著者
今井 千晶
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.49-51, 2017

免疫チェックポイント阻害薬は、現在本邦ではニボルマブ(オプジーボ<sup>&reg;</sup>点滴静注)とイピリムマブ(ヤーボイ<sup>&reg;</sup>点滴静注液)の2剤が承認され用いられている。<br>免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療では、従来の抗がん薬とは異なる免疫関連有害事象(irAEs)という新しい概念の有害事象が生じる。これらirAEsに対しては、各診療科による集学的管理が必須となる。また、我々薬剤師による薬学的管理も求められている。
著者
ファルマシア委員会
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.911-912, 2016

配向基を必要としない触媒的な位置・立体選択的C-H官能基化,「最適使用推進ガイドライン」策定へ オプジーボの適正使用を願う,コアモルファス(共非晶質),脳内報酬系と免疫系の意外な関係,CKDは肝代謝型薬物の体内動態にも影響するか?
著者
柏倉 淳一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.722, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
4

炎症性腸疾患(inflammatory bowel diseases:IBD)は腸管に慢性的な炎症および潰瘍を引き起こす疾患の総称であり,クローン病と潰瘍性大腸炎が含まれる.我が国におけるIBDの患者数は約20万人であり,現在も増加傾向にある.IBDの病態は未だ不明な点が多いが,要因として免疫系や腸内細菌叢の構成の異常 (dysbiosis) が関わると考えられる.疫学的見地よりIBDと大腸がんとの関連が示唆されており,IBDの病態を解明することは大腸がんの予防治療を考える上でも重要である.Interleukin(IL)-33はIL-1ファミリーに属するサイトカインで,ネクローシスに伴い細胞外に放出され, 受容体であるST2を介して免疫機能を調節する.IL-33をマウスの腹腔内に投与すると,Th2サイトカイン依存的な杯細胞の過形成やIgE濃度の上昇などが観察されることから,IL-33は2型免疫応答を介してアレルギーや寄生虫感染に関与すると考えられている.IBDの患者では腸管粘膜中のIL-33,ST2および可溶性ST2の増加やこれらの遺伝子多型が疾患の進行に関与することが報告されている.一方,ST2の発現は大腸がんの進行と負の相関を示すことから, IL-33は大腸がんを抑制すると想定され, IL-33がIBDにどのように関わるかについての統一的見解は得られていない.本稿では,KannegantiらによるIL-33を基軸としたIBDの調節機構の解明に関する論文を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Feagins L. A. et al., Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol., 6, 297–305(2009).2) Kondo Y. et al., Int. Immunol., 20, 791–800(2008).3) Schmitz J. et al., Immunity, 23, 479–490(2005).4) Malik A. et al., J. Clin. Invest., 126, 4469–4481(2016).
著者
藤永 智也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.147-151, 2016 (Released:2016-02-23)

超高齢社会を迎え,我が国の医療計画として在宅医療への推進が重要視されている.薬学教育が6年制に移行したことや実務実習が5か月あることから,薬学教育もより高度になりつつある.在宅医療の現場でも薬剤師の薬学的知識が求められていると考えられ,ハザマ薬局では6店舗で計34か所の施設(有料老人ホーム,介護付有料老人ホーム,グループホーム)の薬の管理を担当している.当薬局の在宅業務では,医師,薬剤師,看護師および介護スタッフなどとの多職種連携を構築することで,質の高い薬物治療を提供している.また,薬剤師による居宅療養管理指導のみならず,医師の訪問診療同行も積極的に実施している.高齢者薬物療法は加齢とともに複数の疾患を合併することが多く,多剤併用に陥りやすい状況にあり,重複投与,薬物間相互作用のリスクが問題となっている.在宅医療における薬物治療は残薬問題,多剤併用,医薬品適正使用の推進などの課題が多く,最近では残薬の問題がメディアに大きく取り上げられている.本稿では筆者が行っている在宅医療業務や症例を紹介しながら,在宅医療における医薬品の適正使用について考えたい.
著者
ファルマシア委員会
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.519-520, 2018-06-01

