著者
山科 健一郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.79-91, 2000
被引用文献数
2

In order to find a practical method to assess forthcoming activity of aftershocks, an attempt was made to predict a plausible range of the number of major aftershocks of the 1999 Chi-Chi, Taiwan earthquake of September 20 (UTC;Ms=7.7). Although a method of predicting the probability of aftershocks had been proposed, assuming that parameters in the modified Omori formula would not change during the period of prediction, such an assumption might sometimes be invalid at the time of the especially large aftershocks. For this reason, a range of the number of aftershocks was experimentally discussed between September 22 and November 21 based on the 5-95% or the 0-90% points of the Poisson distribution. As a result, 11 cases were successful among 13 trials, suggesting that a prediction of the range of the number of aftershocks will be available for practical use, at least to some extent.1999年9月20日(世界時)に発生した台湾集集地震について,想定した期間にある大きさ以上の余震が何回起こるか,試験的な予測を試みた.予測が当たる確率を上げるためには適当な幅を考える必要があるが,ここでは90%くらいの確度を想定して,ポアソン分布の5%および95%点を予測数の上下限の幅として考えた.ただし,下限値が0に減少したときには,ポアソン分布の0~90%点をとれば十分かもしれない.また,期待値が5以下のときはその1/2~2倍くらい,期待値が20~30のときはその1/1.5~1.5倍くらいの範囲をとると,ある程度近似できる(その際,下限値を求めるときは小数点以下を切り捨てる).観測された余震のデータを改良大森公式にあてはめてその係数を定めれば,任意の期間に起こる余震数の期待値を求めることができる.これをもとに予測回数の幅を推測するが,期待値に誤差が見込まれるときは,それに応じて予測の幅を広げる必要が生じる.今回の台湾の余震活動では, 9月22日~11月21日までの2ヵ月間,初めは1日ごと,その後は1週間ごとにマグニチュード5.0以上の余震数を予測した.合計13回の予測の結果をみると, 11回が予測幅の範囲内に収まり, 2回が予測幅をそれぞれ一つ超過した.地震発生直後に入手できる地震データは不完全な場合が多く,具体的に予測の作業を行うときは,それによる不確かさも考慮しなければならない.このような難しさもあるが,今回の試行では, 85%程度の成功率を得た.どのくらい活発な余震活動がこれから先に見込まれるか,本稿のような方法によってある程度の目安が得られれば,それなりに役に立つのではないかと思われる.なお,期待値が与えられたときに,ポアソン分布の5~95%幅が具体的にどのような値をとるかを表の形で表し,また,参考までにその値を算出する近似式を示した.
著者
河角 広
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.319-323, 1952-01-30
著者
Kasahara Keichi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.473-532, 1957-12-05

緒論.地震の振動に関する研究の進展について歴史的に考察を行つた.初期の段階においては,最も簡単な条件の震源に基づいて諸研究がなされていたが,その後理論及び観測両面が充実されるにつれて,次第に複雑な条件をもつ震源のモデルが用いられるようになつた.即ち初動分布の規則性が発見された為に,震源に作用する力にも方位性を考える必要が生まれ,叉球状震源に関する理論的研究は,地震動の波形や周期の有する意表を明らかにした.
著者
高橋 龍太郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.71-95, 1951-06-25

Assuming that tsunami activity recorded during historic times is still continuing at present and will continue also in the future, the writer has estimated the degree of danger of tsunami for each village on the Pacific coast of Japan which may be expected in the future. Results are given in Fig. 2 and in Table III.
著者
Mogi Kiyoo
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.99-134, 1958-07-23

噴火の際に火山周辺の地殻が著しく変動することは,古く1910年の有珠山の噴火の場合に大森博士によつて精密水準測泣が行われて以来,主な噴火について同様の測量が実施されて,次第に明らかになつて来た.これらの火山周辺の地殻変動に関する研究は必ずしも少なくないけれども,火山の噴火の機構との関係としてその火山学的意味を吟味したものはほとんど見られない.本論文ではこれまでに得られた測量の結果を調べて地殻変動の特性及び,噴火現象との関係を明らかにすることを試みた.
著者
Kishinouye Fuyuhiko
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.457-459, 1951-03-25

