著者
佐々倉 航三
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.572-578, 1965-09-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
7

都市気候の一環として都市の内外における湿度差が論ぜられるが,東京付近においてはその差は概ね5%ぐらいであり,その原因は主として郊外の方に水張が大きいことにあることを明かにした.また都心における湿度の経年変化が80年間に6% ぐらい低落したことを示し,その原因が主として都心における気温の経年上昇にあることを明かにした.
著者
寿円 晋吾
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.557-571, 1965
被引用文献数
1

武蔵野台地南部は多摩川の形成した段丘地形の発達するところで,上から下に武蔵野・立川・青柳・拝島の四段丘と,拝島以西に発達する沖積段丘が識別される.またこの地域の東部には,武蔵野段丘よりも一段高い田園調布台・荏原台・淀橋台が発達するが,それらは海成段丘で,多摩丘陵東部の下末吉段丘に対比されている.<br> 筆者はさきに,武蔵野台地西部において,立川段丘が武蔵野段丘の上に重なる合成扇状地の地形発達を示すことや,段丘面の縦断投影図において,立川段丘面が武蔵野段丘面や現河床に斜交し急勾配であることに着目し,台地の地盤運動を考察した。すなわち,台地は武蔵野段丘面の形成後から立川段丘面の形成前に,武蔵野段丘面と立川段丘面との交点付近を中心として,上流方向が下がり,下流方向が上がるような傾動をし(両段丘がcrossingterracesをなした原因),また,台地は立川段丘面の形成後から現在までに,上流が下流に対して相対的に上がるような傾動をしている(立川段丘面の急勾配の原因)と考えた.<br> しかし,台地の段丘地形が主として海水準変化によるものか,地盤運動によるものかを考察するためには,まず各段丘面の傾動を定量的に知る必要があると考えた.そこでこの問題を解決するため,砂礫を仲介として,段丘面形成時代の河床(元河床)の距離一高度曲線(縦断曲線)を知る方法を案出し,本研究を行なった.<br> ここにまず,本研究の基礎である多摩川の現河床および各段丘の地形学的観察について述べた。
著者
大和田 道雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.138-144, 1969-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6
被引用文献数
5 2
著者
高橋 健一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.43-62, 1975-01-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
25
被引用文献数
13 6

日南海岸青島の波蝕棚表面にみられる「波状岩」あるいは「鬼の洗濯板」とよぼれる波状起伏は,潮間帯の上半部にあって,その峰部は砂岩層,谷部は主に泥岩層からなる.調査地域における両岩石の最も主要な力学的侵蝕過程は,砂岩では,日射に関連した風化による表層部の強度低下を介した波浪や風による摩耗侵蝕であり,泥岩では,表層部の乾湿破砕で分離した小岩片の波浪による除去である.これらの過程の侵蝕基準面は,それぞれの風化過程の基準面に対応して,砂岩では平均高潮位付近にあり,泥岩では平均海面の少し下方にある.また,潮間帯における侵蝕速度は,泥岩の方が砂岩よりもはるかに大きい.このため,泥岩は砂岩よりも急速にかつ低い水準まで侵蝕され,潮間帯の上半部に波状起伏が形成された.なお,波状起伏の峰は,重力侵蝕によって低下するため,その突出程度は,砂岩層に発達する節理の間隔によって制約されている.
著者
杉浦 芳夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.847-867, 1975-12-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
26
被引用文献数
3 1

