著者
鈴木 理 浜岡 秀勝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.781-790, 2007

本研究では歩車分離式信号交差点において、車両信号と歩行者信号の現示のずれによる車両の危険行動と安全性を発進時における赤発進、通過時における青ブレーキ、停止時における通過/停止判断に着目し、それぞれの車両挙動を比較検討した。その結果、比較交差点すべてにおいて歩車分離式信号交差点の方で危険性の高い車両挙動が確認された。しかし、危険行動減少策として、発進時においては歩行者増加や交差点部の色の変更、通過時においては歩行者信号設置位置の変更、停止時においては黄色時間延長、などが考えられた。今後の課題として、歩行者信号無交差点との車両挙動を比較することが挙げられる。
著者
小川 圭一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.955-962, 2008

長距離交通と短距離交通とが混在している幹線道路では、限られた車道空間にさまざまな種類の車両が混在して走行しており、交通錯綜や交通事故が発生しやすい状況となっている。本研究では、往復2車線の幹線道路における二輪車の路肩走行挙動に着目し、とくに路肩幅員と二輪車、四輪車の走行位置や走行速度との関係について分析をおこなう。また、非渋滞時における二輪車と四輪車の走行挙動への影響についても検討をおこなう。これらにより、路肩幅員を変更することによる二輪車の路肩走行の抑止効果について検討するとともに、その課題点についても検討をおこなう。
著者
家田 仁 赤松 隆 高木 淳 畠中 秀人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-184, 1988
被引用文献数
1 10

Evaluation of train scheduling is an important step for efficient use of restricted transportation facilities to improve the severe congestion in metropolitan area. This paper proposes a method for evaluating train scheduling from the view point of user's benefit. First, we formulate the model which represents a train diagram as a time-space network and explains user's behavior on the diagram network. Next, the criteria for evaluation of train scheduling is presented. This model is applied to a railway in Tokyo metropolitan area, and the applicability is validated. Finally, some train schedulings in Tokyo metropolitan area are evaluated by the method.
著者
家田 仁 志田 州弘 永井 邦彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.217-224, 1990

Train scheduling is nowadays regarded as one of the effective ways to improve user's benefit on commuter railways with heavy congestion in highly populated metropolitan region. In this study, many model cases varing either demand pattern and its level or train schedule pattern are analized to find the feature of the desirable train schedule, using user equilibrium theory in network assignment. Then some practical formulas to evaluate user's benefit are derived from the upper mentioned analysis, and their adaptability is verified in the situation of real railway lines. Finaly, the formulas are practically applied to the existing lines to compare train schedule at present with several proposed alternatives.
著者
永井 邦彦 家田 仁 下大薗 浩 志田 州弘
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.149-156, 1991

Mowadays the improvemont of train goheduting to reliev congestion comes to be more important. Recause there are a huge number of feasible alternatives, the development of a method to narrow down the pattern of train scheduling is required. At First, typical sections of seventeen lines in reality are drawn and their characteristics are analyzed. Then four nonlinear programming problems are solved. The results are referenced, demand pattern models and train scheduling pattern models are set up. User's disutility on each case is evaluated by user's equilibrum assignemnt on time-space network. Then relationship between demand pattern and adequate train scheduling pattern is made to be clear.
著者
川上 光彦 馬場先 恵子 堀 徹也 村田 康裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.727-735, 1997

金沢市では、地区交通計画のモデル地区として長町地区で整備を進めている。本研究では、整備の一環として同地区の街路において実験的に2種類のシケインを設置し、交通環境の整備効果を調査研究するとともに、実験の有効性について検討した。その結果、シケインの設置により自動車速度の減速効果は確認されたが、歩行空間が十分に確保できず、歩行者の安全感を向上させることができなかった。原因として、現状の対面通行を前提にシケインを設置したことに加えて、実験方法に問題があったことが考えられる。今後、交通規制の検討と実験方法の確立が急務である。
著者
大井 孝通 高野 伸栄 加賀屋 誠一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.751-756, 2000
被引用文献数
1

