著者
兒玉 隆之 中林 紘二
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A3O1045-A3O1045, 2010

【目的】脳内神経活動に伴う局所脳血液供給量の増加が報告(Roy, 1890)されて以来、さまざまな脳機能イメージングを用いた脳機能評価が報告されてきた。中でも、近赤外線分光法(Near infrared spectroscopy; NIRS)は、局在神経活動と相関する毛細血管の血行動態変化を反映することが示唆されており(Yamamoto, 2002)、脳機能評価には非常に有用である。しかし、原理的に空間分解能が低く、脳深部を含めて脳機能の局在を細かく決定することには困難を要する。そこで本研究では、表情のもつ情動刺激による課題を用いて、精神生理学的指標である事象関連電位(ERPs)P300成分の脳波・脳磁場解析プログラムLORETA(Low Resolution Brain Electromagnetic Tomography)による神経活動源推定と、NIRSによる脳血流量(Oxy-Hb)変動の同時測定を行い、時間的空間的解析による詳細な脳機能評価を試みる。<BR>【方法】対象は、健常ペイドボランティア20名(男性9名、女性11名、平均年齢27.5±4.1歳)。測定デザインはブロックデザインを用い、Taskを4回(Rest5回)施行した。Task時の課題には、情動的作用を有するヒトの「泣き顔」および「笑い顔」を標的刺激(出現率30%)、「中性」表情(出現率70%)をコントロールとした視覚オッドボール課題を用いた。測定方法は、脳波電極を国際10-20法に基づき、average referenceによりFp1・Fp2・F7・F3・Fz・F4・F8・T3・C3・Cz・C4・T4・T5・P3・Pz・P4・T6・O1・O2・Ozの部位へ装着、NIRS(日立メディコ社製, ETG-4000)も同法に基づきT3T4を端点とした3×5のプローブ(左右44チャンネル)を装着し、神経活動電位測定とOxy-Hb測定を同時に記録測定した。得られたERPsデータをもとに、Microstate segmentationによるP300成分出現時間域を算出後、LORETAによる課題施行時の脳神経活動解析を行い、Task時のOxy-Hb変動をNIRSにより検討した。<BR>【説明と同意】総ての被験者に、測定前に研究内容を説明し書面にて同意を得た。尚、本研究は久留米大学倫理委員会の承認を得て行った。<BR>【結果】Microstate segmentationの結果から、P300出現時間域は、「泣き顔」刺激課題時361~476ms、「笑い顔」刺激課題時367~482msとなり、LORETA解析では、「中性」、「笑い顔」に比べ「泣き顔」の刺激課題時に扁桃核、前頭前野で有意に高い神経活動を認めた(p<0.05)。さらに、NIRSにおいても、「笑い顔」より「泣き顔」の刺激課題時に前頭前野におけるOxy-Hbの増加を認めた。<BR>【考察】本研究は、脳機能を詳細に評価するため、LORETA解析による神経活動についての時間的空間的分解能と、NIRSによる脳血流動態の同時測定を行った。結果、前頭前野が担う認知機能は表情のもつ情動的作用の影響を受けることが強く示唆された。また、NIRSが脳神経系の電気的興奮過程を反映したものであることが明らかとなり、脳機能評価としてのマルチモーダルモニタリングとして有用であることが示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳機能評価において、非侵襲的脳機能計測法であるLORETA解析とNIRSの同時測定は、詳細な時間的空間的解析の一助として理学療法学研究において有用であると考える。
著者
髙橋 龍介 萩原 礼紀 龍嶋 裕二 角田 亘
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101495-48101495, 2013

【目的】人工膝関節置換術(以下TKA)施行患者の歩行解析は広く行われているが,その多くは片側TKAを対象としている.しかし,歩行は一側では成立しない動作のため,非術側の影響を受ける.また,変形性膝関節症(以下KOA)においては両側罹患している症例が多いために非術側の影響は顕著になる.特に,KOA患者の歩行時の訴えとして立脚期の疼痛が多い.そこで今回,両側KOA患者に対して両側同時TKAを施行された患者の歩行周期の区間時間比率に着目して,立脚期の時間変化を把握する目的で三次元動作分析を実施し,手術前後で比較・検討したために報告する.【方法】当院整形外科にて両側同時TKAを施行し,当科で術後に理学療法を施術した症例のうち,関節リウマチを除いた独歩可能な両側KOA8例(女性7例,男性1例)とした. 平均年齢74.1±5.0歳,全例横浜市大分類Grade4及び5,術後19.1日で退院した.術前の平均FTA右188.9±8.0°左191.6±8.1°,平均膝ROMは屈曲右122.0±14.1°左115.6±18.0°,伸展右-10.0±8.5°左-9.4±13.5°であった.測定日は,手術前日と退院前日に実施した.測定課題は,10mの直線歩行路上における自由歩行とした.測定前に複数回の試行を実施し動作に習熟させた後に5回測定した.被験者の体表面上位置に直径15mmの赤外線反射標点を貼り付け,空間座標データを計測した.測定は,歩行が定常化する4歩行周期目以降の位置に補正空間を設定し,空間内を移動する反射標点を三次元動作解析装置により撮影した.サンプリング周波数は120Hzとした.解析方法は,観測データをPCに取り込み,平均的な波形を抽出するために,最小二乗法により最適化を行い,位相を合わせ平均化した.計測した1歩行周期を,画像データから各歩行周期に分類した.歩行速度,左右重複歩距離・時間,歩行周期の区間時間比率を3次元動画計測ソフトにて求めた.測定された値は,5次スプライン補間により補正し,小数点2桁目を四捨五入した.対応のあるT検定にて左右脚と術前後での有意差を求めた.有意水準は5%未満とした.測定項目は平均±標準偏差で表記した.【説明と同意】主治医同席のもと,本研究の目的および方法について,十分に説明し書面にて同意を得た.本研究は,本学医学部の倫理委員会の承認を得ておこなった.【結果】術前の速度0.7±0.2m/sec,右重複歩距離86.1±17.5cm時間1.2±0.2sec,左重複歩距離85.6±17.0cm時間1.2±0.2sec,歩行周期の区間時間比率の右脚はHS-FF6.6±1.8%,FF-MS3.4±2.3%,MS-HO29.8±5.1%,HO-TO16.1±3.5%,TO-HS44.1±5.7%,左脚はHS-FF7.6±2.2%,FF-MS1.9±1.3%,MS-HO27.3±3.1%,HO-TO17.4±5.4%,TO-HS45.9±5.2%であった.術後の速度0.6±0.1m/sec,右重複歩距離84.9±13.2cm時間1.3±0.1sec,左重複歩距離84.2±12.9cm時間1.3±0.1sec,歩行周期の区間時間比率の右脚はHS-FF6.3±1.6%,FF-MS2.3±1.1%,MS-HO34.6±3.7%,HO-TO13.4±2.4%,TO-HS43.5±2.8%,左脚はHS-FF7.3±1.3%,FF-MS2.1±1.4%,MS-HO32.1±7.3%,HO-TO12.5±5.3%,TO-HS46.0±4.9%となった.比較した左右脚と術前後すべての項目において有意差は認められなかった.【考察】測定した項目は左右同様の傾向を示し,平均値を術前後で比較するとMS-HOが拡大し,HO-TOが短縮する傾向を示した.これは,TKAによってアライメントが矯正され,術後の理学療法で再獲得したアライメントに合わせた効率的な運動学習が得られたことで,片脚で安定した荷重制御が可能となりHOのタイミングが延長されたと考えた.術前後で有意差が認められなかったことは,術後2週間で自由歩行は可能となったが術前の状態を上回るほど改善には至らなかったためと考えた.しかし,片側TKA後に1~2週では歩行能力は低下し,3~4週に術前の状態を上回るとの先行研究がある.そのため,今後に術前の状態を上回ると予測されることから,引き続き経時的に変化を追って状態を把握する必要がある.【理学療法研究としての意義】今後増加する高齢手術対象者に対応するため,術後により効率的な理学療法を行うことが必要となる.そのためには,詳細な動作様式を把握し,術前より術後の状態を予測することが重要と考える.