本稿の目的は,名古屋とその隣接地域における1957年のアジアかぜの流行を,モンテカルロ法を用いて,空間的拡散過程の観点から分析することにある. (1) ランダム・プロセス・モデル, (2) 通勤,通学者数から拡散確率圏を設定したモデルI, (3) モデルIに密度効果をくみこんだモデルIIからの模擬発生パターンを,現実の発生パターンと比較した結果,主としてモデルIからは,距離と都市規模が,更に,モデルIIからは,密度が,アジアかぜの拡散を規定していることがわかった. しかし,現実の発生パターンを完全に説明するためには, (1) 通勤,通学者数を用いた確率圏の再考, (2) 人口規模別のコンタクト発生回数の検討, (3) 境界効果の設定, (4) 感受性に関係する変数の検出とモデルへのくみこみがなされる必要があると思われる.
著者
關口 武
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.374-395, 1940-06-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1
著者
吉野 正敏 工藤 剛彦 星野 光子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.205-210, 1973-03-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

えられた結果を要約すると次の通りになる. 1) 海風の開始時刻は,夏は10時(±1時間)で,その他の季節は12~13時のことが多い.しかし,季節変化は比較的小さい.終了時刻は,18時以降で夏に遅く23~24時になり,季節変化が比較的大きい. 2) 風向が陸風から海風に移行するとき,または海風から陸風に移行するときは, 1~2時間の移行時間がある場合が多い.どちらが長いかは,地点により異なる. 3) この移行時間の風向は,陸風から海風へ,または海風から陸風へ時計廻りに連結する風向である. 4) 海風と陸風の風速を比較した場合,海風の方が強い.春~夏における最大風速では,海風を1とすると陸風はほぼ0.7~0.8倍の強さである. 5) 海風の風速の最大は13~16時ごろ現われる.しかし午前に極大がでるところもある.陸風には,海風ほど顕著に現われる時間帯がない. 6) 夕なぎは明らかで海風の最強時の1/2~1/3の風速に弱まる.朝なぎは明らかでない. 7) 日の出後で,しかも陸風の終るころ, 8~10時に風速の極大がでることがある. 8) 海風の風速,安定した風向の出現からみると,海風が明らかに発達するのは, 4月から10月までである.
著者
赤木 祥彦
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.55-67, 1961-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
48
被引用文献数
4 1

中国山地に発達しているペディメントのうち, 3段の侵蝕平坦面の境に発達しているそれにっいて検討したが,結果は次のようである. (1) ペディメントは比高のある崖の前面で,しかもペディメントの部分が花崗岩類で構成されており,背後急斜面の頂上部,あるいは大部分が硬岩層で構成されている所に発達しており,岩石の種類・配置によつて制約されている. (2) 背後急斜面とペディメントの間には傾斜の不連続部がある. (3) ほとんどのペディメントが小谷によつて開析されており,現在ではペディメントは発達していない. (4) ペディメント上はすべて角礫ないし亜角礫が花崗岩の風化土壌をマトリックスとして堆積しており,その中に不規則にシルト層が堆積していることがある. (5) ペディメントは急斜面が風化作用・重力の働き・雨水の働きにより後退してその概形が形成され,礫の移動によりさらに侵蝕されたと考えられる.礫の移動は主に重力の働きによるのではなく,流水の働きによつた. (6) ペディメント形成当時の気候はおそらく,現在より,より乾燥した気候であつたであろう.
著者
貝塚 爽平
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.242-246, 1952-06-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6

In this paper, the origin of asynmetrical river terrace of Dosi-gawa (river) hass been considered. From the shape of terrace and the distribution of terrace gravel, it is concluded that Doshi-gawa is an example of C. A. Cotton's “Valley-side superposition, ” and the lateral sliding of the trunk river on the ancient valley floor was caused by the pushing of fan-shape deposits of tributaries. And, the asynmetrical pressure of tributary deposits are derived from the difference of catchment areas and bights on both side sloes of the trunk river.
著者
森 壽美衞
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.477-501, 1931-06-01 (Released:2008-12-24)
著者
中田 高 高橋 達郎 木庭 元晴
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.87-108, 1978-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
61
被引用文献数
25 29

