著者
渕上 倫子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-9, 2007-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
75
被引用文献数
12
著者
渕上 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.479-491, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
74
被引用文献数
1
著者
桒田 寛子 木村 安美 石井 香代子 山口 享子 渕上 倫子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.30, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】フライパンは主に炒める、焼く調理で用いるが、近年、手間や早さ等の理由から、茹でる、揚げる調理を行う際にもフライパンを使用している家庭が増加傾向にあり、メニューに対しての調理器具の固定概念が変化しつつあると推察される。使用頻度の高いフライパンを用いて、茹でるなどの調理を行い、鍋を用いたときの調理時間、調理性などと比較し、フライパン類を活用した最適メニューの提案を行うことを目的とした。 【方法】直径26cmのフライパンと直径18cmの鍋(上下2段)を用いてカボチャの煮物を同重量調理し、破断応力を測定した。また調味後の官能評価を行った。フライパン調理に最適なメニューの開発を行い、フライパンと鍋を用いて再現し、エネルギー消費量と加熱調理時間を測定した。 【結果】フライパンと鍋を比較すると、鍋の方が軟化が遅かった。また、鍋は上段と下段で煮え方が異なり、上段の方が、またカボチャの中心部の方が軟化が遅かった。調味後の官能評価において、鍋の上下段で有意差が見られた。鍋の場合、2段に分けることで味にムラができるため、フライパンの方が味が均等に染み込んだ。フライパンは、「焼く」メニューでは鍋に対し加熱調理時間が33%早く、ガス消費量は4%削減できた。これは火力を強めに設定し短時間で調理できるためと示唆された。また、「煮る」「揚げる」「茹でる」場合、フライパンでの調理が加熱調理時間で17%早く、ガスの消費量は4%削減できた。「蒸す」「炊く」場合、ガスの消費量では鍋調理が優位であった。フライパン調理の特徴として、加熱時間が短いメニューほどフライパンの優位性は増し、調理時間が長く、かつ弱火となるメニューではフライパンの優位性が低下した。
著者
寺本 あい 治部 祐里 渕上 倫子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.194-202, 2006-06-20
被引用文献数
3

本研究の目的は,冷凍卵液ゲルの物性の改良への高圧力と糖(グルコース,トレハロース,スクロース)の役割を調べることである。糖無添加およびグルコース,トレハロース,スクロースを5%添加した卵液ゲルを作成し,0.1〜686MPa,-20℃で冷凍した。-20℃で高圧処理中,糖無添加ゲルでは200〜400MPa,糖添加ゲルでは200〜500MPaで過冷却を保ち凍結しなかった。過冷却されたゲルは,圧力解除時に急速凍結(圧力移動凍結)し,細かい顆粒状の氷結晶が生成した。このため,圧力移動凍結した卵液ゲルは,物性(破断応力と破断歪率)の変化が少なかった。また,卵液ゲルへの5%糖添加は,冷凍卵液ゲルの組織及び物性からみた品質の向上に効果的であった。しかし,3種の糖の間で大きな差はみられなかった。
著者
木本 眞順美 寺本 あい 渕上 倫子
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