著者
三浦 雅史
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P3563-G3P3563, 2009

【目的】理学療法学とは基礎知識を習得した上で正確な技術を要求される実学であることは言うまでもない.よって、理学療法教育では理学療法評価や治療に関する理論を理解し、さらに実践できる能力を身につけさせることが重要である.一般的な教授方法としては、その技術に関する理論を説明し、次に教員によるデモンストレーション、学生同士の実技といった流れである.しかし、このような技術を習得するには多くの時間を要し、正規の時間内に習熟できない場合が多い.結果として、学生は空き時間を利用したり、学期末テスト直前に学生同士で実技練習が行われる.しかし、学生同士の実技練習が正確に行われているかは甚だ疑問である.そこで、教育方法の改善の一環として、講義・実習を電子媒体化する方法を試みた.本研究では講義・実習の電子媒体化に関する試みを紹介し、試行後のアンケートから今回の取り組みについて検討した.<BR>【方法】調査対象は平成19年度、本学の2年生であった25名とした.対象に調査目的およびアンケートの取り扱い等について説明し、同意を得た上でアンケート調査に協力いただいた.調査対象とした科目は著者が平成19年度後期に担当した「運動器障害理学療法学実習」、「義肢装具学」である.いずれも2年次に開講される必修科目である.講義回数は「運動器障害理学療法学実習」では2コマ連続で13回(計26コマ)、「義肢装具学」は1コマを13回実施した.<BR> 電子媒体化の具体的な方法は以下の通りである.まず、講義等をデジタルビデオカメラで録画した.この録画映像を光ディスクであるDVDに書き込んだ.DVD1枚に対し、講義または実習1回分について保存した.このDVDを学生に対し、自由に貸し出した.<BR> 平成19年度後期終了後、DVD活用に関するアンケート調査を実施した.アンケート内容は、DVD利用の有無、DVD利用の目的、DVD利用枚数、DVD利用の効果等について無記名で実施した.<BR>【結果とまとめ】アンケート回収率は100%であった.DVDを利用した学生は22名、利用しなかった学生は3名であった.利用しなかった3名の意見としては「他の学生に借りられていた」、「時間が取れなかった」であった.DVDを利用した22名について、DVDの利用枚数は平均8枚であった.DVD利用の目的としては「教員の解説の確認」、「実技内容の確認」、「テスト勉強の一環」で占められていた.DVD利用の効果については「少し効果あり」が8名、「かなり効果あり」が14名であり、「効果なし」と答えたものはいなかった.アンケート結果より、多くの学生がDVDを利用し、なおかつ、その有効性を認めていた.特に理学療法評価や治療手技については、実技を動画で確認できたことから高い学習効果を認めていた.今後は、今回の試行をさらに改良し、よりよい教育方法について検討したいと考えている.
著者
久保田 珠美 藤井 満由美 末廣 淳 廣瀬 賢明 武智 あかね
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.B2S2027-B2S2027, 2009

【はじめに】重症心身障がい児・者に対しての腹臥位の効果は染谷らが主張しており、当センターでは呼吸機能に問題を有する経管栄養の入所者に対し、数年前から積極的にその導入を試みている.その対象である10名のうち7名が、日中の数時間から睡眠時に腹臥位を導入している.今回、その中でも腹臥位の受け入れがよかった1例と慣れにくかった1例の呼吸機能と胸郭の変形について経時的変化を追ったので報告する.なお、今回の研究では保護者の了解を得ている.<BR>【方法】呼吸機能はSpO<SUB>2</SUB>、胸郭の非対称性は烏口突起から上前腸骨棘までの距離とCobb角で測定した.<BR>【症例】<U>症例1</U>: 6歳女児.インフルエンザ脳症後遺症による四肢麻痺.GMFCSレベル5で喉頭軟化症を認める.胸椎右凸Cobb角21°・胸腰椎左凸Cobb角20°の側彎を呈している.2歳時、上気道喘鳴があり、痰・唾液の量も多かった.座位保持椅子に座らせられないほど常に反り返っていたため、前傾座位から練習した.3歳時での入所に伴い病棟でも股関節を軽度屈曲位の四つ這い様姿勢で過ごすようになった.5歳時より夜間の導入もはじめ、現在一日90分を4回行っている.結果として、呼吸機能ではSpO<SUB>2</SUB>が94%以下に下がる日数は減ったが、胸郭の非対称性は若干の増悪を認めた.<U>症例2</U>:8歳女児.脳性麻痺による痙直型四肢麻痺.GMFCSレベル5.胸椎左凸Cobb角60°・胸腰椎右凸Cobb角58°の側彎を呈している.H19年よりPT場面で四つ這い様の腹臥位の検討を開始したが、感覚の過敏性があることでけいれんの頻発やSpO<SUB>2</SUB>が80%台に下がるなど拒否が強く週2回のPT場面でしか実施できなかった.しかし、下顎の後退に伴う呼吸状態の不安定性を改善するためH20年5月に本人用の腹臥位装置を完成させ2ヶ月間PT場面で使用することでSpO<SUB>2</SUB>が安定してきたため、7月より病棟での使用を開始し、現在一日40分を2回行っている.結果として、呼吸機能ではSpO<SUB>2</SUB>が94%以下に下がる日数が減り、胸郭の非対称性も減少した.<BR>【考察】重症心身障がい児・者にはバリエーションの多い姿勢をとらせることが必要であると考えられるが、腹臥位は窒息などの心配から日常生活の姿勢としては受け入れられにくい.しかし、当センターの活用状況をみると、頭部のコントロールが難しく嚥下や呼吸に課題のある場合には、気道の正中位保持や痰が従重力に排出されるなど、まず健康状態の改善が図れたことで病棟での活用の幅・時間が増えた.同時に腹臥位では、骨盤・下肢の重みからくるねじれが防止でき、本人に適した腹臥位装置で体幹の短縮部を持続的に伸張することで、変形の進行を防止する一手段になると思われる.今後もこの2症例に対し、継続的に経過を追っていきたいと考える.
