著者
児玉 豊彦 新地 浩一 前川 昭子 小栗 清佳 神崎 匠世 吉水 清
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.827-837, 2009
参考文献数
21

目的:佐賀県における看護師の自殺の実態を調査し,自殺のリスク要因を明らかにし,予防対策に取り組むことを目的として,今回の研究を実施した.対象者および方法:佐賀県看護協会主催のストレスマネージメント研修会に参加した看護師83名,およびA大学医学部医学系研究科看護学修士課程に在籍している大学院生の看護師10名の計93名.方法:対象者に自記式質問紙調査票による調査を実施した.また,同僚の自殺または自殺未遂を経験した対象者のうち,同意が得られた2名に面接による調査を実施した.結果:回収率は91.4%で85名(男性8名,女性75名,性別不明2名)から回答を得た.有効回答率は100%,同僚の自殺もしくは自殺未遂を経験したものは8名であった.自殺者または自殺未遂者11名のうち,20歳代が9名(81.8%)で最も多く,7名(63.6%)が通算勤務年数が5年以下であった.婚姻状況は10名(90.9%)が独身者であり,8名(72.7%)が交替制勤務に従事していた.自殺の推測される動機は,職場の人間関係や恋愛関係など対人関係に関するものが7名(63.6%)と最も多かった.結語:看護師の自殺予防のために,就職後の早い時期からメンタルヘルス対策に取り組む必要性があると思われた.
著者
近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.294-301, 2019 (Released:2019-05-01)
参考文献数
34

心身医学は, 患者を心理・社会・環境面も含めて全人的にみていこうとする. 社会疫学は 「健康格差社会」 を生み出す社会的決定要因を疫学的なアプローチで明らかにする研究分野である. つまり社会疫学は 「広義の心身医学」 の一部であることを意味する. 本稿では, 第1に健康格差の生成プロセスについて解明されてきた到達点をレビューする. 第2に 「健康格差社会への処方箋」 として使える対策を概観する. 第3に地域づくり方法や効果, そして臨床現場で今後の普及が期待される社会的処方について紹介する.
著者
三宅 典恵 岡本 百合
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1360-1366, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
2

大学生は思春期の自己同一性の問題が出現する時期であり,メンタルヘルス問題を生じやすい.特に新入生は,入学後の環境変化も大きいことから,新生活への悩みを抱え,不安やうつ傾向の高さが指摘されている.メンタルヘルス問題を抱えると,学生生活への影響も大きく,不登校やひきこもりのリスク要因となるため,早期発見や治療が重要である.そうした中で,大学内の保健管理センターを利用する学生も増加の一途である.メンタルヘルス相談に訪れた学生の精神科診断ではうつ病や不安症が多く,摂食障害や発達障害の相談も増加している.本稿では,大学生に多くみられる精神疾患,その早期発見や治療,支援に向けての取り組みについて述べる.
著者
辻内 琢也 鈴木 勝己 辻内 優子 鄭 志誠 熊野 宏昭 久保木 富房
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.799-808, 2006-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2

「医療人類学」は社会・文化人類学の一分野として,健康や病いと社会・文化システムとの関係を探求してきた.本稿では,はじめに病いの経験の社会的・文化的な相互作用を明らかにするうえでとても有用な,(1)多元的ヘルスケアシステム,(2)説明モデル・アプローチ,(3)病いの語りと臨床民族誌,という三つのキーコンセプトについて解説する.次に,われわれがこれまでに取り組んできた,医療人類学的アプローチを応用した質的研究3点を具体的に提示し,物語りに基づく医療(ナラティプ・ベイスト・メディスン; NBM)の理論的骨格の一つとも言える,「医療人類学」の目指す学問的姿勢を明らかにする.
著者
川原 律子 細谷 紀江 三木 治 吉田 敏郎 鴨下 一郎 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.377-383, 2000
参考文献数
7

「食事をとらない」ことを主訴に来院した幼児に対し, 患児の内的状況把握と母子間のコミュニケーション調整を目的に, コラージュ療法の合同法(近喰, 1992)を導入した.方法はマガジン・ピクチャー・コラージュ法で, 母親持参の雑誌から母子が交互に自分の気に入った写真・絵・文字を切り抜き, 自由に四つ切り画用紙に貼付するものであり, 全4作品を制作した.母子が互いに洞察を深めるためには言語能力の問題など諸条件が必要だが, 本法の導入により, コラージュ・アクティビティが母子間の力動を明確にし, コミュニケーションを促したことで, 主訴改善が得られたものと考えられた.
著者
竹内 武昭 中尾 睦宏 野村 恭子 錦谷 まりこ 矢野 栄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.103-110, 2007-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

