著者
松本 均 伊藤 恭子 米倉 久美子 市橋 正光
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.492-497, 2005

健常人女性33名に末梢の血流改善効果を有するカシスポリフェノールを単回経口摂取させ,その後の頬部の血流に対する効果と下眼瞼中央部のくまに対する改善効果をポリフェノールを除いたプラセボとクロスオーバー二重盲検法による群間比較で評価した。プラセボ群では変化が認められないのに対し,カシス群では摂取15分後から血流量の有意な増加が見られた。同時にカシス群はプラセボ群と比較してL<SUP>∗</SUP>値の有意な上昇,エリスマインデックスの有意な上昇とメラニンインデックスの有意な減少が確認された。また,血流量変化とメラニンインデックス変化との間に逆相関関係が見られたことにより,くま発生の主要因は血流の停滞であると考えられ,カシス摂取による即効的な血流改善効果を介してくま改善効果を有する可能性が示唆された。
著者
下江 文子 野口 雅久 中南 秀将 笹津 備規 黒川 晃夫 森脇 真一
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.520-527, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

伝染性膿痂疹は,乳幼児に好発し,主として黄色ブドウ球菌,時にレンサ球菌に起因する皮膚細菌感染症である。今回我々は,1%ナジフロキサシン軟膏の伝染性膿痂疹に対する効果および臨床材料より分離された細菌株に対する各種抗菌薬の薬剤感受性を調査した。同疾患に罹患した解析対象42例に対して,1日2回7日間1%ナジフロキサシン軟膏の外用および抗菌薬1剤の内服で加療し,治癒率および改善率を検討したところ,それぞれ57.1%,97.6%であった。全例から黄色ブドウ球菌が検出され,そのうち,MSSA は37例(80.4%),MRSA は9例(19.6%)から分離された。ナジフロキサシンは MSSA にも MRSA にもともに高い感受性を示した。以上より,伝染性膿痂疹の治療において,1%ナジフロキサシン軟膏はその起因菌が黄色ブドウ球菌の場合は MRSA であっても効果が期待できる有用な抗菌外用剤であると考えられた。(皮膚の科学,11: 520-527, 2012)
著者
松本 均 伊藤 恭子 米倉 久美子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.492-497, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
8
被引用文献数
1

健常人女性33名に末梢の血流改善効果を有するカシスポリフェノールを単回経口摂取させ,その後の頬部の血流に対する効果と下眼瞼中央部のくまに対する改善効果をポリフェノールを除いたプラセボとクロスオーバー二重盲検法による群間比較で評価した。プラセボ群では変化が認められないのに対し,カシス群では摂取15分後から血流量の有意な増加が見られた。同時にカシス群はプラセボ群と比較してL∗値の有意な上昇,エリスマインデックスの有意な上昇とメラニンインデックスの有意な減少が確認された。また,血流量変化とメラニンインデックス変化との間に逆相関関係が見られたことにより,くま発生の主要因は血流の停滞であると考えられ,カシス摂取による即効的な血流改善効果を介してくま改善効果を有する可能性が示唆された。
著者
上田 英一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Suppl.18, pp.36-38, 2012 (Released:2013-11-28)
参考文献数
4

アトピー性皮膚炎がストレスにより増悪する事はよく知られている。また,ストレスマネジメントの重要性も一般的に認識されるようになり,「癒し」などと呼ばれ取り入れられるようになってきた。しかし,ストレスの原因がトラウマ記憶と関係している場合,通常のストレス対処法では効果が出にくいことや,確立されたトラウマケアの技法があることはあまり知られていない。そこで,トラウマとトラウマによって引き起こされる心や体の反応について解説し,アトピー性皮膚炎治療への応用について述べる。(皮膚の科学,増18: 36-38, 2012)
著者
東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.347-353, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
4

2004年4月からの3年間に東皮フ科医院を受診した爪甲鈎彎症患者は女性82名,男性6名であった。30歳代の女性が26名であった。爪甲を削って平坦化したのは6名で,QOLは改善した。4例の軽症例では絆創膏による牽引のみで治療したが,全例軽快あるいは治癒した。根治術としては抜爪数ヵ月後に末節骨を削って爪床を平坦化する手術を行い,爪床形成術後は絆創膏による牽引を行った。術後1年以上経過した症例は27例,35趾で,25趾では治癒あるいは略治となった。他の10趾では不成功となった。不成功の原因は,適応外の症例に行ったもの,途中で受診しなかったもの,絆創膏による牽引が不十分だったものなどである。爪甲鈎彎症は治療により正常化し得る疾患であることを強調したい。
著者
立林 めぐ美 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.403-410, 2015 (Released:2016-04-05)
参考文献数
9

