- 著者
-
細渕 富夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学年報 (ISSN:04529650)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.96-107, 2014-03-30 (Released:2014-12-24)
- 参考文献数
- 63
- 被引用文献数
-
2
本稿は,2012年7月から2013年6月までに発表された特別支援領域に関する教育心理学的な研究から,その研究動向を概観したものである。関係4学会での発表を障害種別に分析した結果,「その他・障害一般」の発表が最も多かった。次いで多かった発表は,「自閉症スペクトラム障害」であった。また,学会誌掲載論文数を見ると,『教育心理学研究』,『心理学研究』,『発達心理学研究』ともに1編のみであり,『特殊教育学研究』は45編であった。障害種別の内訳では,「その他・障害一般」が最も多く,次いで「自閉症スペクトラム障害」であった。そして,それらの論文の一部を簡単に紹介した。次に,重度・重複障害児の教育に関する研究を概観し,研究動向を整理したうえで,盲ろう児教育の歴史に関する最近の研究を紹介した。さらに,重症児の教育に関する研究動向として,(1)超重症児,(2)医療的ケア,(3)終末期ケア,(4)いのちの尊厳に区分して整理した。最後に,今後の研究課題として,初期重症児施設の療育体制に関する研究や超重症児のコミュニケーションに関する実践的研究を挙げた。