メディシナルケミストにとっての含ホウ素化合物,結晶化の確率を高める工夫,FDAの共結晶ガイドラインが制定された,ハダカデバネズミは老化しないのか?,バイオマーカーを活用した抗がん薬のバスケット試験,世界初のデジタルメディスンによる服薬アドヒアランスの向上に期待
著者
奥 輝明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.904, 2018 (Released:2018-09-01)
参考文献数
5

結核(tuberculosis:TB)は,マイコバクテリウム属結核菌群(Mycobacterium tuberculosis, M. bovis 等)に起因する最も古くから知られる感染症の1つである.また,ヒトの単一感染性菌による全世界の死因第1位であり続けており,現在も世界規模の主要な公衆衛生問題である.結核予防に用いられるカルメット-ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin:BCG)ワクチンはM. bovis を長期継代培養することで弱毒化した生ワクチンであり,実用化されている唯一の結核予防ワクチンである.BCGワクチンの効果は,乳幼児結核,結核性髄膜炎や粟粒結核など重症結核において認められるが,成人の肺結核に対しては部分的であることから,新規ワクチンの開発が望まれている.本稿では,アカゲザルサイトメガロウイルス(RhCMV)ベクターワクチンを用いた結核菌感染研究において,長期間のワクチン効果を認めたHansenらの報告を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Hansen S. G. et al., Nat. Med., 24, 130-143(2018).2) Hansen S. G. et al., Nature, 473, 523-527(2011).3) Hansen S. G. et al., Nat. Med., 15, 293-299(2009).4) Hansen S. G. et al., Science, 340, doi:10.1126/science.1237874(2013).5) Ranasinghe S., Walker B. D., Nat. Biotechnol., 31, 811-812(2013).

1 0 0 0 SPARK

著者
木村 紘子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.224-228, 2016

創薬領域においては,オープンイノベーションの動きが活発化しており,特に大学に対しては基礎研究のみならず,ヒト臨床試験まで到達した有望な創薬シーズを生み出す役割が期待されるようになった.この流れの中で,スタンフォード大学では,研究者自らがトランスレーショナルリサーチを推進するためのトレーニングプログラム「SPARK」が開発された.本稿では,SPARKプログラムの概要,その国際的な展開状況,および東京大学における取組について一部紹介する.
著者
長谷川 宏之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.243-245, 2016 (Released:2016-03-01)
参考文献数
9

バイオベンチャーの盛り上がりムードは2004年頃にピークを迎えたが、バイオベンチャーは2005年頃からの株式市場での上場バイオベンチャーに対する評価見直し,ライブドア事件に端を発した新興株式市場への不信感による株価下落および世界金融危機により厳しい時代を経験した.その後,2012年の山中伸弥博士によるノーベル賞受賞,アベノミクスによるライフサイエンス分野に対する各種施策等から,最近はその盛り上がりを戻しつつある.薬学・製薬企業出身のベンチャーキャピタリストが、大学発バイオベンチャーに対する投資検討する上でどのような観点でその技術・事業を見ているのかを紹介した.
著者
服部 友紀子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.258, 2016 (Released:2016-03-01)
参考文献数
3

エリスロポエチンは,エリスロポエチン感受性を有する後期赤芽球系前駆細胞に作用し赤血球産生を促進する.しかし,溶血や敗血症,遺伝的骨髄不全疾患などの貧血患者においてはこの応答性が十分でなく,エリスロポエチン治療に抵抗性を示す.したがって,このような貧血の治療には,同じく赤血球産生増加作用を有するグルココルチコイドが用いられる.しかし,グルココルチコイドは骨粗しょう症,肥満,高血圧,糖尿病といった様々な副作用を誘発することから,患者の生活の質を高められるよりよい治療法の確立は早急な課題である.本稿では,核内受容体であるペルオキシソーム増殖活性化受容体α(peroxisome proliferator-activated receptor α:PPARα)の活性化がグルココルチコイド依存的な赤血球産生を促進することを見いだし,エリスロポエチン抵抗性貧血に対する新たな治療法となる可能性を示したLeeらの報告について紹介する.なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。1) Wessely O. et al., EMBO. J., 16, 267-280 (1997).2) Lee H. Y. et al., Nature, 522, 474-477 (2015).3) Flygare J. et al., Blood, 117, 3435-3444 (2011).