ストレス自覚度や社会生活指標が,筋骨格系症状に及ぼす影響を評価するため,日本の国民統計データの解析を都道府県単位で行った.国民生活基礎調査,人口動態統計,厚生労働省衛生業務報告に基づき,1995年と2001年におけるストレス自覚度と19の社会生活指標の計20変数を抽出し,腰痛,関節痛,肩こりの有訴率との関連を調べた.因子分析の結果,19の社会生活指標は,「都市化」「加齢と生活の規則性」「個人化」の3因子に分類されたが,ストレス自覚度は,「都市化」因子に属する社会生活指標8変数と有意な相関があった.重回帰分析により,そうした「都市化」因子の影響を調整しても,ストレス自覚度は,腰痛(1995年と2001年)・関節痛(2001年のみ)・肩こり(1995年と2001年)と有意な関連が認められた.ストレス自覚度は,「都市化」因子と密接なつながりがあったが,その交絡要因の影響を調整しても,筋骨格系症状の有訴率に関連していることが示唆された.
著者
武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.810-818, 2012-09-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本稿の目的は,アクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and Commitment Therapy:ACT)の実証的な症例報告,すなわち「トリートメント評価」の実際を示すことであった.なぜなら,サイコセラピーが今後さらに「社会を動かす」ためのアカウンタビリティを向上させていくためにはランダム化比較試験(RCT)だけでなく,従来のようなエピソードのみによる症例研究とRCTをつなぐ情報,つまり「再現性のあるテーラー・メイド化」のプロセスに関する情報が必要となってくるからである.本稿におけるトリートメント評価の症例は,慢性うつ病によって,10年以上にわたって休職と復職を何度も繰り返していたクライエントに対するACTトリートメントによる復職支援である.
著者
竹田 剛
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.896-901, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
27

自尊感情は神経性過食症の一次予防から三次予防までに関わる心理的要因として, 古くから注目を集めてきた. 近年でも自尊感情のもつ発症因子としての側面・調整変数としての側面・維持因子としての側面のそれぞれにおいて, 新たなモデルや介入方略の提案がなされている. そこで本研究ではこれらについての総括を行い, 神経性過食症研究および治療上の展望を論じた. その結果, 近年のモデルや介入方略は自尊感情の向上を通して, 体型への懸念が過食などの症状に対してもつ影響力を直接的あるいは間接的に減じることを治療のねらいとしており, 神経性過食症の中核症状についての効果を有することが示唆された. またさまざまな心理療法を統合する意義をもちうることからも, 自尊感情の概念的理解を深め, 介入方略の理論体系をより明確なものにしたうえで, 自尊感情を向上させるアプローチを開発することが神経性過食症の治療上有意義であると考えられた.
著者
佐藤 康弘 福土 審
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.26-30, 2020 (Released:2020-01-01)
参考文献数
13

神経性やせ症, 神経性過食症に代表される摂食障害は, 多様な合併症状を呈し, 治療をさらに困難にしている. 神経性やせ症患者では, 極度の栄養不足と脱水から, 肝機能障害, 腎不全, 便秘, 脱毛など, 全身に多様な症状が出現する. 中でも低血糖, 電解質異常に起因する不整脈, 治療介入初期の再栄養症候群は死につながる危険性がある. 成長期における身長増加の停滞, 骨粗鬆症は体重回復後も影響が残る可能性がある. 過食排出型患者では自己誘発嘔吐によるう歯や, 嘔吐, 下剤, 利尿剤乱用による電解質異常が深刻な問題となる. 一方精神面では神経性やせ症でも神経性過食症でも不安, 抑うつなどの精神症状や, パーソナリティ障害の合併を認めることは多く, 治療上の障害となっている. ED患者の治療には, 心身にわたる合併症状への適切な対処が求められる.
著者
竹内 聡 早野 順一郎 堀 礼子 向井 誠時
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.697-703, 1993-12-01 (Released:2017-08-01)