栃木縣上都賀郡落合村大字長畑の森東にある木曾山に今市地震によつて起された長さ50m巾40mの余り大きくない地辷りを,一端にらせんばねをつけた鋼線を二地點間にはりその線の動きと變えて記録した.その結果は第1圖の通りで,觀測したのは1950年3月17日から5月15日までで,途中故障が多かつたが4月10日頃までは辷りが進んでいたが,それ以後は止んだ.後の方で逆に動いているように見えるのは,地辷りの斷面は半圓形であると考えると當然のことゝ見做される.この測定の目的は地辷が其の後も大きくて災害を起す恐れがあるかないかを知るのであつた.終りにこの觀測には前記の土地の福田茂一郎氏の協力によるので,こゝに感謝する.
著者
Morimoto Ryohei Ossaka Joyo
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.221-250, 1955-08-10

昭和27年9月17日午前7時15分頃,ベヨネイズ列岩(31°55.3'N, 139°54.5'E)の東方約10km.の海面に,漁船「第十一明神丸」によつて海底噴火が発見報告きれた.この噴火によつて出現した島は,発見した船の名を取つて「明神礁」と命名された.明神礁は,第五海洋丸と共に殉職した三田亮一氏によれば,ベヨネイズ列岩を外輪山の一角とする複式火山の中央火口丘の一つといわれ,この附近には明治29年, 39年,大正4年,昭和9年, 21年に噴火の記録がある.しかし,海底地形の概略と,明治39年噴出安山岩質浮石の簡単な記載のほか,火山の詳細は知られていなかつた.今回の噴火は, 9月24日,調査に派遣された海上保安庁水路部測量船第五海洋丸の遭難という,火山研究史上未曽有の事件勃発のため,各方面の注目を惹くに至つた.第五海洋丸が海底爆発によつて遭難したと信じられる9月24日の前日,筆者らは,東京水産大学(旧水産講習所)練習船「神鷹丸」に乗船して現場に臨み,海底爆発を目撃観察する機会を得たので, (1)今回の噴火の活動経過, (2)昭和27年9月23日の海底爆発の情況, (3)各種抛出物の岩石記載を詳細に述べることにした.本篇では,噴火の発見から活動が休止したと思われる昭和28年秋までの明神礁の活動の経過を,各方面の資料を集めて記載し,昭和27年9月23日の海底爆発の情況を詳述した.この活動期間に,明神礁は3回,海面に出現しては海没した.すなわち,昭和27年9月17日に,その熔岩ドームの頭端を海面上に現わして数日後から,活動は爆発的となり, 9月23日の相続く水中爆発によつて水没し, 10月3日から10日の間に水面上に出現してそのご翌年3月9日まで,熔岩尖塔を海面上に見せていた.昭和28年3月に入つて,また爆発をくりかえし3月10日に水没した.第3回目に海面上に現れたのは4月のはじめで,このときの熔岩尖塔や熔岩円頂丘も, 8月下旬のひきつづいた爆発で崩壊水没し,そののちも,浮石,火山塵で海水を黄濁させる水中噴火を続けていたが,そのごは確実な消息なく,噴火活動を終息したものと思われる.明神礁はこのように,徐々に熔岩円頂丘或ひは熔岩尖塔を突出させたのち,大量の浮石抛出を伴う烈しい爆発活動をつづけて円頂丘や尖塔を崩壊するという過程を,今回の活動期間中に, 3回くりかえしたことになり,あとで述べる抛出岩石の岩石学的性質も,このようなPele式噴火の活動型式を裏づけている.
著者
岸上 冬彦
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.227-233, 1958-07-23

The Shonai earthquake took place on Oct. 22, 1894, about 400 km north from Tokyo in Yamagata Prefecture. Sometimes it is called the Sakata earthquake because the earthquake damage was great at Sakata City. The reports of their earthquake were few in number, several unknown data were shown the writer by Mr. S. Sato of the Sakata Library. Then the new data were looked over for this paper.
著者
Tsuya Hiromichi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.341-383, 1955-12-10
被引用文献数
3

富土山の最新の噴火は1707年12月16日(宝永4年11月23日)の朝に始まり, 4日間にわたつて殆ど休みなく続き,その後も同月31日まで間歇的に爆発を行つたが,同日に至つて事実上止んだものである.この2週間にわたる噴火中,その爆音は東京及びその附近においてしばしば聞かれ,また西風になびいた噴煙は黒雲となつて空をおおい,そのため東京では昼間に灯を用いるほど暗くなつた時があり,火山灰は数センチメートルの厚さまで降り積つた.
著者
Kawasumi Hirosi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3/4, pp.355-367, 1951-03-25

