著者
宮崎 清孝
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.112-124, 1980-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
81
被引用文献数
2 2
著者
登藤 直弥
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.119-130, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
70
被引用文献数
2

本稿ではまず,この1年間に『教育心理学研究』で発表された29編の論文を対象に,利用された研究法について概観して,『教育心理学研究』に掲載された研究の典型を導き出した。次に,これを踏まえたうえで,これらの研究で実施された測定・評価についても概観し,『教育心理学年報』の「測定・評価・研究法」部門の論文においてなされた提言がそれらに活かされているとは必ずしもいえないことを明らかにした。加えて,日本教育心理学会第60回総会において「測定・評価・研究法」部門の研究として発表されたものに関しても,測定・評価・研究法という観点から現状を概観し,その特徴について,『教育心理学研究』に掲載された論文との違いを明らかにした。最後に,これらの検証結果をふまえて,日本の教育心理学の研究実践に,今後,測定・評価・研究法に関する提言を取り入れていくための方策について,筆者なりの提言を行った。
著者
酒井 恵子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.63-74, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
45

パーソナリティ特性を,単純な「数直線」ではなく「多面体」として捉え,多面性・多様性を含んだものと考える立場から,2017年7月から2018年6月までの1年間に『教育心理学研究』に掲載された論文,および,日本教育心理学会第60回総会における発表やシンポジウムを中心に,いくつかのパーソナリティ研究を取り上げ,(a)特性の多面性を意識した研究,(b)尺度項目の多様性を意識した研究,(c)個人内の構造を意識した研究,に大別して論評した。さらに,「パーソナリティ特性にマイナス極が存在するか」という問題についても論じた。
著者
杉村智子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-14, 2018-03-30 (Released:2018-09-14)
参考文献数
47
被引用文献数
1 5

本稿では,2016年7月から2017年6月末までに,『教育心理学研究』『発達心理学研究』『心理学研究』,Japanese Psychological Researchに掲載された論文及び,日本教育心理学会第59回総会の発表のうち,乳幼児期から児童期を対象とした発達研究について概観した。これらの研究は,認知,社会性,自己,養育者と保育者,その他,の5領域に分類された。そのうち,雑誌掲載論文について,認知発達,社会性と自己の発達,養育者・保育者,の3領域に分けて解説したうえでコメントを加え,最後に,最近の教育界における動向をふまえた発達研究への示唆を述べた。
著者
野澤 祥子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.1-15, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
60
被引用文献数
4

本稿では,2017年7月から2018年6月末までの1年間に『教育心理学研究』,『発達心理学研究』,『心理学研究』,Japanese Psychological Researchに掲載された論文,ならびに『日本教育心理学会第60回総会発表論文集』に掲載された論文のうち,乳幼児期と児童期を対象とした発達研究について整理・概観を行った。これらの研究を,研究の対象とする社会的文脈に着目し,「家庭の文脈に関わる研究」,「園・学校の文脈に関わる研究」,「『非定型』的文脈に関わる研究」,「子どもの発達に焦点化した研究」に分類した上で,そのそれぞれについて,研究の整理を行った。最後に,以上の整理に基づき,今後,取り組むべき研究の課題を提示した。
著者
湯澤 正通
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.166-179, 2014 (Released:2014-12-24)
参考文献数
76

1970年代以降,ピアジェの領域普遍的な発達理論が批判され,認知心理学研究の発展に伴い,問題解決における領域固有な知識の重要性が認識されるようになった。そのような中,概念変化は,領域固有な理論の発達に依存すると考えられるようになった。さらに,社会文化的理論の進展により,概念変化は,その概念が使用される文脈に参加できるようになったり,その文脈や対話の仕方が変化したりすることであるという見方も提案されている。そのような中,概念変化を目指した実験研究の多くは,個別の領域での発達や問題解決を丁寧に記述するというアプローチをとっている。他方で,近年,メタ認知,アーギュメントスキル,ワーキングメモリといった領域普遍的なスキルが,新しい概念を学び,生成するソースとして注目されている。中でもワーキングメモリは,発達障がいや学習遅滞と密接にかかわることが明らかになっており,膨大な実験的研究や脳科学的研究の蓄積のうえに立った教育への応用が期待されている。発達障がいを抱える子どもの発達特性を踏まえた学習への参加の支援が成功しつつある現在,ワーキングメモリ理論は,その次のステップである理解や習得への糸口としてその研究の進展が期待される。
著者
小林 寛子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.149-166, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
107

科学技術の発展は目覚ましく,それに対応できる資質・能力を育むことは,自然科学を対象とする理科教育において喫緊の課題と言えよう。本稿は,理科教育が果たすべき役割について心理学の観点から検討しようとするものである。折しも,2017年3月に公示された学習指導要領,及び,それに先立って発表された中央教育審議会の答申には,心理学的観点が数多く含まれた。本稿では,そうした観点の1つである,学習者の立場で「何ができるようになるか」を考えるという点を取りあげ,心理学研究を概観する枠組みとして用いた。具体的には,学習者が学習の過程で抱える困難を明らかにする研究,及び,困難の克服を目指す指導法を提案し,その効果を検証しようとする研究に特に焦点をあてた。さらに,それらを,理科教育を通して「できるようになること」,すなわち,育成が目指される資質・能力の3つの柱(知識及び技能,科学的に探究する力,科学的に探究しようとする態度)ごとに整理して示した。そうしてまとめた研究の知見を受け,最後に,これからの理科教育と心理学研究における課題について論じた。
著者
野田 航
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.179-191, 2018-03-30 (Released:2018-09-14)
参考文献数
84

現在,日本の教育現場において応用行動分析学に基づく実践や研究が盛んに行われるようになってきているが,教育の中心的なテーマである学習指導に関する実践や研究は少ない。本稿では,学習指導に対する応用行動分析学によるアプローチについて概説した。まず,具体的な行動としての学業スキルと環境との相互作用という観点から学習問題を捉えることを解説し,学業スキルのアセスメント方法と応用行動分析学が重視する観点を述べた。その後,最近10年間の日本における研究動向(刺激等価性に基づく読み書き指導等)と米国における研究動向(遂行欠如とスキル欠如,指導の階層性,短期実験的分析)を展望した。そして,応用行動分析学の知見を基礎としながらも他の研究領域と連携して発展してきた指導カリキュラム(直接教授法)や学習指導モデル(response to intervention)を紹介した。最後に,今後日本において応用行動分析学に基づく学習指導研究を展開する上での課題について述べた。