著者
鈴木 静香 田中 暢一 村田 雄二 永井 智貴 高 重治 正木 信也
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48102087-48102087, 2013

【はじめに、目的】 我々は、第47回日本理学療法学術大会において、結帯動作の制限と考えられる筋に対してストレッチを施行し、結帯動作の即時効果の変化を捉えた。そして、結帯動作の制限因子は、烏口腕筋、棘下筋であることを報告した。その後、「烏口腕筋・棘下筋は介入回数が増えることでより効果が増大し結帯動作は改善するのではないか?」また、「小円筋は介入回数が増えることで効果が出現し結帯動作は改善するのではないか?」という疑問が出てきた。そこで今回は、前回介入した筋に対して、介入する回数を増やし結帯動作の変化を捉えることを目的に研究を行なった。【方法】 対象は左上肢に整形外科疾患の既往のない健常者10名(男性7名、女性3名、年齢22~36歳)とした。結帯動作の制限因子と考えられる烏口腕筋、棘下筋、小円筋を対象とし、これらの筋に対してストレッチを週2回を2週間、計4回実施した。結帯動作の評価方法は、前回同様、立位にて左上肢を体幹背面へと回し、第7頸椎棘突起から中指MP関節間の距離(以下C7-MP)を介入前後で測定し比較を行った。各筋に2分間ストレッチを実施する群(烏口腕筋群、棘下筋群、小円筋群)とストレッチを加えず2分間安静臥位とする群(未実施群)の計4群に分類し、複数回の介入による結帯動作の経時的変化を検討した。よって、1回目介入前の値を基準値とし、C7-MPの変化は、基準値に対し各介入後にどれだけ変化したかを変化率として統計処理を行った。また、それぞれの筋に対する介入効果が影響しないよう対象者には1週間以上の間隔を設けた。統計処理では、各群について、複数回の介入による結帯動作の変化を検討するために対応のある一元配置分散分析を用い、多重比較にはTukey法を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての被験者に対して事前に研究参加への趣旨を十分に説明し、同意を得た。【結果】 棘下筋群の変化率の平均は、1回目10.8%、2回目11.4%、3回目15.7%、4回目19.5%であった。一元配置分散分析の結果、棘下筋群のみに有意差を認めた(p=0.0003)。しかし、多重比較では各回数間の有意差は認めなかった。また、烏口腕筋群や小円筋群や未実施群は、有意差は認めなかった。【考察】 結果では棘下筋群のみに有意差を認め、前回の介入でも棘下筋に効果を認めた。高濱らは、結帯動作の制限因子は棘下筋であると述べている。以上より、棘下筋に介入することで結帯動作を改善することができるとわかった。しかし、多重比較において、有意差を認めなかったため、どの回数間で効果が得られているのかを追究することができず介入回数についての考察に至ることができなかった。その原因としては、症例数が少ないことが考えられる。今後は症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組み、介入回数についても考察したいと考える。烏口腕筋では、前回、介入において即時効果を認めていたが、複数回の介入による結帯動作の変化は認めなかった。烏口腕筋は肩の屈筋であり、上腕骨の内面に付いているために伸展および内旋で緊張するという報告もあり、結帯動作における制限因子の可能性は高いと考えられる。しかし、今回有意差を認めなかった原因は、症例数が少ないことや、他にストレッチの強さや場所など方法になんらかの問題があったとも考えられる。今後、方法を確立した上で、症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組んでいきたいと考える。小円筋では、小円筋は介入回数が増えることで効果は出現し結帯動作は改善するのではないかと考えていた。しかし、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めなかった。高濱らは、結帯動作は肩の外転・伸展・内旋の複合運動であり、小円筋は内転位であるために下垂位では緩んでいると述べている。以上より、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めず、結帯動作における改善には小円筋は関係がないと考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の結果より棘下筋に複数回介入することで、結帯動作の変化率はより増大することがわかった。臨床において結帯動作が困難な症例に対しての介入の一つとして有効である可能性がある。具体的な介入回数について追究できなかったため、今後の課題として取り組んでいきたい。
著者
貴志 真也 森北 育宏 片岡 大輔 木村 侑史 吉田 隆紀 小林 啓晋 鈴木 俊明
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C3O3042-C3O3042, 2010

【目的】<BR> 剣道活動中の傷害発生率は他のスポーツに比べて低いものの、剣道を継続しているものには腰痛症が多く認められる点が剣道競技におけるスポーツ障害の特徴である(和久1991)。そこで今回、その要因を検討するための指標を得る目的に、剣道選手の脊柱Alignmentと脊柱筋の特徴について調査した。<BR>【方法】<BR> 立位姿勢と踏み込み動作姿勢の脊柱側面像のX-P撮影を行い、腰椎前弯度をL1椎体上縁とL5椎体下縁とのなす角をCobb法に準じて測定し、立位姿勢と踏み込み動作姿勢の比較と腰痛群と非腰痛群の2群の比較を行った。統計学的分析は、2×2(痛み×姿勢)分散分析を用いて各群間の平均値の違いを検証した。さらに、交互作用が認められた場合、Tukey HSDによる多重比較を行った。つぎに、MRIにて腰椎のT2強調画像の横断面像を撮影し、L3高位の多裂筋面積と大腰筋面積との比(多裂筋/大腰筋比)を測定した。多裂筋/大腰筋比は、左右の比較と左右平均値を腰痛群と非腰痛群の2群で比較した。統計学的分析はStudentのt検定を用いた。さらに、立位姿勢から踏み込み動作の腰椎前弯変化度と多裂筋/大腰筋比の相関性について調査した、統計学的分析は、Peasonの相関関係で求めた。