地方都市において路線バスは唯一の公共交通であるが、その運行状況は極めて厳しく、さらに平成13年度からの需給調整規制の廃止により、赤字路線の廃止、事業者の撤退が予想される。この際、現在のような乗車密度等の直接的利用価値だけでなく、その存在価値も考慮した路線バスの評価が行われるべきと考える。<BR>そこで、本研究ではCVM (Contingent Valuation Method: 仮想的市場評価法) を用いることにより、路線バスのオプション価値、非利用価値の計測を試みた。さらに、地方都市における路線バスの評価へのCVMの活用についての考察を行った。
著者
青山 吉隆 松中 亮治 鈴木 彰一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.47-55, 2000-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

本研究では、歴史的文化財の有する総価値の計測を行う上で、CVMと選好顕示法を組み合わせて用いることにより、その信頼性の向上を測ることが可能であると考え、顕示選好による計測結果を利用できるような形で、CVMを実施した。すなわち、CVMにより歴史的文化財の総価値利用価値比を推計し、旅行費用法による計測結果と組み合わせることにより歴史的文化財の総価値を計測した。
著者
木梨 真知子 金 利昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.329-338, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本稿では、茨城県日立市をケーススタディとし、防犯まちづくりの前段階として防犯環境設計からみた日立市の現状を把握するとともに、ひったくり犯罪を対象として環境的要因の分析により犯罪が発生しやすい市街地特性を明らかにすることを目的とする。数量化理論II類分析より、犯罪発生に影響する要因は、世帯密度、人口密度、金融機関、鉄道駅、警察署であることを示し、更に前面が空き地の街路や歩道のない街路が選定されていることを確認した。また、クラスター分析より犯罪タイプを4分類し、各犯罪タイプの市街地特性を明らかにした。
著者
萩原 剛 太田 裕之 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.117-123, 2006
被引用文献数
6

人々の自発的な交通行動変容を促すコミュニケーション施策である「モビリティ・マネジメント」を実務的かつ広範に展開していくためには、なるべく多数の人々と、なるべく安価に接触できるようなコミュニケーション技術を検討する必要がある。この認識の下、本研究はアンケート調査の「回収率」に着目し、回収率の向上に影響を及ぼす要因について分析を行った。その結果、配布方法や報酬の提供方法によって、回収率が大きく異なることが示された。また、これらの方策に要するコストを算出することで、より効率的・効果的なアンケート回収率向上方策について検討した。
著者
近藤 光男 青山 吉隆 廣瀬 義伸 山ロ 行一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.777-784, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17

本研究では、道路、鉄道、航空からなる高速交通体系における1960年以降の整備変化について、旅行時間と費用に着目して分析を行い、どのようなサービス水準の向上があったのかを交通機関の利用者の時間価値に基づいて明らかにするとともに費用差時間差比指標を用いて評価を行った。その結果、道路と鉄道の比較では、この指標は激しく変動し互いに影響を及ぼしやすいことがわかった。鉄道と航空を比較した場合には、費用差時間差比が全体的に低下しており、航空が有利になる傾向がみられた。一方、都市部と地方部を比較してみると、同じ交通機関でも地域によって利用者の選好比率に大きな差があり、高速交通サービスにおける地域間格差の存在が浮き彫りにされた。
著者
出口 近士 吉武 哲信 上村 孝喜 飯干 淳志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.895-906, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

