著者
藤井 昭
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, 2005-01-01

会員の皆様,新年あけましておめでとうございます.平成17年のスタートにあたり,第80回日本医科器械学会大会長として一言,年頭のご挨拶を申し上げます.第80回日本医科器械学会大会の学術集会と併設の総合医科器械展(メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2005)は,平成17年5月26日(木)から28日(土)までの3日間,パシフィコ横浜で開催されます.今大会のメインテーマは「医療機器の安全使用-チーム医療の重要性-」とさせていただきました.医療の高度化に伴い,医療職の専門化と役割分担が急速に進んできましたが,その傾向に拍車をかけたのは,まぎれもなく医療機器の進歩であります.そして,本学会も医師と医療機器関連企業だけでなく,看護師,技師(士),その他多くの職種が参加するようになって一層の発展をみました.科学技術の進歩と医療現場のニーズが調和し,医療機器を通して医療安全に貢献することは,私たち会員共通の願いであります.その会員の皆様が年に一度親交を温あながら,医療機器に関して知見を深あることは極めて意義深いことだと思います.多くの職種の方々に,できるだけ多く参加していただくたあに,プログラム委員会を中心に準備を進あているところですが,メインテーマに沿って,「話題性のある講師」,「基本的な知識」,「新しい技術や製品」を軸に企画を練っているところです.また,併設展示も多くの企業に参加していただき,参加者のご期待に添えるものと思います.平成17年が会員の皆様にとって良い年でありますよう,心から祈念するとともに,皆様のお力添えにより第80回日本医科器械学会大会を是非とも成功させたいと決意を新たにしているところです.
著者
市河 鴻一
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, 1997-12-01
著者
地主園 廣美
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.329-336, 2005-06-01

平成12年11月に行われた職業がん対策専門家会議において,エチレンオキシド(以後EOという)がヒトに対する発がん性を有するとの検討結果がまとめられ,EOおよびEOを1%以上含む滅菌用ガスを取り扱う作業場にあっては,EOを特定化学物質等の第2類物質として管理することとなった.(平成13年7月23日付け基発第413号「労働安全衛生施行令の一部を改正する政令および労働安全衛生規則および特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令等の施行等について」の公布に基づく)EOの作業環境測定の実施に対する規制は,平成14年5月1日から適用され,各病院や消防署等におけるエチレンオキシドガス(以下EOGという)を用いる滅菌作業について,6ヵ月以内ごとに1回の作業環境測定が義務づけられ,実施されている.また,国立大学の法人化に伴い,国立大学においても労働安全衛生法の適用となり,文部科学省では平成15年5月28日に「国立大学における安全衛生の改善対策について」として取りまとめ,公表し,平成15年度内に安全衛生管理の改善を図ることとされた.
著者
加藤 伸彦 佐藤 直樹 和田 龍彦 黒田 聡 米岡 宗臣 佐々木 努
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

医療者の職業感染の防御に重要な役割を担っている手術用手袋の術中破損について検討を行い,その主要結果について本学会誌等をとおして報告してきた.とくに,演者らの研究グループで開発された三端子法を用いた高精度電気インピーダンス測定法の実用性の確立化,またこれを用いた手術用手袋の経時的変化,すなわちピンホール開穴の有無とその程度などの検討結果から、手術時間が2時間を超えると手袋にピンホールが発生しはじめ,6時間を超えると30%以上の手袋がバリア性に破綻をきたすことを証明した.感染防止を考えるとき,手術使用による手袋の材質変化,とくに手袋の化学的かつ経時的変化に関する検討は,無視することのできない重要課題である.本報告では,残された問題の一つである手術用手袋の経時的な厚みの変化,すなわち手術中の血液,脂肪成分等を含む体液の浸食により,手袋の厚みがどのように変化するかを検討した.その結果,いくつかの新知見を得たので報告する.なお,測定対象の手袋は,当院手術部にて手術に使用した使用済み手袋で,手術時間別の数十検体について,マイクロメータを使用してその厚さを測定した.比較対象の未使用手袋については,厚さ測定の結果から,無負荷時(テンションを加えていない状態)で220〜270μ(使用上を考慮して指部・手掌部・裾部では異なる),使用時の最も伸展した状態を想定(約5kg負荷)した場合では120〜170μであった.厚みの経時的変化に関するデータ蓄積は,手術時の手袋のピンホール開穴時期を考慮するときの主要情報の1つであることが明確となった.
著者
粕田 晴之 緑川 由紀夫 樋山 和広 堀田 訓久 村石 修 鈴木 和一 野々瀬 恵司 野々瀬 恵司
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01
参考文献数
3