有意水準は各々5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究の趣旨を説明し同意を得た大学男子剣道選手20名(大学で腰痛を経験したことがある選手:以下腰痛群10名と過去に腰痛を1度も経験したことがない選手:以下非腰痛群10名)とした。腰痛群は、全例がO大学の診療所にて筋・筋膜性腰痛症の診断を受けた症例である。本研究は大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科倫理委員会の承認を得た。<BR>【結果】<BR> 腰椎前弯度は、痛みの有無に有意な主効果が認められ(F(1,36)=14.74,p<0.001)、同じく立位姿勢と踏み込み動作姿勢においても有意な主効果が認められた(F(1,36)=68.29,p<0.001)。さらに、痛みと姿勢について有意な交互作用が認められた(F(1,36)=6.73,p(0.014)。その後の多重比較では、腰痛群と非腰痛群の2群とも立位姿勢に比べ踏み込み動作姿勢の腰椎前弯度が有意に増強した(p<0.01)。また、その増強は腰痛群が有意であった(p<0.05)。多裂筋/大腰筋比は、腰痛群・非腰痛群とも左右で有意差は認められなかった。また、左右平均値は腰痛群37.6±7.8%で非腰痛群61.0±21.6%に比べ有意に低値を示した(p<0.01)。多裂筋/大腰筋比が小さくなると腰椎前弯度が大きくなるという有意な相関が得られた(p<0.01)。<BR>【考察】<BR> 今回行った踏み込み動作姿勢のレントゲン画像による脊柱アライメントは、立位姿勢に比べ腰椎前弯度が有意に増強した。さらに、その腰椎前弯の増強は腰痛群が有意に大きかった。したがって、剣道競技における踏み込み動作は、腰椎前弯に伴うストレスが腰椎部に加わる特徴があり、腰痛群は特にその要素が強いと思われる。腰痛群において腰椎前弯度変化が大きい理由について、腰痛群の立位姿勢における腰椎前弯度が非腰痛群に比べて有意に少ないことが挙げられる。その要因として、多裂筋/大腰筋比が非腰痛群に比べ有意に少ないこと、多裂筋/大腰筋比が少ないと立位姿勢の腰椎前弯度も少ないという正の相関関係が得られたことなどから、多裂筋/大腰筋比の低下が考えられる。以上のことから、多裂筋/大腰筋比が少ないと踏み込み動作時の腰椎前弯変化が大きくなり腰痛を引き起こす危険性があるため、多裂筋を選択的に鍛え筋量を増やすことが腰痛予防につながると示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 近年、スポーツ医学の進歩に伴い、理学療法士がスポーツ選手の障害予防ならびに早期スポーツ復帰のための理学療法をドクターと連携し行うことが重要とされている。そのため、スポーツの競技特性を理解することは障害予防のリハビリテーション、早期復帰への理学療法を行う上で大切である。今回の研究は剣道競技の身体的特徴と腰痛の関係について調査した内容であり、剣道選手の腰痛予防、腰痛からの競技復帰に向けた理学療法を行う上において意義のあるものと考えています。
著者
西野 學 吉本 真樹 守山 知子 上坂 裕允 池田 聡恵 吉村 郁恵 片田 圭一 大浦 渉 浅利 香 西 耕一 内山 伸治
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.426-426, 2003

【はじめに】COPD患者に対する包括呼吸リハビリテーション入院プログラム施行中に状態が悪化する症例を最近続けて経験し,リスク管理の難しさを再認識させられた.どのような状況で状態悪化が助長されたかについて検討したので報告する.【方法】1999年5月より2002年11月までに当院にて包括呼吸リハビリテーション入院プログラムを施行したCOPD患者のカルテを遡及的に調査し,状態悪化の有無,状態悪化をもたらしたと考えられる要因に関して検討した.【結果】2年7ヶ月の期間に33名が入院プログラムを終了していた.その内2名は合併疾患の治療のためにプログラムが途中で中止されていた.残る31名の内3名に状態悪化によるバリアンスが発生し,その内1名は入院中に死亡,2名はプログラムが一時休止され予定より延長されて終了していた.その3名の経過および初期評価時点での医学的データ等を以下に記す.<B>症例1</B>;79歳男性,身長168cm体重43kg,努力性肺活量(FVC)2.72L,一秒量1.36L,6分間歩行テスト( 6MWT)距離480m.7月下旬よりプログラム開始,週末毎に外泊繰り返し15日目入浴後に悪寒戦慄,発熱を認め肺炎合併.22日目死亡.入院前は過負荷の運動習慣があった. <B>症例2</B>;70歳男性,身長150cm体重45kg,FVC1.57L,一秒量0.64L, 3L酸素投与下6MWT距離300m.7月末よりプログラム開始,4日目より息切れ感じ始め10日目に熱発,肺炎を合併しプログラムを中断,再開しても外泊後微熱出現することあり3週間延長にて終了. <B>症例3</B>;74歳男性,身長158cm体重42kg,FVC1.92L,一秒量0.61L,6MWT距離440m.9月末よりプログラム開始,週末毎に外泊繰り返し22日目に熱発,肺炎を合併し6週間の中断の後再開して終了.外泊時家が寒かったとのこと.またその後の外出や外泊後に微熱発現傾向あり.入院前は月2回以上の頻度で体調をくずし近医を受診していた.【考察】今回の3症例においては1)運動に対してのモーチベーションが高すぎる,2)体調不良の自覚が不十分,3)生活環境の変化時に体調不良となる,という傾向が見られた.高齢の慢性呼吸器疾患の方はもともと日常生活上の活動性が低いため,環境の変化や急激な運動は予備力のない身体に過度のストレスを与えることになり,自覚症状の乏しい患者ではその傾向がさらに強くなる.これに対し医療者側としては,1)患者の体調を考慮した至適運動処方の徹底,2)気温・湿度など環境因子への配慮,3)より頻繁な他職種との情報交換,等によって患者の体調を管理する必要がある.包括呼吸リハビリテーション施行上の運動強度設定は高負荷での報告が多いが,今回の経験から,低めの設定でむしろリスク管理を徹底させる方がより賢明と思われた.
