著者
大西 巧
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.169-180, 2012-03

東京職工学校や東京工業学校の卒業生の就職先の中には、各地の工業学校の前身校や師範学校が選ばれている。工業系の学校でありながら、教育機関に就職したのはなぜか。それは東京職工学校設立の理由の一つに、府県の職工学校の教員を養成する使命があったから。特別生制度や工業教員養成所の開設により、この使命は制度化され、工業界の活況にあわせ各地の工業学校設立の需要に応じた。各地に設けられはじめた職工学校や工業学校は、東京職工学校や東京工業学校の付属校をモデルとした。その初期の工業学校に卒業生は校長として、また教員として赴き学校の基礎を作った。大正5年の記録によると、全国工業学校35校中その校長32名は何れも東京工業学校の卒業生であり、各校の教員も多数を占めた。本稿では、東京職工学校の発展過程や国家の実業教育政策を明らかにし、東京工業大学・前身校の中等工業学校教育に果たした役割を考察したものである。
著者
大嶋 光子 中村 真規子
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.109-118, 2009

これまでの認知症ケアにはこれといった理念や具体的方法が示されておらず,場当たり的な対処または経験によって伝承されてきた経過がある。その結果,さまざまな形で表れる症状の改善がみられず,一層悪化するという悪循環に陥ることがわかっている。BPSDはケアを写す鏡と言われる。認知症ケアは言語で表出することが困難となった認知症の人の心理的理解を図らなければならない。そのためにもケアする側が他者(認知症の人)の立場を理解し,寄り添わなければならない。その理念または一方法として,人としての尊厳を守るうえからもパーソン・センタード・ケアが有効である。これまでの既存のサービスを提供するといった一方的なケアのあり方だけでなく,共にパーソンフッドを高めあうことが今後のケアの充実につながる。
著者
山本 純子 徳珍 温子 小坂 やす子 長谷川 幹子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.177-186, 2010-03

本研究の目的は,看護学生の就業動機と自己同一性(自分の確立)との関連を検討することである。看護大学生198名を対象に,下山1)の自分の確立尺度と安達2)の就業動機の尺度を使用して調査を行った。その内容は,自分の確立尺度と就業動機の昇順項目の検討をしたうえで,因子分析を行い,両尺度の関連性を把握するために重回帰分析にて検討した。その結果,自分の確立尺度では,自己否定はなく理解してくれる人はいるが,心が傷つきやすく,何事にも不安に思っていることがわかった。また,就業動機の下位尺度から,仕事に対する責任感や上位志向が低い傾向にあることが示された。さらに,2つの尺度間の関連は,説明変数を,自分の確立尺度として学生,祖父母との同居の有無,就業動機を目的変数として分析したところ,以下の項目で有意に関係していた。学生では,主体性(p<0.05),親密性(p<0.01),また,祖父母の同居の有無は,親密性に(p<0.01),さらに,探索志向は,確実性(p<0.001),統制性(p<0.01),挑戦志向では,能動性(p<0.01),親密性(p<0.001)で有意に高く関係していた。つまり,看護学生の就業動機の探索志向の積極的姿勢には,自分と自分の世界に対する現実感や信頼感を持っていることや自我の統合力に関連があることがわかった。また,挑戦志向では,困難な仕事に挑戦し,自己成長しようとする姿勢を自分でコントロールしながら,積極的に関わっていこうとする能力や人との関わりを持ちたいと思う対人関係の柔軟性の関連を示していた。就業動機に関して,受容性および主体性は有意な関連はなかった。
著者
井手 裕美
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-11, 2018 (Released:2018-04-02)
参考文献数
7

来日し, 日本に様々な目的で滞在する外国人の多くは日本語学校で日本語を学ぶ。日本語教授は基本的に全て日本語で行われ, 彼らは“聞く, 話す, 読む, 書く”の4技能を, 語彙, 文法と共にバランスよく習得し, 日本語学校卒業後は大学を初めとし, 各々の目的に沿って日本社会へと入っていく。 日本語教授法と日本の公立中学校での英語教授法との違いはどこにあるのか。多くの日本語学校で使用されている『みんなの日本語初級Ⅰ/初級Ⅱ』による教授法を分析, 研究することにより, 日本公立中学校での英語教授法と比較検討し, 2021年より実施される新中学校学習指導要領による英語授業, 且つ2020年4月よりの新小学校学習指導要領による外国語授業への手がかりとし, グローバル化の進む中で日本が如何に進んでいくべきなのか検討する。 また“英語授業を英語で行うこと”という現在の流れを, 本稿筆者のドイツ語によるドイツ語習得経験から一考する。
著者
森山 輝夫 町 惇彦
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.283-288, 2012 (Released:2017-05-10)