Social pressure for thinness has been emphasized as a cause of recent increase in the prevalence of eating disorders. We have previously found that female junior-high-school students are strongly possessed with their body weight (BW) and body physique and that their self-esteem is associated with their body image. However, only a little fraction of people actually suffer from eating disorders, indicating that individual differences in the reactivity to the social pressure are also important in the etiology of the disease. This study aimed to examine the hypothesis that the BW over'estimation is associated with low self-esteem independently of actual BW in adolescent females. We performed a questionnaire survey on the relationship between self-esteem and body image in 714 students (361 male, 353 female) in an urban coeducational public junior-high-school. The self-esteem was evaluated by means of Kajita's self-esteem scale. The body image was evaluated from the relationship between obesity index and an adjective expression of physique (fat, average, lean) selected by subjects. Based on the relationship between obesity index and adjective expression of physique, subjects were divided into three groups as follow : "over-estimators" were as- signed when "fat" was selected by subjects with an obesity index of < 0% and when "average" was selected by those with an obesity index of < -20% ; in the opposite cases assigned were "under-estimators"; and otherwise "approximate-estimators" were assigned. Additionally, the subjects in "appropriate-estimator" with an obesity index of < 0% were specially defined as "nonover-estimators". Cluster analysis performed on the responses to 23 items of the self-esteem scale showed that the items could be divided into three categories, which were respectively named "self-acceptance", "superiority", and "defense". The appropriate-estimators were 94.7 and 87.8% of male and fe-male students, respectively, whereas the under-estimators were 3.5 and O% and the over-estimators were 1.8 and 12.2%, respectively (p < 0.001). The frequency of over-estimator increased with advancing school grade in the female students (7.l%, 9.6%, and 19.0% for 1 st, 2 nd and 3 rd grade ; p < 0.018), but no significant difference was found in the male students. Analysis focused on the differences between the over- and non-over-estimators in the female subjects revealed that the over-estimators was lower in the self-acceptance score than the non-over-estimators (p=0.022), although no differences was found in the superiority or defense scores. Stepwise discriminant analysis revealed that self-acceptance was a significant discriminator between the two groups even when obesity index and school grade were forced to enter (p < 0.001). These results not only confirm our previous finding that female students desire their BW Iower than medically ideal / BW but also support the hypothesis that low self-acceptance may impair the acceptance of bodyimage and result in the over-estimation of BW in adolescent females.
著者
金 外淑 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.317-323, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

慢性疾患患者におけるソーシャルサポートを測定する尺度を作成し, 患者の外的要因であるソーシャルサポート, および内的要因である健康行動に対するセルフ・エフィカシーが心理的ストレス反応に及ぼす影響を検討した.慢性疾患患者から収集された項目に基づいて行われた因子分析の結果, 「日常生活における情動的サポート」と「疾患に対する行動的サポート」の2因子からなるソーシャルサポート尺度が作成された.また, ストレス反応を基準変数, サポートとセルフ・エフィカシーを説明変数としたパス解析を行った結果, ソーシャルサポートは直接ストレス反応を軽減するのではなく, セルフ・エフィカシーを介してストレス反応を軽減していることが示された.
著者
江花 昭一 山本 晴義 秋庭 篤代 吉村 佳世子 境 洋二郎 津久井 はるみ 天保 英明 川原 健資 津久井 要
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.111-117, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
1

心身医療は問題や疾患の同定から始めproblem talkを行うのが通例であり, 問題に焦点を当てずsolution talkを行う解決志向アプローチとは必ずしも整合的でない.また, 解決志向アプローチは多忙な臨床現場で十分な効果が発揮できる方法であろうか.今回われわれは, 2症例の検討を通して, これら2点の調査を行った.その結果, 多忙な日常臨床においても, 治療関係のタイプを吟味する, 問題を解決の資源として活用する, 可能性を引き出す対話を行う, 定型的質問を使用するなどの技法が実行可能かつ有効であった.解決志向アプローチは, 心身医療に組み込んでも, 解決を速やかにもたらし定着させる有用な方法であると考えられた.
著者
永田 頌史 木原 廣美 新田 由規子 吾郷 晋浩
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-24, 1995-01-01
被引用文献数
2

We have been using the stepwise psychosomatic treatment (SPST) on asthmatic patients according to the evaluation of their medical examination and psychosocial factors that influenced the onset and clinical course of their asthma. The SPST consists of pharmacotherapy and stepwise psychotherapy in the following stages : 1) introduction to psychosomatic treatment and establishment of rapport between doctor and patient. 2) reduction of inner tension induced by a stressful situation and release from asthmatic attack. 3) making a patient aware of the relationship between asthmatic attack and psychosomatic factors. 4) helping the patients to modify their maladaptive behaviors and to develop an adaptive coping behavior. 5)termination of psychosomatic treatment. In this study, we investigated the effectiveness and problems in the practice of this therapy in 3 different medical care systems. The results are summarized as follows. 1. The modified SPST was applied to 17 patients (1 severe, 6 moderate and 10 mild cases), at A medical office, which is a clinic and has a small medical staff Most of the patients were young office workers, 14 of them had atopic disposition and 14 had psychosocial problems mainly at work. Fifteen patients showed a marked or fair improvement by this treatment. 2. Thirty-six patients (8 severe, 23 moderate and 5 mild cases) were treated with the modified SPST at B hospital which is a general hospital with respiratory division and has a sufficient medical staff. Seventeen patients had an atopic disposition and 26 patients had psychosocial problems at work or at home. Twenty-six patients showed a marked or fair improvement after personal or group education programs for asthma management and brief psychotherapy with pharmacotherapy. 3. The SPST was applied to 65 patients (31 severe and 34 moderate cases) at hospitals with an established psychosomatic care unit. All of them had psychosocial problems and 43 patients had an atopic disposition. Fifty-two patients showed a marked improvement or complete remission. The significant increase of Berle Index (BI) , which is the indicator of the ability for stress coping and social adaptation, was observed after the treatment for 2.4±1.1 years. The effectiveness of this treatment was seen to be best in life stress related types, better in neurotic types, and worst in personality related types. These results suggest that SPST may be applicable to all patients according to their pathophysiology and psychosocial situations at any hospital. SPSt's main aim, that is, the self-control of asthma, is consistent with the aim of the International Consensus Report on Diagnosis and Management of Asthma, which is the control of asthma and the reduction of the side effect of medication and promotion of the Quality of Life.
著者
前田 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.855-864, 2005