非ステロイド性抗炎症薬含有テープ剤などの貼付剤は皮膚と密着し,主剤の皮膚への浸透性を高めて効果を発揮するが,各種成分へのアレルギー感作が成立し,アレルギー性接触皮膚炎や光アレルギー性接触皮膚炎が生じうる。貼付により皮膚バリア機能が低下すると,アレルゲンの皮膚内への浸透性が高まり,感作がより生じやすくなる。しかしながら,貼付剤による皮膚バリア機能におよぼす影響はほとんど評価されていない。20歳以上の本研究に同意が得られた健常人ボランティア20例を対象にロキソプロフェンナトリウム水和物貼付剤とケトプロフェン2%貼付剤を7日間連続貼付し,貼付終了直後および貼付終了7日後における皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。評価項目として経皮水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss)と角質水分量(capacitance)を測定した。角質水分量に貼付剤間の差は認められなかった。ケトプロフェン2%貼付剤群では,貼付終了直後と貼付終了7日後の経皮水分蒸散量が優位に高値を示した。テープ剤の各種成分の選択と構成比の最適化を図り,皮膚バリア機能が低下しない,もしくは低下しにくい貼付剤の開発と普及が望まれる。(皮膚の科学,14: 403-410, 2015)
著者
松下 記代美 山田 秀和 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正 今野 元博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.462-465, 2003 (Released:2012-01-06)
参考文献数
10

48歳,女性。45歳時に子宮筋腫のため当院婦人科にて腹腔鏡下膣式子宮全摘出術を受けた。約3年後の平成10年5月頃より臍部の腫瘤に気付いた。臨床的に臍部に1.6 cm大のやや硬い境界明瞭な桃紅色の結節を認め,皮下に連続性の硬結を触れた。腹部エコーと腹部CTの画像診断によって,腫瘤が腹膜と連続していることが確認された。当院第2外科の協力のもと全身麻酔下に開腹,腫瘤摘出をおこなった。組織学的には表皮直下から腹膜まで連続性に膠原線維の不規則な増生と線維芽細胞の増殖が認められた。臨床経過,臨床症状および組織学的所見より腹腔鏡下手術後に生じた臍部のケロイドと診断した。今後,内視鏡子宮全摘術の増加するにつれて,臍部のケロイドの発生も増加することが予想される。
著者
横井 彩 眞鍋 求 能登 舞 蓮沼 直子 野澤 一美 川口 尚子 情野 治良 奥田 誠 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.347-353, 2018 (Released:2019-08-13)
参考文献数
7

乾皮症に対して,保湿剤によるスキンケアが有用であることは広く周知されている。そこで今回,我々は同一分子内に両荷電を有する両親媒性キトサン誘導体である部分ミリストイル化カルボシキシメチルキトサン(以下 PMCMC)を配合した O/W 型乳液を開発し,乾皮症を有する被験者19名に対する保湿効果を検討した。 4 週間の使用試験の結果,皮膚所見(乾燥・落屑)・角層水分量・経皮水分蒸散量・痒みのいずれの項目も,試験開始時に比べ有意な改善が認められ,対照として用いたW/O 型乳化製剤のヘパリン類似物質製剤(医薬品)と同等であった。また,興味深いことに,被験者による使用感評価は対照よりも高く評価された。これらの所見は,PMCMC 配合乳液が医薬品と同等の保湿効果と高い使用感特性を有することを示唆するものである。よって,本製品はアドヒアランスやスキンケアの継続性を高め,また QOL の向上に寄与することが期待される。 (皮膚の科学,17 : 347-353, 2018)
著者
米田 耕造 竹尾 仁良 山下 伸也
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.202-209, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1

