著者
池辺 晴美
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-5, 2010 (Released:2017-05-10)

大学運動部員を対象とし,特徴の異なる種目間における傷害発生の傾向,傷害発生や再発に対する考え方,競技復帰後の取り組みに差があるのかを明らかにすることを目的としている。結果は,陸上競技選手には,肉離れや腰痛の発生が多く,サッカー選手においては,足関節捻挫が最も多く,サッカーでは外傷性の受傷が多い傾向であった。受傷後の取り組みに関しては両群とも「ウォーミングアップを長く行う」や「ストレッチを行う」などであり,陸上競技選手においては,「アイシングを行う」が多かった。また,個々の選手の考える受傷要因は両群とも「疲労」や「柔軟性の不足」と回答した者が多かったが,サッカー群に「路面の状況の悪さ」と回答した者が目立った。
著者
金杉 高雄
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-36, 2014-03

「毎度 ! 儲かってまっか 」,「えぇ、ぼちぼちでんなぁ」。大阪人のことばの文化, 話の本題へ入る前のこのようなあいさつの文化の背後にはその地域の人々にしか分からない伝えることばの奥深さがある。ことばを使って相手に自分の意図を伝える場合, 直接的もしくは間接的に伝える方法がある。話し手が字義通りに解釈することを聞き手に期待するのではなく, 言外の意味を読むことを聞き手に期待する間接的な表現の場合, ことばと真意との間にはギャップが生じる。間接的に自分の意図を相手に伝える場合では, 聞き手はそのことばの背後に隠された素顔の人間心理を顔の表情, 声のトーン, 身振り, 手振り等から読み取らなければならない。このような自分の意図するところを字義通りではなく間接的に相手に伝える活動は人間のみが発達させた手法である。そこでは, 時にメタファー・メトニミーのレトリックが用いられる。言外の意図を探ることを話し手が聞き手に求める人間心理の背後には話し手の置かれた状況と生まれ育った環境、経験からの背景知識が相互に関わりあっている。話し手が伝えたい真の意図を聞き手がうまく捉えられない場合に考えられることは認知主体間の主観性が大きく影響を及ぼしていることである。
著者
井手 裕美
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.213-219, 2014-03

我々は普段日本国内において多くの英語表記を目にしている。しかしながら, その中のどれ程を認識しているのかは不明である。本稿では日本国内で使用されている英語表記を, 日本人がどれだけ認識しているかを調査した。英語は, JR電車内, JR大阪とその周辺の駅, JR東京駅構内, 東京地下鉄電車内, 東京地下鉄駅構内, 神戸空港, 関西空港, 羽田空港, モノレール, 新幹線内の各場所で収集した。一般的に日本人は, どの英語標識表記を認識し, どれを認識していないのであろうか。
著者
松井 達也
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.125-132, 2012-03

本研究の目的は知的障がい者に対する認知行動療法に関する文献検討を行いその効果と工夫を明らかにすることである。知的障がい者に対する認知行動療法に関連する国内文献5編と国外文献7編の文献検討を行った結果、知的障がい者に対する認知行動療法は対人関係、コミュニケーションスキルの向上、抑うつの改善、怒りのコントロールといった点で一定の効果があることがわかった。またその実施にあたってはCBT実施前の準備トレーニング、文字・絵カードの使用、支持的な関わりなどの工夫が有効であった。今後、知的障がい者に対する認知行動療法は国内においてもより一層の研究とその効果の立証が期待されている。
著者
金杉 高雄
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.51-60, 2011-03

言語学の発展は現代の科学技術の進歩と切り離すことはできない。意味を中心とする言語学ではメタファー、メトニミーの研究がより活発に進められてきた。この分野ではGeorge Lakoff が最も重心的な研究者である。しかし、言葉の意味を研究する上で必要に迫られるのが、言語学以外の隣接分野の知見である。Lakoff は自分の言語理論をより包括的に発展させるために、Mark Johnson (シカゴ大学)という哲学者を招き、共同研究をし、研究書を発表している。あまりにも有名な「Metaphors We LiveBy」である。この著作を発表した後、彼らは再び、「Philosophy in the Fresh」を世に出しその研究成果を問うている。この2 作目の共著では「Philosophy」という言葉がタイトルに取り入れられ言語学と哲学的思考の関係の深さが全面に出ている好例であるといえる。さらに、認知文法(CognitiveGrammar)を提唱する Ronald Langacker は哲学者、Heidegger の影響を大きく受けていることは周知の事実である。彼はHeidegger の思想に基づいて数多くの認知モデルを提出している。言語学がいろいろな形で姿を変えて進展するのには興味が引かれる。そのような動向の中で、特にここ10 年の間に注目されてきた分野として語用論と歴史言語学とを体系的、有機的に組み合わせた「歴史語用論」がある。この言語学は文法化、主観化、間主観化をキーワードに研究が進められてきている。言語学の新しい方向性である。言語学と隣接分野との組み合わせ、そして従来の歴史言語学と比較的目新しい語用論との組み合わせによる研究方法に加えて、認知言語学と歴史語用論とを組み合わせた研究方法に関してのその輪郭について日本語を中心にして、その意味変化を取り扱いながら試論を行うものである。
著者
猪池 雅憲
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-34, 2010-03