旧商法のそれまでの貸借対照表は資産の部,負債の部及び資本の部に分類されていたが,平成17年2月9日に企業会計基準委員会から企業会計基準五号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」が公表され,平成18年5月1日から施行された(新)会社法において施行以後に終了する事業年度から純資産の部として適用されている。資本の部から純資産の部への変更の内容,変更の経緯を再確認し,時価評価されるその他有価証券の評価差額金(部分純資産直入法で評価した評価損を除く)を損益計算書を経由しないで,直接,貸借対照表純資産の部の評価・換算差額等に計上する点につき,法人税法はどのような調整をへて計上されているかを検証し,解明してみたい。
著者
松井 達也
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.127-136, 2013 (Released:2017-05-10)

本研究の目的は近年の国内におけるホームレスの健康調査とアルコール問題に関する文献検討を行い,その現状を明らかにすることである。ホームレスに関連する調査資料を含む国内文献31編の文献検討を行った結果,全国調査10編,大阪市内の調査9編,他の地域の調査6編,支援報告6編であった。ホームレスの全国調査において路上生活者はこの10年間で1万5千人ほど減少している一方で,路上生活を脱した,脱ホームレスのうち精神障がいの疑いがある者15.2%,アルコール依存症の疑いがある者14.1%となっており,孤立を解消するための伴走型の支援が求められていた。大阪のあいりん地区や東京の山谷地区では高齢化が進み,ほぼ全員が単身男性,家族との関係が絶縁または希薄,若年発症と思われる人が多く,生活障害が顕著であるため,服薬や金銭管理などきめ細やかな関わりが求められていた。アルコール症患者に対しては毎日の生活リズムを重視したハードな治療プログラムが必要であったが,治療導入においては信頼関係をいかに築くかが重要であり,受容的に人間としての患者の尊厳に気を配ることが何よりも大切であった。
著者
錦織 史子
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.13-22, 2022-03-31 (Released:2022-04-15)
参考文献数
15

発達障害のある看護学生への理解について,昨今で知られている一般的な特性はもとより,筆者が日頃より当該学生とかかわる中で感じている「過剰適応」について,発達障害と過剰適応との関連を文献検索し,それを含めて発達障害の特性の一つであるこだわりという側面から,発達障害のある看護学生の過剰適応の悪循環とこだわりの理由について考察した。また発達障害のある看護学生に対して組織を通しての支援構築の必要性や,合理的配慮を含めた支援の在り方,合理的配慮の考え方について,文献検討及び筆者の経験を通して考察を述べたものである。
著者
黒川 正剛
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.15-30, 2007-03-31 (Released:2017-05-10)

The imp or the familiar is the characteristic English witch-belief, and frequently referred to in the witch-hunt documents in early modern England. The imp is a kind of demon, which is given to the witch by the Devil when they make a contact with. It was believed to cause harm such as disease or death to the human being and livestock. It was also believed to suck the blood from the witch, and to be transferred to one witch by the other witch or to the child-witch by the mother-witch. Did people consider the imp as the truth in those days? If they took the fiction as the truth, what dynamics worked there? In this paper, we investigate the problem of truth on the imp-belief in the pamphlet, W.W., A true and just Recorde (1582). In conclusion, the imp-belief is based on some truth, and the powers of the pamphlet writer and the examiner play important roles in this belief.
著者
若宮 達夫
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.151-160, 2010 (Released:2017-05-10)

Ein dämmerigerer Schalter mit Halbleiter Macht Kontrollelement TRIAC erzeugt ein starkes Geräusch.TRIAC bereitet einer führt Periode und einer nicht-führt Periode in Macht-Ursprung Wellenform 1 Periodizität vor und kontrolliert eine Elektrische Macht. Eine Macht-Ursprung Wellenform ist Sinuswelle. Deshalb wird eine TRIAC Wellenform eine verzerre Welle statt Sinuswelle. Die verzerre Welle enthält viel höhere harmonische Wellen.Die Wellen breiten sich in sogar das Frequenzband einer Radiosendung oder einer Fernsehsendung aus. Die höhere harmonische Wellen verursachen ein Geräusch. Hier suche ich nach einer Verteilung von den Wellen mit der Hilfe von Fourier-Analyse.
著者
髙橋 紀穂
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.209-218, 2010 (Released:2017-05-10)

