著者
伊藤 聖子 成田 真由美 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.104, pp.105-110, 2010-10-20

ツルアラメは,独特の苦味や不快なえぐ味をもつが,海藻特有の粘質多糖類を含むことから豊富な食物繊維の給源と考え,食物繊維が不足しがちな肉料理のなかでも,中学校家庭科で必ずとりあげられるメニューであるハンバーグにツルアラメを添加,調理加工法について検討した。青森県大間町沿岸で採取されたツルアラメを材料にハンバーグを作成,ツルアラメの食感を活かしつつ,独特のえぐ味やぬめりを感じさせないミキサー破砕物を添加したものが,最も高い評価が得られた。一般的な一人分のハンバーグ生地に,ミキサー破砕したツルアラメを4g 添加することで,1日の食物繊維摂取目標の約10.4% を占める2.6gの食物繊維を摂取できることがわかった。
著者
猪瀬 武則
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.99, pp.33-43, 2008-03-25

米国経済教育学会のカリキュラム教材『経済学の倫理的基礎付けの教授』を分析することによって、経済教育が、倫理的な基礎付け無しには成立しないことを明らかにした。経済教育は、功利主義的前提の下に利己的な人格を育成するという論難があるが、むしろ「倫理性」や「公正」「正義」は、「市場」や「経済取引」成立の大前提である。このことを、近年の行動経済学の成果や経済倫理学からの成果をもとに、活動教材という方法原理によって育成することを企図した本教材は、日本の経済教育に大きな示唆を与えることとなろう。
著者
加藤 陽治 藤田 美香 浅利 宇多子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.69, pp.p131-135, 1993-03

市販ゴボウに含まれる貯蔵性多糖イヌリン(フラクトオリゴ糖も含む)の量,ならびに貯蔵および加熱処理におけるイヌリンの変化について調べ,次の結果を得た。1.ゴボウに含まれるイヌリン量とその分子量は購入時期により顕著な差が見られた。5月購入のもののイヌリン含量は可食部の5.4%,イヌリンの分子量分布は高分子(分子量約1800以上):低分子(分子量1800以下)-15:85であった。8月購入のもののそれぞれの値は9.8%,および56:44であった。2.ゴボウ中のイヌリン(分子量1800以上)は,室温一週間放置で約20%が,冷蔵庫(40C)三カ月放置で,約80%が低分子(分子量1800以下のフラクトオリゴ糖)化された。3.ゴボウ中のイヌリンの低分子化には,ゴボウ中のイヌリン分解酵素が関与している。4.ゴボウを加熱するとき,はじめ40Cで10分間前処理した後,沸騰させると,わずかながらもイヌリンの低分子化がみられた。これらの結果より,ゴボウの貯蔵,調理操作の工夫により,ショ糖と同じ性質の甘味を有しながら,ショ糖とは異なった生理作用(難う蝕原性,ビフィズス菌増殖促進作用など)をもつフラクトオリゴ糖をイヌリンより生成させることが可能になると考えた。
著者
後藤 雄二
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.85, pp.39-45, 2001-03-30

日本の都市システムは戦後の高度成長期に完成されたとされるが,その特性を理解するためには歴史的要因についても分析する必要がある。都市システムには国家的・地域的・日常的という地域スケ-ルを異にする階層性が存在する。本稿では戦前の東北地方について,地域的・日常的都市システムを分析することを目的とする。戦前の東北地方では,国家的都市システムに組み入れられた仙台,および,県庁都市,工業都市の成長がみられるが,昭和55年の境域についてみると港湾都市と小規模都市の成長が顕著で,これらにより都市規模の差異が縮小し,戦前に都市システム形成の萌芽がみられたことを示す。また,日常的都市システムについてみると,農村地域の中心都市での中心性が高く,地域的要因が強く作用しているといる。
著者
岡田 敬司
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.69, pp.p81-96, 1993-03

私達が日頃何気なく目にする風景も,注意して見れば,そこには<もう一つの世界>が隠されていることが感得できる苦である。それは無限の広がりを持った想像の世界であり,目に見える世界の裏側に潜む精神的風景である。私達の目に映ずる世界は,世界の現象的一側面であろに過ぎず,もしかすると,その背後に潜む世界こそ真の世界であるのかも知れない.可視的現象世界は,様々な寓意を信号として私達に送り続けている。これら無数のと言うべき信号を感受できるか否かは,私達の感受性の問題である。意識的に注意を向けてみれば,隠蔽された意味が有意義なものとして浮上して来るかも知れない。それこそ私達が求めて止まない<真実(の風景)>であるのかも知れない。この<もう一つの世界>の実在を検証する為に,ここに「詩的」という意味を篭めて,風景に内在された<もう一つの世界>の探索を試み,世界認識の拡大を試みてみようとするものである。
著者
今井 民子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.80, pp.29-36, 1998-10-30