1 0 0 0 OA バランス

著者
奥住 竜哉
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.204, 2016 (Released:2016-03-01)

最近,“バランス感覚”について考えることが多くなった.「あの人はバランス感覚いいよね」「あの人はバランス感覚に欠けるよね」など,日常会話でしばしば使う言葉である.感覚的に理解しているつもりになっているが,解釈は意外と難しい.“バランス感覚”とはどんな意味だろうか? 改めて考えてみると,「相反する2つの指標の間で,状況に応じて適切なポジションを取る力」のように思う.仕事をする中で,正反対のことがいずれも大事であるということは往々にしてある.例えば,大胆さと慎重さ,攻めと守り,安定と変化など挙げればきりがない.これら2つの正反対の指標の間で,置かれた状況を踏まえて適切なポジションをとって物事を進めていける力,が“バランス感覚”なのではないだろうか.「慎重かつ大胆に進めてくれ」と言われたら普通の人は面食らうだろうが,そこで落ち着いて状況を分析して適切な行動を起こせる人は,バランス感覚に優れた人と言える.考えてみれば仕事とは矛盾の塊である.企業の例で言えば,端的なのが「利益を上げる」という言葉だ.利益を上げるためには,売上を増やしてコストを減らすことが必要であるが,一般に売上を増やすにはコストがかかるからである.したがって,利益を最大化しようとすると「売上とコスト」という2つの相反する指標の間で適切なポジショニングを取る必要があるわけである.仕事の本質とは,このような矛盾する2つの指標の間で適切なポジションを取り,課題を解決することだと考えれば,バランス感覚という能力は仕事をする上で必要不可欠な能力と言える.
著者
道中 康也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.549-551, 2016

一般名:オキシブチニン塩酸塩<br>薬価収載日(西暦表記):2013 年 5 月 24 日<br>過活動膀胱治療で永らく使用されているオキシブチニン塩酸塩を主薬とする経皮吸収型製剤ネオキシテープを開発した。オキシブチニンの経皮吸収性を高めるため、適度な薬物溶解性をもつゴム系基剤を選択した。さらに伸縮性を有する支持体を採用することで、良好な付着性を確保している。本剤を用いた比較臨床試験により、抗コリン性副作用である口内乾燥と便秘の発現率はプロピベリン経口投与群よりも低値であることが示された。
著者
萩森 政頼 川上 茂 向 高弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.688-692, 2018 (Released:2018-07-01)
参考文献数
24

亜鉛は重要な生体機能に関与することから,その動態や機能が注目されており,特に近年,遊離亜鉛イオンに関して分子レベルからの解明が望まれている.蛍光イメージングは検出感度の高さと簡便さから有用な方法であり,これまでに様々検出原理に基づく亜鉛蛍光プローブが開発されている.本稿では,遊離亜鉛イオンの動態や機能の視覚的な解析を可能にする蛍光プローブの開発について,著者らの低分子量亜鉛蛍光プローブとともに紹介する.
著者
永吉 剛 木本 茂
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.511-514, 1985-06-01
著者
池田 幸弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.250-251, 2016

JR武蔵野線新秋津駅を下車し,学生さんたちと並んで住宅地を15分程度歩くと視界がひらけキャンパスが見えてきた.周りは武蔵野の自然豊かで,学び舎としてとても良い環境に立地している.正門の守衛所で資料館訪問の旨を伝えてキャンパスに入り,右手の創立者像を見ながら校内を歩くとすぐに資料館があった.丁寧な受付担当の方の説明をうかがいつつ,記帳のみで入館させていただくことができた.
著者
松岡 宏治 大田 雅照
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.215-222, 2010-03-01
参考文献数
48