本稿の目的はバタイユの「至高性」の「瞬間」の概念をデリダのフッサール批判から考察することにある。議論は以下の手順でなされる。まず、「1」において、バタイユの「至高性」の概念を明確にするために、デリダのフッサール批判を考慮する必要の確認。「2」において、フッサールの「今」概念、および、それに対するデリダの批判を素描。とりわけ「今」には「差延」からなる記号作用があるゆえ「今」は決して捉えられない、というデリダの批判を確認。「3」において、われわれの世界には記号作用には含まれないものがあることを考察。「4」において、「差延」のさまざまな性質を把握。続いて、上記の性質とバタイユの「至高性」の「瞬間」を比較し「至高性」が記号作用では捉えられないものであることを考察。こうして、フッサール、デリダが議論の対象とした「今」と「至高性」の「瞬間」の概念を結びつける。そして「5」において、「今」と「至高性」の「瞬間」の概念的つながりをより考究するための今後の課題を検討する。
著者
金杉 高雄
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.13-24, 2018 (Released:2018-04-02)
参考文献数
6

1933年1月30日(月),ヒトラーはドイツの首相に就任した。ヒトラーが政権を掌握したときのドイツ帝国は約500万人にも及ぶ登録失業者を抱えていた。3月以降,ヒトラーはナチ党の政治に対する世界観を確固たるものにすることを目的に幾多の法令を制定することに取り掛かる。共和国大統領令を発令することに加えて,1933年3月23日(木)には全権委任法を可決させ絶対的な独裁政治へと国民を引きつり込むのである。独裁政治への道のりとして国民を扇動することに長けていたゲッベルスはナチ党の政治に対する世界観を国民に刷り込むことを目的とした様々なプロパガンダを企画・展開し陰の総統として大きな役割を果たした。政権掌握後,初めての党大会は1933年8月30日(水)~9月3日(日)にかけてニュルンベルグのツェッペリン広場で行われた。参加者は40万人に上り大成功を収めた。1934年8月2日(木),ヒンデンブルグ大統領が崩御すると,ヒトラーは大統領の全ての権限を首相に併合させた「総統」という新たな地位に就いた。「総統」の是非を問う国民投票では90%以上の賛成票を得ていたのである。
著者
田中 秀生
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.105-113, 2011 (Released:2017-05-10)

ルソーの著作には,対象が三分され(多くは時系列が織り込まれた形で),その中間部分(中間状態,中間項,中間期,等)が,その前後の部分それぞれの善きものの保存と悪しきものの廃棄によって価値あるものとしての属性を帯び,多くの場合,理想的なものにまで高められる,というパタンが観察される。人間の教育がテーマとされた作品『エミール』においても,個人の成長過程の中に「美しい幼年期」の「できあがった子ども」という独特の形象が造形されており,このルソー的<中間>と見做しうるものが出現し,自然状態の子どもとも完成された大人とも質的に区別された,一つの完結した理想状態が表現されている。本稿では,この『エミール』における<中間>性について,その内容の概略を呈示し,またその内容の政治思想における意味を敷衍して検討した。
著者
高橋 清
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.91-95, 2011

本研究は2009年8月から10月まで開催された関西学生バスケットボールリーグ戦5部Aリーグの上位4チームの対戦した12試合を対象とし,オフェンスの攻撃形態が試合にどのような影響を及ぼすのかを,ファースト・ブレイク,セット・オフェンスについてそれぞれ比較し,分析を試みたものである。その結果、対象4チームにおいてファースト・ブレイクの試行回数が多く,成功の割合が高い数値を示し準成功率が低い数値を示した場合,試合の勝敗に影響を及ぼすことが認められた。セット・オフェンスにおいては,攻撃形態を5種類の動作に分類し集計した結果,各チームの特徴がみられた。太成学院大学は他の3チームよりも身長の優位差を生かしたプレイが多くみられ,パスを受けたらシュートする「shot」,リバウンドをとってシュートする「rebound」が多かった。この結果は,太成学院大学の競技レベルを把握できるとともに,今後の練習プログラムの設定やコーチングに役立つと考えられる。
著者
若宮 達夫
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.141-150, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
1