本稿では,第2次ブフォン論争といわれるグルック-ピッチンニ論争の本質を明らかにするため,ピッチン二派のマルモンテル,グルック派のアルプ,中立派のシャバノンの論考,及びこの論争とは無縁であったモーツァルトのオペラ論を検証する。古典主義の立場からグルックの表現を激しすぎると退けるマルモンテルは,同時にイタリア音楽の声楽美の濫用にも批判の目を向け,一方アルプは,グルックのオペラ改革の成果を評価しつつ,深い感動を誘うピッチンニオペラの魅力も認める。また,旋律と和声をともに認めるシャバノンの見解は,ルソーとラモー以来の旋律・和声論争に終止符を打つものとして注目される。イタリア派の一人として,音楽の詩に対する優位を主張するモーツァルトは,グルックとは対極のオペラ作曲家といえる。これらの見解は,18世紀音楽の中心主題であったイタリア音楽対フランス音楽,旋律対和声の問題の終悪を意味するものといえよう。
著者
加藤 陽治 藤田 美香 浅利 宇多子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.69, pp.131-135, 1993-03-30

市販ゴボウに含まれる貯蔵性多糖イヌリン(フラクトオリゴ糖も含む)の量,ならびに貯蔵および加熱処理におけるイヌリンの変化について調べ,次の結果を得た。1.ゴボウに含まれるイヌリン量とその分子量は購入時期により顕著な差が見られた。5月購入のもののイヌリン含量は可食部の5.4%,イヌリンの分子量分布は高分子(分子量約1800以上):低分子(分子量1800以下)-15:85であった。8月購入のもののそれぞれの値は9.8%,および56:44であった。2.ゴボウ中のイヌリン(分子量1800以上)は,室温一週間放置で約20%が,冷蔵庫(40C)三カ月放置で,約80%が低分子(分子量1800以下のフラクトオリゴ糖)化された。3.ゴボウ中のイヌリンの低分子化には,ゴボウ中のイヌリン分解酵素が関与している。4.ゴボウを加熱するとき,はじめ40Cで10分間前処理した後,沸騰させると,わずかながらもイヌリンの低分子化がみられた。これらの結果より,ゴボウの貯蔵,調理操作の工夫により,ショ糖と同じ性質の甘味を有しながら,ショ糖とは異なった生理作用(難う蝕原性,ビフィズス菌増殖促進作用など)をもつフラクトオリゴ糖をイヌリンより生成させることが可能になると考えた。
著者
安野 眞幸
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.91, pp.15-26, 2004-03

永禄六年に瀬戸に宛てて出された信長制札について、先学はこれを「瀬戸物商人の国内通行権や瀬戸物売買の保護を記したもの」としてきた。しかし本稿で明らかにしたように、この制札では、瀬戸物市-の塩・塩相物の出入りをも問題としており、いわば「新儀商人」である「塩・塩相物商人」に対して、瀬戸物取引の公認を内容としていたのである。
著者
小野 郁 今 清佳 森 菜穂子 太田 誠耕
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-145, 2004-10

大学生410名を対象とし,500mlのペットボトル飲料の利用状況について調査を行った。また,開栓後の500mlのペットボトル飲料の細菌の繁殖状況を一般生菌法で測定した。その結果,ほとんどの大学生がペットボトル飲料を利用しており,保存によって細菌が大量に繁殖することが明らかになった。特に直接口をつけて飲んだ場合には,長期間の保存が可能とは苦いがたく,開栓後は冷蔵庫内で保存し,開栓当日遅くても1日後に飲みきることが必要である。また,飲用後のペットボトル容器に別の飲料を移し香え水筒として再利用することは衛生上安全であるとは言いがたい。

1 0 0 0 OA 金森楽市令

著者
安野 眞幸
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.95, pp.13-36, 2006-03-28