近年、我が国においてはエビアレルギー患者の増加が目立っている。欧米では、既にエビのアレルゲンとして筋肉繊維を構成しているタンパク質であるトロポミオシンが唯一同定されているが、日本においては、その研究は進んでいない。平成13年度は、本研究課題の計画に従って、順調に実験を進め、試験したすべてのエビアレルギー患者血清において唯一トロポミオシンがアレルゲン成分として同定された。さらに、本アレルゲンに対する特異的なモノクローナル抗体を作製し、これらを利用してトロポミオシンの微量定量法(サンドイッチELISA)を確立した。平成14年度は本アレルゲンの低減化の試みの一環として、調理操作によるトロポミオシンの除去方法を検討した。この際、前年度に開発した測定系の有効性が確認された。新鮮エビを沸騰水中で10分間煮ることにより、エビに含まれるトロポミオシンの約9割が浸出液中に溶出され、この操作がエビのアレルゲン性の低減化に一つの手段として利用し得ることが示唆された。さらに進んだ低減化を図るためにはトロポミオシンのアレルゲン性の解明が必須となる。従って、次いで、日本人が常食している車エビトロポミオシンをコードするcDNAのクローニングを行い、トロポミオシン全長ならびに数種のペプチドを大腸菌において発現させた。これら組換え型タンパク質のアレルゲン性は患者血清を用いるイムノブロット法により検討した。得られたcDNAクローンは284個のアミノ酸残基からなる全翻訳領域を含んでいた。また、トロポミオシン全長を含む組換え型タンパク質は天然型トロポミオシンと同じ強度で患者血清中のIgE抗体と交叉性を示した。さらに、トロポミオシン全長を3分割、6分割したペプチドとの交叉性を検討した結果、トロポミオシンのエピトープはポリペプチド鎖上の全域に点在し、少なくとも4〜5個の領域の存在することが示唆された。
著者
渕上 倫子 田村 咲江 奥田 弘枝
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.649-654, 1993-08-15
被引用文献数
5

煮熟野菜の軟化に及ぼす陽イオン(ナトリウム,マグネシウム,カルシウム)と蔭イオン(酢酸,硫酸,塩化物)の影響を検討するために,ダイコンの円盤を9種類の塩溶液中で煮熟した.塩濃度が増すに従って塩化カルシウム(10〜1,000mM),硫化カルシウム(0.1〜0.25mM)では硬化し,反対にその他の塩類では軟化した.以下の0.2M溶液中で煮熟したとき,組織中に残存したペクチン質量は,酢酸ナトリウム<硫酸ナトリウム<食塩,酢酸マグネシウム,酢酸カルシウム<硫酸マグネシウム<塩化マグメシウム<蒸留水<硫化カルシウム<塩化カルシウムの順に多かった.煮熟後の円盤の硬さとペクチン質の残存量の間に相関があった.円盤が柔らかいほど,組織中の水溶性ペクチンが多く,反対に希硫酸可溶性ペクチンや酢酸塩緩衡液可溶性ペクチンが少なかった.円盤の硬さへの陽イオンの影響は,Na^+<Mg^<2+><Ca^<2+>の順に大であった.ナトリウム,マグネシウム塩はペクチン質の溶出と組織の軟化を促進した.円盤の硬さへの蔭イオンの影響は,酢酸塩<硫酸塩<塩化物の順に大で,カルシウム塩において最も大きな違いがみだれた.塩類溶液のpHは塩化物<硫酸塩<酢酸塩の順に高く,酢酸塩はpHが高いためにペクチン質の溶出と軟化を促進した.煮汁中にCa^<2+>とCl^-が存在すると硬さが著しく増した.
著者
桑田 寛子 治部 祐里 田淵 真愉美 寺本 あい 渕上 倫子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.193, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 ダイジョは別名アラタと呼ばれ、東南アジア原産のヤマノイモ科ヤマノイモ属ダイジョ種に分類される。自然薯に次ぐ粘質多糖類含量であるため、粘りが強い。このため、とろろの起泡性を利用した菓子への利用が期待されるが、えぐみと褐変しやすいという欠点を持つ。今回は冷凍耐性およびえぐみの原因の1つと考えられる針状結晶に着目した。すなわち、ダイジョと他のヤマノイモとの比較を行い、ダイジョの調理特性を検討するための基礎研究を行った。方法 剥皮したダイジョ、ナガイモ、ツクネイモを5%食酢液に30分間浸漬後、すりおろした。砂糖無添加、および10%添加したとろろを-20℃、-30℃、-80℃のフリーザーで凍結した。その後、25℃の恒温器で解凍し、動的粘弾性測定装置でレオロジー特性を測定し、冷凍前と比較した。また、ヤマノイモの皮を含む5㎜角の試料を食酢原液、0.5%塩酸溶液、1%塩酸溶液に浸漬し、針状結晶の有無を低真空走査型電子顕微鏡で観察した。結果 砂糖添加の有無や冷凍温度によって、冷凍後のレオロジーに大差はみられなかった。すべてのヤマノイモの皮下部にシュウ酸カルシウムの針状結晶がみられた。ナガイモに最も多く、次いでツクネイモで、ダイジョは最も少なかった。皮を剥くとき手が痒くなるのは、細胞中に埋もれていた針状結晶が飛び出して、手に刺さるためである。1%塩酸溶液に30分浸漬すると、すべてのヤマノイモの針状結晶が溶けたが、食酢原液では溶けなかった。
著者
渕上 倫子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.294-298, 1983 (Released:2010-03-25)
参考文献数
13
被引用文献数
11 6