昭和24年12月26日朝8h 16m及8h 25mに栃木縣上都賀郡今市町附近を中心とする小區城破壊的地震が起り,死者8,行方不明2,全潰住家299戸半潰住家618戸の被害を生じた.此の地震の震央附近の震度は極めて強かつたようであるが,振動週期極めて小なりし爲か石藏家屋の外は全潰(現建築費50%以上の損害)とは云へ倒潰と云ふやうなものは少かつた.從つて火事の發生を見なかったのは幸であつた.然し山崩,地辷りは極めて著しく,山地田畑の荒廢著しく,人命の損失の大部分もこれによるものであつた.余震の頻發した事,及び初動の圓錐型分布,及び所謂地震斷層と思はれる如きものの見へなかつた事も本地震の特徴と云ふべく,今市町全體に互る地震後井戸壁の變形から約6mの厚さの地層が東方に約6cm移動した事が判明したが,之は測地學上重要問題を指唆するものである.尚水準測量の結果は今市町近傍數粁の間だけ約30~40cmの隆起があつた由である.震後の火山活動との關係も興味ある問題であらう.
著者
Yokoyama Izumi Tajima Hirokazu
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.23-33, 1957-07-20
被引用文献数
26

伊豆大島三原火山の構造を解明する手掛りを得る目的で,ウォルドン電力計による重力測量を行つた.大島全休に普遍的に測点を設けるように努め,高さの決定には一対のアスカニヤ徴気圧計を用いてその精度を最悪3m以内に止めた.地形補正は33kmの範囲まで計算した,山脈の密度を二様に仮定して,それぞれに対するブーゲー異常を求めた,その結果は現在までの地質調査の結果を裏付けするものであり,又磁気測量の結果ともよく調和するものである.
著者
鍵山 恒臣 山口 勝 増谷 文雄 歌田 久司
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.211-239, 1994
被引用文献数
11

霧島火山群・硫黄山周辺においてMT法による電気抵抗構造調査を行った.その結果,硫黄山を含む霧島の広い範囲において,水を多く含む層と考えられる低比抵抗層が,地下およそ100m以深に見られる事がわかった.また,硫黄山周辺は,低比抵抗域となっており,特に,硫黄山火口直下では2~3Ω・mであるのに対して,硫黄山を囲むように,1Ω・m程度の著しく低い比抵抗域が存在している事がわかった.熱的調査によれば,硫黄山山体には,高温の噴気が点在し,周辺には水の沸点程度の噴気地や温泉が見られる.こうした分布の特徴は,地下深部から供給される高温の火山ガスが,硫黄山山体部ではそのまま溶岩の隙間から噴出しているためにやや高い抵抗を示しているのに対して,硫黄山の周囲では,この地域に分布する帯水層の水との混合により低比抵抗領域が形成され,水の沸点程度の噴気や温泉の源となっている事を示すと考えられる.The volcanoes of Kirishima, located in southern Kyusyu, are a group of more than 20 volcanoes. At least three volcanoes have historic records of eruptions, and more than 10 volcanoes have been active within the past 22,000 years. This indicates that Kirishima is a multi-active volcanic group. According to seismological investigations, the Kirishima area is subject to NW-SE extensional stress; slight extensional stress is favorable for a fault system that allows magma to ascend at various points.
著者
岡田 知巳 海野 徳仁 伊藤 喜宏
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.61-74, 2001