発光ダイオード(以下,LEDという)は消費電力がきわめて少なく,堅牢,長寿命である特徴を生かし,現在ではたいていの電気製品にLEDが用いられている。言うまでもなくLEDは今やたいへん身近なもので,価格,入手性もよく,これを教材として活用できないかを検討した。LEDはその扱いが簡単であるところから,筆者のゼミにおける学生の電子実習用教材として表題の制御回路の設計・製作を行なうに至った。本回路で実習を行なうことによりLEDの制御方法を理解し,マイクロコンピュータによる点灯,消灯および点滅プログラミングの手法を修得することができる。
著者
金杉 高雄 猪池 雅憲
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.53-57, 2013

本学の海外研修のあり方について, 参加者数の動向, アンケート調査, 教育観光学の視点そして事前・事後学習から引率・指導を担当した教員の海外研修に対する見解をまとめている。海外研修委員会(旧全学海外研修分科会)が発足して以来, 海外研修へ参加する学生の数は伸びている。そのような現実の中で, 参加した学生の大部分は自分自身の中に今まで気づくことができなかったもう1人の自分を発見している。これは大学生という感受性豊かな人生の1コマにおいてこそ収穫することができる財産と化している。新しい自分を発見するきっかけとなったのは海外という異国の地であるからこそ洗練される協調性と連帯感がかなり育まれたためであろうと考えられる。海外研修は学生諸君の自己啓発に重要な役割を果たしている。
著者
尾上 孝利 佐々木 彩夏 藪下 恵里 足立 裕亮
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.43-52, 2012-03

看護師にとって手指消毒の知識と手技は院内感染防止上重要である.本学での手指衛生教育後に学生がいかに手指消毒の知識と技術を理解しているかをアンケートとハンドぺたんチェックSCDLP培地を用いて検討した.教えられたスタンダードプリコーションの用語,意味および手技の理解度は1,2年生では劣っていたが,進級に伴って3,4年生では上昇していた.培養法で手洗いと擦式手指消毒手技を判定すると,合格率は1,2,3,4年生で50,40,75,60%,擦式手指消毒のみの値はそれぞれ60,60,100,80%であった.以上の結果は,1年生から確実な手指消毒手技を体得させる指導が必要であることを示唆している.
著者
高橋 清
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.75-80, 2013

本研究は2011年8月27日〜10月16日まで開催された,関西学生バスケットボールリーグ戦4部Aリーグの上位4チームの対戦した6試合を対象とし,オフェンスの攻撃形態が試合にどのような影響を及ぼし勝敗に関係するかについて,ファースト・ブレイクを3種類,セット・オフェンスを5種類に分類し,比較して分析を試みたものである。その結果,対象4チームにおいてファースト・ブレイクの試行回数が多く,成功率の割合が高い数値を示し準成功率・失敗率が低い数値を示した場合,試合の勝敗に影響を及ぼすことが認められた。セット・オフェンスにおいては,攻撃形態を5種類の動作に分類し集計した結果,各チームの特徴がみられた。太成学院大学は「drive」からディフェンスを崩すし,そのプレイにインサイドプレイヤーが「合わせ」というコンビネーションプレイとインサイドからキックアウトされたパスよる「shot」が多く用いられた。この結果は,太成学院大学の競技レベルを把握できるとともに,今後の練習プログラムの設定やコーチングに役立つと考えられる。
著者
松井 達也
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.203-211, 2011

本研究の目的はアルコール症を持つホームレスに対する支援に関する文献検討を行い、彼らの支援についての示唆を得ることである。アルコール症を持つホームレスに対する支援に関する国内文献10編と国外文献42編の文献検討を行った結果、ホームレスであることとアルコール症は大いに関連があり、ホームレスのアルコール症を解決するためには入所施設での集中的なプログラムと退院後の地域での医療的支援と居住の確保が重要であることがわかった。さらに国内におけるアルコール症を持つホームレスに対する支援は不十分であり、特に地域でいかに医療的支援を行うかが課題となっている。