著者
源 裕介
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101313-48101313, 2013

【はじめに、目的】歩行時立脚相において、足部アライメントの崩れは関節の安定性低下及び正常な関節運動の阻害を生じさせ、関節構成体及び軟部組織へ過度のストレスを作って疼痛を発生させる。このような症状は臨床上多く見られ、個々のマルアライメントに応じた理学療法が施行されることが通例である。今回、後足部回内不安定性により踵立方関節及び浅腓骨神経領域に強い歩行時痛を生じ、インソール療法にて回内不安定性の是正を実施するも疼痛消失に至らず治療に難渋したが、リスフラン関節可動性改善と踵部の補高を追加したところ、長期化していた歩行時疼痛の消失に至った症例を経験した。これらの経過と疼痛のメカニズム、理学療法についての報告を、考察を加えて以下に報告する。【方法】症例は60才代女性で、職業は病院内ワーカー業務である。平成24年1月初旬、歩行時左足関節外側部痛を生じ、経過とともに徐々に疼痛は悪化し、同年7月に歩行困難な状況になったため当院に受診した。初診時は疼痛性跛行が強く、左足部へは荷重困難な状態であった。理学所見では、関節可動域において背屈が両側共15°と制限を認め、後足部回内が健側15°患側20°と患側にて過可動性を認め、さらに前方引き出しテストにおいて、健側と比べて強陽性と不安定性が強かった。フットプリント上では静止時、歩行時共に後足部回内による扁平足の所見を認めた。圧痛は左足部外側から下腿外側のかけて広範囲に認めたが、特に足根洞付近と外果前方~下部にNRS10と強い疼痛が確認された。また、X線上にて距腿関節外側に小さな骨棘が確認され、同部位にて過回内しながら背屈強制をすると轢音とともに疼痛が出現した。理学療法では、まず足関節背屈可動域改善とインソールにて後足部回内制動、足趾屈筋筋力強化を実施したことで、理学療法開始5週目までにNRS5程度まで疼痛の改善が確認できた。また遠位脛腓間と距腿関節を安定させるテーピングを追加して施行後、理学療法開始10週目までにNRS3程度まで疼痛の改善が確認できた。その後は疼痛改善が停滞し、立脚中期から後期にかけてNRS3程度の疼痛が残存した。15週目に再評価を実施し、リスフラン関節第4・5列の背屈方向への可動性低下と距腿関節部の骨棘が原因と捉え、リスフラン関節可動性改善とインソールヒール部分の5mm程度の補高を実施、その後の経過を観察した。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には、口頭にて本発表の主旨を説明し同意を得た。【結果】リスフラン関節第4・5列の背屈方向への可動性改善、インソールヒール部分の5mm程度の補高を実施したことで、2週間後(理学療法開始17週目)5週間続いたNRS3の歩行時痛は消失、圧痛も踵立方関節にNRS3程度の軽度な疼痛の出現と、改善が見られた。【考察】本症例は、後足部回内不安定性に対し前足部外側可動性低下という特徴があったため、荷重時の関節圧縮応力がanstableな踵立方関節へ集中しやすい状態にあり、結果的に同部位に疼痛が残存していたと考えられる。これに加え、距腿関節のOA change、前方不安定性、外側の骨棘出現という状況に、後方tightnessによる距骨後方移動の減少が重なったため、立脚後期における正常な関節運動が阻害され、前方インピンジメントを起こしやすいという状況にあったと考えられる。これらの疼痛メカニズムの背景を考えると、インソールによる後足部回内不安定性の是正及び距腿関節背屈可動性改善のみでは疼痛消失は図れないことが考えられ、治療の追加としてリスフラン関節背屈可動性を改善し荷重時の関節圧縮応力を分散させ踵立方関節へのストレス軽減を図ること、また距骨の過度の後方滑り込みを是正し骨棘部分での前方インピンジメントを改善するため踵を補高すること、これらの2つの治療が本症例には必要であったと考えられた。【理学療法学研究としての意義】足部の疼痛を見分ける際、骨及び関節の数が多いため、正確な疼痛部位の把握が難しい。今回のようなケースは、多数あるケースの中の一ケースではあるが、今後臨床で足部の疼痛を見極める際、参考になる一情報となればと考える。
著者
高橋 優 南谷 さつき 中東 真紀 石原 領子 長太 のどか 古屋 かな恵 張本 浩平
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101610-48101610, 2013

【はじめに、目的】 春日井市は、65歳以上の老年人口が20.1%であり全国平均と比較し現状の老年人口は若干少ない地域である。超高齢社会において高齢期の健康の保持と増進においては栄養は重要なものである。今回、在宅における栄養摂取の現状把握をMini Nutritional Assessment-short form(以下MNA-SF)を用い、実際に摂取している総カロリー量及びたんぱく質量と比較し若干の知見を得た。【方法】 評価期間は平成24年8月20日~平成24年9月15日の4週間とした。対象は、本調査の趣向を説明し同意を得られた、当訪問看護ステーションを利用している10名(男性6名・女性4名)、平均年齢75.3±8.9歳とした。 (1)栄養評価は、MNA-SFを用い、栄養障害の状態を栄養障害あり・低栄養のおそれあり・栄養障害なしの3つに分類した。栄養評価は、担当スタッフに検査方法を十分に説明し、(2)の開始前の訪問時に実施した。(2)摂取カロリー・摂取たんぱく質量については3食3日分の食前・食後の写真撮影を利用者または家族により実施した。写真撮影の漏れがないよう3食3日分の食事チェック表を作成し間食の記録も行なった。なお、外食に行かれた場合、撮影漏れ・撮影不良が起きた際は、1日分の食事を後日改めて写真撮影をするなど行なった。摂取カロリー・摂取たんぱく質量の測定は管理栄養士が統括した。(3)統計学的解析は、MNA-SFスクリーニング値と摂取カロリー・摂取たんぱく質量・BMI値で回帰分析を用い有意水準5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には、調査を行う前に本調査の趣向を紙面と口頭で説明し、インフォームドコンセントを得た。【結果】 (1)MNA評価結果は、栄養状態良好4名、低栄養のおそれあり6名、低栄養0名、BMI平均21.1±4.3であった。(2)摂取カロリー・たんぱく質量は、1日分の平均摂取カロリー1543.8±220.4キロカロリー、摂取たんぱく質量62.4±15.3グラムであった。(3)MNA-SFスクリーニング値と摂取カロリー・摂取たんぱく質・BMIの回帰分析の結果、摂取カロリー、摂取たんぱく質量とは有意な相関を認めなかった。