本稿の目的は,三重県伊賀市における観光動向を知ることである。平成21年10月23・24・25日に行われた上野天神祭を機会に観光動向調査を行った。学生の参加数は35名で,24日に上野天神祭に訪れた観光客を対象に調査を行い分析したものである。 伊賀市観光動向調査において,以下のことが明らかになった。三重県からの観光客は48%。自家用車での来訪が63%。旅行形態では家族35%,カップル・友人同士の小グループ30%となり,合わせると65%になる。上野天神祭に初めてという観光客は34%で,6回以上という回答が36%あった。県内の住民が,毎年あるいは複数回にわたりリピーターとして訪れており,他の観光地へは既に行ったことがあり,観光というよりも地域のための地元の祭りといった色合いが濃いことがわかった。
著者
山口 眞由 古谷 昭雄
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.207-214, 2007-03-31

CAGリピート病SCA1の責任遺伝子の多型性とCAT配列の挿入および遺伝様式について健常日本人の四世代からなる家系とこの家系以外の血縁のない健常日本人のDNA試料を用いて検討を行った。この家系においてはすべてのアリルにCAT配列の挿入がCAGリピート中に認められ、構造多型も含め、10種の異なるアリルが存在し、いずれもメンデル遺伝に従うものであった。血縁のない他の健常人からはCAGリピート中にCAT配列の挿入がないアリル2種とCAT配列の挿入がある新たなアリル1種を見出した。本研究で検出したアリルはトリプレットの繰り返し数が20〜31回の範囲内の計13種で、ヘテロ接合度は0.83であり、多型性に富むことが明らかとなった。また、CAT配列の挿入したアリルは制限酵素SfaNIによるRFLP分析で容易に識別することができた。
著者
寺田 治史
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.179-190, 2013 (Released:2017-05-10)

教育の目的は人間の幸福にあると考えたのは,デンマ-クではニコライ・フレデリック・セブリン・グルントヴィ(Nikolaj Frederik Severin Grundtvig 1783-1872)であり,わが国においては牧口常三郎(1871-1944)である。(1)近年,行われている各種の幸福度調査ではいずれの調査でもデンマ-クは常に上位を占め,わが国は下位に位置する。今後,我が国の教育を考える時,彼の国の教育理念を再認識し,大いに学ぶことがあるように思える。副題に掲げた「池田」とは創価大学・学園創立者,池田大作(1928〜)のことである。小説「人間革命」の著者でもあり広く世界の教育者と対談を重ね,2012年度で世界の教育学術機関から315を越える名誉学術称号が贈られている。また「ヘニングセン」とはHans Henningsen(1928〜)のことである。グルントヴィ研究の第一人者として著名であり,デンマ-ク教員育成大学協会理事長(1993〜2003)などを勤めた教育者であり,牧師でもある。1994年にはデンマ-ク王室より「国家ナイト十字勲章」の称号を贈られている。(2)この両者が対談集「明日をつくる"教育の聖業"-デンマ-クと日本 友情の語らい-」(2009 潮出版社)を編んでおり,本稿は,それに因んで,グルントヴィの教育理念が日本の教育に及ぼしてきた歴史を振り返りつつ,牧口の教育理念が池田によって新たな人間教育論へと展開されている背景を探ってみようと考えた。
著者
中村 真規子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.81-92, 2013-03