本研究は, 米国で多く問われているmedical malpractice crisisを前提に踏まえ, 日本での医療訴訟の増加を危惧し, その解決策のポイントをさぐるため「医療訴訟の系統的分類」の構築を目的とした.特に, 近年注目されている心身医学領域を中心に調査した.判例の分析から, 一系類型として医療過誤判例の法的争点に関わる分類と, 二系類型として心身医学領域の事案内容による分類を行った.これをもとに, 判例分類表を作成し, 問題点やポイントがわかるシステムとした.また, 判例の勝訴数や, 分類から導き出される訴訟回避のポイントを提案し, 医療側の倫理的な視点として検討を試みた.
著者
黒川 順夫 河合 雅代
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.399-405, 1992
被引用文献数
7

Of the patients with anorexia nervosa (A. N.), those with body weight less than 20 percent of the standard body weight and particularly those whose body weight decreased below 40 kg may see their weight loss rapidly accelerate to 35 kg, 30 kg or less and fall into a dangerous mental and physical condition, which might lead to death. The treatment of A.N. is very difficult and not much about it has been grasped although various characteristics have been mentioned. According to studies, these A. N. patients with a marked body weight loss were found to have a strong feeling of rejecting hospitalization as follows : ・They have an image of the hospital where patients are made put on weight like a broiler. ・Why should I be hospitalized when 1'm getting along very well ? ・I don't want to be alone, ・I don't want to part with my family members, ・My daily life will be restrained. ・I doubt if the attending physician will understand me when I'm hospitalized. ・I am worried that the weight gain might not stop. ・Worrying about the hospital life. We therefore fixed an out-patient body weight limit (body weight requiring hospitalization) by which to take the hospitalization measure in accordance with patient's mental/physical conditions in case of their body weight decreasing below that limit. We also had them make efforts not to break below the level of the body weight in hospital by the period promised and had them gradually increase their body weight on their own. By this method, eighty percent of 18 cases of A. N. who met the diagnostic criteria of DSM-III-R were able to escape from the critical body weight zone and to receive treatment at the out-patient clinic. The merit of this therapy lies in that even intractable A. N. can receive treatment only at the out-patient clinic and escape from the critical loss and that extreme thinness can be prevented by setting up the body weight requiring hospitalization, if A. N. is discovered early. From the standpoint of medical economy which has recently been taken up actively for debate, this therapy can be said to have the cost merit since the whole cost of hospitalization is saved. It is therefore concluded that this is an excellent therapy for A. N.
著者
佐野 敬夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.703-707, 2018 (Released:2018-12-01)
参考文献数
10

疼痛は産婦人科を受診する患者の主訴として最も頻度の高いものの一つである. その原因として子宮内膜症や卵巣腫瘍などの有無が検査対象になるが, 実際には器質的な疾患としてとらえられないことのほうが多い. 骨盤内うっ血症候群もその代表的な疾患であるが漢方薬や抗うつ薬の投与でほとんどの症例が改善する. しかし, 疼痛部位が坐骨神経, 恥骨結合部などに限局した下腹部痛では治療が困難である. このような症例には対角線上にある経絡に治療穴を取る陰陽太極鍼による鍼治療が有効である. 延べ100例の限局した骨盤痛の患者に対して鍼治療を施行したところ95例がほぼ即効的に痛みは消失した. 疼痛部位は坐骨神経が37例, 恥骨結合部が30例, 鼠径部が25例, 尾骨が9例, 股関節が5例, その他9例であった (重複例を含む). 効果のなかった5症例は, 瘀血が3例, 器質的な炎症が1例, 統合失調症が1例であった.