元亀三年の金森再蜂起の後、信長は金森の地に楽市令を出した。本稿はこの金森楽市令の分析である。金森は坂本・志那・守山をつないで、京都と東山道を結ぶ志那街道上にあり、この街道は当時の幹線道路だった。このことが原因で、金森は一向一揆の拠点となった。楽市令の第一条はこれまであった金森の寺内町特権を再確認したものであり、第二条は宿駅都市金森の発展を図ったもの、第三条は弓矢徳政である。
著者
山本 逸郎 古川 由美子 野土谷 桃子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.94, pp.19-28, 2005-10-07

中学校理科第1分野「エネルギー」の単元では.高い位置にある物体がもつエネルギーを調べる実験として,斜面を転がる球を木片に衝突させる実験が教科書に記載されている。教科書では.球のもつ位置エネルギーが木片を押す仕事に使われると解釈し,木片の移動距離が球の質量に対して比例するグラフを掲載しているが,実際に実験してみると比例しないことがわかる。本研究では,得られた実験結果を解析し,球と木片の運動を詳しく考察する。
著者
桐村 豪文
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.175-185, 2020-03-31

本稿では、教育政策の正当性を裏付けるために求める「エビデンスに基づく教育(Evidence-Based Education:EBE)」の要求について、正義の観点からその正しさに疑義を呈した。 EBE の要求には、それに反対する声が相対する。しかし両者はしばしば対話すること自体が困難であり、政治闘争に近い状況である。そこで本稿では、両者間の通約可能性を探るべく、デリダの提起する来るべき民主主義=脱構築の概念に期待を寄せ、その探究を行った。探究の結果、① EBE の要求の根底には、科学的/非科学的(臨床的)、量的/質的、因果論的/非因果論的、普遍的/特殊的といった階層秩序的二項対立が伏在するということ、②カートライトとハーディによる議論は、それら階層秩序的二項対立を脱構築するものであり、③ゆえに、それら階層秩序的二項対立に依拠するEBE の要求は正しさを維持できないということが示された。
著者
髙橋 つかさ 葛西 敦子 田中 完
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1, pp.105-112, 2017-11-06

視力低下とう歯は,子どもの健康問題であり,学校においては保健指導等の予防対策を行うことが求められている。そこで,本研究では,大学生が過去に受けてきた視力に関する保健指導とう歯に関する保健指導について比較し,検討することを目的として質問紙調査を行った。 その結果,学校において視力に関する保健指導が「あった」と回答した者は303名中52名(17.2%)で,う歯に関する保健指導が「あった」と回答した者の148名(48.8%)と比べて有意に少なかった。さらに,学校での保健指導について「あったかどうか覚えていない」,「なかった」と回答した者が,視力については251名(82.8%)もおり,8割を超えていた。 本研究より,学校での視力に関する保健指導が十分に行われていないことが明らかとなった。学校現場には,視力低下予防のために視力に関する保健指導を継続して取り組むことが求められる。
著者
矢島 忠夫 ヤジマ タダオ Yajima Tadao
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.85, pp.47-55, 2001-03-30

有ることは,自己自身と同一することである。成ることは,自己自身と差異することである。成ることは,別に成ること,成ることの成ることとして,それ自身において,自己自身の反復,自己自身の累乗,自己自身の肯定である。成ることは,自己自身で後れることとして,それ自身において,自己に成ること,自己を強めること,自己を超えることである。
著者
郡 千寿子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-7, 2011-10-20

弘前市立図書館に所蔵されている、寛政五年( 9 )刊の『都花月名所』の資料性について検証したものである。京都府立総合資料館にも同様の文献が所蔵されているが、従来、地誌資料として扱われて地理学的分野での研究対象とされてきた。本稿では、それぞれの文献を比較検討した結果、京都府立総合資料館所蔵本が不完全本であること、弘前市立図書館所蔵本が刊行時の様相をとどめた善本資料であることを明らかにした。その上で、国語資料としての『都花月名所』の可能性を探るために漢字表記に付された振り仮名に注目し、四つ仮名や連声、カ行合拗音といった言語事象について考察検討し報告した。
著者
安田 寛 北原 かな子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.83, pp.77-85, 2000-03-31