琉球列島の完新世離水サンゴ礁の地形とその年代から,地震性地殻変動地域におけるサンゴ礁形成過程と完新世後半の海水準変動曲線の復元を試みた.このため,離水サンゴ礁の地形断面を簡易測量によって作成し,異なった層準面から得られた58個のサンゴ化石試料の14C年代からサンゴの礁発達過程を明らかにしようとした.小宝島,宝島および喜界島において復元された相対的海水準変動曲線から,間歇的地震性隆起によってサンゴ礁の離水段化が進んだことがわかった.地殻変動は長期的には等速的であり,間歇的地震性隆起により段化は進むが,地震間の地殻変動が比較的静穏な時期には海水準変動は氷河性海水準変動そのものであるという考えから,喜界島の相対的海水準変動曲線から間歓的隆起量を除去し,海水準変動曲線を復元した.この海水準変動曲線は,日本で一般的に受け入れられているFairbridge curveにみられる,いわゆる後氷期の高位海水準は認められず, Shepard curveに代表されるゆるやかに上昇し現海水準に達する海水準変動曲線に近い.
著者
川口 丈夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-23, 1935-01-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
著者
關口 武
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.453-476, 1940-07-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
15

Numerous wind names have been known in Japan from old, par-ticularly among fishermen. Some of them were investigated, with the following results; (1) Of names for the S and N winds which are the two prevailing ones in Japan, there are quite a few, used almost everywhere along the sea, but not so in the case of the E and W winds. (2) “Anazi (Anaze)”, “Narai”, “Tamakaze” mean the NW winter monsoon. Their distributions are shown in Fig. 1, 2, 3. Generally speaking, they are disliked for their windiness. (3) “Maxi (Maze)”, “Hae (Hai)”, “Minami”, “Kudari” are names for the SE monsoon in summer. Their distributions are shown in Figs. 5, 6, 7, 8. Generally they are favourable winds. (4) From these distributions, Japan can be divided into three divi-sions. (a) Setouti Division…… “Anazi”, “Mazi”, “Hae”. (b) Pacific Division…… “Narai”, “Minanii” (c) Japan Sea Division “Tamakaze”, “Kudari” (5) These divisions greatly resemble the three varieties of fish-hook, namely, (a) is the region of the round type of fish-hook, (b) of the angular type, and (c) of the longish type. (6) “Ai” distributed along the Japan Sea, stands for the NE breeze in summer. It has been the wind for mariners in the Japan Sea from ancient times, especially in the Edo Age. (7) “Hikata”, which has the same distribution as the “Ai”, is the land breeze from the Tyugoku Range in the summer evenings. (8) The above two names have the longest histories. They are mentioned in the records of in the Nary dynasty. about thirteen cen-turies ago. Their distributions (Figs. 4, 9) are very characteristic, that is, they are known only along the Japan Sea coast. (9) “koti”, E wind, having the widest distribution, is the most popular wind name. It is generally regarded as spring wind (=cukoo wind), but fishermen dread it, because it often brings rain or storm. (Fig. 10) (10) Changes of meaning of a word, in cultural boundary region, have very typical expressions in these wind names: their original meanings are forgotten, their blowing seasons, direction and proper-ties are modified very often in boundary regions such as Tohoku and Kyusyu districts.
著者
安田 初雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.90-101, 1956-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
32
著者
鏡味 完二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.886-902, 1942-11-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
9
著者
鈴木 秀夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.330-338, 1969
被引用文献数
3

毎日の気候資料から,エチオピアの気候像を組み立てた.エチオピアには大小2つの雨季があるといわれてきたが,小雨季は2回あって計3回の雨季に分かれることを明らかにした.大雨季は赤道西風によるものであり,小雨季は2回ともインド洋からの気流の流入による.ただし南西エチオピアで大雨季の長い所では,降水はほとんど1つの山になり,南東エチオピアでは風下のため大雨季がなく,降水の山は2つになる.これらのことを水平的および垂直的分布図で明らかにした.
著者
山本 正三
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.275-289, 1957-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1