酸性溶液中でペクチン質を加熱したとき, メチルエステルを含むベクチンと含まないペクチン酸の分解の差異を検討した結果, 次のような知見を得た。1) ペクチンはpH4で最も分解しにくく, pH5以上で急速にトランスエリミネーションにより分解する。pH1~3では加水分解による分解が認められた。2) ベクチン酸はpH5以上では加熱による分解を起こしにくく, pH4以下で加水分解により分解し, その速度はpHが下がるほど早い。また, メチルエステル化したベクチンと比較した場合, ベクチン酸のほうが分解速度が早い。これは非解離のカルボキシル基の分子内接触反応が影響しているためであると思われる。3) 酸不溶性ペクチン酸もそれをメチルエステル化したものに比べて速かに分解した。酸可溶性ペクチン酸は酸性溶液中で酸不溶性ペクチン酸より速やかに分解した。4) ペクチンを98℃30分加熱すると, pH2~5ではメチル基の脱離は起こらず, pH5.5でけん化が起きるようになり, pH7では約70%のけん化が認められた。pH1.2でも約28%メチル基の脱離が起こった。
著者
渕上 倫子 治部 祐里 小宮山 展子 林 真愉美 〓田 寛子 横畑 直子 松浦 康
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.871-879, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
16

焼きリンゴの軟化とペクチンあるいは多糖類の分解との関係について検討した.焼きリンゴを160℃~190℃において60分間加熱して調製したとき, ペクチンと多糖類の水溶性画分は生リンゴのそれらに比べて増加した.一方, ペクチンと多糖類のシュウ酸塩可溶性画分は生リンゴのそれに比べて減少した.このように, 焼きリンゴの組織の軟化は不溶性ペクチンと不溶性多糖類が可溶性になることによって起こるものと考えられる.ゲル濾過やDEAE-トヨパールクロマトグラフィーの結果によれば,ペクチンと多糖類は低分子化しており,これらの低分子化は主として高温下, 弱酸性の条件においてリンゴ酸の作用による加水分解によるものであり,β-脱離反応による影響は少ないことを明らかにした.
著者
治部 祐里 寺本 あい 安川 景子 佐々木 敦子 渕上 倫子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.18, 2006 (Released:2008-02-28)