〔はじめに〕自治医科大学附属病院は平成14年8月にリニューアルされたが,手術室空調の快適な運用が確立されるのに稼動開始後約2カ月を要した.〔新手術室空調の特徴〕手術室は3階で,4階が空調器械室階となっている.手術室ごとに空調機が設けられ,室内の設定器で運転/停止および室温設定ができる.外調機は4系統あり,陰陽圧可変型手術室を除く16の手術室の空調機へ処理外気を供給する.気流は,手術室天井中央のHEPAフィルタ付き吹出口から壁四隅の床レベルの吸込口に向かっている.換気回数は一般手術室が約30回/h,高清浄度手術室が約55回/hとなっている.〔問題点と対応〕問題点:新手術室の運用開始時,空調は手術室壁面の設定器の操作で自動制御されることになっていた.しかし,実際には設定通りに制御されるとは限らず,急に冷風が温風に,温風が冷風に変わったり,時に天井から蒸気が吹き出たりして,医師・看護師からクレームがついた.原因調査:自動制卸では設定温度を下げた時は冷風に,上げた時は温風に切り替わってしまうこと,設定温度に±1.5℃前後の幅があること,温度センサの反応と室温調節に時間を要すること,天井吹き出し口直下・手術台周辺と室温センサの設置されている壁面との間に約4℃の温度差があること等が判明した.対応:患者人室時は「暖房,26℃」でスター卜し,室温を変える場合は「暖房」のまま設定温度を上下させ,手術開始時は設定を「冷房」に変更してから設定温度を変える.〔結論:快適な手術室の空調〕室温制御の向上には,(1)温度幅の許容範囲をゼロに近づけて室温調節時間の短縮を図るとともに,(2)手術台周辺と壁面との間の温度差は手術室天井からの一方向流が維持されている証左であることから室温センサを天井吹き出し口直下・手術周辺に設置し,(3)湿度を外気の季節変化に応じて中央で調節する必要がある.
著者
小林 寛伊
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.288-299, 2005-05-01
被引用文献数
2

2001年12月14日に厚生労働省は, 医薬局長通知で薬事法一部改正を行い医家向け医療用具に対して添付文書を義務化した. 添付文書の中には"承認番号を記載するほか, 単回使用の医療用具については, 「再使用禁止」と記載すること. "が規定された. この改正は, 2002年1月14日に施行され, 翌年の2003年1月13日までは既承認医療用具添付文書改訂猶予期間とされ, 2003年1月14日より完全施行された. その後, 半年を経過した2003年7月に"感染防止と医療器材を考える会"では2000年7月に行った第1回の調査に続き, 2回目の「シングルユース器材の再滅菌使用に関する調査」を行い, 結果を日本医科器械学会刊行の"病院サプライ"および"医器学"に報告した. 現状では, かなりのシングルユース器材が再滅菌再使用されており, 中には開封したのみとはいえ, 人工弁, ペースメーカー, 人工骨頭などが含まれていた. この報告書を受けて2003年12月22日にはNHKのニュース番組で『医療器具, 使い捨てなのに再利用』と題して取り上げられ, シングルユース器材の再滅菌使用の実態が広く国民に向けて報道された.
著者
花村 亮 伏見 了 中田 精三 野口 悟司 高階 雅紀 水谷 綾子 門田 守人 川本 武
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

〔目的〕すべての消毒薬には蛋白質変性作用があることから,血液などで汚染された器械は十分に洗浄された後に消毒薬による処理やオートクレーブなどによる滅菌を行うことが公的機関から勧告され,成書にも記載されている.しかし,現実には汚染器械をそのまま,または簡単な洗浄の後に消毒薬に浸漬している施設が非常に多い.そこで,血液および血液成分を塗布した汚染モデルを用いて一次消毒された汚染物がその後の洗浄においていかに障害となるかを明らかにしたので報告する.〔材料〕高,中,低レベル消毒薬として日常広く使用されている8種類を用い,浸漬洗浄用洗剤には1%の酵素洗剤とアルカリ性洗剤を使用した.汚染モデルにはTOSI^【○!R】(Pereg社)を使用して洗浄後の残存蛋白質をニンヒドリン反応で確認した.〔方法および成績〕1mlの血液と4mlの消毒薬を混合すると血液中蛋白質が寒天状または遠心分離によって沈殿物を形成するほどに変性した.消毒薬未処理のTOSI^【○!R】は20分間の酵素およびアルカリ洗剤による浸漬洗浄で付着蛋白質が分解されるのに対して,消毒薬処理(30分間の浸漬)によって変性した蛋白質はほとんど分解されずに残存した.消毒薬処理したTOSI^【○!R】をウォッシャーディスインフェクタで洗浄した結果,グルタールアルデヒドおよびフタラール処理で変性蛋白質は残存していた.また,超音波洗浄した結果グルタールアルデヒド,過酢酸,フタラール,塩化ベンザルコニウムで処理した場合に変性蛋白質が残存した.〔結論〕消毒薬の作用によって血液中蛋白質が変性し,しかもこの変性蛋白質は酵素およびアルカリ性洗剤の分解作用を受けないことから洗浄の大きな障害となる.したがって,一次消毒は禁止すべきと思われる.
著者
中川 清隆 松山 寛子 原田 元 二神 成一 谷藤 泰正 天木 嘉清 古幡 博
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.83-89, 2006-03-01
参考文献数
12

The Jikei University Hospital is located about 600m from the Tokyo Tower in the central area of Tokyo. This means that the patients and staff members of the hospital may be exposed to strong electromagnetic field intensities (EMFI) radiated from the tower antenna and to various telecommunication EMFI that exist in a large city like Tokyo. EMFI was measured at eight points of the hospital buildings facing the tower. Two types of antenna were used to cover the frequency range from 30MHz to 1.5GHz. EMFI was calculated from every peak value in the frequency spectrum recorded logarithmically. Every peak intensity was less then 2μW/cm at the maximum of the whole spectrum, which is a much lower value than the standard value specified by the Japanese 'Radio Radiation Protection Guidelines For the Human Body in Electromagnetic Fields'. Additionally the total value of the whole spectrum was less than 6μW/cm at all eight points. It is concluded from these actual results of measurement that our hospital does not need to perform any urgent safety measures to protect patients and staff members from the various electromagnetic environments, including strong broadcasting waves from Tokyo Tower.