法の開発が格段の普及を促進するものと期待される.書字動作,キー入力,ケータイ入力に共通する人の特性についてのべ,最近の実験結果を含めて解説する.
著者
大島 成通
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-23, 2015 (Released:2016-01-26)
参考文献数
15

棒高跳競技では踏み切りスピードや角度,ポール特性,各関節トルクなど様々なパラメータの複雑な組み合わせによっ て得られる跳躍高さは大きく異なる.このような組み合わせ問題の最適解(ポール特性,各関節トルクなど)を,多リンク人体- ポール連成モデルシミュレーションによって求める研究がなされているが,その設計変数の多さから最適解を求めることが困難である.本稿では,高速計算に定評があるODE を用いた連成モデルによる筆者らの最適化例について紹介する.
著者
白石 英樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.291-296, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
31
被引用文献数
3

手は,複雑な動きをし,様々な道具を扱う,巧緻性に長けた効果器である.手の機能を評価する検査方法には多くのものがあるが,手の機能を評価するには1)基本機能,2)作業能力,3)社会的役割の3 つの側面に対して行うことが重要であ る.現在,臨床場面で用いられている多くの手の機能に関する評価(検査)方法を紹介するとともに,手の機能評価に関する問題点や今後の課題について述べた.
著者
蜂谷 正泰 鈴木 聡一郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.57-63, 2009 (Released:2012-01-31)
参考文献数
8
被引用文献数
4 12

近年,実用化が進められているヒューマノイドの多くはフィードバック閉回路により制御されている.このような制御手法は軌道計画が複雑なうえ,エネルギ効率や任意環境への適応性等に多くの問題を抱えている.これらの問題の解決策として受動歩行が注目されているが,その歩行の安定化理論は未だ明らかにされていない.本研究では,ヒトの歩行解析結果を基にヒトと同様に三次元的な体重移動が可能な足部を有する受動歩行ロボットを実際に設計・製作し,実験的に歩行の安定化条件を検討した.さらに,歩行路性状が変化する任意の環境下においても常に安定した歩容を獲得するため,強制引き込み現象を利用した準受動歩行ロボットをモデル化し,その制御手法について解析的に検討した.
著者
和田 直之 野地 澄晴 濃野 勉
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.192-198, 1999-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
55

脊椎動物の四肢の発生過程は,パターン形成機構解明のための良いモデル系として古くから解析が進んできた.古典的な実験形態学的研究から得られた知見をもとに,位置情報などの概念が提唱され,発生生物学全般に大きな影響を与えてきた.加えて,近年の分子生物学的手法により物質面からの解析が進み,古典的概念をふまえた新たなモデルも提唱されている.最近では肢の形成部位の決定や前肢・後肢の違いなどに関わる分子も発見され,発生生物学の枠にとどまらず,進化論的な視点からの議論も盛んである.本論文では,四肢の骨格パターン形成過程において観察される現象とそこに関与する分子群,およびそれらの相互作用について最近の知見をまじえて議論する.
著者
大島 博 水野 康 渡辺 友紀子 関口 千春
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.14-17, 2001-02-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

西暦2000年11月より国際宇宙ステーションにおける長期宇宙滞在が開始され,人類の宇宙環境利用の新しい時代が開始した.人類が重力から開放され宇宙の微小重力に滞在すると様々な生理的変化が生じる.とりわけ骨・カルシウム代謝は滞在月数とともに進行し,骨量減少や尿路結石などの問題を惹起するため,健康管理上大きな課題となる.本稿では長期宇宙滞在における骨量減少,骨代謝マーカー,カルシウム代謝,および脊柱への影響に関する最新の知見をまとめて紹介する.
著者
新宮 尚人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.9-14, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
4

うつ病の治療は,適切な薬物療法と十分な休息を取ることで枯渇したエネルギーを徐々に回復させることが中心となる. リハビリテーションは薬物療法と相補し,趣味や楽しみの回復,うつ病患者に特有の認知や感情的反応などの振り返りと修正,本人をとりまく環境の調整をしながら,もとの生活への復帰や新たな生活環境への適応を促し,再燃・再発を防ぐことを目指す.本稿では,リハビリテーション実践の際に共通理解とする国際生活機能分類(ICF) を踏まえて,作業療法,心理教育,認知行動療法などのリハビリテーションの特徴について述べる.後半では,産業メンタルヘルスにおけるリハビリテーション,近年,若年に多いといわれる新型うつ病にも触れる.