<目的> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。<方法> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。<結果> 130℃・107℃対応炊飯器は昇温期(炊飯開始から温度急上昇期に達するまで)に細かく温度調節され、緩慢な温度上昇であったのに対し、100℃対応炊飯器は釜の温度の上下動が大きかった。普通炊きと玄米炊きを比べると、玄米炊きの方が普通炊きに比べ昇温期の緩慢上昇が短く、短時間で沸騰期に達し、沸騰期が長かった。炊飯中の温度は圧力鍋は120℃であった。玄米飯の官能評価は七分つき米・精白米の飯に比べ悪く評価され、七分つき米・精白米の飯は大差なかった。玄米を圧力鍋・電気炊飯器・土鍋の3器具で炊いた飯を比較すると、炊飯直後、2時間室温放置後とも圧力鍋で炊いた飯が最もおいしいと評価された。好ましい配合割合については玄米と精白米を同量の配合割合で炊いた飯が最もおいしいと評価された。
著者
木村 安美 治部 祐里 寺本 あい 桑田 寛子 渕上 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> サワラはサバ科の回遊魚で、ばら寿司の具材に使用されるなど岡山の郷土料理に欠かせない食材である。岡山県はサワラの取扱量は全国一で、大半を県内で消費し「岡山県の魚」とも呼ばれている。本研究では岡山県におけるサワラの喫食状況の特色を明らかにするとともに、サワラを用いた郷土料理がどの程度日常食の中に溶け込んでいるのかを検討することを目的とした。<br><b>方法</b> 日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」-魚介類の調理-(平成15年7月~平成16年9月)で得られたデータを集計、比較分析を行った。調査地区に10年以上居住している者を対象とし、全国(3,431世帯)、中国・四国(931世帯)、岡山県(380世帯)から回答を得た。得られたデータからサワラ料理を抽出し、喫食率、調理法、郷土料理について比較検討を行った。<br><b>結果</b> サワラの喫食状況は、全国44.5%、中国・四国60.3%に比較し岡山県が156.8%(複数回答)と圧倒的に高く、調理方法では、全国、中国・四国では大半を焼き物が占めるのに対し、岡山県では生ものや煮物が多い結果となった。岡山県南部では北部に比較して生もの、煮物、飯物の割合が多く、北部では焼き物の割合が高かった。飯物の内訳では、押し寿司は全国34.8%、中国・四国61.5%、岡山県0%に対し、チラシ寿司が全国13.0%、中国・四国0%、岡山県72.5%であり、南部・北部に分類すると、南部はばら寿司、北部はサバ寿司が高い結果となった。このことから、岡山県におけるサワラを用いた料理は生もので食べる習慣が今も続き、南部では瀬戸内の新鮮なサワラを用いたばら寿司、北部ではサバ寿司を食する郷土料理の伝統が結果に顕著に表れたと考えられる。
著者
山口 享子 桑田 寛子 石井 香代子 木村 安美 高橋 知佐子 治部 祐里 渕上 倫子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.165, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】日本各地で伝承されてきた年中行事や通過儀礼のハレの日の食事が、親から子へ伝承されない傾向にある。そこで、それらの認知状況、調理状況や食べ方、これらが変化した時期などについて調査を行い、全国レベルで比較検討し、地域性(広島県と全国の違い)を明らかにすることが本研究の目的である。【調査】平成21年12月~平成22年8月に行った日本調理科学会の行事食・儀礼食調査において、47都道府県24,858名の学生及び一般(保護者を含む)からの回答を得た。その中から、広島県に10年以上住んでいる人及び住んだことがある人858名(学生及び一般)を抽出し、お節料理について全国調査結果と比較した。【結果】年中行事を代表する正月に供される食べ物11種類の「一般」の喫食頻度(毎年食べる率)は以下の順番になった。広島県:魚料理>かまぼこ>煮しめ>黒豆>なます>肉料理>数の子>田作り>昆布巻き>だて巻き卵>きんとん。全国:かまぼこ>煮しめ>黒豆>魚料理>肉料理>数の子>なます>だて巻き卵>田作り>昆布巻き>きんとん。お節料理の喫食頻度で一番多かったのは、広島県の一般の魚料理(93.2%)で、全国の一般(81.3%)よりも多く食べていた。広島県の学生の魚料理の喫食頻度は全国とほぼ同じで、約73%の者が毎年食べると答えている。一般の最も少なかったのは広島県も全国もきんとんであった。学生が最も多く食べている物は、広島県、全国ともかまぼこであり、最も少なかったものは昆布巻きであった。家庭で作る頻度が50%以上と多いものは、煮しめ>なます>肉料理であった。
著者
桒田 寛子 寺本 あい 治部 祐里 田淵 真愉美 渕上 倫子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.137-144, 2011 (Released:2014-07-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