BMIはR値:0.46、 p値: 0.02で有意な相関がみられた。【考察】 在宅における栄養摂取の現状を把握するためにMNA-SF評価ツールと食事撮影・測定を実施した。MNA-SFと摂取カロリー・タンパク質量の相関はみられなかったが、BMIとの相関はみられた。MNA-SFとBMIは密接な関係にあり栄養状態の把握にBMIが有用に働く事が示唆された。MNA-SFの結果からは、MNA-SFの最大の特徴は低栄養の階層化における低栄養のおそれありというグレーゾーンの設定である。今回の結果より低栄養のおそれありの6名は、低栄養となる可能性がある。摂取カロリー・摂取たんぱく質量からは、普段の食事より、写真撮影時の方が多めの食事となりバランス良く摂取されている可能性があるが、全国平均では、摂取カロリー1821.5±101.5キロカロリー、摂取たんぱく質量68.3±4.0グラムであり、平均一日あたり摂取カロリー数は約300キロカロリー、摂取たんぱく質量は約6グラム足りていない結果となった。以上のことから、MNA-SFと摂取カロリー・摂取たんぱく質量の相関は得られていないが、低栄養のおそれありの利用者が低栄養になる可能性があり、サルコペニア等の問題も浮上してくる事が考えられた。今後は、詳細な栄養摂取の現状把握が行なえるよう対象者を増やし、摂取カロリー・たんぱく質量の測定方法を考慮して実施したいと考える。【理学療法学研究としての意義】 高齢者における栄養の摂取量低下は、健康に多大な影響を与える事が、多くの研究により明らかにされている。高齢者が地域で満足した生活を営む為に栄養状態の把握・改善に対してアプローチしていかなければならないと考える。
著者
高井 遥菜 永井 理沙 椿 淳裕
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101213-48101213, 2013

【はじめに、目的】近年,生体透過性に優れた近赤外光を用いて,脳循環酸素代謝を計測する近赤外線分光法(NIRS)が急速に普及してきた.NIRSが注目を集める大きな要因は,その安全性と拘束性の低さであり,様々な場面に応用されている.一方,NIRSの計測方法に由来する問題点として,NIRS信号は純粋な脳血流量だけでなく,頭皮血流や体循環変動等の要因によって変化するとの報告もあり,計測したヘモグロビン変化と脳神経活動との関連性の解明が不十分であるといった点も指摘されている.特に認知課題中の血圧変動の影響については十分に検証されてはおらず,この影響について明らかにすることでNIRSの信頼性を高める方法の開発に役立つのではと考えた.そこで本研究は認知課題中の血圧変動がNIRS 信号に及ぼす影響について検討することを目的とする.【方法】右利き健常成人男性12 名(年齢21.2 ± 0.4 歳)を対象に,カラーワードストループ課題(CWST)中の酸化ヘモグロビン量(oxy-Hb)を脳酸素モニタ(OMM-3000,島津製作所)を使用し,測定した.プロトコルは,課題前安静20 秒,課題中20 秒,課題後安静20 秒の計60 秒を1 セットとし,これを3 回繰り返した.NIRSによる測定領域は,CWSTで賦活するとされる左前頭前野背外側部と,CWSTの関与が少ないとされる補足運動野とした.プローブ間隔30mmのホルダを使用し,国際10-20 法におけるCzを基準とし,照射プローブ8 本,受容プローブ8 本を頭部に4 × 4 の配列で設置した.また,CWST中には連続血行血圧動態装置(Finometer,Finepress Medical Systems)を使用し,右手の第3 指から脈拍1 拍ごとに収縮期血圧(SBP)を測定した.解析は課題前安静20 秒の平均からの変化量を求め,3 回分を加算平均し,全被験者分を平均した.統計処理はSBPとoxy-Hbとの相関関係の強さを課題前安静,課題中,課題後安静それぞれで,スピアマン順位相関係数検定により求めた.有意水準は5 %とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に則って実施した.被験者には実験内容について十分に説明をし,書面にて同意を得た.【結果】認知課題遂行に伴いSBPは最大21.9 ± 8.4 mmHg上昇した.SBPとoxy-Hb間の相関係数は,左前頭前野背外側部で課題前安静r=-0.089(p=0.272),課題中r=0.729(p<0.05),課題後安静r=0.304(p<0.05)と課題中のみに強い正の相関がみられた.補足運動野では,課題前安静r=-0.031 (p=0.705),課題中r=0.362 (p=0.735),課題後安静r=0.302 (p<0.05)であり,いずれにも強い相関は認められなかった.【考察】本実験では認知課題実施に伴い,20mmHg程度のSBP上昇が認められた.これはプレッシャーや緊張状態から交感神経活動が亢進したことによるものと考えられる.しかし,今回の結果では前頭前野背外側部のSBPとoxy-Hbとの間に,課題中においてのみ正の相関が認められた.この原因としてNIRS信号が安静中の血圧変動には影響されず,課題中の大きな血圧変動に影響を受けたこと考えられる.一方で,補足運動野においては相関が認められなかった.血圧がNIRS信号に影響を与えるならば,全チャネルにおいて血圧上昇に同調したoxy-Hbの上昇が観察されることが推測される.しかしCWSTの賦活領域のみに血圧との相関がみられる結果となった.このことは,血圧上昇が交感神経活動亢進のみによらず前頭前野背外側部局所の血流を増加させるために血圧を上げていた可能性を示している.先行研究では,一定強度以上で脳の限局的な活性領域に過剰に酸素が流入するのを防止する調整メカニズムの存在が明らかにされている.これより,一定以下の刺激では血圧上昇を伴って活動組織以外の血流を活動部位へ引きこむ現象が起こり得るのではないかと考えた.これがが裏付けられれば,NIRS計測における血圧上昇が脳活動と無関係のアーチファクトでない可能性も考えられ,今後検証していく必要がある.他の解釈としては,前頭前野背外側部が特に皮膚血流をNIRS信号に反映しやすいような構造であることも考えられる.これまでに前額部のoxy-Hb濃度変化の大部分は,心拍数とは異なる自律制御下にある皮膚血流のタスクに関連した変化が原因であり,前頭極部分でのNIRS計測に大脳皮質の血流変化が反映されにくいことが報告されている.【理学療法学研究としての意義】本研究は,NIRSを用いたより純粋な脳機能計測へ発展させる為の基礎的な研究として位置付けることができ,脳活動に着目した理学療法効果判定の精度向上に繋がるものである.