1 0 0 0 OA 寝具と睡眠

著者
木暮 貴政
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.189-193, 2005 (Released:2007-10-23)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

様々な報告から現代日本人の睡眠事情は危機的状況にあると言え,良い睡眠を確保するために正確な知識と対策が必要とされています.睡眠は様々な生命現象が同調して働く複雑系なので,寝具との関係もそのような中で捉える必要があります.そこで,まずは良い睡眠の確保に役立つ知識として生体リズム調整,覚醒時の過ごし方,入眠前の準備,快適な睡眠環境について紹介します.そして,睡眠環境の中でも特にマットレス(ベッド)や敷布団のような敷寝具に焦点をあて,良い睡眠をとるために必要と考えられる寝具の条件および寝具の選び方を考察します.
著者
弓削 類 青景 遵之 中川 慧 波之平 晃一郎 田中 英一郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.36-40, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

モビルスーツ型自立歩行支援ロボットを使って,免荷時のロボット使用時の歩行と通常歩行の健常者における脳活動を比較し,脳機能の視点から月面歩行のシミュレーションとしての可能性を検討した.月面歩行のシミュレーションを歩行と捉えるか,ジャンプと捉えるかでシミュレーションの方法が変わってくるものと考えられる.月面歩行のシミュレーションの技術開発は,ニューロリハビリテーションやスポーツ医学等の隣接学術領域にも多くの知見を与えるものと思われる.
著者
星川 秀利 木村 裕一 玉木 啓一 藤本 浩志 中村 好男 村岡 功
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.173-182, 1993-08-01 (Released:2016-10-31)
被引用文献数
1 2

The purpose of this study was to investigate the influence of training level on indices of effectiveness (IE). Six male cyclists and non cyclists performed pedalling bouts for I minute using a cycle ergometer against the work load of 1 50, 200 and 250W. The subjects were directed to maintain 90 rpm of pedalling rate during the cycling bouts. Rotary encorders and triaxis force sensors were mounted on the ergometer for measuring crank angle, both pedal forces and both pedal angles. Using these data, the resultant pedal force (FR) and the force perpendicular component of the crank force (FE) were calculated. IE represents the ratio of the force component perpendicular to the crank to the appplied force to the pedals and was calculated by FR and FE . IE was not different between cyclist and non cyclist groups. On the other hand, peak FR during 250W was significantly lower in cyclists than non cyclists ( 344.9±37.6 [N] and 398.4±24.6 [N] respectively, p<0.05). Those results suggested that pedalling skill would be reflected by the lower pedalling force which was related with a reduction of negative force during up phase rather than its efficiency converting to effective torque.
著者
吉田 正樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.174-176, 2002

福祉機器は,生活の質のための機器であり,使用者のニーズによって開発され,使用者によってその価値が判断される.したがって本当の意味での最適な開発者は,その機器を必要としている障害者である. WHOの国際障害分類が改定され,社会的不利は参加となった.これによって,今まで以上に福祉機器の幅が広がることを確信する.また現在の福祉機器の必要性は,社会環境の未整備,周囲の偏見や理解不足,生活環境によって作り出されていると考えられる.したがって,普遍的に必要な福祉機器の開発は大変な仕事であると思う.
著者
結城 匡啓
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.76-81, 2000
被引用文献数
1

長野オリンピック直前にスラップスケートが国際舞台で採用され始め,メダル獲得の期待がかかる短距離種目でこれを用いるか議論された.本稿では,筆者がスラップ使用による力学的・解剖学的な利点を説明しスラップ採用を主張するとともに,500mでの課題,滑走技術およびトレーニング方法への示唆を行った日本スケートチームに対する一連のバイオメカニクス的サポート活動を紹介する.また,研究者の立場で競技力向上を意図して用具開発を発案した2つの事例を報告し,用具開発において選手・コーチと開発メーカーとの間をとりもつゴーディネータとしての研究者の役割について考察する.