著者
井料 美帆
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.345-349, 2014-07-01 (Released:2014-09-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

現在の日本の歩行者青点滅表示は,横断歩道上の歩行者が横断歩道を渡りきるのに必要な時間を確保していない.にも関わらず,多くの歩行者が青点滅開始後に横断歩道に駆け込み,青点滅終了時までに渡り切れないという安全上の問題がある.本稿では,日米の歩行者現示設定方式の比較を通じ,日本の歩行者赤・車両青時間の存在が,左折需要の小さい横断歩道における青点滅開始後の歩行者の横断を助長している可能性を示した.また,米国の歩行者現示設定方式を適用することで,青点滅後の残留歩行者を減らしつつ,サイクル長を減少させられる例を示した.
著者
山口 莞爾 福元 和真 松下 侑輝 川崎 洋 小野 晋太郎 池内 克史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.115-121, 2016-03-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

近年,ドライブレコーダーなどの車載カメラの増加とWeb による画像や動画の共有サービスの一般化により,世界中の都市の風景画像や映像をインターネットから取得することが出来るようになってきた.これらの情報は,都市の三次元モデル生成への応用や,地図の頻繁な更新,あるいは景観シミュレーションなど,幅広い応用が期待されるが,そのためには撮影された位置の情報が必要となる.しかし,GPS などの位置情報が,必ずしも画像や映像に付加されているとは限らない.そこで,このようなシーン情報から撮影位置を同定する研究が盛んに行われているが,ほとんどの研究は,ある程度の位置が分かっていることを前提に,詳細な位置合わせをするものであった.一方で,世界中の都市を対象として,大域的な位置推定を目指した研究例はほとんど無い.そこで,本論文では世界中の映像を対象として,大域的な位置推定を行うことを目標とする.大域的な位置推定ができれば,既存の詳細位置合わせ手法を適用できると考えられる.提案手法では,Google Street View の画像を学習データとして深層学習(Deep Learning) による認識を行うものとし,認識に際して,カメラごとの特性の違いや,視点の位置姿勢が異なることよる見えの変化に対応するものとした.都市の数が増えると難易度が上がると考えられることから,今回は,主要都市のみを対象として,どの程度の認識が可能か検証を行った.実験の結果,提案手法により,従来よりも高い認識率を実現できることが分かった.
著者
沼田 宗純 原 綾香 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.359-363, 2013-07-01 (Released:2013-12-24)
参考文献数
4

東日本大震災のような広域的な災害ほど,被害の全容を掴むことは容易ではないため,テレビ報道で取り上げられた市町村には積極的な支援が届き,逆に,報道されない市町村に対しては支援が不十分となる等,テレビ報道の有無が災害対応に影響を及ぼすことがある.そこで本研究では,報道された市町村と支援の関係を明らかにするために,報道と義援金の関係,報道とボランティアの関係を分析した.その結果,被害量とボランティア数や義援金総額は必ずしも比例関係にあるわけではなく,被害が大きいにも関わらず,ボランティア数や義援金総額が少数・小額の市町村が多く存在することがわかった.また同規模の被害量であっても,市町村によってボランティア数や義援金総額は大きな偏りが生じている.これは,特定の市町村に報道が集中していることが原因と考えられる.
著者
佐瀬 巧 北城 圭一 合原 一幸 平田 祥人
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.299-303, 2014-05-01 (Released:2014-07-31)
参考文献数
24

脳波力学系のダイナミカルノイズは,神経ネットワークの動的な振る舞いを理解する上で重要な情報である.本研究では,脳波力学系のダイナミカルノイズレベルの時間的変化を解析した.視覚野上の電極から得られた脳波データをダイナミカルノイズの時間的レベル変化に変換し,さらに,そのレベル変化をHurst指数により定量化した.結果として,開眼時にはHurst指数は徐々に低下し,閉眼時にはほぼ一定値を示した.つまり,開眼時における神経ネットワークの時間変化は過渡的な状態にあり,一方,閉眼時の神経ネットワークの時間変化は定常状態にあると考えられる.
著者
木内 学
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.61-69, 1984-02-01

特集 生産・加工システムの最適化
著者
秋葉 鐐二郎 中村 巖
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.77-81, 1957-03-01
著者
藤井 澄二 井口 雅一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.132-138, 1961-05-01

運転者により操縦された自動車の運動特性は,自動車の運動力学的特性と,運転者の動作特性とから組み立てられる.そこでまずオーバ・ステアリング,アンダ・ステアリングで表現される自動車の静力学的特性から,さらに手放し走行などを含む動力学的特性を解説し,ついで運転者の操縦が加えられた自動車の運動特性へと論議を進め,最後に自動車の研究と平衡した運転者の研究の必要性を述べる.理解の助けとするためにアナログ計算機による計算曲線例を示す.
著者
伊藤 宏
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.319-323, 1956-08-01

最近1.2ないし1.1という超大口径の写真レンズがわが国で生産されるようになった.これ等のレンズの展望,日本でこれ等のレンズが発達した理由,およびこれらレンズの性能に関し,最近の情報理論的の取扱いによる新しい見方を述べる.