東アジアでは, 急速に高齢化が進行している。東アジア諸国は1960年代半以後, 人口ボーナス期に経済発展を遂げた。しかし, 2010年以後は, 人口オーナス期を迎えると予想されている。中でも2015年に人口ボーナス期が終わるタイは, 開発途上の段階で高齢化を迎え, 経済的な成長を目指しながら, 同時に高齢化への対策が求められている。すなわち, 年金や医療サービスへの対応が急務となっている。このように高齢化に直面しても所得水準の低い段階では国家による統一的な社会保障には限界がある。そこで, タイでは, コミュニティのパワー強化によって医療の充実を目指している。西欧的な国家によるサービス提供ではなく, アジア的な共同体を活性化iして行う方向である。そのコミュニティの核となるタンボン・ヘルス・プロモーション・ホスピタルのサービスについて調査を行った。その施設を利用する住民が受けているサービスの満足度, 今度の期待などについて, 特にこれまで満たされていないunmet needを抽出し, サービスを充実させることが目的である。
著者
高橋 清
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.97-102, 2012-03

本研究は2010年8月28日〜9月26日まで開催された,関西学生バスケットボールリーグ戦4部Bリーグの上位4チームの対戦した6試合を対象とし,オフェンスの攻撃形態が試合にどのような影響を及ぼすのかを,ファースト・ブレイク,セット・オフェンスについてそれぞれ比較し,分析を試みたものである。その結果,対象4チームにおいてファースト・ブレイクの試行回数が多く,成功の割合が高い数値を示し準成功率が低い数値を示した場合,試合の勝敗に影響を及ぼすことが認められた。セット・オフェンスにおいては,攻撃形態を5種類の動作に分類し集計した結果,各チームの特徴がみられた。太成学院大学は「drive」からディフェンスを崩すし,そのプレイにインサイドプレイヤーが「合わせ」というコンビネーションプレイが多かった。この結果は,太成学院大学の競技レベルを把握できるとともに,今後の練習プログラムの設定やコーチングに役立つと考えられる。
著者
中塚 健一
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.247-254, 2012

戦後日本の教員養成は大学・短大で行われている。教職課程を履修し条件を満たせば教員資格が得られる「開放性の原則」を採ってきた。講義などを通じて学生と接していると,単に学力や教養の低下として片づけられない,世代間のギャップを感じることがある。特に戦争に関しては「終戦」から65年以上経ち,戦争経験者がいなくなりつつある現在,これから教師になろうとする学生は,戦争とどのように向き合うべきか。本稿では,教員志望者に必要とされるだろう「戦争に関する一般的教養」について検討するための材料として行ったアンケート調査を報告する。
著者
吉岡 由喜子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153-163, 2015-03

文献を用いて検討した結果,初期の認知症高齢者は,認知症症状の自覚があり,ゆらぎながらもその変化に適応し,他者への配慮の他,自己の可能性を見出す力をも持っていた。しかし,それは家族と職員が感じている負担感とギャップがあった。その要因は,知識不足により認知症高齢者の力を過小に認識している可能性,認知症になった高齢者の変化に関して家族の適応が遅れている可能性,[世間一般のあるべき姿の枠内での行動]を認知症高齢者にも自己にも要求している可能性,ゆとりの無い援助,否定的感情が安全に表出できていないこと,などが示唆された。今後の看護基礎教育では,それらに対応できる力を養う必要がある。
著者
森山 智浩 福森 雅史 北野 英敏
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.169-197, 2007-03-31

「近接」/「交換」概念を表示する英語前置詞及びスペイン語前置詞に注目し、各々の多義構造を概念的見地に立脚して観察することによって、その意味変化の背景に「言語形態が変われども、外界事象を概念化する人間の認識には共通性が存在している」ことを実証する。なお、認知言語学及び史的意味論の手法によって導き出された概念的メカニズムを実際の英語語彙学習指導及びスペイン語語彙学習指導に活用した研究成果についても論旨は及ぶ。
著者
高橋 紀穂
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.167-175, 2014-03

本稿の目的は,意識のエネルギーと生産的労働によってもたらされるエネルギーを同一の地平で考えるジョルジュ・バタイユの思考を明確化することにある。議論は以下の手続きによって進められる。まず,バタイユの労働概念を,次に,彼の労働と言語との関係の思考を見る。続いて,彼が,ヘーゲル哲学の分析の中で,労働と言語的意識の両者を,エネルギー論というひとつの視点から捉えたことを示す。その後,その正当性をデリダの言語論から考える。そして,彼が思考した消費の倫理を示す。最後は,バタイユが現代のわれわれにもとめた「自覚」について考える。
著者
井手 裕美
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.9-19, 2011-03