エイコサペンタエン酸(以下EPAと略す)およびドコサヘキサエン酸(以下DHAと略す)を含む精製魚油含有飲料を用いて,アトピー性皮膚炎に対する効果について検討した。アトピー性皮膚炎患者21例に試験飲料(EPA 1,260mg,DHA 540mg含有)を1日1回,12週間連続投与した。その結果,脱落3例を除いた18例に対して皮膚症状の改善傾向が認められ,全般改善度については,著明改善5.6%(1例),中等度改善38.9%(7例),軽度改善27.8%(5例),不変16.6%(3例),悪化11.1%(2例)となった。以上より,EPA/DHA含有飲料がアトピー性皮膚炎の症状改善に対して有効である可能性が示唆された。
著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
上原 正巳
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.65-75, 2014 (Released:2014-08-01)
参考文献数
56

アトピー性皮膚炎患者に主要アレルギー性食物(卵,牛乳など)の経口投与試験をおこなうと,湿疹の悪化が起こる患者は少数(10%以下)であることから,食物は本症の重要な悪化因子ではないと考えられてきた。最近筆者らは従来の研究を補完するつもりで,患者が摂取するすべての食物を研究対象に含めて投与試験をおこなった。その結果,不定期的湿疹悪化を示す成人患者の44%と小児患者の75%,および母乳栄養の乳児患者の73%において,主要アレルギー性食物以外の食物(とくに木の実食品と発酵食品)が湿疹を悪化させていることが判明した。以上から,食物(とくに木の実食品と発酵食品)は本症の重要な悪化因子であると考えられる。(皮膚の科学,13: 65-75, 2014)
著者
井本 恭子 宮川 幸子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.94-97, 2007 (Released:2010-12-06)
参考文献数
7

19歳,女性。幼少時に,アトピー性皮膚炎と診断され,平成8年5月22日より当科に通院していた。平成9年9月中旬より皮疹が悪化し,同年10月15日よりツムラ加味逍遥散エキス顆粒®とツムラ越婢加朮湯エキス顆粒®を投与した。11月20日より顔面,下腿に浮腫が出現し,血漿レニン活性,血中アルドステロン濃度の低下を認めたことから,両漢方製剤に含まれる甘草による偽アルドステロン症と診断した。両漢方製剤の中止と利尿薬,ステロイドの投与により,浮腫,皮疹は軽快し,検査値も正常範囲内に回復した。
著者
横関 博雄
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Suppl.23, pp.S25-28, 2015 (Released:2016-06-16)
参考文献数
9

近年、スギ花粉症患者に呼吸器症状、消化器症状、咽頭症状、発熱なども見られることが良く知られスギ花粉症は全身性疾患の一つと考えられている。また、スギ花粉症の患者に合併してスギ花粉が皮膚に接触することが原因と思われるスギ花粉皮膚炎と呼ばれている皮膚症状が見られることがある。このスギ花粉皮膚炎は飛散するスギ花粉抗原の皮膚への接触による空気伝搬性接触皮膚炎(airborne contact dermatitis)の一つと考えられてきている。花粉皮膚炎はスギの飛散する2月から4月までだけではなく10月から12月までの秋にも発症する。秋に発症する花粉皮膚炎はスギ花粉による皮膚炎とブタクサ、ヨモギ花粉による秋花粉皮膚炎である。今回、スギ花粉皮膚炎の臨床的特徴、発症機序、治療法、予防法、他のアレルギー性接触皮膚炎などとの鑑別方法に関して述べたい。治療はマスク、眼鏡、マフラーなどでスギ花粉が皮膚に接触することを予防するとともに、スギ花粉症に準じて非鎮静性の第2世代の抗ヒスタミン薬の内服が必要である。また、スギ抗原が皮膚内に入るのを予防するために、角層のバリア機能を保つスキンケアも必要不可欠である。春先に生じる顔が赤くなる皮膚炎には化粧、洗剤、毛染めなどによるアレルギー性接触皮膚炎以外にスギ花粉皮膚炎があることを念頭に置いて診療する必要がある。(皮膚の科学,増23: 25-28, 2015)
著者
国本 佳代 古川 福実 山本 有紀
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.101-106, 2016 (Released:2016-07-15)
参考文献数
8