学制発布後も遅々として進まなかった公立の唱歌教育に対し,キリスト教の宣教師達は,各地で日本人に讃美歌を教え続けた。したがって,日本人と洋楽受容の問題を考察する際,音楽取調掛と文部省が中心となった音楽教育のみではなく,日本各地で行われたキリスト宣教師達による讃美歌教育の影響を無視することはできないのである。筆者等は以上のような問題意識によって,早くからキリスト教布教が盛んに行われた津軽地方を対象として,洋楽受容に関する研究を重ねてきた。本稿は,津軽地方での讃美歌の受容,特に実際に歌った人々がどの様に受け止めたのか,という意識を窺わせる資料を紹介し,明治期の地方における洋楽受容の一端を明らかにしようとするものである。
著者
矢島 忠夫 ヤジマ タダオ Yajima Tadao
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.93, pp.25-36, 2005-03-30

この論文では、漢訳『妙法蓮華経』のサンスクリット原典である『サッダルマ・プンダリ-カ』(Saddhamapupdarika)(『正しい白蓮の教え』)において「ダルマ・スヴァバーヴァ」(dhama-svabh岳va)(dhamaの本質)と表現されていることがらに関して、それを、「諸仏が教える修行の法の本質」ではなく「存在するものたちの真実の在り方」と理解する解釈が見られるが、それは、漢訳『妙法蓮華経』において「諸法実相」と表現されることがら関する独自の解釈(おそらくは「天台教学」的と言われる解釈)があらかじめその外部に前提され、そのために、この解釈がひるがえってサンスクリット原文の`dhama-svabhava'の解釈にまでひそかに反響していることによるのではないか、という推定が提示される。
著者
近藤 有紀 葛西 敦子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.165-173, 2020-03-31

本研究は,大学生の中でも今までに一回もたばこを吸ったことがないと自己申告した非喫煙者(以下;非喫煙大学生)を対象に質問紙調査を実施し,非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し抱く嫌悪意識に関する要因を明らかにすることを目的とした。370名(男性112名,女性258名)から回答を得た。①370名のうち38名(10.3%)がたばこの『煙』,87名(23.5%)がたばこの『におい』が気になると回答していた。②たばこの『煙』を嫌だと「感じる」者は311名(84.1%),たばこの『におい』を嫌だと「感じる」者は301名(81.4%)であった。③非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し嫌悪意識を抱く要因に関する因子として,第1因子「喫煙者への負のイメージ」,第2因子「人的背景」,第3因子「周囲への影響」,第4因子「においの影響」,第5因子「マナー違反」の5因子が抽出された。本研究で,非喫煙大学生は,たばこの『煙』や『におい』に嫌悪意識を抱いている者が9割以上おり,特にたばこの『におい』に嫌悪意識を抱いていることが明らかとなった。
著者
大谷 良光 立田 健太 井上 怜央
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.96, pp.51-60, 2006-09-29

:ねぶた・ねぶたが青森県内の学校教育との関わりを深めつつあると思われる現在、ねぶた・ねぶたへの子どもの関わりの現状と子どもの祭りへの意識を調べる目的で、青森市、弘前市の小学校4年生を対象として調査した。その結果、両市とも観覧率は高く、また運行への参加率は約70%であった。運行では9割以上のこどもが、ねぶたがハネト、ねぶたが曳き手と参加していた。弘前市の方が地域ねぶたへの参加状況が多く、鳴り物での参加率が高かった。ねぶた・ねぶたの製作やお手伝いは、地域祭りが主で、大型ねぶた5%、合同運行16%と小学校4年生ではその関わりは少なく、その内容は紙貼りが主であった。祭りへの意識は高く、子どもなりに誇りと自覚を持ち、将来の職業の夢として25%がねぶた師を抱いていた。
著者
三浦 俊一 大谷 良光 大野 絵美
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.102, pp.125-132, 2009-10-30

弘前市のねぷた運行団体と子ども、学校教育との関わりの現状と意識について明らかにする目的で、81運行団体に質問紙調査を依頼し、53団体(回収率65%)より回答を得た。子どもたちの祭りへの参加状況は囃子が1団体約40名、かけ声・引き手が80名で、運行への参加数は、囃子もかけ声・引き手も減少傾向が見られた。また、36%の運行団体が、学校教育との関わりをもち子どもたちに指導・支援を行っており、66%の団体が、今後学校からの要請があれば対応すると回答した。さらに、ねぷたを学校教育で活用することが、伝統文化の継承や地域の活性化に寄与すると考えている団体は、いずれも9割を超え、学校教育への高い期待感をもっていることがわかった。これらの結果から「提言」をまとめ関係者に届けた。