Northeastern (NE) Japan is located at a typical subduction zone, and many shallow inland earthquakes occur in this region. In recent years, several moderate earthquakes have occurred in the land area of NE Japan. The characteristics of these earthquakes are strongly related to tectonic features in this region. We investigated source processes of these earthquakes using empirical Green's function method. In Sendai city, a moderate (M5.0) earthquake occurred on 15 September, 1998. It was located at the deepest portion of an active fault-Nagamachi-Rifu fault. We used data observed by nearby strong motion arrays. The spatial extent of the rupture area corresponds to that of the aftershock area, and the aftershock activity was high in the area with a relatively small amount of slip of the main shock rupture. We also investigated the source process of the largest foreshock (M3.8). The rupture area of the foreshock does not strongly overlap the asperities of the main shock. Three earthquakes with magnitudes greater than 5 (M5.9 event at 3: 12, M5.4 event at 3: 54 and M5.7 event at 8: 10) occurred on 11 August, 1996 in the Onikobe area near the border of Akita and Miyagi prefectures. Two days after these events, a M4.9 event occurred in an adjacent region. These events were located close to each other, but their mechanism solutions are quite different; thrust-type faults for M 5.9 and M 5.4 events and strike-slip faults for M 5.7 and M 4.9 events. We used waveform data observed by the regional strong motion network (Kyoshin-net, NIED, Japan) and the broadband station network of Tohoku Univ. and JMA. The rupture areas of these earthquakes do not overlap and the areas with high activity of aftershocks are located at the edge of the rupture areas and in areas with little slip.
著者
Kishinouye Fuyuhiko Kotaka Mieko
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.171-176, 1959-05-15

脈動と台風との関係について多くの研究があつたが,脈動の観測は1個所の場合が多かつた.気象庁から1956年の脈動観測報告が出版されたので,それを材料として日本を脈動がどのように伝わるかを調べた.台風の中心示度,台風の進行速度,観測所における風速と脈動の関係を見た.その関係はないようであつた.
著者
瀬野 徹三 大槻 憲四郎 楊 昭雄
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.57-77, 2000

The Chi-Chi earthquake occurred at the thrust-decollement in the accretionary prism of a young collision zone in central Taiwan. This event is thus not different from a subduction zone earthquake if Taiwan were covered by the sea water. The surface ruptures were accompanied by little damage except for the collapse of buildings standing across the surface faults. The slip directions of the surface faults were mostly NW, which is consistent with the earthquake slip vector, but there were also many W-SW and N directed slips. At the northwest corner of the earthquake fault, significant uplifts and multiple thrusts in the river bed occurred. These might all be related to the fact that the shallow portion of the earthquake fault cut the weak accretionary prism and the sediment on it. The uplifts at the northwestern corner imply an abnormal tsunami if the area were under the sea, thus suggesting a new factor for the mechanism of tsunami earthquakes: deformation of the sediment or weak accretionary prism at the lowest trench slope (Seno, 2000). The Chi-Chi earthquake might provide a unique chance to observe a subduction earthquake on land.1999年9月21日台湾中央部で起きた集集地震は,ルソン弧と中国大陸縁との間の衝突でできた付加体を切る逆断層(スラスト)で起きた.ここはユーラシアプレートとフィリピン海プレートとのプレート力学境界にあたり,通常の沈み込み帯でおきる地震と地学的には変わらない.地表で車寵埔断層として知られていた活断層に沿って地表断層が現れたが,その付近では,地表断層をまたいだ建物が壊れているのが特徴で,それ以外の被害は小さかった.地表断層のすべり方向は,かなりのものは北西方向であったが,一方西,南西,北方向のすべりもかなりの数がみられた.地表断層の北端では,大甲渓という河川の中の滝,桃畑の砂利断層崖,ダムの破損地などにおいて,弾性理論から期待できる隆起よりも3mほど大きい隆起が起きた.
著者
及川 純 山本 圭吾 井田 喜明
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.291-307, 1994
被引用文献数
4

霧島火山周辺で発生する地震波形を用いて,地下の地震波減衰領域を推定した.地震波の減衰の強弱を分類し,それらの波線分布を調べることにより,韓国岳周辺の深さ4,5kmより韓国岳火口直下にいたる地震波減衰領域の存在がわかった.The seismograms of 51 earthquakes around the Kirishima volcanoes are classified according to degree of attenuation of the waveform. The paths of seismic rays are assumed to be straight lines from the hypocenters to the seismic stations and the region which the rays of attenuated seismic waves mainly crossed, which correspond to the high attenuation region, is found from the distribution of seismic rays. As a result, the high attenuation region from the depth of 4-5 km to the surface beneath Karakuni- Dake is shown.
著者
爆破地震動研究グループ
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.281-288, 1953-12

岩手県胆沢郡若柳村石淵における石塊堰堤工事採石の大爆破はすでに1950年10月,1951年12月の2回にわたり爆破地震学の目的のために利用された.1952年7月25日この工事としては最後の大爆破が行われ,われわれもふたたびその地震動観測を実施した.
著者
阿部 邦昭 泉宮 尊司 砂子 浩 石橋 邦彦
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.159-175, 1994