日本の英語教育の原点はどこにあるのか。検定教科書の出る以前, 日本人はどのようにして英語を学んだのであろうか。英語教育は明治維新前にすでに始まっており1811年に『諳厄利亜興学小筌(あんぐりあこうがくしょうせん)』, 1813年に『諳厄利亜語林大成(あんげりあごりんたいせい)』などの辞書が編集されていた。その後, 明治維新を迎え英語学習者の増加に伴い, 数多くの教科書が主としてアメリカから輸入されるようになった。1872年の「学制頒布」が国民教育の始まりとなったが, 英語教科書においては外国出版の「文典」「読本」などが使われた。その中で特にウエブスターの『スペリングブック』, ウィルソンの『第一リーダー』, ブローンの『ブローン文法書』の3冊を分析・検討することによって, 日本の英語教育の原点を調べ且つ現在の英語教育の課題を探る。
著者
猪池 雅憲
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.35-44, 2010-03

上野天神祭において観光動向調査を行った際の「人とのコミュニケーションを図れた」について「非常に感じた」「多少感じた」と回答したのは79%。参与観察調査で「人とのコミュニケーションが図れた」と考えた学生は64%だった。79%の学生が「伝統的祭りへの理解をもった」と回答し。76%の学生が「上野天神祭をもっと広めるべきだ」と考えたことが分かった。「体験することは役に立った」については73%が感じていると回答している。 参与観察調査における自由記述では,町衆と学生とのコミュニケーション不足を指摘する意見が多くみられた。そこには,学生から町衆への積極的なアプローチはなく,消極的姿勢を浮き彫りにしている。観光動向調査に比べ,ダンジリ曳行または鬼行列の警備への参加の方が有意義だと推測していたが,観光動向調査の方が有意義だったという結果が出ている。その要因を探るために,学生のアンケート調査結果と自由記述を分析した結果,自己の内的な楽しさの有無がフィールドワークの評価を左右していると思われる。
著者
八木 一成
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.199-206, 2007-03-31

日本では1970年代の石油危機を機にバイオマスエネルギーが注目されたものの, 長期にわたる石油価格の安定と原子力政策により, バイオマスの利活用が国民生活に浸透することはなかった。しかし, 近年の環境問題, とりわけ地球温暖化に対する国民の意識の変化や2005年2月に京都議定書が発効したことによる政策上の必要性から、日本でもバイオマスエネルギーが見直されつつある。本稿はエネルギーとしてのバイオマスのみならず, 食糧問題とバイオマスの関連について考察を加えるものである。
著者
王 微 井手 裕美
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-21, 2010-03

市場経済を取り入れて以来、中国の経済発展は著しい。世界の中国として英語教育を重視するその教育背景と政策を調査し、また実際の中学のクラス編成と英語の実施時間を一例に挙げ、その中等教育で使用されている英語教科書を、日本の中学一年にあたる七年級の上・下冊を中心に、また二年、三年にあたる八年級と九年級の教科書をその延長として分析・検討した。
著者
嶋崎 裕志
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.47-60, 2009

人格・パーソナリティをどのように理解し,それを日常場面・臨床場面に生かして,どのように実践していくかは,現代心理学の主要テーマである。従来の理論とその実践をまとめ,さらに新しい視点を取り上げ,その良否を論じたい。心理学と人格・パーソナリティとの関わりは古くから続いてきたと考えられているが,現代心理学と人格・パーソナリティと関わりは複雑な様相を展開してきていると考えられる。今回発表する,「人格の研究1」では,全体で10章を予定しているうちの最初の1章をまとめる。その内容は,序論で心理学における人格・パーソナリティの論議を概括し,次に1章では人格のひとつの要素である「知」について論ずる。
著者
古谷 昭雄 山口 眞由
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.151-156, 2007-03-31

毛髪は法医学上、個人識別を行う基本的事項としてきわめて重要である。今回は毛髪の物理学的性状について引張強度と伸張率について年齢群別正常標準値の算出を行った。引張強度については、正常標準値の結果から10歳-19歳の年齢群を最高値に、以後の年齢群については加齢にともなって漸減の傾向がみられ、60歳以上では最低値を示した。男女とも幼年期には弱いが、少年期、青年期に強く、壮年期、老年期に近づくにつれて次第に弱くなっていった。伸張率については正常標準値の結果から10歳未満から加齢にともなって増大し、60歳以上では最高値を示した。加齢とともに少しずつ増大し、60歳以上で最高値を示したことは加齢が進むにつれて水分の吸収がよくなり、しなやかで弾力性がよくなってくるのではないかと推測される。今回の引張試験により個人識別が容易にできる可能性がある示唆をあたえてくれた。