著者
平 和晃 田中 良実 大西 智子 森本 信三 山際 政弘
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P3074-B4P3074, 2010

【目的】近年、睡眠が運動記憶の固定化を促進することが明らかとなってきており、若年健常者では睡眠前と比べ睡眠後に、運動技能の向上がみられたと報告されている。脳卒中患者においても非麻痺側上肢での追跡課題では、睡眠によって運動記憶の固定化が促進されたと報告されている。しかし、脳卒中患者を対象とした研究は非常に少なく、脳卒中患者における系列動作学習での睡眠の効果は不明である。本研究では、指の系列運動課題を用いて脳卒中患者において睡眠が系列運動においての運動記憶の固定化を促進するか予備的に検討する。<BR><BR>【方法】高次脳機能障害、認知症がない(Mini mental state examination26点以上)の脳卒中患者3名を対象とした。症例1:50歳代の右利きの女性。右放線冠ラクナ梗塞の診断であり、発症から3か月経過していた。麻痺側Brunnstrom recovery stage(以下BRS)は上肢III、手指IVであった。症例2:70歳代の右利きの男性。左脳梗塞の診断であり、発症から1か月経過していた。麻痺側BRSは上肢V、手指Vであった。症例3:80歳代の右利きの女性。右放線冠梗塞の診断であり、発症から5ヶ月経過していた。麻痺側BRSは上肢III、手指IIIであった。運動課題は、非麻痺側上肢にて示指、小指、中指、環指の順に指をタッピングさせる課題とし、可能な限り速く、正確に実施するよう求めた。実施時間は、1セットを運動30秒―休憩30秒とした。初期学習は午前9時に15セット実施し、その12時間後と睡眠後の24時間後に再テスト(以下12hテスト、24hテスト)として各5セット実施した。症例3のみ、睡眠前テストによる学習効果を考慮して、初期学習の24時間後、36時間後に再テスト(以下36hテスト)とした。初期学習の最初の5セットはリズム刺激を与えながら実施し、それ以降はリズム刺激なしで実施し、リズム刺激なしでの各セット間の施行数の平均値を算出した。また、テスト施行時の覚醒度の評価としてカロリンスカ眠気尺度日本語版(以下KSS-J)を各テスト実施前に聴取し、全テスト終了後に実験期間中の睡眠時間と睡眠の質の評価指標であるピッツバーグ睡眠評価表日本語版(以下PSQI-J)を聴取した。<BR><BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言を遵守し,研究の主旨を文書にて説明し、署名にて同意を得た。<BR><BR>【結果】運動課題の施行数は、症例1、2では12hテスト実施時に比べ、睡眠後の24hテストにて施行数の増加を認め、症例3では睡眠後の24hテストで施行数の増加を認めたが、36hテストでは増加を認めなかった(症例1:初期学習12.3±2.63回、12hテスト13.0±3.24回、24hテスト17.4±1.95回、症例2:初期学習18.6±0.84回、12hテスト19.8±2.3回、24hテスト22.6±1.67回、症例3:初期学習11.5±0.71回、24hテスト13.8±0.84回、36hテスト13.6±0.9回)。KSS-Jは、症例1、2では初期学習と12hテストにて高い覚醒度を示し、24hテストでは低下したが、症例3では変化を認めなかった(症例1:初期学習3、12hテスト3、24hテスト7、症例2:初期学習4、12hテスト3、24hテスト8、症例3:初期学習3、24hテスト2、36hテスト3)。睡眠時間は、症例1が9時間、症例2が7時間30分、症例3が8時間であったが、症例2、3は2時間ごとに覚醒されていた。PSQI-Jは、症例2のみカットオフ値を上回っていた(症例1:1点、症例2:8点、症例3:3点)。<BR><BR>【考察】全ての症例で24hテストでの施行数の増加が認められたことから夜間の睡眠が運動記憶を固定化させた可能性が考えられた。これは、他の運動課題で実施している先行研究と一致するものであった。各症例の運動記憶の固定化が促進された要因として、脳卒中患者の睡眠時間中のノンレム睡眠の段階2が占める時間が高齢者と比較して多いことが考えられる。また、症例2,3では2時間ごとに覚醒されていたにも関わらず、24hテストの実施数が増加したことも、睡眠の1周期が90分であることから、ノンレム睡眠の段階2が関与しているためであると考えられる。しかし、症例2、3は症例1と比べ、睡眠後のテストの施行数の増加が少なかった。これは、ノンレム睡眠の段階2の時間が睡眠周期の増加に伴い増加することから、症例1に比べ症例2,3はノンレム睡眠の段階2の時間が少なかったためであると考える。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】本研究により夜間の睡眠が脳卒中患者の運動記憶の固定化を促進させる可能性が明らかとなった。今後は対象者を増やした上での統計学的検討、短時間の睡眠と脳卒中患者の運動記憶の固定化の関連性について検討する必要がある。
著者
吉水 隆広 公文 久見 巽 香織 吉田 佳奈 石田 崇 谷口 由利子 井原 史江 阿部 誠
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0264-C0264, 2004

【目的】当院では整形外科クリティカルパスについて、パスの整合性と明確なアウトカム他職種間での共通理解を目的としたパス検討会を平成14年5月より開催し、順次パスの改訂に取り組んでいる。TKAパスについては、平成14年9月より改訂運用しているが、改訂時に術後の転院を円滑に行なう目的で術前バリアンス評価(以下術前V評価)が導入された。今回は、術前V評価導入後1年間の結果について検討を行なったので報告する。<BR>【方法】平成14年9月から平成15年8月までの期間にTKA目的で入院した73名中、術前V評価が実施でき術後に合併症を生じなかった44名、男性13名、女性31名、平均年齢73.2±6.2歳、内訳はRA3名、OA39名、その他2名について、術前バリアンスの有無及び各術前バリアンス項目(痴呆・FIM・転倒歴・呼吸循環・歩行耐久性・肘及び手関節可動域制限・活動性・他関節疼痛)ごとの術後在院日数・転院率について比較検討した。術前V評価は、バリアンス項目8項目より術前に術後22日目を退院とするパスに適応があるかどうかの予測を行なう試みであるが、バリアンスの判定は定めた基準に適応しない項目が8項目中1項目でもあればバリアンスありとした。<BR>【結果】術前バリアンスなし群(以下V無群)22名、男性6名女性16名、平均年齢73.6±7.4歳、内訳RA1名、OA21名は術後在院日数24.4±5.0日、転院率9%。術前バリアンスあり群(以下V有群)22名、男性7名女性15名、平均年齢72.8±4.9歳、内訳RA2名、OA18名、その他2名は術後在院日数28.6±9.0日、転院率23%であった。各術前バリアンス項目ごとの結果ついては、痴呆群は0名。FIM群9名は術後在院日数27.0±7.1日、転院率22%。転倒歴群7名は術後在院日数28.6±9.5日、転院率14%。呼吸循環群3名は術後在院日数29.0±15.7日、転院率33%。歩行耐久性群8名は術後在院日数46.0±11.0日、転院率25%。可動域制限群4名は術後在院日数28.8±12.4日、転院率0%。活動性群1名は術後在院日数21日、転院率0%。疼痛群8名は術後在院日数47.3±11.5日、転院率38%であった。<BR>【考察】今回の結果から術前バリアンスの有無による術後在院日数、転院率に差を生じたことは術前V評価の必要性を示唆していたが、V無群に転院率が9%も生じ、逆にV有群の転院率が23%程度であったことから術前V評価の内容を変更する必要性があると考えている。術後在院日数より術前のFIM、転倒歴、関節可動域に関してはバリアンスへの影響は少なく、歩行耐久性、疼痛についてはバリアンスとなる可能性が高い結果より、今後はこの2項目に関するデータの蓄積とより詳細な内容の検討で術前V評価の精度を高めていけるのではないかと考えている。
著者