非固着性ガーゼは様々な種類のものがあるが,おもにその使用目的はガーゼ交換の際の出血や疼痛緩和,および組織損傷の軽減である。今回我々は非固着性創傷被覆・保護材(ウルゴチュール®,日東メディカル株式会社,大阪,日本)を糖尿病性潰瘍や下腿潰瘍,悪性腫瘍などに使用し,疼痛緩和,上皮化や浸出液の二次ドレッシング材への吸収などにつき良好な経過を得た。また,皮膚欠損創20例に対するメッシュスキングラフトなどの植皮術を行う際に植皮の母床および植皮片とガーゼとの固着を防ぐ目的で非固着性創傷被覆・保護材(ウルゴチュール®)を使用したところ,生着率は75%から100%であった。全例に植皮前後で創部培養検査を行い,細菌叢の検索を行ったがウルゴチュール使用後の創部において菌が検出された症例のほとんどが常在菌であり,非固着性創傷被覆・保護材(ウルゴチュール®)使用下において,感染リスクの上昇は示唆されなかった。(皮膚の科学,15: 101-106, 2016)
著者
浅野 歩 花田 圭司 田端 康一 小西 啓介
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.194-196, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

82歳, 女性。約1年前から気付いていた両側大陰唇の自覚症状のない径5mmまでの青褐色や黄白色の小丘疹が集簇し, 徐々に数を増すため, 当科を受診した。全ての小丘疹を切除した。病理組織学的所見はHE染色で真皮内に円形の嚢腫をみとめ, 嚢腫壁は数層の扁平上皮細胞からなり, 顆粒層を経て角化していた。嚢腫の内腔には層状の角質がみられ, 角質に混じって軟毛の断片も存在していた。嚢腫壁には脂腺の付着や肉芽腫様反応はなかった。以上の所見から, 自験例を外陰部に生じたeruptive vellus haircystsと考えた。
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。<BR>5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。<BR>皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。<BR>また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。<BR>以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。
著者
東 祥子 永松 麻紀 池田 彩 宮崎 明子 小澤 健太郎 田所 丈嗣
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.83-87, 2013 (Released:2013-08-02)
参考文献数
10

49歳,女性。1999年に口腔内のびらんが出現し,四肢体幹にも拡大し,生検で尋常性天疱瘡と診断した。ステロイド内服では病勢を抑えることが困難であったため,ステロイドパルス,シクロホスファミドパルス,血漿交換,アザチオプリンなどで加療した。その後病勢は安定し,プレドニゾロンを漸減し,抗デスモグレイン1抗体,抗デスモグレイン3抗体ともに陰性化し経過は良好であった。2009年6月頃から顔面および下肢に小型のびらんを伴う紅斑が出現し,全身に拡大した。生検で有棘層最上部から顆粒層にかけて表皮内水疱と棘融解像を認め,抗デスモグレイン1抗体のみの上昇を認めた。尋常性天疱瘡から落葉状天疱瘡への移行例と考えた。(皮膚の科学,12: 83-87, 2013)
著者
藤村 響男
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.A38-A44, 2008

ADは,免疫学的にはTh2ドミナントな疾患で,抗原に対するTh1/Th2応答の変動によって臨床経過が異なる。我々は以前,難治性AD患者が水痘や麻疹感染後にAD症状が数ヶ月にわたって改善する現象を解析し,この軽快現象は感染ウィルスを排除するために皮疹部において産生されたIL-12が,ダニ抗原応答性Th2細胞に作用しサイトカイン産生パターンがTh2タイプからTh1タイプにスイッチしたためと結論づけた(J Allergy Clin Immunol;100:274-282,1997)。これらを背景として今回,コンビ株式会社機能性食品事業部の協力を得てIL-12産生刺激能の強い乳酸菌株を選定し,動物実験と臨床試験によりアレルギー疾患に対する乳酸菌の効果を検討した。
著者
香川 英樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.522-525, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
13

足は不器用な手ではなく,人間らしさを代表する直立二足歩行を司る高等器官である。しかし,足は高機能であるが完成した訳ではない(進化の途上である)。従って今回は,不完成性を有する「足」の機能において,我々施術者が現場で実務する施療で「インソール」と足の機能との関連性を考察する。私達「ヒト」の足の裏(荷重面)は体表全体のわずか2%でしかない。その2%の足底をもって体重を支え,あらゆる平衡機能,運動への連動,そして「支える」等,複雑な働きを求められる「足の裏」に対して,それら様々な要求を補強し,改善しうるのが「インソール」である。(皮膚の科学,10: 522-525, 2011)
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。