1993年7月12日,北海道南西沖で発生した地震(M3=7.8)は北海道奥尻郡,島牧郡などの日本海沿岸一帯に大津波をもたらし,多数の犠牲者を出した.この津波は日本海全体に波及し,新潟県の海岸部もこれにさらされた.そこで新潟県の海岸で痕跡調査を行い,最大水位の地理的分布を得た.その結果,府屋,瀬波間,柏崎,直江津間でそれぞれ2-3mと高く,新潟西港,間瀬間で1.0-1.4mと低くなっている.佐渡では外海府で高く,内海府で低い.外海府では特に弾崎先端から10km以内で高く,2.6-3.1mである.これに対して内海府では0.8-1.2mである.両者の中間に位置する両津では1.1mでこれも低い.粟島でも外海測で3mに対して,内海側では1mで,外側で高くなっている.この最大水位分布の特徴を1983年日本海中部地震津波,1964年新潟地震津波の同県における最大水位分布と比較してみると,この津波は北北西,ないし北西方向から来襲したとして説明されるのに対し,日本海中部地震津波は北北東から入射したとして説明される.一方,新潟地震津波は県内に波源域があって入射方向は観測点によって異なるが,東西方向に放射された波が振幅が大きかったとすると説明できる.本州海岸の水位分布をみると,佐渡の遮蔽効果が認められるのにたいして,粟島の背後では周囲より高いことから,島による収束効果が働いたためとみられる.この違いは島のサイズの違いによると考えられる.また県内の験潮所で得られた験潮記録を送付してもらい,第一波の伝搬時間を求め,波面を逆算した.これにより第一波は北西方向から来襲していることが確かめられた.最大水位分布の特徴を説明する津波の来襲方向と第一波の来襲方向は一致している.また地域ごとに最大水位と遡上距離の関係を調べた結果によると,最大水位は遡上距離に無関係に一定値を取る.A field survey was conducted along the coast of Niigata Prefecture for the 1993 Hokkaido Nansei-oki Earthquake Tsunami of July 12, 1993. The maximum trace levels were measured with help of interview data. As the result a geographical distribution of the maximum height was obtained along the coast of Niigata Prefecture, Japan. A shadow- effect of Sado Island was observed at Maze on Honshu and focusing effect of Awashima Island was observed at Kuwagawa on Honshu.
著者
Horai Ki'iti
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.571-592, 1960-01-30

From 68 measurements of rock temperature made at various points in drifts of Hitachi copper mine, geothermal gradients at these places were determined. The thermal gradient was found to be 0.94×1O-2℃/m and 1.21×10-2℃/m in the north and the south parts of the mine respectively. Thermal conductivity of 36 rock specimens collected from various parts of the mine was measured using the divided-bar method. Apparent thermal conductivities of the rocks at the two parts are 6.73~7.08×10-3 cal/cm sec℃ and 6.50~7.43×10-3 cal/cm sec℃. The terrestrial heat flow from the interior to the surface of the earth was computed to be 0.63~0.67×10-6 cal/cm2 sec for the north part and 0.78~0.90×10-6 cal/cm2 sec for the south part. These values are a little smaller than those already found in Japan.茨城県日立市日立鉱山に於ける地下温度勾配及び岩石熱伝導率測定の結果,鉱山の北部及び南部の二地域で温度勾配はそれそれ0.94℃/100m,1.21℃/100mであること及び等温面がほぼ地表面に平行すなわち熱流の方向がほぼ地表面に垂直であることを見出した.又岩石熱伝導率測定値にもとづいて北部及び南部二地域の見かけの熱伝導率は6.73~7.08×10-3cal/cm sec℃及び6.51~7.43×10-3cal/cm sec℃であると算定された.これによると,地殻内熱流量は北部に於て0.63~0.67×10-6cal/cm2 sec,南部に於て0.79~0.90×10-6cal/cm2 secとなるが,この値は第一報に報告された笹子トンネルに於ける結果2.06×10-6cal/cm2 secよりも低いのみならず世界の平均とされている1.20×10-6cal/cm2 secよりもなお低いようである.ここに求められた結果が,地殻内の局地的異常を表わすものか,或いは更に大規模な現象,中間層に於ける熱対流など,に関連あるものであるかどうかを追求するためには,更にこの程の研究の成果の集積をまたねばならない.