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著者
[著者名なし]
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, 1959-03-01
著者
渡邊 要
出版者
誠文堂新光社
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.7, pp.296-301, 1950-07-01

わが國はおおむね高温度多濕であるから蒸暑い.われわれの身體に及ぼす暑さ寒さの感じは單に氣温ばかりではない.相對濕度や風の強さなどの綜合された體感による.各地の體感が違えば家の建方も地方によつて當然異るべきである.こういう意味で建築は地方的特性をもつたものが合理的である.この小文はそのために必要な建築氣候區分とくに蒸暑を對照とした夏の氣候區についてのぺ,さらに防暑對策について述べたものでさる.
著者
高野 佑 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.421-423, 2010-07-01 (Released:2010-11-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

観光地周辺で自然災害が発生すると,被害のなかった地域でも観光客数が減少することがある.本研究ではこのような現象を「観光手控え」と呼び,事例分析及び意識調査を行った.その結果,県外の観光客には安全・復興に関する記事はほとんど提供されておらず,安全状況を確認せずに「危険そう」との認識から観光手控え行動が発生しており,その傾向は男性よりも女性の方が強いことが分かった.また,観光客側は通常通りの観光活動が効果的な支援として求められていることをあまり認識していないことも明らかになった.その対策として,安全性の明確な提示や,支援としての観光活動の重要性の周知について具体的な方法を構築する必要性を提案した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
菊本 英紀 陳 然
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.45-52, 2023-02-01 (Released:2023-02-23)
参考文献数
11

室内空間の気流特性を考慮し空気清浄機の効果を評価するため,CFD を用いた空気清浄機吹出気流の空気齢および吸込気流の空気余命に関する解析手法を提案した.また本手法を用いて,可搬型の空気清浄機が設置された室内空間を対象とした解析を実施した.その結果,換気と分離して空気清浄機のみの空気齢や空気余命の空間分布を解析できることを示した.本手法により,単なる汚染質濃度の低減効果だけでなく,非定常かつ突発的な汚染質発生などに対して,空気清浄機がいかに迅速に汚染質を除去し,清浄な空気を届けられるかという時間的観点からも評価が可能となる.
著者
横井 喜充 政田 洋平 滝脇 知也
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.17-23, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
8

プルームをコヒーレントな構造ゆらぎと考え,プルーム運動に沿った非平衡効果を用いて対流乱流の輸送モデルを構成し,恒星内部の対流に適用する.恒星表面での冷却で駆動される対流の顕著な特徴のひとつは,表面層の直下で観測される大きくて局在化した乱流質量輸送である.そのような輸送の特徴は,混合距離理論を用いた通常の渦粘性型モデルでは全く再現できないが,非平衡効果を組み入れた今回のモデルでよく表現することができる.本研究の結果は,非平衡効果を通してプルーム運動を乱流モデルに組み入れることは,通常の混合距離理論を用いた経験的なモデリングを超えて,平均場理論の重要で価値ある拡張となりうることを示している.
著者
大橋 智之 桑水流 理 吉川 暢宏
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.120-123, 2007 (Released:2007-03-29)
参考文献数
6

植物食の鳥脚類恐竜の頭骨には,Pleurokinesisという上顎の側方運動があることが形態学的観察から提唱されている.このPleurokinesisを生み出す頭骨内の関節構造について有限要素法で応力解析を行い,Pleurokinesisが頭骨と歯列に及ぼす影響を力学的な観点から考察した.解析の結果,可動性のある関節によって,咀嚼による負荷が頭頂部に分散することが明らかとなった.このように恐竜などの古脊椎動物学においても力学的観点からの解析とその解釈により,これまで以上に彼らの生態が解明されることが期待できる.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
牧野 貴樹 滝 久雄 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.259-265, 2010-05-01 (Released:2010-09-22)
参考文献数
10

試行錯誤を通して学習するエージェントが利他的行動を獲得するために必要な他者モデルの要素を,繰り返し囚人のジレンマゲームの計算機シミュレーションにより調べた。実験の結果,他者モデルを持たないエージェントや,予測した他者の行動だけを参照するエージェントよりも,推定した他者の内部状態に基づいて行動決定するエージェントのほうが,高確率で相互協調に至ることが明らかになった。また,再帰的な推定構造をもつ他者モデルや,自己と他者の相互の入れ子構造を有する他者モデルを利用すると,相互協調に至る確率がさらに高まった。