玄米をおいしく炊く条件を探る目的で,玄米を七分つき米,精白米に搗精し,テクスチャーと組織構造を比較した。玄米の20°C,30°Cでの吸水速度は搗精した米と比べ遅かった。しかし,60°Cに2時間浸漬すると,七分つき米,精白米と同じ吸水率となった。炊飯後の玄米飯の水分含量は搗精した米飯と比べ少なく,サイズは小さかった。クライオ走査電子顕微鏡観察すると,米の搗精度が高くなるに従って,果皮,種皮,糊粉層が除かれていた。米を水に浸漬すると,玄米より搗精米のほうが,デンプン貯蔵細胞中のアミロプラストがより大きく膨らんでいた。米の搗精度が高くなるほど,小孔(水の痕跡)が増加した。これはデンプンの糊化が十分であったことを示唆している。玄米の官能評価は搗精米より悪かった。
著者
寺本 あい 小川 典子 渕上 倫子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.11-18, 1999-01-15
参考文献数
15
被引用文献数
3

To compare the effects of storage and thawing methods on the quality of high-pressure-frozen tofu, momen-tofu (soybean curd) was frozen at ca. -20℃ under 100, 200, 340, 400, 500 or 600 MPa of pressure and then thawed at atmospheric pressure (A, 90 min frozen; B, 90 min frozen and then stored 2 days at -30℃, C, 160 min frozen) or thawed at a high pressure (D, 90 min frozen). The texture and structure (cryo-SEM observations) of the tofu were investigated under each condition. The rupture stress, strain and pore size of A-D frozen at 100 or 600 MPa all increased. However, the textural quality of tofu frozen at 200-400 MPa was better than of tofu frozen at 100 or 600 MPa regardless of the thawing method used. When tofu was frozen at 200-500 MPa, the ice crystal size was (largest to smallest) B<A and C<D; the pore size and texture of D were the same as those of untreated tofu. These results show that ice crystals did not grow when tofu was frozen at 200-500 MPa. However, ice crystal growth under reduced pressure at ca. -20℃ and growth while thawing at atmospheric pressure due to phase transition were noted.
著者
渕上 倫子 寺本 あい
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

冷凍耐性の悪い食品のテクスチャー改善を目的として、ゲル状食品(卵豆腐、寒天、高粘弾性寒天、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、κ-カラギーナン・ローカストビーンガム混合、カードラン、脱アシル型ジェラン、ネイティブ型ジェランなどのゲル)および卵黄を約-20℃、100〜686MPaの高圧力下(高圧冷凍後大気圧下の-30℃で保存)、または、大気圧下の冷凍庫中(-20℃、-30℃、-80℃)で冷凍し、解凍後の外観、離水量、物性(ゲル:クリープメータによる破断強度解析、卵黄:粘弾性測定)と微細構造(クライオ走査電子顕微鏡観察)を比較した。また、凍害防御物質として各種糖類(蔗糖、トレハロース、グルコース、糖アルコール等)の役割について検討した。更に、-20℃で高圧力処理中の試料の温度変化を測定することにより、-20℃での液相→氷Iへの相転移の挙動を検討した。その結果、200〜400MPaでは-20℃でも凍っておらず、圧力解除時に急速な試料の温度上昇がみられた。過冷却温度が低く圧力解除時に短時間に凍結し、微細な氷結晶が多数生成したため、圧力移動凍結品は良好であった。大気圧下や100、686MPaでは過冷却温度が高く、少ない核を中心として大きな結晶ができたため、離水も多く解凍後の品質が悪化した。5%、10%、20%と糖濃度の増加に伴い凍結点が低下し、解凍後の物性と微細構造が良好となったが、糖の種類により大差なかった。また、ゲルの種類により冷凍耐性や物性変化の様相が異なった。カードランやネイティブ型ジェランガム(脱アシル型ジェランガムは悪い)、ι-カラギーナンのゲルは冷凍耐性が良く、普通の寒天より高粘弾性寒天のほうが離水が少なく良好であった。κ-カラギーナンにローカストビーンガムを添加すると冷凍耐性が向上した。卵黄は200MPa以上でタンパク質の変性による粘度上昇が顕著であったが、蔗糖添加により卵黄の流動性が増し、冷凍および高圧力によるレオロジー変化が抑えられた。