高千穂町は廃止代替バス事業を見直すために、職員研修の形式でバス利用調査、路線の経営収支分析、バス事業化を検討した。そして、平成16年9月30日から町が自治会と協働して運行する “ふれあいバス” を開始し、利用実績も堅調に推移している。本研究は事業化までの計画プロセスの特徴を計画論の視点から整理するとともに、コミュニティバス運行の成立要件を実証的に分析したものである。その結果、高千穂町の計画は、1) 常套的な交通計画プロセスを踏襲している、2) 損益分析が詳細である、3) 既往研究が指摘するバス事業の成立要件を満足していることなどを明らかにしている。
著者
出村 嘉史 川崎 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.409-418, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では、主に現地の観察と実測をもとに、近代の都市拡大期に誕生した吉田山北東部の数寄空間と住宅を組み合わせた領域の地形操作による空間構成と景観演出上の工夫を明らかにした。数寄空間である茂庵庭園では、丘陵地の傾斜をそのまま活かして広く沿路を張り巡らし、重要な視点場となる建築周辺の地形のみを立体的に造形し効果的に演出された。東下に隣接する谷川住宅群では、傾斜を段地にして住居を配置し、石垣と建築に挟まれ閉じた通路空間と、積極的に眺望を捉える石段で構成された。両者の改変した地形の上で建築と庭、通路の位置関係により景観が決定され、山居と住居のデザインに連続性を作り、自然から都市へ至る秩序が形成された。
著者
外井 哲志 坂本 紘二 井上 信昭 中村 宏 根本 敏則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.791-798, 1997-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

著者らは、究極の歩行行動である 「散歩」 に着目して、散歩者の行動や評価の実態から、快適な歩行空間が備えるべき道路特性を抽出することを目的として、福岡県田主丸町で散歩行動実態調査を実施した。本研究では、散歩距離、散歩経路として利用される道路特性、散歩行動分類と道路特性の選好状況の関係などを分析し、(1) 散歩距離は平均で約2.8kmであり、個人属性や行動分類によって大きく異なること、(2) 散歩経路として選定される道路の特性は市街地的な特性ではなく、田園的な特性であること、(3) 散歩行動分類と市街化の程度、散歩距離との間には明確な関係があること、(4) 同一経路上で1度しか現れないリンクは田園的な特徴を示し、2度現れるリンクは市街地的な特徴を示すこと、などを明らかにした。
著者
嶋田 喜昭 星野 貴之 舟渡 悦夫 伊豆原 浩二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.51-58, 2003-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本論文では、交流分析による若者ドライバーの性格を考慮した交通安全教育の可能性を検討するために、交流分析のエゴグラムを用いたドライバーの性格分類と交通事故経験、ならびに事故の要因となる運転特性との関連性について示した。そして、どのような性格が事故経験と関わっているか、またそれらと運転特性も含めた相互の因果関係を明らかにするとともに、交通安全教育における交流分析適用の有用性を述べた。
著者
星野 裕司 篠原 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.317-326, 1995-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

魅力ある落水表情は河川景観において重要な役割を担っている。しかし河川横断構造物では設計からそれが考慮されることは稀であり、人工の滝のデザインでも経験に基づくのみで水理学的な考察が欠如している。そこで本論は、自由落下型の落水を対象として、現実表情の観察による落水表情の分類、既存の水理学経験式等の適用による規定要因の考察、予測と現実表情との比較を通して、落水表情の予測、制御が可能となるデザイン方法論を提示した。以上のように本論は、水理学上の新たな知見を得るものではないが、落水現象を景観的視点から全体的に把握し、水理学上の理論をデザイン方法論へ統合したことに意義があると考えている。
著者
瀬尾 和寛 安藤 良輔
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.973-980, 2006-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

本論文では、企業が自主的に取組むことが求められている通勤渋滞問題について、実態調査を行い、企業がどのようにして通勤渋滞問題に取組むべきかについて考察した。豊田都市交通研究所が立地している自動車産業都市・豊田市においても通勤渋滞問題が表面化し、解決策が模索されている。自動車産業都市における大規模な、都市交通に多大な影響を及ぼす企業は、都市計画、交通計画との連携を図りながら、通勤渋滞対策の方向性・戦略性を踏まえて取組むことが求められる中、有効な対策を検討する方向性をまとめた。