笠井 健治 西尾 尚倫 下池 まゆみ 市川 忠
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100167-48100167, 2013

【目的】近年、認知課題と運動課題を含む二重課題について多くの報告がなされている。しかし、二重課題が学習に与える影響についての報告は少ない。本研究では二重課題(以下DT)が学習に与える影響を脳血流量変化を用いて検討した。【方法】認知課題(A)は30 秒間のストループテストの読み上げ3 回、運動課題(B)はクッション(酒井医療AMB-Elite)上での片脚立位保持とした。対象者はストループテストの経験のない健常な成人男性12 名とし、AとBを同時に行うDT群6 名(36.5 ± 9.42 歳)と、安楽立位でAのみを行うST群6 名(35.8 ± 10.23 歳)を設定した。研究デザインはAを繰り返し3 セット行うこととし、DT群では2 セット目を二重課題とするA-AB-Aデザイン、ST群では全て単一課題のAを行うA-A-Aデザインとした。脳血流量変化は光トポグラフィー(日立メディコETG-7100)を用い前頭前野を対象に合計48chを計測した。ストループテスト実施時の酸素化ヘモグロビン変化量(以下Oxy-Hb、単位mMmm)をベースライン補正後に加算平均処理し、プローブセット背外側に位置する4 個のchのOxy-Hbの平均を前頭前野背外側(以下DLPFC)、内側10 個のchのOxy-Hb の平均を前頭前野内側(以下MPFC)として算出した。また、両群とも課題に対する反応関連性の高いチャンネルの数をROI(region of interest)解析(r>0.7)で求めた。学習の効果判定は、両群とも1 セット目と3 セット目で以下の項目を比較した。脳血流量変化の評価としてDLPFCとMPFCのOxy-Hbと、ROI解析により求められたチャンネルの数を比較した。また、パフォーマンスの評価としてストループテストの正答数の平均(以下Score)を比較し、学習の根拠とした。統計処理はDr.SPSS2 を用いて対応のあるt検定を行った。有意水準は5%とした。【倫理的配慮】本研究は当センター倫理委員会の承認(承認番号H24-14)を得て、対象者へ十分な説明をし、同意を得た上で行われた。【結果】Oxy-HbはDT群で1 セット目の右DLPFC 0.12 ± 0.146、左DLPFC 0.16 ± 0.113、右MPFC 0.13 ± 0.061、左MPFC 0.13 ± 0.057、3 セット目では右DLPFC 0.16 ± 0.096、左DLPFC 0.08 ± 0.117、右MPFC 0.04 ± 0.045、左MPFC 0.04 ± 0.042 となり、両側MPFCで有意にOxy-Hbが減少した(p<0.05)。ST群では1 セット目は右DLPFC 0.21 ± 0.206、左DLPFC 0.28 ± 0.152、右MPFC 0.05±0.146、左MPFC 0.35±0.142、3セット目では右DLPFC 0.10±0.198、左DLPFC 0.19±0.187、右MPFC 0.003 ± 0.140、左MPFC-0.03 ± 0.184 となり、ST群では右DLPFCで有意にOxy-Hbが減少した(p<0.05)。ROI解析で関連性を認めたchの数はDT群で1 セット目11 個、3 セット目21 個、ST群で1 セット目14 個、3 セット目5 個であった。ScoreはDT群で1 セット目47.9 ± 14.95、3 セット目51.4 ± 14.00、ST群で1 セット目45.1 ± 9.31、3 セット目49.1 ± 11.02 であり、DT群のみ3 セット目で有意に増加した(p<0.01)。【考察】先行研究で、学習が進むと課題遂行に必要な局所の脳血流量は保たれたまま、活動領域が縮小すると報告されている。またストループ課題遂行時には左DLPFCが賦活するとされている。本研究でもDT群では課題遂行に関連が少ない両側MDPFCで有意にOxy-Hbが減少し、ストループ課題遂行に必要な左DLPFCのOxy-Hbは保たれていた。また、ROI解析では課題に関連して反応するChが増加していた。これらは課題に対する学習が生じ、脳活動が効率化したことによる脳血流の変化と考えられた。また、パフォーマンスとしてのScoreが改善したことはDT群において学習が生じたことを裏付けるものと考えられた。一方でST群では同様の脳血流変化は少なく、有意なパフォーマンスの改善も得られなかった。つまり、二重課題トレーニングは単純課題トレーニングと比較し、学習効率に優れるトレーニング法であることが脳血流量変化から示唆された。【理学療法学研究としての意義】二重課題トレーニングは単一課題と比較して学習効果の高い方法である可能性が示唆された。臨床における理学療法の介入手段として、二重課題トレーニングを選択する際の根拠の一つになると考える。
著者
佐藤 隆一 鈴木 敦生 小池 和幸 大澤 貴子 斎藤 啓二 江端 広樹 竹田 誠 鈴木 富子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0080-C0080, 2004

【目的】中学生になると部活動を通じて本格的にスポーツを開始する生徒が多く、この時期、スポーツによって生じる様々な損傷や障害は、成長障害や他の二次的障害を引き起こす可能性があるといわれている。当院では部活動中に「ケガ」をした中学生が理学療法の対象となることは少なく、中学生が抱える「ケガ」の実態や件数、その後の状況を知り得る機会がほとんどない。<BR> そこで今回我々は、市内中学3年生を対象とした「部活動中に発生したケガに関するアンケート」調査を実施し、検討したので報告する。<BR>【方法】市内全中学校12校の3年生1613名(回収率93%)のうち、運動部在籍1018名(男子654名、女子427名;運動部67%)を対象に「部活動中に発生したケガに関するアンケート」調査を無記名選択式(一部記述)質問票を用いて行なった。<BR>【結果】部活動中の「ケガ」の発生率は58%;624名(男子370名、女子254名)であった。中学校別の発生率は、A校43%、B校62%、C校57%、D校54%、E校71%F校59%、G校60%、H校68%、I校55%、J校86%、K校62%、L校34%、M校63%であった。また、性別、部活動別に「ケガ」の発生率・再損傷率・調査時点における痛みの発生率をみると、男子サッカー部68%・34%・29%、野球部63%・46%・24%、バスケットボール部74%・41%・20%、ソフトテニス部47%・13%・22%、陸上部66%・29%・27%、卓球部20%・33%・13%、バレーボール部57%・40%・32%、剣道部73%・45%・27%、バドミントン部40%・8%・42%、水泳0%であった。女子は、バスケットボール部84%・47%・22%、バドミントン部35%・27%・23%、ソフトテニス部64%・43%・21%、陸上部67%・46%・30%、バレーボール部68%・50%・28%、剣道部67%・50%・25%、ソフトボール87%・58%・19%、卓球部25%・40%・0%であった。<BR>【考察】今回の調査結果で、部活動中の「ケガ」の発生率は各学校によりばらつきがみられるものの、約60%の生徒が「ケガ」をしていた。また再損傷者は男子で約35%、女子で約40%に上った。これらの「ケガ」の多くは、過熱した練習による「overuse」や試合中の激しいスピードやコンタクトによる外傷性のものの可能性が高いと考えられた。<BR> アンケート調査時点で、多くの生徒は部活動引退から約3ヶ月経過していたが、男女ともに約20%の生徒が何らかの「痛み」を訴えており、それは部活動中の「ケガ」に直接関係するものとは限らなかった。それらの原因に、成長期特有の身体的変化による筋・腱の過緊張状態や柔軟性低下、骨のアライメントの変化が引き起こされ、筋・腱の疼痛が発生したことなどが考えられる。<BR> 今後、これらの情報を学校側へ提供し、学校全体で「ケガ」に対する意識を高め、部活動ごとに「ケガ」の予防と再発防止を徹底し、メディカルチェックを行なう必要性を促していきたい。