著者
山崎 勝之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.73-83, 2002-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
63
被引用文献数
1 1
著者
大神 英裕 実藤 和佳子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.145-154, 2006-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
49

ヒトは誕生直後から社会的認知の萌芽を現し, その後, 飛躍的に発達していく。1975年, 他者が見ている対象を見る現象である視覚的共同注意が, 後続する社会的認知発達に重要であると報告された。以降, 多くの研究が重ねられ, その定義や行動的指標は広義かつ多様になっていった。しかし, 各共同注意行動の出現時期やその発達的関連性はいまだ明らかでない。そこで, 約2,000人の出生児を対象に, 8ヵ月から18ヵ月まで2ヵ月ごとに共同注意に関する縦断的コホート調査を実施した。本稿では, 先行研究の文献とこの調査のデータとをあわせて紹介する。調査の結果, 出現時期の様相が明らかとなり, データの標準化により共同注意尺度を作成した。また共分散構造分析から, 共同注意の発達には「視線の追従」・「行動の追従」・「注意の操作」・「シンボル形成」という4段階があり, 因果的な発達連鎖を持っていることが示唆された。こうした共同注意の定型発達過程の検討は, 乳幼児期における発達評価にも貢献できる。生後18ヵ月時点における定型発達, 知的障害, 自閉症の共同注意行動の特徴について報告するとともに, 自閉症の初期予兆について論じた。

1 0 0 0 OA 臨床・障害3

著者
森野,礼一
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報
巻号頁・発行日
vol.24, 1985-03-30
著者
高野 明
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.75-91, 2019
被引用文献数
2

<p> 本論考は,日本における臨床心理学の最新の研究動向と課題を概観するものである。まず,日本教育心理学会第60回総会において発表された研究(ポスター発表39件)とシンポジウム(16件)を概観し,次に,2017年7月から2018年6月の間に,『教育心理学研究』や関連する学術雑誌に掲載された77本の論文を対象に,臨床心理学分野における最新の研究動向について概観し,研究テーマ,研究対象,研究方法の観点から整理した。最後に,臨床心理学研究における課題と今後の可能性について議論した。</p>
著者
豊田 秀樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.119-127, 1997-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
42
被引用文献数
4 2
著者
やまだ ようこ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.146-161, 2000-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
90
被引用文献数
9 7

この論文では, 最近のライフストーリー研究を展望し, 特に生涯発達心理学の観点から, 理論的・方法的問題を論じる。第1に, 「物語」は「2つ以上の出来事をむすびつけて筋立てる行為」と定義される。人生の物語とは, 意味づける行為であり, 人生経験の組織化である。第2に, 人生の物語は, 静態的構造ではなく, 物語の語り手と聴き手によって共同生成されるダイナミックなプロセスとしてとらえられる。特に, 物語の「語り直し」は, 人生に新しい意味を生成する行為として重要だと考えられる。私たちは, 過去の出来事を変えることはできないが, 物語を語り直すことによって, 過去の出来事を再構成することが可能になるからである。第3に, 「物語としての自己」の概念は, アイデンティティやジェネラティヴィティ (生成世代性) の概念と関連づけられる。人生の物語を語ることは, 現世代から, 次の世代や未来世代へのコミュニケーションの重要な道具となる。
著者
速水 敏彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
no.50, pp.176-186, 2011
被引用文献数
1

ここでは現代の若者の心性を表現する概念として我々が創出した「仮想的有能感」に関する約 10 年間の研究を概観した。まず, この概念に関わる重要な3つの問題について触れた。第1に仮想的有能感に自尊感情を組みあわせ, 4つの有能感タイプをつくることで, 本来の概念規定により近似した個人の選択を可能にした。第2に本来無意識的な仮想的有能感は他者軽視の傾向を測るACS-2 によっているが, その尺度に潜在的自尊感情が反映されていることを潜在連合テストを使った研究で実証した。第3に仮想的有能感が若者だけのものなのかについても横断的研究により明らかにしようとした。<br> 他に様々な領域で展開した研究をまとめた。仮想的有能感の高い人の特徴として, (1)日常的に負の感情を持ちやすいこと, (2)負の対人感情を形成しやすいこと, (3)受容的な養育を受けず, 勤勉性も発達していないこと, (4)競争的ではあるが, 努力志向でなく, 学習を嫌うこと, (5)問題行動を生じやすいこと, (6)就労への意欲が希薄なこと, (7)外国と比較すればアメリカや韓国では仮想的有能感も自尊感情も我が国より高いこと, などが示された。最後に問題点や今後の研究の必要性について討論された。
著者
内田 照久
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.63-72, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
47
被引用文献数
4 4

教育心理学領域の測定・評価に係わる研究について, 2010~2011年の動向を概括した。従前から続く傾向として, 心理尺度の作成に係わる研究が数多く進められた。しかし本年は, 心理学的な構成概念や測定尺度の過度の氾濫や過剰供給に対する危機感から, 尺度の妥当性の検証の必要性を訴えると共に, 具体的な検証方法を提案するセミナーや発表が多くなされたのが特徴的であった。また近年, 心理測定や教育評価, テスト理論の研究領域は, その発展に伴って細分化が進んでいる。試験やテストに関連した教育評価の研究は, 教育心理学会からテスト学会などに発表の場が移動しつつあるように見受けられた。そこではテスト理論や統計手法の開発, IT技術の活用などのテスト技術に関する研究が精力的に進められる一方, 社会で実際に運用され, 受験者の処遇を左右するテストや試験の場面で発生している具体的な問題に向き合い, その解決を目的とした研究も行なわれている。これらの研究は, 教育心理学の従来からの課題でもある研究と教育実践の社会的な繋がりを考える上で, 大切な方向性の1つを示すものと考えられる。
著者
東 清和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.156-164, 1997-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
72
被引用文献数
3 1

本論文は, かつては性差が認められるとされた視空間能力, 数学的能力, 言語能力および攻撃性に関するメタ分析, および性差が認められないとされた原因帰属, 被影響性, 非言語的コミュニケーション, 援助行動, 自尊感情, 不安, 主張性などのメタ分析の概観を試みたものである。加えて, 1970年代以降の日本における性差・性役割に関する学会誌論文での研究動向を紹介した。